100均のダイソーの園芸売り場に置かれているダイソーオリジナルの除草剤。「そのまま使える除草剤」と、「そのまま使えるお酢の除草剤」があります。ここでは、ダイソー除草剤のそれぞれの成分の内容と特徴、効果を徹底検証していきます。
ダイソーの除草剤の種類
ダイソー除草剤には下記の2種類があります。ここでは、ダイソー除草 剤それぞれの内容と特徴をみていきます。
そのまま使える除草剤(ストレートタイプ)

この商品は希釈して薄めて使うタイプではなく、そのままストレートで雑草に散布するタイプです。キャップがシャワーキャップになっているので、散布もやり易い設計になっています。

そのまま使える除草剤(ストレートタイプ)の成分と特徴
成分を見ると、「グリホサート」ではなく、「グルホシネート」になっています。
「グルホシネート」とは、アミノ酸系の除草剤で、植物のグルタミンの生成とアンモニアの解毒に必要な酵素であるグルタミンシンテターゼを阻害します。この結果、植物を枯らしてしまいます。
このような、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して、枯らしてしまうタイプの代表的な薬剤は、グルホシネートの他に、グリホサート系、スルホニルウレア系(ベンスルフロンメチル、イマゾフルフロン、ピラゾスルフロンメチルなど多数)、非選択性接触型のアミノ酸系(ビアラホスなど)があります。
グリホシネートは、イネ科、広葉の一年生雑草、多年生雑草、ササ類、雑灌木など、スギナやドクダミ、竹など頑固な雑草含め、ほぼすべての草種に有効で、枯らす効果があります。性質は速効性で効果の発現に2 ~ 5日、そして完全な効果に5日~ 20日ほどを要します。
これはグリホサート系よりも速効性があるということで、私たちの圃場で実験してみましたが、下記のように、グルホシネートの方がより顕著に褐色化し、枯れ葉(枯葉)になっているのがわかります。


そのまま使える除草剤(ストレートタイプ)の注意点
非選択性除草剤のため、水稲が残る水田や、定植後、枯らしたくない作物が残る農地、農耕場所、菜園には向かず、農業に使用する場合は散布の際に、作物にかからないよう注意する必要があります。
また、グルホシネートは速効性はあるものの、根や地下茎までは枯らし切ることはできず、また生え易いというデメリットがあります。このため、多年生雑草など、根が地下に多い、また地下茎が発達し易い雑草が多い場所で、地下茎、根をしっかり枯らしたい場合は、グリホサート系の除草剤の方がおすすめです。
グリホサートとグルホシネートの詳しい説明は是非下記を参考にしてみてください。


さらに、この製品は「非農耕地用」になっている点に注意です。「非農耕地用」の除草剤は、畑や田んぼ、菜園、植物を植えた庭などには使えないので注意してください。

そのまま使える除草剤(ストレートタイプ)の濃度は大丈夫?
この商品はストレートタイプなので、グルホシネートの濃度が充分かどうか、確認してみました。
当商品はグルホシネート含有率0.09%です。グルホシネートの製品で最もメジャーなのがバスタですが、バスタはグルホシネート含有率18.5%で通常200倍に希釈して使用するので、18.5%/200で、0.0925%になり、結論として当商品の濃度は、バスタの希釈率200倍のものとほぼ変わらないと言えるでしょう。
このため、通常のグルホシネート系除草剤と同様に使えますが、ドクダミやクズ、ヤブガラシ、スギナなどの強い繁殖力をもつ多年草に対しては、1.5〜2倍の濃度がより良いとされています。このような多年草が目立つ場合は、より多く散布するか、バスタなどの原液を購入して、高濃度で散布するようにしましょう。
お酢の除草剤


お酢の除草剤の成分と特徴
この商品はその名の通り、お酢(食酢)を成分にしたもので、希釈せずにそのまま使用できます。薄めて使うタイプもあります。
お酢は強烈な酸性で、その酸の力でかけた場所の植物を枯らすことができます。食酢は農薬取締法により安全性が認められた特定防除資材(特定農薬)で、自由に使用が可能で、人体にも安全です。こちらも、ツユクサ、センダングサ、メヒシバ、エノコログサ、ヤハズソウ、ヒメジョオン、ヒメムカシヨモギ、コニシキソウなどの一年生雑草、カタバミ 、ヨモギ 、クズ、ドクダミ、タンポポ、セイタカアワダチソウ、ギョウギシバ、ウラジロチチコグサ、スギナなどの多年生雑草、またゼニゴケと、幅広い雑草へ効果が期待できます。酸の力でどんな植物でも枯れるため、枯らしたくない植物に飛散しないよう注意してください。
ただし、散布され、付着した箇所にだけ効果が出るので、グリホサート系除草剤のように、地中の根や地下茎まで吸引して枯らすことはできません。地下茎などが厄介なスギナやドクダミが目立つような場合は、ラウンドアップマックスロードやサンフーロンのような、グリホサート系除草剤の使用をおすすめします。
ダイソーのお酢の除草剤については詳しい記事があります。


その他、ベラルゴン酸やお酢を使った除草剤について詳しく知りたい方は、下記を参考にしてみてください。
まとめ
ダイソーの除草剤は、グルホシネート系の非選択性葉茎除草剤と、お酢を成分にした除草剤ということがわかりました。どちらもストレートタイプなので、薄めずに使えるのが便利ですし、何より安いので、試せるのが魅力です。かと言っても除草剤なので、使用時はしっかりマスク、ビニール手袋、長靴を装着するようにしましょう。
毎年雑草を抜いたり、刈ったりするのは大変です。是非、庭木にかからないようにして、お庭の除草に活用してみましょう。このほか、除草について下記に補足を載せますで、興味ある方は是非ご参考にしてください。
(補足)除草剤あれこれ
除草剤のタイプは、以下に分かれます。
「土壌処理剤」と「茎葉処理剤」
まず、除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。
「茎葉処理剤」は、散布された薬剤に接触した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。実際に除草剤を手にとっても、明確に「土壌処理剤」なのか「茎葉処理剤」なのかわからないケースがありますが、そんな時は、「土壌散布」と書かれているものは、「土壌処理剤」、「茎葉散布」と書かれているものは「茎葉処理剤」と判定してもらって間違いありません。
「土壌処理剤」と「茎葉処理剤」 使う時期は違うの?
「土壌処理剤」を使用する時期は、雑草が発生する前や、まだ生え揃っていない耕耘後、または播種(定植)前後になります。既に大きくなってしまった雑草や、塊根、塊茎から出ている雑草を枯らすことは期待できません。
対して、「茎葉処理剤」は、雑草が発生して育っている時期に使用します。
葉や茎にしっかりかかると効果が出るため、あまりにも雑草が繁茂していると、全てにしっかり除草剤がかからず、残ってしまうこともあります。このため、どちらしても、雑草が茂る前に対策することが重要です。それぞれ使用する時期が異なるので、上手く使い分けることが重要です。
非選択性か選択性か
次に、除草剤は接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。
光合成を阻害して枯らすもの
植物は、生長するために光合成を行い、空気中の二酸化炭素(炭酸ガス)と水に光のエネルギーを加えて炭水化物を生成し、酸素を放出する機能を有していますが、その中の光が関与する明反応の部分を阻害して、枯らす作用のタイプです。代表的な薬剤として、トリアジン系(CAT、シメトリンなど)、酸アミド系(ジフルフェニカンなど)、尿素系(DCMUなど)、ダイアジン系(ベタゾンなど)、ダイアゾール系がこれに当たります。
植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの
植物の生長に必要なオーキシンというホルモンの類を施用して、主に広葉の雑草の生長のリズムを撹乱(かく乱)し、整体機能を衰退させることで枯らしてしまうタイプです。代表的な薬剤として、フェノキシ系(2,4PA , MCPなど)がこれに当たります。
植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすもの
植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して、枯らしてしまうタイプです。代表的な薬剤として、スルホニルウレア系(ベンスルフロンメチル、イマゾフルフロン、ピラゾスルフロンメチルなど多数)、除草剤として最も使われている非選択性接触型のアミノ酸系(グリホサート、グルホシネート、ビアラホスなど)がこれに当たります。
「非選択性」かつ「茎葉処理剤」の代表的な除草剤
グリホサート系
グリホサートは、イネ科、広葉の一年生雑草、多年生雑草、ササ類、雑灌木などほぼすべての草種に有効で、枯らす効果があります。性質は遅効性で効果の発現に3 ~ 7日、そして完全 な効果に10日~ 2カ月ほどを要します。グリホサートは、(茎葉)吸収移行型のため、葉だけでなく、接触した植物の地下茎、根も含めて全体を枯らす効果があるため、根を残したい田んぼの畔や傾斜地には向きません。非選択性のため、農業に使用する場合など、散布の際に、作物にかからないよう注意する必要があります。
また、グリホサートイソプロピルアミン塩よりも、ラウンドアップマックスロードやザッソージエースのような、グリホサートカリウム塩の方が、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい特性があります。
液体の除草剤であり、商品によっては、原液を希釈して薄めて使用する必要があるものと、希釈せずにそのままシャワーヘッド(ジョウロ)等が付属し、噴霧器などを使わずとも、すぐに使用できる液剤があります。また、サンダーボ ルト 007のように、移行性のあるグリホサートに、接触型のピラフルフェンエチルを混合した、速効力と持続力を合わせもつ強力な非選択性茎葉処理型除草剤もあります。ツユクサ類やヒルガオ類 への効果が補強されています。
さらに、早く効いて根まで枯らす除草剤(MCPA入り)やアイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 SJS
の薬剤のように、グリホサートにMCPAを配合した速効性の高い強力な非農耕地用除草剤も存在しています。どちらも非農耕地用除草剤なので、通路や空き地など、人が植えた植物がない場所に使用が限られます。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | グリホエース | ネコソギロングシャワーV8 | アースカマイラズ | カダン 除草王 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | ||||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | (株)ハート | レインボー薬品(株) | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサートイソプロピルアミン塩 + MCPA |
農耕地使用 | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ほぼ✖️ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
グルホシネート系
効果の進展はグリホサートよりも早く、1 ~ 3日で効果が発現し、5 ~ 20 日で完全な効果がでる強力除草剤ですが、吸収移行型ではないため、地下部 、つまり根までは枯死せず、雑草・草はグリホサートに比べ、再生しやすい特徴があります。こちらも非選択のため、農業に使用する場合など、散布の際に、農作物にかからないよう注意が必要になります。代表的な製品として、バスタ液剤とザクサ液剤があります。
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
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概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
「選択性」かつ「茎葉処理剤」の代表的な除草剤
ナブ乳剤・ホーネスト乳剤
成分 セトキシジム、テプラロキシジム
スズメノカタビラを除く一年生イネ科雑草、多年生イネ科雑草に対して高い効果を発揮します。逆にイネ科雑草専用剤なので広葉植物には効きません。この特性を活かして、ダイズやジャガイモの畑に全面散布して、メヒシバやヒエ類などのイネ科雑草だけを枯らすことができます。
バサグラン液剤・アクチノール乳剤
成分 ベンタゾンナトリウム塩・アイオキシニル
ナズナやハコベ、イヌタデ、アメリカ センダングサなどの一年生広葉雑草に 高い効果を示しますが、イネ科雑草およびヒユ類などには効果が劣るため、水稲・稲作の農家の方に使い勝手の良い除草剤です。
シバキープエースシャワー (レインボー薬品(株))
成分 アシュラム(酸アミド系)、MCPP(フェノキシ酸系)
一年生イネ科雑草と多年生広葉雑草 に効果のある、芝生用の液体除草剤です。芝生に生える雑草の中でも難防除で ある、シロツメクサ、カタバミ、ヤブガラシ、メヒシバ、 スズメノカタビラにも高い除草効果を発揮します。
商品名 | ナブ乳剤 | ホーネスト乳剤 | バサグラン液剤 |
---|---|---|---|
概要 | |||
販売元 | クミアイ化学工業(株) | クミアイ化学工業(株) | クミアイ化学工業(株) |
有効成分 | セトキシジム | テプラロキシジム | ベンタゾンナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ |
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。また、展着剤を使って効果を上げる方法もあります。




また、除草のための農機具、農具、草刈機(刈払機)、資材については、こちらをご参考ください。




除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。




雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。
除草剤の安全性について
除草剤については、様々なイメージ、情報が飛び交っています。下記では、そもそも除草剤は安全なのか、毒性や土壌への残留についてのモンサントの説明、また除草剤を使用するときに気を付けたいポイント、また個別の除草剤の安全性について徹底解説しています。