カリウム肥料のまとめ

カリウム肥料のまとめ カリウム肥料

作物栽培において、わき芽かきや摘芯、摘果などの手入れとともに重要となってくるのは施肥(元肥追肥)です。特に三要素三大栄養素)の窒素(チッソ)、リン酸リンサン)、カリウム(カリ・加里)は植物の成長に欠かせないものとなります。

カリウムとは

カリウム(K、加里)は、肥料の三要素の一つで植物体内でカリウムイオンとして存在しています。カリウムイオンは葉で作られた炭水化物を根に送り、根の発育を促したり、植物を丈夫にして病気などに対する抵抗力を高める働きがあります。そのため、カリウム肥料は「根肥(ねごえ)」と呼ばれます。

カリウムの効果

先述したとおり、カリウムは植物にとって重要な三要素(三大栄養素)の一つです。カリウムが不足(欠乏)すると、植物の生長が鈍化したり、収穫する果実・根茎・根塊の品質にも影響を与えます

カリウムは、植物を形作るために必要なタンパク質、炭水化物の合成や移動に関与する大事な成分です。また、葉からの水分蒸散の調節などにも関与し、根や茎を丈夫にし、病害虫や寒さに対する抵抗力をつけることにも役立っています。

栽培においては、以下のような効果があります。

  • テンサイや果実の糖分を増加させる
  • ジャガイモやかぼちゃのデンプン価を向上させる
  • イネの茎葉を丈夫にし、倒伏や病害への抵抗性を向上させる

逆に、カリウムを与えすぎることも植物・土壌にとってはよくありません。適量を必要なときに与え続けることが重要です。肥料のラベルなどには化学式や元素記号で表され、カリウムのことを「K」と記述されることが多いです。

カリウム肥料の種類

カリウム肥料の種類を分ける場合、いくつかの切り口があります。

詳しくは、下記の記事を参考にしてください。

単肥・加里質肥料

一番基本となるのは、肥料取締法による分類です(出典:15 肥料取締法について – 農林水産省)。

肥料取締法では、加里質肥料は下記のように分類されています。

加里質肥料の種類

硫酸加里塩化加里、硫酸加里苦土、重炭酸加里、腐植酸加里肥料、けい酸加里肥料、粗製加里塩、加工苦汁加里肥料、液体けい酸加里肥料、熔成けい酸加里肥料、副産加里肥料、被覆加里肥料、混合加里肥料

加里質肥料の中でも、下記は代表的なものです。それぞれの特性に合わせて使用方法を検討しましょう。

肥料N(窒素)P(リン酸)K(カリウム)肥効のタイプ特性
硫酸カリウム
(硫酸加里)
50%速効性水溶性加里。副成分に、硫酸イオン(硫酸根)を含む。
塩化カリウム
(塩化加里)
60%速効性水溶性加里。副成分に、塩素イオンを含む。
ケイ酸カリウム(けい酸加里)20%緩行性く溶性加里。可溶性のケイ酸を多く含む。
主な加里質肥料(単肥)の成分量の目安、特性一覧

カリウムが含まれた複合肥料・化成肥料

カリウムが多量に含まれた複合肥料、化成肥料もあります。硝酸カリウム肥料やリン酸カリウム肥料は、代表的な複合肥料です。また、一般的な化成肥料にもカリウムが含まれている場合が多いです。

カリウムが含まれた有機肥料(有機質肥料)

化学肥料以外にも、有機肥料(有機質肥料)でカリウムを補うこともできます。

一言で有機肥料(有機質肥料)と言っても、様々な種類があります。また各肥料は、肥料の三要素の成分を含んでいますが、その種類によって含有されている成分の量が異なります。

下記に、主な有機肥料(有機質肥料)の種類と窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の含有量のイメージ、肥効のタイプをまとめました。

肥料N
(窒素)
P
(リン酸)
K
(カリウム)
肥効のタイプ
油かす(油粕)緩効性
魚かす(魚粕)緩効性・遅効性
(但し窒素分は速効性が高い)
発酵鶏糞速効性
骨粉緩効性
米ぬか(米糠)遅効性
バットグアノ緩効性
草木灰速効性
主な有機肥料(有機質肥料)の種類と窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の含有量のイメージ、肥効のタイプ

上記からもわかるとおり、カリウムが多く含まれている有機肥料は、「草木灰」や「米ぬか」、「発酵鶏糞」などが挙げられます。

厳密には、肥料は肥料取締法で分類が細かく決まっています。有機物で構成されている肥料には大きく「普通肥料の有機質肥料」、「特殊肥料」に分けられますが、農家webでは栽培における肥料の特性を解説するため、どちらも「有機肥料(有機質肥料)」としてお話します。

カリウムの含有量が多い肥料

保証成分量に記載されている成分のうち、「水溶性加里」、「く溶性加里」などと記載されているものの割合(%)が他のものと比べて高ければ、カリウムの多い肥料と言えるでしょう。

カリウム肥料の作り方

カリウムの含量が比較的多い有機質もあります。中でも草木灰は、自身で作ることもできます。但し、作るためのハードルも高いので市販のものを購入したほうが無難です。

おすすめのカリウム肥料

上記で解説したとおり、カリウム系の肥料と言ってもその特徴や使い方は様々です。目的に沿って、どのような肥料を購入・使用するかを絞り込んでいくとよいでしょう。最後は必ず、購入・使用する予定の肥料のラベルや資料などをよく読み、自分が使いたい方法と合っているか確認しましょう。

植物の生長に必要な三要素と多量要素、微量要素について

植物が育つために必要な三大栄養素(三要素)は窒素(チッソ)、リン酸(リンサン)、カリウム(カリ・加里)です。まずはこの三要素と中量要素、微量要素について、おさらいしましょう。

窒素(チッソ)とは

窒素(N)は、肥料の三要素の一つで植物の生育に最も大きく影響する要素です。光合成に必要な葉緑素、植物の体を形作るタンパク質など、植物が生長する上で重要な働きをする物質となります。窒素肥料は「葉肥(はごえ)」とも呼ばれ、生育の初期に効果的であり、茎と葉の生長に大きく影響します。

リン酸(リンサン)とは

リン酸(P)は、肥料の三要素の一つで植物の遺伝情報の伝達やタンパク質の合成などを担う核酸の重要な構成成分となります。施肥を考える上では、「実肥」と呼ばれ、開花・結実を促すためにリン酸が必要となります。また、植物全体の生育や分げつ、枝分かれ、根の伸長など様々な要素に関わっています。

カリウム(加里・カリ)とは

カリウム(K、加里)は、肥料の三要素の一つで植物体内でカリウムイオンとして存在しています。カリウムイオンは葉で作られた炭水化物を根に送り、根の発育を促したり、植物を丈夫にして病気などに対する抵抗力を高める働きがあります。そのため、カリウム肥料は「根肥(ねごえ)」と呼ばれます。

その他の中量要素

窒素、リン酸、カリウムの三要素以外の中量要素として、カルシウム(Ca)、硫黄(S)、マグネシウム(Mg)があります。

要素名主な役割
カルシウム(石灰・Ca)葉や実の組織を作る(細胞膜の生成と強化)、根の生育促進
硫黄(S)酸化・還元・生長の調整などの植物の生理作用や葉緑素(葉にある光合成を担う葉緑体に含まれる)の生成に関与
マグネシウム(苦土・Mg)葉緑素の構成元素、リン酸の吸収と移動
中量要素

また、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)も中量要素ですが、主に水や大気から吸収される要素です。

微量要素とは

微量要素には、ホウ素(B)、塩素(Cl)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)があります。三要素や多量要素と比較すると、必要な量は多くありませんが、欠乏すると様々な生理障害が発生します。

要素名主な役割
ホウ素(B)細胞壁の生成、カルシウムの吸収と転流
塩素(Cl)光合成(光合成の明反応)
マンガン(Mn)葉緑素の生成、光合成、ビタミンCの合成
鉄(Fe)葉緑素の生成、鉄酵素酸化還元
亜鉛(Zn)酵素の構成元素、生体内の酸化還元、オーキシンの代謝、タンパク質の合成
銅(Cu)光合成や呼吸に関与する酵素の構成元素
モリブデン(Mo)硝酸還元酵素(硝酸をタンパク質にする過程で利用される)、根粒菌の窒素固定
ニッケル(Ni)尿素をアンモニアに分解する酵素の構成元素、植物体内で尿素を再利用
微量要素

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