アジサイ(紫陽花)は、英語名でHydrangeaと呼ばれます。日本発祥の花木、宿根草(多年草)であり、日本の原種ガクアジサイから改良した園芸品種です。万葉集にも登場し、梅雨の風物詩として日本に昔から根付く代表的な花の一つと言えるでしょう。
アジサイの樹高は、1~2m程度で落葉低木に分類されます。花色も、青、紫、ピンク、赤、白、緑などと豊富で、鮮やかで発色が良いため世界中で愛されています。また、比較的育てやすい植物で、ガーデニング初心者でも、安心して庭に取り入れることができます。
ここでは、ガーデニングで育てられる植物の中でも、特に人気であるアジサイに注目して、おすすめの肥料や肥料のやり方などをご紹介します。
アジサイ(紫陽花)におすすめの肥料は?
作物・植物の栽培における肥料の種類は、大きく以下のとおりに分けることができます。
肥料はその物質の有機、無機によって、「有機肥料(有機質肥料)」「化学肥料(≒無機質肥料、化成肥料は化学肥料に属します)」の2つに分けることができ、形状によって、「固形肥料」と「液体肥料(液肥)」があります。
「化学肥料」とは、化学的に合成しあるいは天然産の原料を化学的に加工して作った肥料です。「有機肥料(有機質肥料)」とは、「油粕や米ぬか、腐葉土など植物性の有機物」「鶏糞(鶏ふん)、牛糞(牛ふん)、馬糞や魚粉、骨粉などの動物性の有機物」を原料にして作られたものです。堆肥も、家畜の糞や落ち葉などの有機物を微生物によって分解・発酵したもので、有機肥料となります。有機肥料は、用土(培土)を養分を補うだけではなく、物理性の改善(ふかふかにする)にも役立ちます。
アジサイに使用する肥料は、土壌で植物を栽培するという点で、野菜や果樹などの土耕栽培に使うものと基本的には同じものでも問題ありません。アジサイだからと言って、特別な肥料を使わなければならないということではありません。
有機肥料と化成肥料(化学肥料)についても良い悪いという決めつけはできません。大事なことはその植物に必要な養分を適切な時期に適切にやることです。
ここでは、肥料のやり方とガーデニング初心者の方にも扱いやすいアジサイにおすすめの肥料をご紹介します。
アジサイに肥料を与える適期は?
アジサイは他の一般的な植物と比べ、肥料についてはそこまで神経質に与える必要はありません。しかし、アジサイの栽培に失敗する要因として多いのが「肥料のやり過ぎ」です。
ついつい、元気に生長して欲しいと思い肥料をあげてしまうのですが、肥料のやり過ぎは肥料焼けを起こして、しおれて枯れる原因になってしまいます。
基本的な肥料のやり方は、冬(12月下旬から2月上旬)に、「寒肥」を、花が咲いた直後に「追肥(お礼肥)」を与えます。
寒肥は、春から夏にかけてアジサイの花をしっかりと咲かせるために、追肥は、花が咲いた(開花)直後に与える翌年の花芽を育てるために施肥します。
その他は、明らかに葉っぱや茎の成長が弱っているときには、速効性のある肥料を少量追肥して、様子を見るようにしましょう。
アジサイにおすすめの肥料は?
先述したとおり、寒肥や追肥には、緩効性肥料・遅効性肥料がおすすめです。緩効性肥料・遅効性肥料の中でも初心者の方でも扱いやすいアジサイ向けの肥料をご紹介します。
マイガーデン植物全般用
マイガーデンは、住友化学園芸の登録商標で、様々な草花・庭木・果樹の元肥や追肥に使うことができます。
栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得しており、植物が肥料を吸収しやすくする働きや、土壌の保水性、通気性を高めるなど、土に活力を与える作用がある腐植酸をブレンドしています。
また、肥料成分は樹脂コーディングし、土壌の温度変化や植物の生育にあわせて溶けだす量が調節され、効き目が持続するリリースコントロールテクノロジーを採用しており、樹脂コーディングのため、肥料が直接根に触れても肥料やけしないのが特長です。元肥、追肥両方に使用可能です。こちらは粒状の製品ですが、液体タイプ(液肥)のマイガーデンもあります。
マイガーデンの肥料は他にも種類がありますよ!
ハイポネックス マグァンプK(大粒・中粒)
ハイポネックスジャパンが販売する元肥用の定番の粒状肥料です。「チッソ・リンサン・カリ」植物の生育に必要な三要素は勿論、マグネシウムやアンモニウムなどの二次要素・微量要素もしっかりと配合されていて、元肥に申し分ありません。土にしっかり混ぜて、大粒で約2年、中粒で約1年、生長効果が持続します。マグァンプK 小粒は追肥に有効です。
おすすめの有機肥料は?
バイオゴールドオリジナル
こちらは有機肥料でありながら、即効性があり追肥に向いている珍しいタイプの肥料です。生育に必要な三要素(チッソ・リンサン・カリ)はもちろんカルシウム・マグネシウムをはじめ豊富な天然のミネラル類がたっぷりと、バランス良く含まれています。
有機肥料は臭いが伴うものが多いですが、こちらの商品は施肥後の臭いも気にならず、粒状ですが、ばらまいて使用する他に、水に溶かして液肥として使うこともできますし、肥料焼けも起こりにくいという利点もあります。初めて有機肥料を使用してみたいと思われる方には、試していただきたい商品です。
発酵油かす肥料
緩効性の有機肥料として、骨粉や魚粉を混ぜた発酵油かすの固形肥料もとても有効です。窒素、リン酸、カリウムがバランス良く含まれていますし、それらの肥料成分がゆっくりと溶け出すため、根に優しく肥効が続きます。
アジサイにおすすめの肥料 速攻性のある液体肥料は?
速効性がある肥料の中でも、手に入りやすくガーデニング初心者でも扱いやすいアジサイ肥料をご紹介します。
ハイポネックス 原液
液体肥料(液肥)国内トップシェアを誇るハイポネックスの定番液体肥料です。ハイポネックス原液は、「三大要素(窒素、リン酸、 カリ)」の他、マグネシウムやカルシウムなどの「二次要素(多量要素)」、さらに鉄をはじめとした「微量要素」を含む15種類の栄養素を最適のバランスで配合された液体肥料(液肥)で、水で薄めて使います。
肥料成分がN-P-K=6-10-5でリン酸の成分が多いため、ピンクや赤色の花にハイポネックス原液がおすすめ。
微粉ハイポネックス
ハイポネックスの粉状肥料として最も有名なものは「微粉ハイポネックス」です。水に溶かして液肥として使用するタイプのものとなります。様々な植物に適用でき、鉢植、家庭菜園だけではなく、水耕栽培やペットボトル栽培にも使用することができます。特に植物の根を丈夫にするカリウム(加里)が多く含まれ、植物に活力を与え、強健な植物の生育に効果的です。
肥料成分がN-P-K=6.5-6-19でカリの成分が多いので、青色の花にはこちらがおすすめです。
マイガーデン 液体肥料
当製品は、先ほど紹介したマイガーデン植物全般用の効果に加えて、モイスト成分と呼ばれる土の潤い・活力が増す作用があり、保水力と保肥力が高まります。このため、用土に取り入れることで肥料が効果的に染み渡るとともに、暑い夏の水管理に効果を発揮します。液体肥料(液肥)なので速効性が期待でき、追肥用としておすすめの商品です。
基本!アジサイの色・増やし方・剪定について
アジサイの色を変えるには?
アジサイは、土壌の酸性度や施す肥料によって花色が変わってきます。具体的には、青色系は弱酸性の土に、ピンク・赤色系は弱アルカリ性の土に適します。
このため、青系の花色にしたいのであれば未調整のピートモスを混ぜ酸性の土壌に、ピンク系の花色や赤花にしたいのであれば石灰(有機石灰や苦土石灰など)を混ぜて弱アルカリ性の土壌にしましょう。
アジサイの増やし方
アジサイは繁殖力が強く、挿し木で増やすことができます。挿し木とは、切った枝を用土に挿して、根付かせることです。枝の花と下の葉は基本的に取り除きます。そして、市販の培養土をポット(鉢)に入れ、そこに苗木となる枝を挿します。
挿したら、たっぷりの水を与えて日当たりの良い場所で育苗しましょう。春に新芽が出たら、小さい鉢に苗を植え付け、徐々に大きい鉢に植え替えましょう。挿し木から2年以上経ったら、鉢から庭などに地植えしても良いでしょう。
水耕栽培でも増やすことができます。
アジサイの剪定(せんてい)について
アジサイは繁殖力が強いため、鉢植えでは特に剪定が大事になります。剪定とは伸びた枝を切ることです。冬に、果樹の剪定と同じように伸びすぎた枝を剪定することで、翌年の日当たりを確保し、光合成ができるようにしてあげます。加えて、花が終わった後7月までに花がついた枝のみ、花から下の2節〜3節目の花芽の数cmほど上で切ります。夏剪定をすることで、翌年の花付きがよくなります。
まとめ
カシワバアジサイなど様々な種類があり、白花、赤花と花色も豊富で鮮やかで育てやすい落葉低木のアジサイは、シャクナゲ(石楠花)やロウバイ、アサガオ、サザンカ、つつじ(躑躅)、レンギョウと同じく日本の庭を代表する花木です。
美しく咲き誇る紫陽花は、ウツギ、アガパンサス、サルスベリ、ユキヤナギやユキノシタと合わせて、味わい深い庭園を作ることができます。是非、ガーデニングに取り入れてみましょう。
(補足) 植物に必要な養分って?肥料の基礎
作物・植物の栽培における肥料の種類は、大きく以下のとおりに分けることができます。
肥料はその物質の有機、無機によって、「有機肥料(有機質肥料)」「化学肥料(≒無機質肥料、化成肥料は化学肥料に属します)」の2つに分けることができ、形状によって、「固形肥料」と「液体肥料(液肥)」があります。
「化学肥料」とは、化学的に合成しあるいは天然産の原料を化学的に加工して作った肥料です。「有機肥料(有機質肥料)」とは、「油粕や米ぬか、腐葉土など植物性の有機物」「鶏糞(鶏ふん)、牛糞(牛ふん)、馬糞や魚粉、骨粉などの動物性の有機物」を原料にして作られたものです。堆肥も、家畜の糞や落ち葉などの有機物を微生物によって分解・発酵したもので、有機肥料となります。有機肥料は、用土(培土)を養分を補うだけではなく、物理性の改善(ふかふかにする)にも役立ちます。
防ぎたい!トラブルあれこれ
肥料のやりすぎ
観葉植物は、野菜などとは異なり冬には休眠中になったりと、比較的植物の中でも肥料を必要としないものも多いです。このため、家庭菜園のようなペースで肥料をやると、やりすぎになってしまい肥料焼けを起こします。肥料やけを起こすと、植物が弱々しくなり、最悪枯れてしまいます。観葉植物は、特に肥料のやり過ぎには注意してください。
同じく、ハイドロカルチャーの場合は、水をやりすぎて根が腐って草花を枯らしてしまったり、根詰まり、またカビが生えたりしてしまうことがあります。水が常に容器に満たされた状態で風通しの悪い所に放置すると起こりやすいため、下記のことを心がけて育ててください。
- 水分が切れてから水を与えるようにする
- 風通しの良い場所に植物を置くようにする
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
害虫に気をつけましょう
植物はハダニやアブラムシ、スリップス、コガネムシ、カイガラムシ、ナメクジ、ハマキムシの幼虫、ネコブセンチュウが発生して寄生しやすいです。野外であればある程、発生し易いといえます。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
また、病気としてはうどんこ病、灰色かび病、葉枯れ病などがあります。
多く発生している場合は、殺虫殺菌スプレーの「ベニカ」シリーズで害虫退治するのがおすすめです。(ホームセンターのガーデニング・園芸、ガーデニンググッズコーナーによく置かれています)
農家webには害虫、病気別の非常に詳しい防除記事もあるので、是非気になる病害虫名で検索してみてください!
植物別のおすすめ肥料
農家webには、植物別におすすめの肥料をまとめている記事がたくさんあります。ぜひ参考にしてみてください。