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有機肥料(有機質肥料)

馬糞(馬ふん)肥料とは?成分や使い方を解説

芝生に落ちた馬糞 有機肥料(有機質肥料)

馬糞(馬ふん)は戦前、農耕馬が多い時代では農家の方にとって主要な肥料の原料でした。現在では、戦前に比べて利用は減少していますが、競走馬の生産地や厩舎、競馬場の近くでは広く使用されています。

この記事では、馬糞肥料について知っておきたいことをまとめて解説します。

馬糞(馬ふん)肥料とは

馬糞の堆肥

馬糞肥料について

馬の糞を原料に生産した肥料を「馬糞肥料」あるいは「馬糞堆肥」とよびます。人によっては、「馬糞肥料」は加工の程度が大きく製品化されたもの、「馬糞堆肥」は加工の程度が小さく原料に近いものをそれぞれイメージすることがあるかもしれませんが、基本的にはほとんど同義で使われる言葉です。

昭和の前半までは農耕馬が広く普及していて、馬糞は主要な厩肥の原料でした。しかし、トラクターなどの農機具の急速な普及により、農耕馬は大きく減少、今では競走馬の生産地(北海道など)や厩舎、トレーニングセンター(美浦、栗東など)、競馬場の近くで使用されています。

厩肥とは?

厩肥とは、「きゅうひ」「うまやごえ」と読み、厩舎から出る家畜の糞尿と藁、落ち葉、腐葉土などと混ぜて堆肥化、腐熟化させた有機質肥料のことを言います。

馬糞肥料は特殊肥料?普通肥料?

馬糞を見た目から判別できない程度まで加工すると「普通肥料」に分類されます。一方、見た目から判別できる程度の加工であれば「特殊肥料」に分類されます。この線引きは、他の肥料でも同様で、米ぬかと脱脂ぬか、肉粕と肉骨粉、魚粕と魚粉についても、見た目から原料が判別できるかがひとつのポイントとなっています。

特殊肥料とは、肥料成分の含有量以外の価値をもつ、農家にとっては昔ながらの肥料のことです。肥料成分の含有量以外の価値としては、土壌の物理性を向上させることなどが知られており、通気性、排水性、透水性、保水性、保肥力などを向上させることができます。それにともない、土壌中のミミズなどの小動物、センチュウなどの微生物の多様性も高まり、病害虫(病気と害虫)の発生も抑制されることが期待できます。土壌中の生物多様性を保つことは、作物の連作障害を防ぐ面からも重要な意味をもちます。このように、特殊肥料は土質や地力を増進できるため、土壌改良資材としての働きがあることも広く知られています。

そうした背景から、特殊肥料には登録義務がなく、肥料袋に保証票の記載も必要ありません。しかし、特殊肥料のうち、堆肥と家畜糞尿については、成分含有量の表示が2000年から義務付けられています(成分含有量は、保証値とは異なります)。そのため、馬糞肥料(堆肥)についても、肥料袋で成分含有量を確認できることが多いです。

馬糞肥料の成分

馬糞は同じ家畜糞類の牛糞や豚糞鶏糞と比較されることが多いです。成分の特徴として、腐熟した馬糞の厩肥はN(窒素、チッソ)、K(加里)、P(リン酸、燐酸)全ての成分が、多く含まれています。

メジャーな牛糞肥料と比べても、馬糞はより有機物を含み、水分が少ないため、発酵しやすいという特性を持ちます。また、有機質肥料の特徴である、土壌の微生物や物理的性質を改良し、通気性、排水性、透水性、保水性、保肥力などを向上させる効果も有しています。

なお、馬糞、牛糞(牛ふん)や豚糞は元肥として利用され、速効性のある鶏糞(鶏ふん)は追肥に利用されることが多いです。(下記は各肥料の肥料三要素含有量の参考資料から抜粋したものです。)

家畜由来の肥料の種類N(窒素)%P(リン酸)%K(加里)%
牛糞1.91.23.5
豚糞1.81.70.7
鶏糞3.05.02.4
家畜由来の肥料の種類と目安の含有量

馬糞肥料の使い方

ほとんどの場合、馬糞肥料とは、藁、稲わらや落ち葉、腐葉土、バーク、おが屑(おがくず)と一緒に混ぜ込んで発酵させた厩肥を指すため、繊維質が非常に多く含まれています。そのため、栄養分を含んでいる上に、土壌改良効果ももちます。

馬糞肥料の使い方は簡単で、地表に散布して用土に混ぜ込むだけです。冬から春までの作付け前に施肥して、元肥として利用することが多いです。時間をかけて栄養分を土壌へと供給するので、生育期間や栽培期間の長い作物への施用に適しています。たとえば、根菜類(ダイコン、ニンジン等)や果菜類(トマトピーマンイチゴ、スイカ等)にはぴったりです。

畑全体に満遍なく散布し、耕運機、鍬などで20~30センチほど用土を耕して混和するのがよく行われる使い方です。

馬糞肥料は、野菜づくりはもちろん、花壇などガーデニング、鉢植えでも使うことができます。赤玉土や堆肥、培養土と混ぜ込みましょう。(逆にガーデニングで多く利用される液体肥料(液肥)などの化学肥料や化成肥料は、有機物を含んでいないため、土壌改良効果は期待できません。液体肥料(液肥)は手軽に使えるメリットがあるので、観葉植物などの植木鉢に対して施用するとよいでしょう。)

おすすめの馬糞肥料

製品化された馬糞肥料(堆肥)は、醗酵(発酵)されているため、牛ふんに比べて臭いも少なく、衛生面でも安心です。醗酵(発酵)の過程で、馬糞は高温にさらされるため、病原菌や雑草の種が含まれていたとしても死滅します。さまざまな種類の製品がありますので、おすすめの馬糞肥料をピックアップして紹介します。

お馬のたい肥

九州産の主に安定した安全素材、限定された飼料を与えられたサラブレッドの馬ふんと籾殻(もみ殻)を混ぜ、しっかりと熟成、堆肥化させた肥料です。籾殻を使用しているため、殻の隙間に空気が蓄えられ、保温効果を発揮して植物の生育を促進します。

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北海道産 馬糞堆肥

北海道産の馬糞を完熟させた堆肥です。醗酵促進剤及び添加物は一切使用しておらず、さらさらして扱いやすい堆肥です。他の馬糞肥料と同様、土壌改良効果で植物に活力を与え、根張りもよくします。

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牛糞肥料(堆肥)を購入

ホームセンターなど店舗で購入する

上記で紹介した肥料は、コメリなどのホームセンターでも販売されているときはありますが、馬糞肥料は牛糞肥料などと比べて流通しておらず、100円ショップなどではまず見かけません。馬の牧場や厩舎、競馬場が近い場合はそちらに直接問い合わせてみるのがいいでしょう。

通販で購入する

店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。

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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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