ぷっくりした葉や個性的な姿の多肉植物は、100均などでも手軽に手に入る観葉植物として人気があります。多肉植物にはいつ、どんな肥料が必要なのでしょうか。ここでは多肉植物におすすめの肥料や肥料時期、与え方についてわかりやすく説明します。
そもそも多肉植物に肥料は必要?
多肉植物は、砂漠などの乾燥した地域に生息し、葉や茎に水を溜めることができるため乾燥に強い植物です。そのため、水も肥料も必要ないと思われる方が多いかもしれませんが、それは誤解です。サボテンなどの多肉植物も、生育期は水・肥料が必要です。
しかし一般的な草花よりも肥料成分は多く必要ありません。またその植物にあった時期と量を間違えると、肥料分を吸収することができず、肥料やけを起こし最悪の場合枯れてしまうこともあります。
多肉植物の生育タイプ別の肥料時期
多肉植物に限らず、植物には生育期に肥料を与えることで、生育を助ける働きがあります。多肉植物の生育時期に合わせた時期に肥料を与えましょう。
多肉植物は生育時期により、3タイプに分かれます。それぞれの特徴と肥料時期は下記のとおりです。
生育タイプ | 特徴 | 肥料時期 | 代表的な植物 |
---|---|---|---|
春秋型 | 春と秋に生育するタイプ。 夏と冬は休眠します。 生育適温10℃~25℃。 | 3月~6月 9月~10月 | ハオルチア エケベリア セダム |
夏型 | 夏に盛んに生育するタイプ 生育適温20℃~30℃ 春と秋はゆっくりと生育します | 5月~9月 | サボテン アカベ ユーフォルビア |
冬型 | 冬に盛んに生育するタイプ 生育適温5℃~20℃ 高温多湿が苦手 | 10月~4月 | アオエニウム コノフィツム リトープス |
多肉植物への肥料の与え方
多肉植物への肥料の与え方は、一般の観葉植物より少なめに施すのがポイントです。
回数の目安は、生育期に緩効性肥料なら2ヶ月に1回、少なめに置き肥し、速効性肥料なら1〜2週間に1回程度、規定の希釈率(濃度)に希釈した後、それをさらに2倍に薄めたものを施します(あくまで目安です)。
多肉植物の栽培におすすめの肥料
多肉植物は、生育がゆっくりなため肥料もゆっくりと効果の続く緩効性肥料がおすすめです。肥料成分は、シャコバサボテンなどの一部を除き、花より葉や茎を楽しむものが多いため、三要素(チッソ、リン酸、カリ)がバランスよく含まれた肥料か、葉肥と呼ばれるチッソ、根肥と呼ばれるカリが多く配合されているものがおすすめです。
多肉植物やサボテンの肥料、観葉植物用の肥料などがおすすめです。ここからは多肉植物におすすめの肥料の種類や商品について説明します。
多肉植物専用肥料
各社から販売されている多肉植物用の肥料であれば、多肉植物に合った肥料分が配合されており、施肥量も記載されていることが多いので、誰でも簡単に使えます。小さな多肉植物では粒剤や小粒タイプの錠剤がおすすめです。
粒剤や錠剤は、ゆっくりと効果が続く緩効性肥料が多いので、パッケージに書いてある肥料が続く期間を確認して、生育期間は肥料が効いているように追肥をしましょう。
多肉植物用 活力剤
活力剤は肥料ではなく、肥料と一緒に使うのが一般的ですが、肥料を多く必要としない多肉植物には肥料の代わりに活力剤をつかったり、緩効性肥料を1回与えて、その後は活力剤にするなどの使い方もあります。また室内で育てている場合は、生育期以外でも室内が生育適温であれば成長します。その時には活力剤を使うのもよいでしょう。
肥料成分は少ないので肥料焼けなどの心配がありません。肥料と同じく、錠剤タイプや液体タイプのものもあります。
微粉ハイポネックス
微粉ハイポネックスは、水に溶かして液肥として使う粉状肥料です。肥料成分はN-P-K=6.5-6-19と植物の株を丈夫にするカリ成分を多く含みます。カリ成分は耐暑性や耐寒性を強める効果もあるので、寒さに弱い多肉植物にもおすすめで、休眠期開けに元気がない時などにも、カリ成分は有効です。また微粉ハイポネックスは水耕栽培でも使えます。
防ぎたい! 肥料にまつわるトラブルあれこれ
肥料のやりすぎ
野菜などとは異なり、多肉植物は冬には休眠中になり冬越ししたりと、比較的植物の中でも肥料を必要としないものも多いです。このため、家庭菜園のようなペースで肥料をやると、やりすぎになってしまい、肥料焼けを起こして弱々しくなり、しおれて最悪枯れてしまいます。多肉植物は特に、観葉植物以上に、肥料のやり過ぎには注意してください。
これと同じく、家庭園芸でありがちですが、水をやりすぎて根が腐って草花を枯らしてしまったり、根詰まり、また根にカビが生えて傷むことがあります。これは、休眠期に水をあげてしまう、また水を常に容器に満たし、風通しが悪い所に放置すると起こります。
水分が切れてから水を与えるようにする、風通しの良い場所に植物を置くようにすることを心がけてください。特に梅雨の時期は要注意です。
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
まとめ
多肉植物を上手に育てるには、その植物がいつ生長期を迎えるのか正しく知る必要があります。生育期以外にも、蒸れに弱い多肉や、葉焼けしやすかったり、栽培が難しい品種もあります。
多肉植物を購入する場合には、品種名が書いてあるものを選びましょう。100均などで販売されているものは、比較的育てやすい品種が多いですが、生育期に購入してポット苗で販売されているものは早めに植え替えをして育てましょう。
農家webには、サボテンや品種ごとの多肉植物の栽培の方法についても多くの記事があるので、そちらも参考にしてください。