いちごは、ビタミンCが豊富で、甘くて美味しいものも増えてきたことから、ご家庭の食卓にもよく並ぶようになった人気のフルーツです。実は、いちごは家庭菜園、園芸用にも人気の作物であり、初心者でも比較的育てやすいことで知られています。
いちごは、「一季なり」の品種と「四季なり」の品種の2系統が存在します。それぞれ特性や向き、不向きなどもありますので、しっかりと基礎知識を習得しておきましょう。
この記事では、いちごの基礎知識やいちご栽培の方法の基本、重要事項、注意点などについて解説します。記事が長いため、目次を見て必要な部分から読み進めてください。
イチゴの基本知識
作物名 | 科目 | 原産地 | 育てやすさ | 種の価格 (円/1粒) | 苗の価格 (円/1苗) | 収穫までの日数 (目安) | 栽培できる地域 | 作型 | 栽培方法 | 土壌酸度 (pH) | 連作障害 | 発芽適温(地温) | 生育適温 | 光飽和点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
イチゴ | バラ科 | 北アメリカ 南アメリカ | ★★★☆☆ | 5円〜50円程度 | 200円〜500円程度 | 受粉後20日〜50日程度 | 全国 | 促成栽培 半促成栽培 夏秋取り栽培 など | 露地栽培 プランター・鉢植え栽培 施設栽培 養液栽培 養液土耕栽培 | 5.5〜6.5 | あり(1〜2年) | 20〜25℃ | 15〜25℃ | 20〜30klx |
イチゴは、バラ科の多年草植物で、現在栽培に用いられているイチゴは、オランダイチゴ(オランダイチゴ属)をベースに品種改良されているものとなります。原産地は南アメリカや北アメリカとされていますが、オランダイチゴは18世紀頃のオランダにて、各原産のチリ種、バージニア種が交配されたものとなります。
イチゴの「実」と「種」、「ランナー」とは?
イチゴの「実(果実)」と「種(種子)」。皆さんは、正しく知っていますでしょうか?私たちが食べるイチゴのいわゆる果肉部分は「花托(もしくは花床)」と呼ばれる部位で、「実」ではありません。花の根元部分が生長して食用の果肉となるのです。
イチゴの表面のつぶつぶは、いかにも「種」に見えますが、これが「実」です。この「実」の中に「種」が入っているのです。
ランナーは、苗から出てくる「茎」で、その先には新芽が育ち、地面に新芽が根付くと新しい株となります(子株と呼ばれるものです)。地面を這うように伸びることから、「ほふく茎」「ほふく枝」とも呼ばれます。イチゴは、親株からランナーを伸ばして、子株を増やしていくことで次の栽培用の苗を確保します。
もちろん子株からもランナーは伸びますので、一つではなく連なって何株も増やすことができます。親株につながっている子株から順番に、「太郎苗」「次郎苗」「三郎苗」なんて呼んだりもします。基本は「次郎苗」や「三郎苗」を次の栽培に使用します。
イチゴ栽培のポイント
- 家庭菜園やプランター・鉢植え栽培の場合は、できる限り日当たりが良く、風通しの良い場所を選んで栽培しましょう。
- 品種の系統は大きく2つあり「一季なり」品種と「四季なり」品種があります。植物の特性などが異なるので注意しましょう。
- 花芽は弱い低温・短日の条件にて分化します(日本だと秋ころの気候です)。冬には休眠して生長を停止させ、一定の低温期間を経ると休眠期間から目覚め、生長し始めます。
- 果菜類の中では比較的低温かつ、弱い光でも栽培することができます。但し、0℃近くなると寒害を受けてしまうので注意しましょう。
- 多年草で栽培期間が比較的長いです。種子から苗作り(親株)を始めると収穫までに1年異常、苗(親株)から栽培すると収穫までに8ヶ月程度はかかります。但し、夏〜秋頃に苗を購入した場合には、その苗をそのまま植え付け(定植)してランナーをすべて取り、収穫を迎えます。
- イチゴは、水はけ(排水性)が良く、土壌中の養分が高すぎない土壌を好みます。イチゴは特に肥料やけしやすい作物ですので、施肥の量や土壌の塩類過剰(養分過剰)には注意しましょう。
- イチゴ栽培はハウス栽培(施設栽培)、露地栽培どちらでも栽培することができます。ベランダでのプランター、鉢による栽培、水耕栽培も可能です。プロ農家はハウスでの土耕栽培、養液土耕栽培、水耕栽培による栽培方法を選択することが多いです。
一季なり品種と四季なり品種
一季なり品種と四季なり品種の特性の違いと主な品種を以下にまとめましたので、参考にしてください。家庭菜園初心者の方には、一季なり品種がおすすめです。
項目 | 一季なり | 四季なり |
---|---|---|
特性 | 低温・短日条件下で花芽分化し、その後の高温・長日条件で開花・結実します。つまり、冬の寒さに当たり、その後、1度だけ花を咲かして実をつける期間が到来します。 | 低温・短日の条件を過ごさせ、その後は高温・長日の条件下でも花芽分化しやすくなっています。つまり、冬を過ごしたあと、春〜秋の間、花を咲かして実をつける期間が到来します。 |
収穫期間 | 家庭菜園では、一年に1度、旬の時期(5~6月頃)に収穫することができます。プロ農家など営利目的での栽培では、ハウス栽培(施設栽培)によって生育がコントロールされるため、11月〜5月頃まで収穫することができます。 | 秋植えの場合は、5月〜11月頃まで収穫することができます。春植えの場合は、花芽分化処理された苗を植え付けて7月〜11月頃まで収穫することができます。 |
品種 | 宝交早生、女峰、紅ほっぺ、とちおとめ、とよのか、さちのか、さがほのか など多数 | 夏んこ、ペチカ、桃娘、夏姫、ルビーアン、らくなりイチゴ、めちゃウマッ!いちご など |
向いている栽培環境 | 基本的にはどの栽培環境下でも育てることができます。比較的休眠が浅い(休眠から目覚める期間が短い)ので、ハウス栽培(施設栽培)で用いられることが多いです。 | 直接的な関係はありませんが休眠が深い(休眠から目覚める期間が長い)品種が多いため、露地栽培やプランター・鉢植え栽培に向いています。 |
備考 | クリスマスに出荷されているイチゴは、ほとんど一季なり品種のイチゴです。 | 以前は小粒で甘みが少なく、一季なりイチゴに比べて美味しくないと言われていましたが、最近の品種は改良が進んで一季なりイチゴ並となっています。 |
イチゴ栽培のスケジュール
発芽適温 | 生育適温(昼間) | 生育適温(夜間) |
---|---|---|
20〜25℃ | 18〜25℃ | 6〜10℃ |
関東の露地栽培、プランター・鉢植え栽培をベースに考えたイチゴ栽培のスケジュールです。比較的温暖な気候(温暖地)の場合は、上の図に示したスケジュールの早め、逆に冷涼な気候(寒冷地)の場合は遅めに各作業を実施すると良いでしょう。また、品種によっても違いがありますので、購入する種・苗のラベルを参考に年間スケジュールを想像すると良いでしょう。
その他の地域(北海道、九州など)、栽培方法(ハウス栽培、水耕栽培)については、別途記事を作成しますので、そちらを参考にしてください。
イチゴ栽培の流れ・栽培方法
イチゴ栽培の流れは、下記のようになります(目安)。下記は、苗をそのまま植え付けして収穫まで生育させる流れとなっています。先述したスケジュールのように親株として植え付けして、子株を収穫用のイチゴとして植え付けする場合は、「収穫後の栽培管理・自家育苗」から栽培を始めるイメージをお持ちください。
- 植え付けの
3〜4週間前 - 10月頃
- 11月〜6月頃
- 2月頃
- 6月〜9月頃
イチゴの土作り・畝立て
健全なイチゴを栽培し、美味しい果実を収穫するためには土作りが重要です。土作りは、遅くとも植え付けの2週間から3週間前には行いましょう。イチゴは、特に肥料やけ(根が直接肥料に触れたり、過剰な養分にさらされることで、害が発生する現象)が起こりやすいため、下記の2点が重要となります。
- 元肥は、植え付けの3〜4週間前には施して、土によく馴染ませるようにしましょう。特に有機質肥料(有機肥料)や堆肥ではなく、化成肥料を使用する際には守るようにしてください。有機肥料や堆肥の場合は、ゆっくりと肥料成分が溶け出す(遅効性・緩効性)ため、1週間程度空いていれば問題ないです。
- 元肥をやりすぎないように注意しましょう。元気に育って欲しいからと言って、一度に肥料をやりすぎるのは禁物です。目安の施用量を守るように心がけましょう。
- 植え付けの3〜4週間前石灰質肥料の散布、耕うん
植え付け(定植)予定の3〜4週間以上前に苦土石灰や炭酸カルシウム(炭酸石灰)などをまいて、耕しましょう。
- 植え付けの2〜3週間前
植え付けの3〜4週間前には石灰質肥料を散布する!
植え付けの3〜4週間前には石灰質肥料を全面散布しましょう。イチゴ栽培の土作りは、主に下記の石灰質肥料を使用します。
- 苦土石灰
- 炭酸カルシウム(炭酸石灰)
一般的に、カルシウム(石灰)とマグネシウム(苦土)を補給し、酸性土壌を矯正するために苦土石灰を施用することが多いです。炭酸カルシウムは、マグネシウム(苦土)が含まれていませんので、硫酸苦土などのマグネシウムが含まれている資材と合わせると効果的です。
どちらの資材も土壌を酸性からアルカリ性寄りに矯正してしまうので、使用する際には土壌酸度(pH)にも気を使ってください。イチゴの適正土壌酸度は、「イチゴの基礎知識」を参考にしてください。
下記に石灰質肥料のそれぞれの使用目安量を記載しますので参考にしてください。施肥する肥料は、どれか一つで十分ですので、全種類散布しないようにご注意ください。また、散布したあとは深く耕して馴染ませましょう。
肥料(使用するものはどれか一つ) | 施用目安量(1平方メートル当たり) |
---|---|
苦土石灰 | 100g |
炭酸カルシウム | 硫酸苦土と合わせて100g程度 |
植え付けの2〜3週間前には堆肥・元肥を散布する!
植え付けの2〜3週間前には堆肥と元肥を全面散布しましょう。イチゴ栽培の土作りは、主に下記の肥料を使用します。
下記にそれぞれの施用目安量の例を記載しますので参考にしてください。また、散布したあとは耕して馴染ませましょう。
肥料(全種類施用) | 施用目安量(1平方メートル当たり) |
---|---|
堆肥 | 3kg程度 |
緩効性化成肥料 | 40g程度 |
油かす | 40g程度 |
プランター・鉢植えの場合は?
イチゴを栽培する鉢やプランターは、通気性に優れた素焼きのものが適しています。深さは15cm〜20cm程度のものが良いでしょう。株数は、長さ15cm〜20cm毎に1株くらいが目安です。
鉢やプランターには、鉢底ネットを敷いてその上に鉢底石を入れ、根鉢を崩さないで植えていきます。
プランター・鉢植え栽培の用土は、野菜栽培向けの培養土(用土)を使うことをおすすめします。庭の土などの普通の土は排水性が悪いため、プランター、鉢植え栽培には向いていません。また、野菜栽培向けの培養土には、あらかじめ肥料成分が含まれているものもあるため、そのまま植え付けすることが可能です。
肥料が含まれていない培養土の場合は、下記の施用量を参考にプランターや鉢の大きさに合わせて計算して土作りをしてみてください。
肥料(全種類施用) | 施用目安量(培土10L当たり) |
---|---|
苦土石灰 | 10g程度 |
緩効性化成肥料 | 10g程度 |
熔成燐肥 | 5g程度 |
一から用土を作ってみたいという方は、赤玉土6:腐葉土3:ピートモス1の比率で混ぜ合わせて用土を作ると良いでしょう。
植え付けの前に畝立て!イチゴは排水性が良い場所を好む!
イチゴ栽培においては、約60cm幅、高さ約15cmの畝を立てましょう。イチゴは、水はけのよい土壌環境を好みますので、排水性の悪い土壌の場合は高さを約20cm以上の高畝にしても良いでしょう。人力で畝を立てるときはスコップ、鍬、レーキがあると便利です。スコップ、もしくは鍬で畝となる場所の四方を掘り、中央に土を寄せていきます。中央に寄せて盛り上がった土をレーキで平らに均すと綺麗な畝ができます。管理機をお持ちの方は畝立て用のアタッチメントを使うと人力の1/10の時間と労力で簡単に畝立てができます。
畝幅 | 畝間 | 畝高 | 条間(列間) | 株間 |
---|---|---|---|---|
60cm〜80cm | 60cm〜80cm | 15cm〜30cm | 40cm程度 | 35cm程度 |
イチゴの植え付け
10月頃になったら、イチゴの苗を植え付けます。このとき、初めてイチゴ栽培をする場合には、植え付けの時期に市販の苗をホームセンターやネット通販などで購入することをおすすめします。初めての栽培から自家育苗をしようとすると大変です。
以下に、植え付けの流れを記載しますので、参考にしてください。
苗の購入、育苗
苗をホームセンターなどで購入しましょう。春先に親株を購入、もしくは前作の株を利用して、子株を作り、育苗して使用する方法もあります(自家育苗)。
購入した苗は、できれば購入したその日もしくは翌日、遅くとも1週間以内には植え付けしましょう。それまでは日当たりの良い場所に置いて、早朝に1回たっぷりと潅水(水やり)しましょう。夕方の水やりは徒長の原因となるので控えましょう。
植え付け(定植)
苗を植えます。育苗ポットなどから苗を取り出して、畑、プランター・鉢に植え付けします。条間(列間)は40cm程度、株間は35cm程度が良いでしょう。下記にイチゴを植え付けるときのポイントを紹介します。
イチゴの管理作業(手入れ作業)
イチゴの管理作業(手入れ作業)には、多く3つの作業があります。
- 追肥(施肥)
- 葉かき(下葉かき)、ランナー取り、摘花・摘果
- 人工受粉
- 除草・病害虫管理
追肥(施肥)
地植えの場合は、主に2回のタイミングで追肥を施すと良いでしょう。3回目は必要に応じて4月中旬頃に施します。
1回目の追肥
1回目の追肥は、苗が活着して盛んに生育を始めるときに施すと良いでしょう。時期的には11月上旬から中旬頃となります。株元に散布するのではなく、株元から10cm〜15cm程度離れたところに施し、周辺の土とともに軽く混ぜましょう。下記に、肥料の施用目安量を記載しますので参考にしてください。
肥料(全種類施用) | 施用目安量(1平方メートル当たり) |
---|---|
緩効性化成肥料 | 20g程度 |
油かす | 20g程度 |
2回目の追肥
2回目の追肥は、越冬した2月上旬から中旬頃に施すと良いでしょう。2月上旬から中旬頃に行うマルチングの前に、畝の肩部分に散布し、通路の土を軽くかぶせます。下記に、肥料の施用目安量を記載しますので参考にしてください。
肥料(全種類施用) | 施用目安量(1平方メートル当たり) |
---|---|
緩効性化成肥料 | 20g程度 |
油かす | 20g程度 |
プランター・鉢植えの場合は?
プランター、鉢植え(ポット)の場合も上記のタイミングで施肥をすると良いでしょう。便利な錠剤タイプの肥料もあるので、手軽に施肥をすることができます。また、液体肥料の場合は週に1回ペースで施肥が必要となってくるので注意が必要です。
イチゴの肥料、施肥については、詳しくまとめた記事がありますので、こちらも参考にしてください。
葉かき(下葉かき)、ランナー取り、摘花・摘果
露地栽培において休眠期である冬季は、新葉(新しい葉)や新しいランナーが出てくることは少ないですが、越冬後に植物が動き出しますので、そこからは適切な管理作業が必要となります。
葉かき(下葉かき)
越冬後、新葉が伸び始めますので下のほうにある老化葉(古い葉)を取り除きます。老化葉(古い葉)は、光合成の能力が落ちていますので残しておいても、植物の成長への寄与が少ないです。逆に古い葉を残したままにしておくと、病害虫の温床になりますのでご注意ください。
おおよそ7〜8枚の葉を残しておくと生長にも影響が出ませんので、7〜8枚を目安に管理をしていくと良いでしょう。
ランナー取り
日長が長日となり、気温が上昇してくる春頃に新しいランナーも伸びてきます。自家育苗の育苗期間以外は、ランナーは不要ですので見つけ次第、切り取ります。ランナーは、短いものはそのまま株元から取れたりもしますが、長く伸びたものはハサミなどで切除する必要があります。
摘花・摘果
花の形や実の形が、いびつなものについては人の手で摘花・摘果しても良いでしょう。ただし、形などを気にしないのであれば、そのままにしておいても問題ありません。
人工受粉
イチゴが休眠期から目覚めて、花が早く咲いてしまった場合、昆虫の活動による受粉が望めない場合があります。そのときは、人工受粉をしてあげると良いでしょう。穂先の柔らかい筆で優しく花粉を取り、たくさんある雌しべに付けてあげると形の良い果実がなってくれるでしょう。
ハウスなどの施設栽培においては、自然界にいる昆虫による受粉が難しいため、ミツバチやマルハナバチなどを人工的に用意して放飼します。
除草・病害虫管理
地植えの場合、放っておくと畝の周りに雑草が生い茂ってきます。雑草は、害虫生息の温床にもなるので、こまめに抜き取ることをおすすめします。小さい面積の場合は手や鎌で、広い面積の場合は背負式の草刈り機などで行うと良いでしょう。また、畝の通路に防草シートを敷くことや農耕地用の除草剤を使用することも有効です。
病害虫と聞くと少し怖いですよね。しかし、病害虫に対して適切に処理することでまん延を防ぐこともできます。「イチゴ栽培の生理障害・病害虫管理」にいちご栽培の主な生理障害、病害虫の対処方法をまとめました。特に病害では炭そ病や灰色かび病、うどん粉病が起こりやすく、生理障害ではチップバーンが起きやすいです。症状などと照らし合わせながら、適切な対処を行いましょう。
イチゴの被覆(マルチ張り・マルチング)、トンネル
マルチング(マルチ張り)
イチゴは、比較的寒さに強い作物ですが、地温が必要以上に下がったり、土壌が乾いたりすることを防ぐため、マルチング(マルチ張り)を実施しましょう。ある程度の期間、低温にさらされた2月上旬ころに作業を行います。
黒色のポリフィルムを畝の上にかぶせて、畝の周りの土でしっかりと抑えます。ある程度、しっかり張れたら、イチゴの株がある部分をカッターナイフなどで十字に切り開いて、株をフィルムから出してあげましょう。
プランター、鉢植えの場合は、わらや有機資材を株元に敷くと良いでしょう。
トンネル
収穫時期を早めたい方は、ビニールトンネルによる加温も有効です。
- マルチング後に、ビニールトンネルを畝の上にかけて半月くらいは密閉した状態にします。
- 新しい葉が展開し始めたら、昼間は側方の袖を上げて換気をし、夜は密閉した状態にします。
また雪や霜が下りるような寒冷地では、冬季間はビニールトンネルや寒冷紗、不織布などで防寒すると良いでしょう。
イチゴは、5℃以下の寒さに一定の時間当たらないと花芽分化しません(休眠打破)。その後、高温長日条件で開花し結実します。ちなみに5℃以下の寒さに当たる必要時間は品種によって異なります!
収穫後の栽培管理・自家育苗
イチゴの収穫は、遅くとも6月上旬頃までには終わると思います。そのあとのイチゴの株はどうするのでしょうか?もし、イチゴの栽培に慣れてきているのであれば、自家育苗をしてみませんか?
自家採種、自家育苗、自家増殖については、種苗法にて管理される範囲となります。昨今は種苗法が改正されて、自家育苗が許諾制になる可能性などがあります(2020年11月現在では種苗法改正案が国会で審議されています)。
家庭菜園については、自家増殖、自家育苗の制限外となりますのでご安心ください!
自家育苗
実を取り終わった健全な株、もしくは購入したウイルスフリー苗を「親株」にします。今まで管理作業で新しいランナーを取っていたと思いますが、そのまま伸ばして新しい苗を増やしていきます。新しい苗のことを「子株」と呼び、親株から近い順に「太郎苗(一番苗)」、「次郎苗(二番苗)」、「三郎苗(三番苗)」と呼んだりします。
親株から生まれた子株は、そのままにしておいても土壌に活着しませんので、根が出始めたら土壌に植え付けして活着させます。畑に苗床を作って増やしていく方法でも良いですし、ポットに増やしていく方法でも良いです。
三郎苗くらいまで増やしたら、ランナーを切っていきます。親株側は2cm程度残して切り、子株側は短く切って、それぞれの苗を切り離してください。この切り離す作業を、太郎苗、次郎苗、三郎苗…に行います。太郎苗は、次作の栽培株としては適切ではないので処分して問題ありません。
育苗した苗は、10月頃に本圃に植えましょう。
苗床の場合
苗床に植え付けて育苗する場合は、2段階に分けて育苗します。
どちらの段階においても潅水(水やり)は、晴天時であれば毎日たっぷりとやりましょう。特に植え付け直後の1週間は、根の活着を促進させるためにしっかりと水やりをしましょう。肥料は、育ち具合を見ながら不足してきた頃合いで1〜2回程度、少量の油かす、または緩効性化成肥料を施しましょう。
1段階目:苗床への植え付け(時期の目安:6月〜7月)
本圃と同じように元肥を混ぜて土作りをし、畝立てをします。このとき、元肥は本圃の土作りのときよりも少なめで良いでしょう。子株を株間9cm程度、条間9cm程度空けて植えていきます。
2段階目:スペーシング(時期の目安:8月〜9月)
苗が育ってきたら、移植して株間を拡げます。株間15cm、条間15cm程度空くように移植しましょう。
ポットの場合
ポットでの苗作りの場合も上記の考え方と同様です。用土は、鹿沼土や赤玉土など、排水の良いものを選びましょう。
イチゴ栽培の生理障害・病害虫管理
イチゴを栽培していると、いろいろなトラブルが発生します。しかし、適切な対処方法を知っていれば慌てる必要はありません。代表的な生理障害と病害虫への対処方法を説明していますので、参考にしてください(準備中)。