ホームセンターや100円均でも見かけるサボテン、丈夫で枯れにくい観葉植物として人気があります。ここでは、サボテンの季節ごとの育て方について、置き場所や水やりなど育て方の基本から植え替え、増やし方まで初心者の方でもわかりやすく説明します。
サボテンの育て方のポイント
サボテンは多肉植物の一種で、多肉植物は生育時期により春秋型、夏型、冬型に分けれます。サボテンはほとんどの品種が夏型で、春から夏に生育し、冬に休眠します。
生育期と休眠期はメリハリをもって育てる必要があるため、季節によって育て方が変わります。季節ごと栽培のポイントは下記の4点です。
- サボテンの生育期3月〜9月頃、10月から徐々に休眠期に入り冬は休眠します。
- 生育期には水やり、肥料を与えて育てますが、根腐れしやすいので水のやりすぎには注意が必要です。
- 日当たりの良い場所を好みますが、真夏の高温多湿は苦手。真夏は直射日光は避けて風通しの良い場所で育てます。
- 冬は、寒さに弱いため室内に取り込み、水やりを控えて休眠させます。
サボテンの育て方 季節ごとのスケジュール

- 春
冬の休眠期から覚めた3月から4月は、植え替えの適期です。鉢底から根が出ている場合は、この頃に植え替えをすると失敗しにくいでしょう。
肥料は、植え替え時に元肥を施しましょう。植え替えしない場合は、この時期に肥料を与えると元気に大きく育ちます。暖かくなったら、屋外で日光に当てます。水やりは、休眠期から生育期に入りますので土の表土が乾いたら、鉢底から水がでるまで与えます。
- 夏
真夏の直射日光は苦手ですので、葉焼けしないよう半日陰で管理しましょう。日本の夏は多湿ですので、風通しの良い場所で株を蒸らさないように注意します。
水やりは10日に1度霧吹きで株全体に水を与える「葉水」で与えます。時間は日中に水やりをすると株が蒸れる恐れがあるので、夕方に株を少し冷やしてあげます。
- 秋
9月頃になれば、植え替えも可能です。水やりも春と同様に、鉢底から水がでるまで与えます。しかしここから冬の休眠期に向かうので、生育期より頻度を減らします。
秋からは肥料は必要ありません。霜が降りる前に室内で管理します。暖かい昼間は日光に当ててあげましょう。
- 冬
休眠期です。成長が止まりますので肥料は与えてはいけません。「葉水」を20日に1度ぐらいの頻度で行い株全体を湿らせます。気温が上がる暖かい午前中に行いましょう。
サボテンの育て方

栽培環境・水やり
サボテンは、日当たりの良い風通しの良い場所を好みます。できれば生育期の春から梅雨までは、屋外の日の当たる場所で屋外で管理しましょう。サボテンをオフィスの机などに置いたり、室内で育てるときも、4時間以上は日の当たる窓辺に置き、ベランダや庭など屋外にも定期的に出してあげると元気に育ちます。
サボテンは、サボテンは葉の代わりに茎で光合成をおこなっています。日光不足になるとひょろひょろと先端が細くなったりして徒長してしまい、弱って枯れる原因ともなります。
梅雨明け後の真夏の直射日光は、葉焼けの原因にもなりますので半日日に当てたら、午後は軒下などの日陰に移動する。もしくは寒冷紗などで遮光して半日陰で管理します。
サボテンは元々メキシコなど温暖な地域に生息しているため、耐寒性は強くありません。耐寒性の強い品種以外は屋外で育てる場合は温室管理が必要です。霜の降りる前には室内で管理してください。昼間日差しのある窓辺に置いておくと夜には気温が下がり寒くなるので注意が必要です。置き場は温度が5℃以下にならない場所で管理すれば冬越しは可能です。
サボテンは、乾燥した過酷な環境を生き抜くために、根や茎、葉などを肉厚にして水分を蓄えるようになっています。かといって水やりの必要性がないわけではありません。
水やりのポイントは、生育期と休眠期で緩急をつけた水やりをすることです。サボテンは多肉植物の夏型なので、基本的には生育期の3月〜9月は、表土が乾いたタイミングで水をやり、休眠期にはいる10月〜2月は水は徐々に水を減らし、冬場は断水気味にします。土が乾いているかどうかわからないときには竹串をさして確かめることもできます。
乾燥した場所で育つサボテンは、水の上げすぎは根腐れの原因ともなりますので、水やりは注意が必要です。雨の多い時期には、雨ざらしにして過湿にならないように気をつけてください。
用土
一般の観葉植物では、鉢植えの場合は、赤玉土と鹿沼土を基本用土として、ピートモス、バーミキュライト、パーライトやココヤシチップといった改良用の土を基本用土にプラスして使います。
しかし、多肉植物は休眠を伴うものが多く、休眠中の多肉植物は、根もほとんど給水しないので、根腐れを防ぐために鉢土を完全に乾燥させる必要があります。このため、一般の観葉植物と異なり、赤玉6・腐葉土2・川砂2の割合がおすすめです。パーラライトや砂土・くん灰などもブレンドしても排水性のよい、水はけのよい土ができます。市販のサボテンや多肉用の培養土も便利です。
市販の培養土を使う場合でも、鉢底にゴロ土や、軽石などの鉢底石を敷いてから培養土を入れましょう。元肥として緩効性肥料を混ぜると丈夫に育ちます。また市販のサボテンの土には、鉢底に穴が開いていないガラスの器などを使用する場合に、水を入れると固められて、余分な水を上から簡単に排出できるものなどもあります。



サボテンは水栽培(水耕栽培)や、土を用いず、ハイドロコーン・ハイドロボールやゼオライトなどの保水性、吸水性のある用土(倍土)使ったハイドロカルチャーでも育てることができます。ハイドロカルチャーで育てる場合は、土からの植え替えとは多少異なり、土の根を終わらせて水で育てる根を発根してから植え替える必要があります。


肥料
砂漠などの栄養の少ない土でも育つサボテンですが、肥料を肥すことで大きく丈夫に育ちます。
サボテンなどの多肉植物は、元肥は植え付け、植え替え時に行います。 植木鉢などで栽培する場合は、元肥をしっかりと施し、適期に追肥を行っていきます。追肥はサボテンは3月〜9月の生育期は肥料が必要です。元肥の緩効性肥料は、ハイポネックス マグァンプKなどがおすすめです。大粒のものから小粒のものまでありますので、品種に合わせた大きさをつかってください。
- 液体肥料の場合は、原液をラベルなどに記載されている希釈率から更に2倍程度に薄めて、月1〜3回のペースで施肥します。
- 固形肥料の場合は、ラベルなどに記載されている使用目安量の半分程度の量を、1ヶ月〜2ヶ月に1回程度施肥します(頻度は使う肥料のラベルの説明に合わせると良いでしょう)。
サボテンの肥料については、詳しい記事がありますので、興味のある方はご覧ください。
植え付け・植え替え
園芸店などで購入してきた苗の鉢は、ポットのままではうまく成長できません。またインテリアに合わせて、陶器やグラスなどにも植え替えすることもできます。初心者の人は水の管理に工夫が必要なのでプラスチックの鉢より素焼きの鉢がおすすめです。またサボテンが病気で根元から腐ってしまったときは、すぐに植え替えが必要です。
またサボテンは生長に合わせて、1年~2年に一度、植え替えをしましょう。時期は4月頃に、一回り大きな鉢に移し替えます。根から土を落とし、傷んだ根っこや根腐れを起こしているものは、根元から切り取ります。根を半分ほど切り取り4日ほど日陰で乾かしてから、新しい用土に植え付けます。
サボテンは、棘が柔らかく見えるものもありますが、小さな鋭い棘がありチクチクと傷みます。ピンセットなどを使って植え替えしてください。
サボテンの植え替えについては、詳しい記事がありますのでそちらもご覧ください。
寄せ植え
サボテンは、小さなサボテン同士や多肉植物との寄せ植えをして楽しむことができます。最近は通販などでアソートとしてミニサボテンを販売しているところもあるので、寄せ植えとしても最適です。
寄せ植えは植え替えの一種ですので、基本は植え替えのやり方で行ってください。多肉植物と寄せ植えする場合には、性質の似たものを組み合わせましょう。例えば変わった肉質で人気のメセンの仲間は多肉植物の冬型ですので、一緒に育てるのは難しくなります。
最近はフェイクグリーンの多肉植物などもありますので、リトルアニマルのフィギアなどをアクセントとしてジオラマなどを作るのも人気があります。
寄せ植えの鉢には、バケツやブリキ缶、セメントポット、ガラス容器など水やりを工夫すればどんな器にでも寄せ植えすることが可能ですが、管理が心配な人は素焼きの鉢など通気性のよいものがよいでしょう。
剪定(胴切り)
病気や伸びすぎたサボテンは、「胴切り」とよばれる、サボテンを大きくカットする剪定を行います。
時期は植え替え時と同じ3月から4月に行いましょう。できれば午前中の晴れた日がおすすめです。切り方は、よく切れるカッターなどの刃物で傷んだ部分や、カットしたい部分を水平になるようにカットするだけです。
健康な胴切りした上部で、サボテンを増やすこともできます。カットした断面は両方ともよく乾燥させてください。病気を防ぐことができます。
ふやし方
サボテンは、種まきや、胴切りと、親株から子株(新芽)を株分けして挿し木や葉挿しで増やすことができます。成長を早く進めて大きく育たてたいときなどには、健康なサボテンを台木にして接ぎ木で増やすこともできます。
株分けは、親株から子吹きをして芽がでた子株を切り取り挿し木にします。胴切りの場合は、切り落とした上部を挿し木にして使用します。挿し木は、切り落とした後風通しの良い場所で切り口を2週間程度乾燥させてから、用土に植え付けします。水はすぐにやらずに、1~2週間後に与えてください。
種まき(実生)で増やす場合は、底の浅い平鉢に小豆台の小石と川砂をいれて、等間隔になるように種をまきます。まき土はせず、水やりは、鉢ごと水につけて鉢底から十分吸わせます。その後皿の水は少なめにしておきます。ガラスやビニール袋などで鉢を覆い、保湿しましょう。10~15日位で発芽します。10~15日位で発芽します。発芽後は少しずつ通常の環境にならして大きく育ててから植え替えます。
種まきも挿し木で増やす場合も時期は春に行いましょう。種まきは温度が20℃以上にならないとないと発芽しにくいです。
病害虫
サボテンは、湿度の多い場所に置いておくと、立ち枯れ病や根腐れ病、黒斑病などにかかったり、アブラムシ・カイガラムシなどの害虫が原因ですす病などを発生することがあります。
予防には、湿気の少ない風とおしの良い場所に置いてあげましょう。もし病気にかかったら、変色した部分を切り取る胴切りをしましょう。
カイガラムシ・コナカイガラムシ・ハダニ・アブラムシ、ネジラミ、ワタムシ、ヨトウムシなどの害虫が発生する恐れがあります。梅雨にはナメクジが発生する恐れもあります。それぞれの害虫によって対応は異なりますが、見つけたら早めに取り除いてあげましょう。殺虫殺菌剤などで駆除する方法も有効です。


サボテンとは

園芸分類 | サボテン、多肉植物、観葉植物 |
学名 | Cactaceae |
原産地 | 南北アメリカ |
草丈・樹高 | 種類によってことなる |
耐寒性等 | 耐寒性 やや弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「枯れない愛」「燃える心」「偉大」「あたたかい心」 |
サボテンの特徴
サボテンはサボテン科に属する原産地が南米・メキシコの多肉植物で別名仙人掌とも呼ばれます。200以上の属があり属に含まれる種類は2000種以上あるといわれています。
サボテンは、多肉植物の一種です。サボテンは棘があることと誤解されがちですが、サボテンには棘のない品種や多肉植物の中にも棘のようなものがあるものもあります。
ではその違いはなんでしょうか。サボテンの棘はアレオーレ(刺座)と呼ばれる刺を生じる部分から白い綿毛が生えていることが、その特徴です。棘がなく綿毛しかない品種のサボテンもあります。
このアレオーレがあるのがサボテンで他の多肉植物にはありません。多肉植物の中にも刺があるものがありますが、これは表皮が変形して棘になったものです。
多肉植物は、春秋型、夏型、冬型の3タイプに分かれ、それぞれ生育期と休眠期が異なります。サボテンはほとんどの種類が夏型で、春から夏に生育し、冬に休眠します。
サボテンの種類(原種・品種)
サボテンの品種は多くありますが、その形から「木の葉サボテン」「柱サボテン」「ウチワサボテン」「球サボテン」の4つに大きく分かれることができます。
柱サボテン(ハシラサボテン)
「柱サボテン」は、上に長く伸びる柱状をしていて、縦に筋のように凹んだ稜線を持つのが特徴です。多くの属が含まれます。西部劇や植物園でみる柱サボテンは、大型で自分たちの背丈を大きく超えているものもあり、迫力があります。シャコバサボテンや、リプサリス属のような紐サボテンも柱サボテンにはいります。
柱サボテンは、最大でも1cmにしかならない小型種から、高さ20mにまでなる大型種まであり花が咲く品種も多くあります。生長が早い柱サボテンは、接ぎ木の台木としても使われます。
代表品種 竜神木・弁慶柱・鬼面角(ヤマカル柱)・老楽・幻楽・福禄寿・金青角
柱サボテンの品種の特徴については、記事がありますので興味のある方はお読みください。
ウチワサボテン
「ウチワサボテン」は、茎が平らな楕円のうちわ型に上に伸びるのが特徴です。ほかのサボテン亜科ことなり棘の表面に細かな返しがついています。ウチワサボテン属は典型的な種類の多くがオプンティア属に属しています。
愛嬌のあるフォルムで、うさぎの耳のような形になるサボテンはバニーカクタスと呼ばれ、小型のサボテンとして人気があります。日本では古くから暖地で露地植えできる寒さに強い強健な品種も多くあります。サボテンステーキとして食用とされるのもウチワサボテンの一種です。
代表品種:象牙団扇・白桃扇・墨烏帽子・姫ウチワ・大丸盆・仙人サボテン・ハーバンウチワ
ウチワサボテンの品種の特徴については、記事がありますので興味のある方はお読みください。
球サボテン(玉サボテン)
「球サボテン」は、丸い球型のサボテンで、群生して成長するもの、単体のまま大きく成長するものとあります。数センチのものから、高さが1m以上になるものまであり、マミラリア属の中型の球サボテンは花つきがよく、開花を楽しめる品種も多くあります。
またアストロフィツム属の球サボテンは、棘がなく表面にある白色の斑点が星のように見えることから「有星類」と呼ばれています。形も星形や円形になり独特な見た目で人気があります。
代表品種:金鯱・月世界・短毛丸・金盛丸・緋牡丹・銀手毬
木の葉サボテン
サボテンの祖先で、サボテンは木の葉サボテン→ウチワサボテン→柱サボテン→球サボテンの順に進化していきました。木の葉サボテンの見た目は、通常の草花のような艶のある葉をもっていて、自生地では低木のように生長します。一見するとサボテンとはわからず高温多湿を好みます。接ぎ木の台木として使われることが多いサボテンです。
まとめ
サボテンには、いろいろな種類がたくさんあって、小さな盆栽のようなサボテン、部屋の中に納まらない大きな迫力のある柱サボテンと魅力もさまざまです。
小さなミニサボテン同士やほかの多肉植物との寄せ植えはとてもかわいいですよね。最近は男性にも、多肉植物の塊根植物(コーデックス)などは人気があります。手入れが簡単と思って始めると、花をさかしたりと、増やしたりと奥が深くはまってしまう人も。
サボテンを手に入れたら、そのサボテンの名前を図鑑などで調べてみてください。それぞれの特徴や今後の生長の様子などを知ることができます。園芸店であれば店員さんに聞いてみてください。
ぜひ、お気に入りの形のサボテンをみつけて、花を楽しんだり、姿や棘の形を楽しんだりして緑のある生活を始めてみてください。

農家webにはこの他にもサボテンや多肉植物の栽培の記事があります。
品種別の育て方もあります。