サボテンはサボテン科に属する原産地が南米・メキシコの多肉植物で別名仙人掌とも呼ばれます。200以上の属があり属に含まれる種類は2000種以上あるといわれています。しかしその形からサボテンは大きく「木の葉サボテン」「柱サボテン」「ウチワサボテン」「球サボテン」の4つに分かれることができます。
「柱サボテン」は、上に長く伸びる柱状をしていて、縦に筋のように凹んだ稜線を持つのが特徴です。多くの属が含まれます。西部劇や植物園でみる柱サボテンは、大型で自分たちの背丈を大きく超えているものもあり、迫力があります。
柱サボテン(ハシラサボテン)は、最大でも1cmにしかならない小型種から、高さ20mにまでなる大型種まであり花が咲く品種も多くあります。生長が早い柱サボテンは、接ぎ木の台木としても使われます。
この記事では、柱サボテンの人気の品種と、一般的な管理方法について初心者の人にもわかりやすく説明します。
柱サボテンの品種
竜神木
サボテン科ミルチロカクタス(ミルティロカクタス)属に属する柱サボテン。枝を伸ばしてひろがり4~5mほどになります。茎節は青緑色で、花期は3月頃に白い花を咲かせます。その後甘い濃赤色の果実をつけます。
丈夫で生長が早いことから台木としてもよく使われます。 綴化(テッカ)種は、珍奇植物の愛好家などに好まれる希少種です。
弁慶柱
西部劇などにも登場する、柱サボテンの代表種です。ソノラ砂漠一帯に生息する世界最大のサボテン世も弁慶柱(サワロサボテン)です。高さは12m以上になることも。
大きくなると分岐し、5月~6月の夜に白い花を咲かせます。また果実は食用にされて寿命は200年ほどあります。日本では鉢植えで育てられます。それほど生育は早くありません。
老楽・幻楽
エスポストア属に属する柱サボテン。長い白毛が全体を密に被う品種で高さ2m~4mまでになります。夏ごろに頭頂部に大きな白い花を咲かせます。
小さなサボテンは、まるで綿あめのようにふわふわでかわいいのが魅力で、人気があります。生長すると群生化します。白毛の柱サボテンは他にケファロカクタス属の翁丸などもあります。
福禄寿
パキケレウス(旧ロフォケレウス属)に属する柱サボテン。棘がなく、青緑色の肌にぼこぼこしたこぶの出た形が不思議でな柱サボテン。通常は花はつきません。
愛好家にとても人気があり、一つでもインパクトのある見た目で、トゲがないので子供やペットがいても安心して育てられます。
金青閣
ピロソケレウス属に属する柱サボテンで、別名アズレウス柱とも呼ばれています。
青い肌に金色の棘が特徴的で、美しい柱サボテンで観賞用に人気があります。高さは10m以上に伸びて樹木のように分枝をします。花期は9月頃に頭頂部に筒状の花をつけます。
鬼面角(ヤマカル柱)
サボテン科セレウス(ケレウス)属に属する柱サボテンで、生長すると高さ10m以上にもなります。 ヤマカル柱はあまり流通していないので、鬼面角をヤマカル柱として販売しているところも。
砂漠にそびえ立つその姿はサボテンのイメージそのものです。開花の時期は夏で夜に、直径10㎝ほどの大輪の白色~ピンク色の花を咲かせます。その花は一晩でしぼんでしまいます。
ディズニーランドのビックサンダーマウンテンのあたりにある大きなサボテンは、鬼面角(ヤマカル柱)で、自生していることから暖地では露地植えも可能な品種です。
サボテンは、原産がメキシコや南米など熱帯であることが多いので耐寒性はあまり強くありません。通常は冬は屋内で5℃以下にならないように室内で管理することで冬越しをします。 しかし一部のサボテンは、耐寒性が比較的強いため暖地では戸外で冬越しをすることができる品種もあります。
地植えできるサボテンの品種とその育て方については、記事がありますので興味があればご覧ください。
柱サボテンの育て方
栽培環境・水やり
柱サボテンは、日当たりの良い風通しの良い場所を好みます。地植えする場合も、なるべく日の当たる場所で管理しましょう。生育期の春から梅雨まではしっかり日光に当てます。
日光不足になるとひょろひょろと先端が細くなったりして徒長してしまい、弱って枯死する原因ともなります。
梅雨明け後の真夏の直射日光は、葉焼けの原因にもなりますので半日日に当てたら、寒冷紗などで遮光して半日陰で管理します。
柱サボテンは元々メキシコなど温暖な地域に生息しているため、耐寒性は強くありません。通常の鉢植えであれば霜の降りる前には室内で管理し、室内でも冬場は夜窓辺に置いておくと気温が下がり寒くなります。5℃以下にならない場所で管理します。
柱サボテンは、乾燥した過酷な環境を生き抜くために、根や茎、葉などを肉厚にして水分を蓄えるようになっています。かといって水やりの必要性がないわけではありません。
水やりのポイントは、生育期と休眠期で緩急をつけた水やりをすることです。柱サボテンは多肉植物の夏型なので、基本的には生育期の3月〜9月は、表土が乾いたら水をやり、休眠期にはいる10月〜2月は水は徐々に水を減らし、冬は断水気味にします。冬は、葉水程度で十分ですが、水をあげるときは時間にも注意します。夕方に上げると気温が下がり凍結する恐れがあります。
乾燥した場所で育つ柱サボテンは、水の上げすぎは根腐れの原因ともなりますので、水やりは注意が必要です。
用土
一般の観葉植物では、鉢植えの場合は、赤玉土と鹿沼土を基本用土として、ピートモス、バーミキュライト、パーライトやココヤシチップといった改良用の土を基本用土にプラスして使います。
しかし、多肉植物は休眠を伴うものが多く、休眠中の多肉植物は、根もほとんど給水しないので、根腐れを防ぐために鉢土を完全に乾燥させる必要があります。このため、一般の観葉植物と異なり、赤玉6・腐葉土2・川砂2の割合がおすすめです。パーラライトや砂土・軽石などもブレンドしても排水性のよい、水はけのよい土ができます。市販のサボテンや多肉用の培養土も便利です。
いずれの場合も、鉢の底に大粒の赤土土か軽石を敷き、その上に緩効性粒上肥料を加えた後に用土をいれましょう。
サボテンは水耕栽培や、土を用いず、ハイドロコーン・ハイドロボールやゼオライトなどの保水性、吸水性のある用土(倍土)使ったハイドロカルチャーでも育てることができます。
ハイドロカルチャーの用土は、一定の保水力のある素材なので、正しく肥料を使うことで、観葉植物をしっかりと生育することができます。植え替え時には元肥料として緩効性肥料を入れると元気に育ちます。元肥の緩効性肥料は、ハイポネックス マグァンプKなどがおすすめです。大粒のものから小粒のものまでありますので、品種に合わせた大きさをつかってください。
水耕栽培やハイドロカルチャーについての肥料についての記事もありますので、興味があればお読みください。
肥料
砂漠などの栄養の少ない土でも育つ柱サボテンですが、肥料を肥すことで大きく丈夫に育ちます。
柱サボテンなどの多肉植物は、元肥は植え付けや植え替え時に行います。 植木鉢などで栽培する場合は、元肥をしっかりと施し、適期に追肥を行っていきます。追肥は柱サボテンは3月〜9月の生育期は肥料が必要です。
剪定(胴切り)
病気や伸びすぎた柱サボテンは、「胴切り」とよばれる、サボテンを大きくカットする剪定を行います。
時期は植え替え時と同じ3月から4月に行いましょう。できれば午前中の晴れた日がおすすめです。切り方は、よく切れるカッターなどの刃物で傷んだ部分や、カットしたい部分を水平になるようにカットするだけです。
健康な胴切りした上部で、柱サボテンを増やすこともできます。カットした断面は両方ともよく乾燥させてください。病気を防ぐことができます。
植え付け、植え替え
種まきから育てることができるサボテンですが、多くは園芸店など苗を購入することと思います。購入した鉢は、インテリアに合わせて、素焼き鉢や、陶器やグラスなどにも植え替えすることもできます。最近は、サボテンや多肉植物との寄せ植えも人気ですが、それも植え替えの一種です。
サボテンは生長に合わせて、1年~2年に一度、植え替えをしましょう。時期は4月頃に、一回り大きな鉢に移し替えます。根から土を落とし、傷んだ根っこや根腐れを起こしているものは切り取ります。根を半分ほど切り取り4日ほど日陰で乾かしてから、新しい土に移し替えます。
植え替え時には意外と小さく手の鋭いさぼてんの棘が刺さらないように注意しましょう。
ふやし方
柱サボテンは、種まきや、胴切りと、親株から出た新芽(子株)を株分けして挿し木で増やすことができます。また健康なサボテンを台木にして接ぎ木で増やすこともできます。
日本の改良種の「緋牡丹」(ヒボタン)は一大ブームを起こした赤い斑のミニサボテンですが、全斑のため継ぎ木でなければ生長できません。接ぎ木の台木には柱サボテンの竜神木や三角柱がよく使われます。
接ぎ木は、養分や水分の通り道である繊管束が合わないとうまくいかないので、挿し木や胴切りより、難易度が高い方法です。時期は春か秋がよいですが、春は生育期の直前ですので、難易度の高い接ぎ木には春が最適です。
接ぎ木にチャレンジしたいは下記を参考にしてください。
①柱サボテンの台木を、上から2~3㎝のところで水平にカッターやナイフでカットします。
②カットした下の柱サボテン(台木)の切り口の周辺が斜めになるように肩口を切ります。
③つなげたいサボテン(穂木)を株の下側を水平にカットし、切断面の周辺を斜めにきります。
④③の穂木を、②の台木に乗せます。このときに繊維束ができるだけ合うようにします。繊維束は株の切り口かの中心から同心円状にならんでいるので、中心が合うように合わせましょう。台木と穂木の太さが違うと、台木の繊維束の中に穂木の繊維束が入ってしまう場合もありますが、そのときは一か所でも合うように合わせましょう。
④穂木を台木に乗せたら、動かないように糸やテープで固定します。この時にはあまりきつく縛りすぎて接着面がつぶれてしまわないように注意します。
⑤乾燥した半日陰に置きましょう。1週間程度で接地面が付き始めます。接着しているようなら糸やテープを外しましょう。土が乾燥しているようなら水やりをしましょう。その時には接地面に水が当たらないように注意が必要です。その後は通常の環境において育てていきます。
挿し木は胴切りした茎や、サボテンの茎から生えた子株を使って、増やす方法です。種まき(実生)や挿し木での増やし方は、サボテンの増やし方の記事にありますので参考にしてください。
病害虫
柱サボテンは、湿度の多い場所に置いておくと、立ち枯れ病や根腐れ病、クモの巣病、黒斑病などにかかったり、アブラムシ・カイガラムシなどの害虫が原因ですす病などを発生することがあります。
根腐れ病は特にサボテンの病気で多く、根元が茶色くぶよぶよとしていたら根腐れの可能性が高いです。そのままにしておくと次第に腐り折れてします。根腐れしたら胴切りをして植え替えしましょう。
予防には、湿気の少ない風とおしの良い場所に置いてあげましょう。もし病気にかかったら、変色した部分を切り取る胴切りをしましょう。
カイガラムシ・コナカイガラムシ・ハダニ・アブラムシ、ネジラミ、ワタムシ、ヨトウムシなどの害虫が発生する恐れがあります。梅雨にはナメクジが発生する恐れもあります。それぞれの害虫によって対応は異なりますが、見つけたら早めに取り除いてあげましょう。殺虫殺菌剤なども有効です。
害虫については下記に非常に詳しく対策を説明しているので、実際に発生してしまって困っている時など、参考にしてみてください。
まとめ
ニョキニョキと伸びる姿が楽しい柱サボテン種類はとても豊富です。世界一大きなサボテンがあったり、接木の台木になったりとサボテンのカテゴリーの中でも一番多い種類です。大きな柱サボテンは迫力があって、部屋にあるとシンボルツリーとして存在感があります。
柱サボテンに似たサボテンや多肉植物もあります。墨鳥帽子(スミエボシ)は、バンザイをした形で成長してミニサボテンとしても人気ですが、ウチワサボテンの仲間です。多肉植物のユーフォルビア属の大雲閣(ダイウンカク)は、多肉植物ですがまるで柱サボテンのように見えます。
サボテンには、花を楽しむ蝦蛄サボテン(シャコバサボテン)や、カニサボテン、月下美人などもあり、100均でも柱サボテンや、マミラリア属の銀手毬、金鯱などもよく見かけます。最近は多肉植物も人気で、葉を花のようなロゼット型にするエケベリアや、ぷっくりとした扁平な球形の葉が2枚つける独特な見た目のリトープスなど、サボテンや多肉植物は不思議な魅力で、ステノケレウス属の太郎閣などの柱サボテンなど寄せ植えは人気があります。
サボテンの花言葉は、枯れにくいところから「枯れない愛」や「燃える心」などがあります。ぜひお気に入りの品種をみつけて緑のある生活を楽しんでください。
サボテンの記事
農家webには、このほかにも柱サボテンの記事やサボテンの品種についての記事があります。