桜の肥料は寒肥とお礼肥の年2回が基本です。肥料は適量を守り、過剰な施肥は避けましょう。肥料には窒素、リン酸、カリウムがバランスよく含まれたものがおすすめです。
桜の肥料について
一般に、桜の肥料要求度は中程度とされています。肥料が少ないと生育や花付きが悪くなるものの、肥料が多すぎると生理障害や病害虫の発生が起きるようになります。適切な時期および量で施肥することが重要です。
肥料を与える時期
寒肥とは、寒い冬のタイミングに施す肥料のことで、桜の場合は1月中旬~2月中旬が望ましいです。
お礼肥とは、開花や実の収穫を終えたタイミングで施す肥料のことで、桜の場合は、3月下旬~5月上旬が望ましいです。このほかにも、7月~8月頃に追肥をし、年3回とするケースもあります。
寒肥とお礼肥の年2回を基準に考えるとよいでしょう。
肥料焼けにはご用心
肥料は、多ければ多いほどよいというわけではありません。土中肥料の濃度が高くなりすぎると、根が吸水できなくなり、植物に障害が発生したり枯れてしまったりすることがあります。これが「肥料焼け」です。
成長が楽しみで、ついつい肥料を多くあげたくなってしまうかもしれませんが、一般に肥料をあげすぎると、かえって植物が弱ることがあり、樹や枝葉に障害が生じることもあります。肥料は過多にならないよう注意しなくてはいけません。
また、苗(苗木)は成木に比べ弱いので、特に苗(苗木)の段階では施肥量を減らす工夫が必要です。
肥料の与え方
庭木の場合は、樹幹を中心に輪を描くように溝を掘り、溝に堆肥と肥料を混ぜて与える方法で「輪状施肥」、樹冠に沿うようにいくつかの穴をあけ、肥料を与える「壺状施肥」がよく使われます。樹幹の中心の輪の3〜5箇所ほどに放射状に穴をあけて施肥するようにも見え、放射状部分施肥、とも呼ばれたります。
おすすめの桜の肥料
桜(桜の木)への肥料には、N(窒素)-P(リン酸)-K(カリ)が、8-8-8もしくは10-10-10の化成肥料を利用できます。手元になかったり、新しく購入する場合には以下の商品がおすすめです。
マイガーデン植物全般用
マイガーデンは、住友化学園芸の登録商標で、様々な草花・庭木・果樹の元肥や追肥に使うことができます。
栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得しており、植物が肥料を吸収しやすくする働きや、土壌の保水性、通気性を高めるなど、土に活力を与える作用がある腐植酸をブレンドしています。
また、肥料成分は樹脂コーディングし、土壌の温度変化や植物の生育にあわせて溶けだす量が調節され、効き目が持続するリリースコントロールテクノロジーを採用しており、樹脂コーディングのため、肥料が直接根に触れても肥料やけしないのが特長です。元肥、追肥両方に使用可能です。こちらは粒状の製品ですが、液体タイプ(液肥)のマイガーデンもあります。
マイガーデンの肥料は他にも種類がありますよ!
お礼肥 寒肥
お礼肥 寒肥は、JOYアグリスが販売する肥料です。米ぬかを主体にした有機質肥料なので、安心してして使うことができます。有機質肥料は、腐葉土や堆肥と同じくゆっくり長く効く肥料なので寒肥としてぴったりですが、この製品はお礼肥や追肥としても利用することができます。
地植えの場合には、樹冠に沿うように根元から離して穴や溝を掘り、1株あたり1kgを目安に施肥します。
グリーンパイル
グリーンパイルは、ジェイカムアグリが販売する肥料です。公園・街路・庭などの樹木に対して用いる、棒状の打ち込むタイプの肥料で、造園の施工で樹勢を回復させる目的でよく使われる資材でもあります。
グリーンパイルには、樹木の生育にとって理想的なバランスで窒素・リン酸・カリウムが配合されており、樹木の根元から少し離れた位置に打ち込むことで、成分が土壌の深層までしっかりと浸透し長持ちします。とにかく処理が簡単な点が魅力です。
桜の育て方
桜に肥料を与えるにあたって、簡単にその他の栽培情報もご紹介します。桜の基本的な育て方を知ることで、自信をもって肥料を与えられるようになるはずです。
種類
日本の桜には15の野生種、300を超える園芸品種があるといわれています。早咲き、八重咲きなど花を楽しむことはもちろん、中には葉を観葉目的で楽しむ人もいます。多くの種類がありますが、共通するのは樹高の高い高木で、落葉樹であるということです。とりわけ以下のものは耳にすることも多いのではないでしょうか。
ソメイヨシノ(染井吉野)
公園、街路、学校などに植えられている桜の代表格です。エドヒガンとオオシマザクラの交配によって生まれた日本産の園芸品種です。毎年おなじみの桜の開花宣言で「標本木」として用いられているのもソメイヨシノです。
シダレザクラ(しだれ桜・枝垂桜)
エドヒガンの枝が垂れた園芸品種がシダレザクラです。枝が垂れていること以外はエドヒガンの形質と同じなのですが、エドヒガン自体に多くの変異が生じているので、見る個体によって違ったものに見えるケースがあるようです。なお、枝が垂れた桜の総称として「枝垂桜」が使われることもあります。
ヤマザクラ(山桜)
日本や朝鮮半島に生育する野生種です。江戸時代にエドヒガンが生まれるまでは主流の桜で、和歌などで単に桜と詠まれている場合にはヤマザクラを指していることも多いです。なお、山に生育する桜の総称として「山桜」が使われることもあります。
栽培方法
桜は地植えはもちろんのこと、盆栽(桜盆栽)としても栽培されています。それぞれの土と水やりについて、以下にて簡単にふれておきます。なお、剪定については、桜は梅と異なり強い剪定を嫌いますので、冬の休眠期に細い枝を切ることで樹形や樹冠を整えるのがセオリーです。
地植え
保水性、透水性のよい土であれば育てることができます。地植えの場合、植え替えることが難しいので、日当たりの良好な場所を選んで植え付けるようにしましょう。水やりは、基本的には必要ありません。
盆栽(桜盆栽)
庭土を用土として利用することができます。市販の用土を利用する場合は、赤玉土4:腐葉土3:黒土3の割合で配合するようにしましょう。水やりは、夏は1~2日に1回、冬は乾燥したら行います。盆栽に限らず、鉢(鉢植え)でも同じように育てることができます。
病害虫
病気としては、てんぐ巣病が発生する場合があります。てんぐ巣病は、細い枝が鳥の巣のように異常に発生し、やがて花が咲かなくなり、ひどい場合には枯死に至る病気です。タフリナ菌というカビの仲間によって引き起こされます。特効薬といえる農薬がないので、病気に罹った枝を切り落として対応します。
害虫としては、コスカシバ、モンクロシャチホコ、アメリカシロヒトリなどが重要害虫です。見かけた場合には、捕殺するほか、農薬を散布するなどして防除および駆除に努めましょう。
桜は常緑でなく落葉樹ですが、樹冠が日陰をつくるため、幹の周囲には雑草が比較的生えにくいはずです。それでも草丈の低い一年生の草は、生えることがあります。雑草は病害虫発生の原因となる可能性があるので、こまめに除草するとよいでしょう。