農家web防除暦サービスのバナーです。
病害虫農薬農薬の種類

立枯病(立ち枯れ病)に効く農薬、防除方法について徹底解説!

当サイトでは、アフィリエイト広告を利用しています。

発病部分が褐色しているナスの苗 病害虫
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

立枯病(立ち枯れ病)は、土壌感染し、苗が赤紫色を帯び,下葉から黄化して落葉し、やがて枯れてしまう恐ろしい病気です。

ここでは、立枯病を予防、治療するためにはどのような農薬を使えばいいのか、その他、効果的な防除法について詳しく解説してきます。

スポンサーリンク

立枯病とはどんな病気?

立枯病とは?

立枯病は、放線菌の一種の病原菌が土壌を汚染し、土壌に定植された苗に感染する病気です。土壌伝染性の病害ではありますが,極いもおよび,苗床の土壌汚染が本圃の汚染につながる可能性もあります。病原菌は前年の被害植物上や土中で胞子や菌糸の状態で越年します。やがて地際部の植物の気孔から侵入してきます。

発病は地温25~40℃で起こり,35℃発病のピークを迎えます。つまり、長期間のマルチ栽培の場合は発病を大きく助長してしまいます。

また土壌のpHも発病に大きく影響し、pHが5.0以下では発病がきわめて軽微であるのに対して6.0以上で激化するのも特徴です。

立枯病の症状

立枯病に犯された土壌に定植した苗は、土壌から感染し、苗は植付け後まもなく、葉が赤紫色を帯び,下葉から黄化して落葉し始めます。

茎は節間がつまって伸長しなくなり,のちに萎凋枯死してしまいます。根は褐変または黒変してしまい,軟化腐敗(腐る)して脱落します。症状のかるい株では,苗は生育してつるの伸長や塊根を形成します。

発病部分が褐色しているナスの苗
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集
育苗時に立枯病で変色した苗

変色した苗は、下の写真のように萎凋し、遂には枯死してしまいます。

立枯病で変色し、しおれたナスの苗
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集
スポンサーリンク

立枯病に効果がある農薬

立枯病の科学的防除には、土壌消毒を行うのがおすすめです。ここでは有効と言われているクロルピクリン剤を紹介します。

クロルピクリン錠剤

クロルピクリンは、臭化メチル以外の土壌消毒方法として利用されます。クロルピクリンのガスは空気よりはるかに重く、土壌の下層まで拡散し、土壌中の微生物や雑草の種子などに非選択的に効果を及ぼします。

クロルピクリン錠剤は刺激臭による作業の困難性を改善するため,有効成分を錠剤化して水溶性のフィルムに包んだものです。このためハウス内でも使用できます。また、周辺へのガス放出の心配がないため、住宅近接地でも使用できます。

使い方は30×30cm毎(15cmの深さ)1錠処理が基本になります。また、ゴボウなどの深根性作物や病原菌が深層まで分布するような病害の場合には,より深い位置に処理することで,高い防除効果が得られます。

土壌消毒剤以外の農薬

下記のように、他の病害の防除(カビ(糸状菌)によるうどんこ病べと病灰色かび病など)にも使える予防剤としての農薬もあります。

アフェットフロアブル(FRAC 7)

担子菌、子のう菌、不完全菌に属する幅広い植物病原菌に対し、高い活性を示す新規なチオフェン系殺菌剤で、多くの病害に優れた予防効果を有する薬剤です。

アフェットフロアブル 500ml
農家の店 みのり
¥ 8,800(2024/03/27 05:42時点)

トップジンM水和剤(FRAC 1)

速攻性と残効性を有し、優れた効果が長続きする、広範囲の作物の病害に基幹防除剤として使用できるベンゾイミダゾール系殺菌剤です。低濃度で高い効果があり、作物の汚れが少なく、定期的な予防散布に、激発時のまん延防止に優れた効果を発揮します。

【メール便可】トップジンM水和剤 500g
農家の店 みのり
¥ 2,060(2024/03/26 14:29時点)

ダコニール1000(FRAC M)

広範囲の病害に有効な定番の殺菌剤です。

ダコニール1000フロアブル 500ml【有効期限27年10月】
農家の店 みのり
¥ 1,939(2024/03/26 10:01時点)

このほか、タチガレンオーソサイド水和剤、ベンレートランマンフロアブルバスアミドリゾレックスなどがあります。

上記の農薬は原液を水で溶かして薄めて使用する液剤、乳剤や水溶性の粉剤、粒剤(粒状や顆粒)です。希釈方法等については下記をご参考ください。

RACコードとは??

RACコードとは、農薬を作用機構(農薬の効き方)ごとに分類して番号と記号を振ったコードになります。

例えば殺虫剤なら有機リン系は[1B]、ネオニコチノイド系は[4A]など、すべての農薬にRACコードが設定されています。

同じRACコードの農薬を繰り返し使うと害虫や病原菌に抵抗性がついてしまうのを、RACコードが違うコードの農薬を交互に使うことで防ぐことができます。「系統」とも呼ばれますが、RACコードの方が、より厳密に分類されています。 

殺虫剤は、IRAC(アイラック)コード、殺菌剤にはFRAC(エフラック)コード、除草剤にはHRAC(エイチラック)コードになっています。

スポンサーリンク

化学的防除以外の防除方法

pHを適正に保つ

立枯病は、pHが5.0以下では発病がきわめて軽微であるのに対して、6.0以上で激増する傾向があります。このため、pHを6未満に保つことは発生の増加を防ぐのに有効です。

地温の上昇を防ぐために工夫する

ポリマルチを利用した長期間のマルチ栽培は地温を上昇させ、立枯病を増加させてしまいます。植え付けの時期はマルチを止めるなど、マルチの使用期間を短くする、白黒ダブルマルチを利用するなど,地温の上昇を防ぐための工夫をすることは有効です。

連作を避ける

発生が見られた時はもちろん、連作を避けるのは立枯病の予防に有効です。

周りをしっかり除草する

圃場の周りに雑草が多くあるとその雑草に病害虫が発生し、繁殖、促進してしまいます。圃場の周りの雑草はできるだけ除草しておくことが、被害を少なくするのに重要です。

除草については、以下のコンテンツが参考になります。(この他、イネ科雑草、広葉雑草、多年生やその他の厄介な雑草(スギナヤブガラシスズメノカタビラなど))は個別の対策、防除記事もあります。

まとめ

立枯病は観葉植物やアスパラガス、トマトナスピーマンなどの野菜類など幅広い作物で発生し、近年ではキクの新病害「ピシウム立枯病」も現れています。

ここで紹介した農薬は、JA販売店やホームセンターのガーデニング・資材、庭木コーナーにあるものもあります。ほ場で早期発見し、適切な薬剤や防除方法でしっかり発生を予防、ガードできると、農薬散布と言った農作業の回数を減らすことができます。

発生してからの圃場の回復は非常に難しいので、予防でしっかり防除することを心がけましょう。

若い葉や茎の表面にうどん粉をまぶしたように白いかびが生えるうどんこ病の防除は下記を参考にしてみてください。市販のベニカ、ベニカスプレーなども使えます。

(補足)殺虫剤など、他の農薬について

農家webでは、下記のような害虫別のコンテンツがあります。気になるコンテンツがあれば、ぜひ参考にしてみてください。

アブラムシを駆除、防除する農薬について
アブラムシを駆除、防除するために、アブラムシの特性、そして農薬の種類別、作物別のアブラムシに効く農薬を説明します。
ネキリムシを駆除、防除する農薬について
ネキリムシとは、カブラヤガとタマナヤガという蛾の幼虫です。新芽や苗を切り取ることから、ネキリムシと呼ばれています。ここではネキリムシとはどういう虫なのか、その特性と、ネキリムシを駆除、防除するための農薬、またその他の効果的な方法についても解説します。
カメムシを駆除、防除する農薬について
カメムシといえば、強烈な匂いが印象的ですが、農家にとっては、特に果樹に甚大な食害を与える害虫で有名です。ここではカメムシとはどういう虫なのか、その特性と、カメムシを駆除、防除するための農薬、またその他の効果的な方法についても解説します。
コナジラミを駆除、防除する農薬について
コナジラミは、特にタバココナジラミがトマト黄化葉巻病ウイルスを媒介することから、施設農家の中では大変有名な、非常に厄介な害虫です。ここではコナジラミとはどういう虫なのか、その特性と、コナジラミを駆除、防除するための農薬について解説します。
農業害虫、ウンカ類を駆除、防除する農薬、農薬以外の防除方法について
ウンカは稲(イネ)に被害をもたらす大変有名で、厄介な害虫です。ここではウンカとはどういう虫なのか、その特性と、トビイロウンカを駆除、防除するための農薬について解説します。
農薬が効きにくい厄介者、カイガラムシを駆除、防除する農薬について
果樹などの樹木に多く発生する、果樹農家にとってはメジャーな害虫のカイガラムシ。ここではカイガラムシはどういう虫なのか、その特性と、カイガラムシを駆除、防除するための農薬について解説します。
ウリハムシを駆除、防除する農薬について
キュウリ、スイカ、カボチャなどのウリ科の葉が大好きで食害をもたらす害虫として有名なウリハムシ。ここではウリハムシとはどういう虫なのか、その特性と、ウリハムシを駆除、防除するための農薬、またその他の効果的な方法についても解説します。
ヨトウムシを駆除、防除する農薬について
日中は見えず、夜中に活動して白菜やキャベツを食べ散らかす、厄介なヨトウムシ(夜盗虫)。ここではヨトウムシとはどういう虫なのか、その特性と、ヨトウムシを駆除、防除するための農薬、またその他の効果的な方法、対策についても解説します。
アワノメイガを駆除、防除する農薬、農薬以外の防除方法について
アワノメイガといえば、トウモロコシに最も甚大な食害を与える害虫です。ここではアワノメイガとはどういう虫なのか、その特性と、アワノメイガを駆除、防除するための農薬について解説します。
ハダニを駆除、防除する農薬について
ハダニは大量発生しやすく、幅広い農作物に食害をもたらす害虫です。ここではハダニとはどういう虫なのか、その特性と、ハダニを駆除、防除するための農薬について解説します。
ナメクジを駆除、防除する農薬、農薬以外の防除方法について
多大な食害を引き起こすナメクジ。ここではナメクジとはどういう虫なのか、その特性と、ナメクジを駆除、防除するための農薬、またその他の効果的な方法、対策についても解説します。
キスジノミハムシを駆除、防除する農薬について
ダイコン、コマツナなどのアブラナ科の植物が大好きで食害をもたらす害虫として有名なキスジノミハムシ。ここではキスジノミハムシとはどういう虫なのか、その特性と、キスジノミハムシを駆除、防除するための農薬、またその他の効果的な方法、対策についても解説します。
ハモグリバエを駆除、防除する農薬について
「エカキムシ」とも呼ばれるハモグリバエ。ここではハモグリバエとはどういう虫なのか、その特性と、ハモグリバエを駆除、防除するための農薬、またその他の効果的な方法、対策についても解説します。
アザミウマ(スリップス)を駆除、防除する農薬について
アザミウマは農作物に吸汁し、ウイルスを運ぶ農家にとって非常に厄介な害虫です。ここではアザミウマとはどういう虫なのか、その特性と、アザミウマを駆除、防除するための農薬について解説します。
コガネムシを駆除、防除する農薬、農薬以外の防除方法について
作物の根やサツマイモを食べ尽くしてしまう、厄介なコガネムシの幼虫。ここではコガネムシとはどういう虫なのか、その特性と、コガネムシを駆除、防除するための農薬、またその他の効果的な方法、対策についても解説します。
テントウムシダマシを駆除、防除する農薬、農薬以外の防除方法について
テントウムシダマシとはどういう虫なのか、その特性と、テントウムシダマシを駆除、防除するための農薬、またその他の効果的な方法、対策についても解説します。
編集さん
編集さん

農家webでは、殺虫剤以外にも、ペチュニア、ヒヤシンスといった花や庭木などの肥料や生育に関する情報や、土、ガーデニンググッズ、カリウムチッソなどの肥料の要素に関する情報、また果樹、果菜類、葉菜類、豆類、その他様々な作物栽培時にも役立つ情報満載です!

炭疽病やうどん粉病、褐班病、疫病、黒星病、萎凋病のコンテンツもありますよ!

執筆者・監修者情報
執筆者・監修者

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

農薬販売届 受付番号:210-0099

皆さまに本当に有益な情報をお伝えできるよう、心を込めて運営しています。
執筆者・監修者の詳細についてはこちら

\SNSはじめました!フォローお願いします!/

掲載内容については、調査のうえ、情報の正当性、公平性に万全を期して執筆しておりますが、誤記や誤りなどが見受けられる場合には「お問い合わせ」よりご連絡お願い申し上げます。

スポンサーリンク
\良い!と思ったらシェアお願いします/
\SNSはじめました!フォローお願いします!/
農家web
タイトルとURLをコピーしました