除草剤というと、近年のグリホサート系除草剤にまつわる様々な話など、非常に危険なイメージをもたれている方も多いでしょう。実際は農林水産省から農薬登録を得ている除草剤は使用方法が明確に記載されているので、正しく使用すれば安全です。
とは言っても、除草剤そのものは人体や犬、ペットにかかると影響を与えます。出来ればできるだけ人畜無害な成分から出来た除草剤があれば、それを使いたいものです。
ここで、最近話題になっているのが、お酢での除草です。日常的に使用しているお酢で除草できれば、安心にこしたことはありません。
ここでは、お酢で除草できるのか、その効果は?、また市販されているお酢の除草剤をご紹介します。
お酢で除草できるの?
結論から言いますと、できます。
お酢は強烈な酸性で、その酸の力でかけた場所の植物を枯らすことができるのです。
食酢は農薬取締法により安全性が認められた特定防除資材(特定農薬)で、自由に使用が可能で、人体にも安全です。
ツユクサ、センダングサ、メヒシバ、エノコログサ、ヤハズソウ、ヒメジョオン、ヒメムカシヨモギ、コニシキソウなどの一年生雑草、カタバミ 、ヨモギ 、クズ、ドクダミ、タンポポ、セイタカアワダチソウ、ギョウギシバ、ウラジロチチコグサ、スギナなどの多年生雑草、またゼニゴケと、幅広い雑草へ効果が期待できます。
つまり、酸の力でどんな植物でも枯れるのです。このため、枯らしたくない植物に飛散しないよう注意してください。
注意すべきは、散布された部分のみに効果が出るということです。なので、グリホサート系除草剤のように、地中の根や地下茎まで吸引して枯らすことはできません。
スギナやドクダミ、ヤブガラシ、カタバミなど地下茎が厄介な雑草を確実に除草したい場合は、ラウンドアップやサンフーロン、タッチダウンiQなどのグリホサート系の除草剤を使用してください。
お酢系除草剤 4選!!
カダン除草王シリーズ ビネガーキラー (フマキラー(株))
カダン除草王シリーズ ビネガーキラーは、100%食品成分の醸造酢を使用した人畜無害な除草剤です。お酢成分が速効性の除草作用を発揮し、雑草を枯らします。また、薬剤は素早く分解され用土に残留しないので、環境への影響も少なく、作物の植え付け、定植の5日前まで散布することができる優れものです。定植数日前まで使えること、農薬登録されており、「野菜類、いも類、豆類」も適用作物に入っている点が特徴です。
アースガーデン みんなにやさしい除草剤 おうちの草コロリ 植物まわりの雑草用 (アース製薬(株))
アースガーデン おうちの草コロリ 植物まわりの雑草用も、100%食品成分のオリジナルブレンドの食酢を使用した人畜無害な除草剤です。お酢成分が速効性の除草作用を発揮し、雑草を枯らします。定植の7日前まで散布することができ、特定防除資材に分類されるため、農耕地でも自由に使用が可能です。
お酢の除草液 (トヨチュー)
お酢の除草液も、その名の通り100%食品成分のお酢を使用した人畜無害な除草剤です。お酢成分が速効性の除草作用を発揮し、雑草を枯らします。
DAISO(ダイソー)お酢の除草剤
この商品も、その名の通りお酢(食酢)を成分にしたもので、希釈せずにそのまま使用できます。薄めて使うタイプもあります。
ダイソーの除草剤については、下記で詳しく説明しているので合わせて参考にしてみてください。


まとめ
ここで紹介した除草剤は、カインズ(カインズホーム)やコーナンといった大手のホームセンター、また100円ショップのダイソー(DAISO)で手に入る商品です。どれにしようかと悩まれている方は、お近くのカインズなどのホームセンターやドラッグストアの資材、工具、ガーデニング、園芸用品コーナーで実物を手にとってみることをお勧めします。
しっかり除草することで、虫、害虫の発生を予防し、周りの花や果樹の病気も防いでくれます。お酢を上手に使って、雑草を減らしてみてください。
(補足)除草剤あれこれ
農耕地で使用できるものとできないものがあります
ラウンドアップやサンフーロン、バスタは、畑作や果樹園などの田畑、農耕地で使用することができますが、グリホエースなど、グリホサート系除草剤でも農耕地で使用できないものもあるので、使用の際は必ず確認するようにしましょう。

具体的には、農薬取締法に基づき国に農薬登録をされている除草剤(農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています)しか、畑や田んぼ、菜園、植物を植えた庭などの所謂「農耕地」に散布することはできません。
下記に詳しく書いているので、興味ある方は読んでみてください。
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。また、展着剤を使って効果を上げる方法もあります。
除草剤の希釈方法について
液体の原液の除草剤や液肥、薬剤は、水で希釈して薄めて使用する必要があります。下記では、展着剤、乳剤、水和剤などの希釈方法や、面倒な希釈倍率、水量、液量の計算を楽にする方法を説明しています。
除草剤の種類あれこれ
発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」か
除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽、生育を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。
また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。
しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。「茎葉処理剤」は、散布された薬液に接触、吸着した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。
非選択性か選択性か
次に、除草剤は接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。




代表的な非選択性葉茎処理剤
グリホサート系
グリホサートは、イネ科、広葉の一年生雑草、多年生雑草、ササ類、雑灌木などほぼすべての草種に有効で、枯らす効果があります。性質は遅効性で効果の発現に3 ~ 7日、そして完全 な効果に10日~ 2カ月ほどを要します。グリホサートは、(茎葉)吸収移行型のため、葉だけでなく、接触した植物の地下茎、根も含めて全体が枯れる効果があるため、根を残したい田んぼの畔や傾斜地には向きません。非選択性のため、畑など農業で使用する場合など、散布の際に、畑の作物にかからないよう注意する必要があります。
また、グリホサートイソプロピルアミン塩よりも、ラウンドアップマックスロードやザッソージエースのような、グリホサートカリウム塩の方が、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい特性があります。
液体の除草剤(液剤)であり、商品によっては、原液を希釈して薄めてジョウロや噴霧器で散布するものと、希釈せずにそのままシャワーヘッド(ジョウロヘッド)等が付属し、すぐに使用できる液剤があります。
また、サンダーボ ルト 007のように、移行性のあるグリホサートに、接触型のピラフルフェンエチルを混合した、速効力と持続力を合わせもつ強力な非選択性茎葉処理型除草剤もあります。ツユクサ類やヒルガオ類 への効果が補強されています。
さらに、早く効いて根まで枯らす除草剤(MCPA入り)やアイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 SJS
の薬剤のように、グリホサートにMCPAを配合した速効性の高い強力な非農耕地用除草剤も存在しています。どちらも非農耕地用除草剤なので、通路や空き地など、人が植えた植物がない場所に使用が限られます。
また、サンフーロン、グリホエースは旧ラウンドアップ のジェネリック品で安価で購入することができます。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | ネコソギロングシャワーV8 | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | |||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | レインボー薬品(株) | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサートイソプロピルアミン塩 + MCPA |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
グルホシネート系
効果の進展はグリホサートよりも早く、1 ~ 3日で効果が発現し、5 ~ 20 日で完全な効果がでる強力除草剤ですが、吸収移行型ではないため、地下部 、つまり根までは枯死せず、雑草・草はグリホサートに比べ、再生しやすい特徴があります。こちらも非選択のため、農業に使用する場合など、散布の際に、農作物にかからないよう注意が必要になります。代表的な製品として、バスタ液剤とザクサ液剤があります。
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
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概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
また、除草のための農機具、農具、草刈機(刈払機)、資材については、こちらをご参考ください。




除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。




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除草剤の安全性について
除草剤については、様々なイメージ、情報が飛び交っています。下記では、そもそも除草剤は安全なのか、また除草剤を使用するときに気を付けたいポイント、また個別の除草剤の安全性について徹底解説しています。