ウチワサボテンは、茎が平らな楕円のウチワ型に伸びるサボテンで、小さなものは、うさぎの耳のような見た目で可愛く、100均などでも見かけます。
インテリアショップなどでも最近見かける人気のサボテン、初心者でも育てやすいイメージがあるサボテンですが、いざ育ててみようとすると肥料は?水やりは?置く場所は?と意外と悩んでしまうことが多いのではないでしょうか。
ここでは、ウチワサボテンの基本の育て方を、季節ごとに初めての方でもわかりやすく説明します。
ウチワサボテンとは
園芸分類 | サボテン、オプンチア(観葉植物) |
学名 | Opuntioideae |
原産地 | メキシコ・アメリカ、ガラパゴス諸島 |
草丈・樹高 | 種類によってことなる |
耐寒性等 | 耐寒性 やや弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「熱愛」「燃える心」「偉大」 |
ウチワサボテンの特徴
サボテンは多肉植物の一種で、サボテン科に属する原産が南米・メキシコの多肉植物で別名仙人掌とも呼ばれます。200以上の属があり属に含まれる種類は2000種以上あるといわれています。しかしその形からサボテンは大きく「木の葉サボテン」「柱サボテン」「ウチワサボテン」「球サボテン」の4つに分かれることができます。
「ウチワサボテン」は、茎が平らな楕円のうちわ型に上に伸びるのが特徴です。ほかのサボテン亜科ことなり棘の表面に細かな返しがついています。小型~大型種まであります。棘が小さいので柔らかく見えますが、意外と鋭いので素手で触ると、棘が抜けなくてチクチクするので気をつけましょう。
ウチワサボテンの種類(原種・品種)
ウチワサボテン属(学名:Opuntioideae)は典型的な種類の多くがオプンティア属(学名:opuntia)に属しています。
人気の品種は、うさびのような耳からバニーカクタスと呼ばれる「象牙団扇・白桃扇」や生長して子吹きするとバンザイしたように見えるので、バンザイサボテンと呼ばれる「墨烏帽子」、ミニサボテンとしてよく流通している「姫ウチワ」などがあります。また「バーバンクウチワ」はサボテンステーキとして食用に栽培されています。
ウチワサボテンの種類については、記事がありますので興味のある方は読んでみてください。
ウチワサボテンの花
ウチワサボテンは生長すると、花を咲かせます。開花時期は品種により異なりますが春から夏、黄色・ピンク色、赤色の花をさかせます。
株が若く未熟なときには、花芽をつけてくれません。大きく成長することにより、花が咲くようになります。栽培に気をつけて大きくそだてることで、美しい花を楽しむことができます。
ウチワサボテンの育て方の年間スケジュール
サボテンは、ほとんどの種類が多肉植物の夏型で、春から夏にかけて生長し冬は休眠します。年間スケジュールと季節ごとの育て方についてまとめました。
- 春
冬の休眠期から覚めた3月から4月は、植え替えの適期です。鉢底から根が出ている場合は、この頃に植え替えをすると失敗しにくいでしょう。
肥料は、植え替え時に元肥を施しましょう。植え替えしない場合は、この時期に肥料を与えると元気に大きく育ちます。暖かくなったら、屋外で日光に当てます。水やりは、休眠期から生育期に入りますので土の表土が乾いたら、鉢底から水がでるまで与えます。
- 夏
真夏の直射日光は苦手ですので、葉焼けしないよう半日陰で管理しましょう。日本の夏は多湿ですので、風通しの良い場所で株を蒸らさないように注意します。
水やりは10日に1度霧吹きで株全体に水を与える「葉水」で与えます。時間は日中に水やりをすると株が蒸れる恐れがあるので、夕方に株を少し冷やしてあげます。
- 秋
9月頃になれば、植え替えも可能です。水やりも春と同様に、鉢底から水がでるまで与えます。しかしここから冬の休眠期に向かうので、生育期より頻度を減らします。
秋からは肥料は必要ありません。霜が降りる前に室内で管理します。暖かい昼間は日光に当ててあげましょう。
- 冬
休眠期です。成長が止まりますので肥料は与えてはいけません。「葉水」を20日に1度ぐらいの頻度で行い株全体を湿らせます。気温が上がる暖かい午前中に行いましょう。
ウチワサボテンの育て方
置き場所、日当たり
ウチワサボテンは、日当たりの良い風通しの良い場所を好みます。地植えする場合も、なるべく日の当たる場所で管理しましょう。生育期の春から梅雨まではしっかり日光に当てます。
日照不足になるとひょろひょろと先端が細くなったりして徒長してしまい、弱って枯死する原因ともなります。屋内で育てる場合でもなるべく日に当て、ベランダや屋外などにも出してあげましょう。
真夏の直射日光は、日差しが強すぎて、葉焼けの原因にもなりますので半日日に当てたら、午後は軒下などの日陰に移動する。もしくは寒冷紗などで遮光して半日陰で管理します。
ウチワサボテンは元々メキシコなど熱帯や温暖な地域に生息しているため、耐寒性は強くありません。通常の鉢植えであれば霜の降りる前には室内で管理します。室内でも冬場は夜窓辺に置いておくと外気の影響で、気温が下がり寒くなるので、注意が必要です。温度が5℃以上を保っていれば冬越しは可能です。
水やり
多肉植物のサボテンは、雨が少ない場所や岩場などに生育するものが多い植物で、乾燥した過酷な環境を生き抜くために、根や茎、葉などを肉厚にして水分を蓄えるようになっています。だからといって、水やりが必要ではないわけではありません。
水やりのポイントは、生育期と休眠期で緩急をつけた水やりをすることです。ウチワサボテンは多肉植物の夏型なので、基本的には生育期の3月〜9月は、表土が乾いたら水をやり、休眠期にはいる10月〜2月は水は徐々に水を減らし、冬は断水気味にします。時間は日中に水やりをすると株が蒸れる恐れがあるので、夕方にあげましょう。
冬は、葉水程度で十分ですが、水をあげるときは時間にも注意します。夕方に上げると気温が下がり凍結する恐れがあります。
乾燥した場所で育つウチワサボテンは、水の上げすぎは根腐れの原因ともなりますので、水やりは注意が必要です。
肥料
砂漠などの栄養の少ない土でも育つウチワサボテンですが、肥料を肥すことで大きく丈夫に育ちます。
ウチワサボテンなどの多肉植物は、元肥は植え付け、植え替え時に行います。 植木鉢などで栽培する場合は、元肥をしっかりと施し、適期に追肥を行っていきます。追肥はウチワサボテンは3月〜9月の生育期は肥料が必要です。
- 液体肥料の場合は、ラベルなどに記載されている希釈率から更に2倍程度に薄めて、月1〜3回のペースで施肥します。
- 固形肥料の場合は、ラベルなどに記載されている使用目安量の半分程度の量を、1ヶ月〜2ヶ月に1回程度施肥します(頻度は使う肥料のラベルの説明に合わせると良いでしょう)。
用土
一般の観葉植物では、鉢植えの場合は、赤玉土と鹿沼土を基本用土として、ピートモス、バーミキュライト、パーライトやココヤシチップといった改良用の土を基本用土にプラスして使います。
しかし、多肉植物は休眠を伴うものが多く、休眠中の多肉植物は、根もほとんど給水しないので、根腐れを防ぐために鉢土を完全に乾燥させる必要があります。このため、一般の観葉植物と異なり、赤玉6・腐葉土2・川砂2の割合で混ぜた土がおすすめです。パーラライトや砂土・軽石などもブレンドしても排水性のよい、水はけのよい土ができます。市販のサボテンや多肉用の培養土も便利です。
いずれの場合も、鉢の底に大粒の赤土土か軽石を敷き、その上に緩効性粒上肥料を加えた後に用土をいれましょう。元肥の緩効性肥料は、ハイポネックス マグァンプKなどがおすすめです。大粒のものから小粒のものまでありますので、品種に合わせた大きさをつかってください。
サボテンは水栽培(水耕栽培)や、土を用いず、ハイドロコーン・ハイドロボールやゼオライトなどの保水性、吸水性のある用土(倍土)使ったハイドロカルチャーでも育てることができます。
上記の素材はいずれも一定の保水力のある素材なので、正しく追肥することで、観葉植物をしっかりと生育することができます。
ウチワサボテンで気をつけたい病害虫
病気 根腐れ病・ 立ち枯れ病・黒斑病・すす病
ウチワサボテンは、湿度の多い場所に置いておくと、立ち枯れ病や根腐れ病、黒斑病などにかかったり、アブラムシ・カイガラムシなどの害虫が原因ですす病などを発生することがあります。
根腐れ病は特にサボテンの病気で多く、根元が茶色くぶよぶよとしていたら根腐れの可能性が高いです。そのままにしておくと次第に腐り折れてします。根腐れしたら胴切りをして植え替えしましょう。
予防には、湿気の少ない通気性の良い場所に置いてあげましょう。もし病気にかかったら、変色した部分を切り取る胴切りをしましょう。病気と復活の方法はこちらの記事を参考にしてください。
害虫 カイガラムシ・コナカイガラムシ・ハダニ・アブラムシ
カイガラムシ・コナカイガラムシ・ハダニ・アブラムシ、ネジラミ、ワタムシ、ヨトウムシなどの害虫が発生する恐れがあります。梅雨にはナメクジが発生する恐れもあります。それぞれの害虫によって対応は異なりますが、幼虫や成虫などによって対応は変わります。見つけたら早めに取り除いてあげましょう。殺菌殺虫剤なども有効です。
害虫については、駆除や対処法についての記事もありますので、興味のある方は、こちらも読んでみてください。
その他気をつけるポイント
剪定について
病気や伸びすぎたウチワサボテンは、「胴切り」とよばれる、サボテンを大きくカットする剪定を行います。
胴切り
時期は植え替え時と同じ3月から4月に行いましょう。できれば午前中の晴れた日がおすすめです。切り方は、よく切れる刃物で傷んだ部分や、カットしたい部分を水平になるようにカットするだけです。
胴切りした後の断面は、風とおしのよい涼しい場所に置いて乾燥させます。
健康な胴切りした上部で、増やすこともできます。切り離した上部を挿し木として使います。
ウチワサボテンの植え替え、増やし方
植え付け・植え替え
種まきから育てることができるウチワサボテンですが、多くは園芸店など苗を購入することと思います。購入した鉢は、インテリアに合わせて、素焼き鉢や、陶器やグラスなどにも植え替えすることもできます。最近は、サボテンや多肉植物との寄せ植えも人気ですが、それも植え替えの一種です。
植え替えをしないと、土に栄養分がなくなって鉢いっぱいに根が広がってしまうので、生長できず根詰まりや根腐れを起こして枯らしてしまう可能性もあります。
ウチワサボテンは生長に合わせて、1年~2年に一度、植え替えをしましょう。時期は4月頃に、一回り大きな鉢に移し替えます。根から土を落とし、傷んだ根っこや根腐れを起こしているものは切り取ります。根を半分ほど切り取り4日ほど日陰で乾かしてから、新しい土に植え付けます。植え替え時には元肥を入れます。
植え替え時には意外と小さく鋭いさぼてんの棘が、手に刺さらないように注意しましょう。
ふやし方
ウチワサボテンは、種まきや、胴切りと、親株から子株を株分けして挿し木で増やすことができます。また健康なサボテンを台木にして接ぎ木で増やすこともできます。
ウチワサボテンは、生長が早く繁殖力も高い品種が多いので茎からどんどん新芽が出てきて子株ができます。その子株を挿し木にして増やすのが、一番手軽に行えます。また胴切りは柱サボテンのように胴切りしたサボテンを土に埋め込む方法ではなく切った一片を横たえて増やす方法もあります。
子株の挿し木
- 親株の茎から生えた、子吹きした子株の小さな茎の節近くをピンセットで挟み、前後にゆっくり茎を倒して、節をはずします。ピンセットで簡単に外せない茎は、カッターで子株を切り離します。
- 切り離した子株は、半日陰において2~3日切り口を乾かします。切り口が大きいときはさらに2~3日乾かしましょう
- 鉢に、新しい用土を入れ乾いた子株を植えつけます。
- 水やりは植え付け後、1週間から2週間後に行います。その間は半日陰に置いて根が出るのをまってから、新しい環境にならしていきます。
胴切り
- 扁平したウチワ型を大きく切り取ります。傷んだ部分は除き切り分けます。切る一片の大きさは、表にも裏にも刺があるようにすることが重要です。
- 新しい鉢に、新しい用土をいれ、そのまま一片を横たえておきます。鉢が大きければ離していくつか横たえます。 土は被せません。
- トゲのある場所から芽と根が生えてきます。半日陰に置いて根が出るのを待ちましょう。水やりはそのあとで行い、新しい環境にならしていきます。
その他サボテンの胴切りした株を使って直接土に挿す方法や種まき(実生)での発芽方法は、サボテンのふやし方の記事にありますので参考にしてください。
まとめ
ウチワサボテンは、生育も早く、暖地では露地植えすることができる寒さに強い品種もあります。花色も黄色・オレンジ・ピンク色と品種によりさまざま。観賞用としてだけでなくサボテンの自生地では、実はフルーツとして、葉肉をサラダやソテーとして食用にもされ、美容オイルとして種からウチワサボテンオイルもあります。
サボテンは100均で買えるポピュラーで小さなものから、大きなものまで多種多彩です。サボテンは多肉植物の仲間ですので、一緒に寄せ植えしているものも可愛らしく人気があります。サボテン愛好家も多く、丸くてかわいらしいマミラリア属のサボテンや、接ぎ木でしか育たないギムノカリキウム属の緋牡丹(ヒボタン)、強刺類といわれるフェロカクタス属のサボテンなども人気が高いです。
サボテンは、乾燥に強く多少水やりをやらないでほっておいても育つ丈夫な観葉植物です。もし病気になったりしても復活もしやすく、いつも植物は枯らしてしまうという人も、ぜひサボテンを育てて緑のある生活を楽しんでください。