ネコソギシリーズは、レインボー薬品が開発、販売する除草剤ブランドで、粒状タイプのネコソギトップW、ネコソギ、また液状タイプのネコソギロングシャワーV8、ネコソギロングシャワーと様々な種類があります。
ここでは、そもそも除草剤はどういうタイプがあって、どんな効果があるのか、そしてタイプ毎のネコソギシリーズの特徴と使い方、購入方法を解説します。
そもそも除草剤ってどんなタイプがあるの?
発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」があります
まず、除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。
「茎葉処理剤」は、散布された薬剤に接触した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。実際に除草剤を手にとっても、明確に「土壌処理剤」なのか「茎葉処理剤」なのかわからないケースがありますが、そんな時は、「土壌散布」と書かれているものは、「土壌処理剤」、「茎葉散布」と書かれているものは「茎葉処理剤」と判定してもらって間違いありません。
「土壌処理剤」を使用する時期は、雑草が発生する前や、まだ生え揃っていない耕耘後、または播種(定植)前後になります。既に大きくなってしまった雑草や、塊根、塊茎から出ている雑草を枯らすことは期待できません。対して、「茎葉処理剤」は、雑草が発生して育っている時期に使用します。葉や茎にしっかりかかると効果が出るため、あまりにも雑草が繁茂していると、全てにしっかり除草剤がかからず、残ってしまうこともあります。このため、どちらしても、雑草が茂る前に対策することが重要です。それぞれ使用する時期が異なるので、上手く使い分けることが重要です。
非選択性(どんな植物も枯らす)と選択性(特定の植物を枯らす)があります
次に、除草剤は接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。
ネコソギシリーズを種類別に徹底解説!
「非選択性」かつ「茎葉処理剤」
ネコソギシリーズの葉茎処理剤は全てグリホサートイソプロピルアミン塩が含有しているため、グリホサート系の除草剤と言えます。
グリホサートは、イネ科、広葉の一年生雑草、多年生雑草、ササ類、雑灌木などほぼすべての草種に有効で、枯らす効果があります。性質は遅効性で効果の発現に3 ~ 7日、そして完全 な効果に10日~ 2カ月ほどを要します。グリホサートは、(茎葉)吸収移行型のため、葉だけでなく、接触した植物の地下茎、根も含めて全体を枯らす効果があるため、地下茎を生やすスギナやドクダミ、ヨモギなどの多年生雑草に効果テキメンです。逆に根を残したい田んぼの畔や傾斜地には向きません。非選択性のため、商品説明の適用作物名、適用場所をよく確認してください。
ネコソギクイックプロFL (レインボー薬品(株))
成分は、グリホサートイソプロピルアミン塩で、効果は、グリホサートイソプロピルアミン塩の他の製品(ラウンドアップ 、アースカマライズなど)と同様です。また、ピラフルフェンエチルも配合しているため速効性があり、雑草にすぐ効きます。希釈して使用するタイプなので、経済的に使えます。グリホサート にピラフルフェンエチルの組み合わせは、「サンダーボルト007」という商品もあります。
また、適用作物が「樹木類」だけではなく数多くの作物に対応しているので、用途を確認し農耕地でも使用することができるのが他の根こそぎシリーズ商品にはない特徴です。
ネコソギシャワーAL (レインボー薬品(株))
成分は、グリホサートイソプロピルアミン塩のみで、効果は、グリホサートイソプロピルアミン塩の他の製品(ラウンドアップ 、サンフーロン、アースカマライズなど)と同様です。希釈せずにそのままシャワーヘッド(ジョウロヘッド)等が付属し、噴霧器などを使わずとも、すぐに使用できます。使用できる場所は、適用作物が「樹木等」なので「周りに守るべき作物がない場所」(例えば空地や駐車場、植栽が周りにない自宅の庭など)に限定されます。
ネコソギWクイック微粒剤 (レインボー薬品(株))
こちらの商品は液剤ではなく、細粒状です。成分は、グリホサートイソプロピルアミン塩にフルミオキサジンを配合してあり、フルミオキサジンは1日で殺草効果が出る速効性の接触性除草剤のため、グリホサートの遅行を補った強力な除草剤です。そのまま散布できる「らくらく散粒ヘッド」が付属し、すぐに散布できます。使用できる場所は、適用作物が「樹木等」「つつじ類」「つばき類」なのでつつじ、つばき以外の「周りに守るべき作物がない場所」に限定されます。
商品名 | ネコソギクイックプロFL | ネコソギシャワーAL | ネコソギWクイック微粒剤 |
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概要 | |||
有効成分 | グリホサートイソプロピルアミン塩 ピラフルフェンエチル | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 フルミオキサジン |
農耕地使用 | ○ | ✖️ | ✖️ |
希釈する必要 | 有 | 無 | 無 |
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤(液剤)に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出る強力除草剤に変身するので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。
「非選択的」かつ「土壌処理剤」
「土壌処理剤」は効果を最大限発揮させるため、使用する時期は、雑草があまり発生していない、また発生している場合はしっかり草刈り、草取りした後に散布すると良いでしょう。
ネコソギトップW (レインボー薬品(株))
成分はアミカルバゾン、ブロマシルで、粒のまま地面にパラパラ撒くタイプの粒状の除草剤です。除草効果が半年以上という非常に長期間持続するのが特徴です。1~2週間で枯れ始め、30日前後でほとんど枯らすことができ、成分が土壌に一定期間とどまるので、新しい雑草の発生を予防できます。使用できる場所は、適用作物が「樹木等」なので「周りに守るべき作物がない場所」に限定されます。
ネコソギエースV粒剤 (レインボー薬品(株))
成分はヘキサジノン、DBN、DCMUで、粒のまま地面にパラパラ撒くタイプの顆粒除草剤です。除草効果が約4~6ヶ月持続します。1~2週間で枯れ始め、30日前後でほとんど枯らすことができ、成分が土壌に一定期間とどまるので、新しい雑草の発生を予防できます。使用できる場所は、適用作物が「樹木等」なので「周りに守るべき作物がない場所」に限定されます。
ネコソギトップRX粒剤 (レインボー薬品(株))
成分は、ブロマシル、DCMU、MCPPで、特にスギナに効果があるMCPPが配合されているのが特徴です。こちらも除草効果が約4~6ヶ月持続します。そのまま散布できる「らくらく散粒ヘッド」が付属し、すぐに散布できます。使用できる場所は、適用作物が「樹木等」なので「周りに守るべき作物がない場所」に限定されます。
商品名 | ネコソギトップW | ネコソギエースV(粒状) | ネコソギトップRX粒剤 |
---|---|---|---|
概要 | |||
有効成分 | アミカルバゾン ブロマシル | ヘキサジノン DBN DCMU | ブロマシル DCMU MCPP |
農耕地使用 | ✖️ | ✖️ | ✖️ |
「非選択的」かつ「葉茎処理剤」+「土壌処理剤」 (ハイブリッド型)
ハイブリッド型は「葉茎処理剤」の既に生えた雑草を枯らす力と、「土壌処理剤」の雑草の発芽、繁殖を抑える力の二つの要素を併せ持つタイプです。
ネコソギロングシャワーV8 (レインボー薬品(株))
成分は、グリホサートイソプロピルアミン塩とブロマシル、メコプロップPカリウム塩液剤になります。グリホサート、メコプロップPカリウム塩の根、地下茎まで枯らす非選択性葉茎処理力を有しつつ、土壌処理剤としてブロマシルの力を合わせ持ちます。ロングシャワーという名称が示す通り、ネコソギシリーズ史上、最長8ヶ月と最も除草効果が持続する商品になります。希釈せずにそのままシャワーヘッド(ジョウロヘッド)等が付属し、噴霧器などを使わずとも、すぐに使用できる液剤があります。なお、使用できる場所は適用作物が「樹木等」なので、「周りに守るべき作物がない場所」に限定されます。
まとめ
以上のように、ネコソギシリーズは、性質や機能、成分によって様々な種類があることがわかりました。ネコソギシリーズは全て農薬登録されており、全て毒物、毒劇物に該当しない「普通物」の認定を受けていますので、安心して使用できます。ただし、農薬ですので使用する際は必ず、手袋、軍手にマスク、そして長靴を身に付け、周囲に配慮して使用するようにしましょう。
ここで紹介した除草剤は、カインズ(カインズホーム)やコーナンといった大手のホームセンターで手に入る商品です。どれにしようかと悩まれている方は、お近くのカインズなどのホームセンターの資材、園芸コーナーで実物を手にとってみることをお勧めします。