ゴーゴーサンとは?
ゴーゴーサン乳剤、ゴーゴーサン細粒剤Fは、BASF社が開発したジニトロアニリン系の除草成分ペンディメタリンを有効成分とする、主に畑作に使う除草剤です。
ゴーゴーサンは土壌処理剤なので、地表面に安定した処理層を形成して、一年生イネ科雑草から一年生広葉雑草まで幅広い雑草種を長期にわたり抑えてくれます。
ゴーゴーサンの有効成分、性状
- ペンディメタリン・・・30.0%(ゴーゴーサン乳剤)、2.0%(ゴーゴーサン細粒剤F)
ペンディメタリンは、ジニトロアニリン系の除草剤で、雑草の生長点の細胞分裂・細胞伸長を阻害することによって、雑草の生長を抑制し、除草します。
性状は、乳剤が暗褐色澄明可乳化油状液体、細粒剤Fが黄色細粒および微粒(粒径180~710μm)になります。
ゴーゴーサンの特長
ゴーゴーサンは土壌処理剤で、土壌に1cmほどの処理層を作って、雑草の種子の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があります。45~60日間と長期間、雑草の発生を抑える効果があります。
最大の特徴は一年生イネ科雑草、広葉雑草、両方に効果を示す点と、45〜60日間と長期間効果が持続することです。
土壌処理剤はいかに均一に土壌に散布し、処理層の膜を作れるかが重要です。ゴーゴーサン乳剤は水溶解度が小さく,空気中への揮散が少ないこと、またゴーゴーサン細粒剤Fは見かけ比重が大きいため、他の顆粒剤と比べて風の影響を受けにくく、均一に散布しやすいという特長があります。
使用するときに注意したい点
時期
ゴーゴーサンは土壌処理剤なので、草丈20〜30cm以上、雑草が生長している場合は、効き目が急激に弱くなります。効果を出すためには「使用時期」をしっかり守るようにしましょう。ゴーゴーサンの「使用時期」は、「播種(は種)後出芽前」「植付前、定植前」を基本としています。
効果・薬害・毒性
ゴーゴーサンは以下のように、幅広い「適用作物」と「適用雑草」に対応しています。
種類 | 適用作物 |
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ゴーゴーサン乳剤 | ハクサイ,キャベツ,レタス,非結球レタス,タマネギ,ネギ,ニラ,カボチャ,サトイモ,ジャガイモ,ヤマノイモ,サツマイモ,ニンニク,コンニャク,ラッカセイ,トウモロコシ,陸稲,ムギ類,食用ギク,ソルガム,カリフラワー,アスパラガス,ミシマサイコ,キク,ラッキョウ,トリカブト,ウド,オケラ,リンドウ,チューリップ,クワ,ナシ,ブドウ,リンゴ、スギ(床替床),ヒノキ(床替床) |
ゴーゴーサン細粒剤F | ムギ類,陸稲,ニンジン,ソルガム,トウモロコシ,ラッカセイ,サトイモ,ジャガイモ,キャベツ,ニンニク,タマネギ,ネギ,コンニャク,クワ,ミシマサイコ,ハクサイ,レタス,パセリ,アスパラガス,チューリップ,ツツジ類 |
種類 | 適用雑草 |
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ゴーゴーサン乳剤 | 一年生雑草全般 |
ゴーゴーサン細粒剤F | 一年生雑草全般 |
下記の有効成分を含む農薬の総使用回数(年限)は以下の通りなので、使用回数には注意してください。
- ペンディメタリン 1〜3回
ペンディメタリンの使用可能回数(年限)は、適用作物によって変わってきます。ほとんどの適用作物は「1回」ですが、桑や里芋のように場合によっては2回以上の使用が認められるものもあります。適用作物をよく確認するようにしましょう。
また、ゴーゴーサンは、ダイズ,インゲンマメ,アズキでは地際の膨化などの薬害が生じるおそれがあることや、キャベツのセル成型苗には薬害が発生する可能性があるので、使用しないようにしましょう。必ず「適用作物」を確認するようにしてください。
効果を高めるために
ゴーゴーサンのような土壌処理剤は、撒く土壌はできるだけ湿っていたほうが、処理層がしっかり形成されるので効果が持続しやすくなります。雨上がりに散布できるとベストです。また、地面への活着も良いので、斜面でも効果を発揮します。広範囲に散布する場合は、散布機やスプレイヤーがあると便利です。
土壌処理剤はいかに均一に土壌に散布し、処理層の膜を作れるかが重要です。できるだけ砕土を細かくし、播種後の土壌表面を均平に整えるようにしましょう。特に水田転換畑は耕起時に大きな土塊ができやすいので、時に注意してください。
また、土壌処理剤は約1cmの処理膜を土壌表面に張るので、作物の種子は処理層の影響を受けないように、覆土は丁寧に行い、十分な深さ(具体的には2〜3cm以上の深度を厳守)をとるようにしましょう。
また、降雨が激しい時に散布すると、薬剤が土中に浸透し、作物に影響を与えてしまう可能性があります。このため、散布中、散布後に降雨が予想される時は、使用を控えてください。
ゴーゴーサンはキク科の雑草(ノボロギクなど)やツユクサに対しては、効果が劣ります。キク科雑草に困っている場合は、グリホサート系やグルホシネート系の非選択系除草剤などを使用する必要があります。その場合は、下記を参考にしてみてください。
その他
除草剤全般の使用する際は、服装等、注意することがあります。下記記事に詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
まとめ
除草剤を上手に使うことで害虫の発生を減らし、殺虫剤の使用量を抑えることができます。田んぼに生えてくる雑草、また全般的な防除方法や除草道具については、下記を参考にしてみてください。
(補足)除草剤あれこれ
農耕地で使用できるものとできないものがあります
ラウンドアップやサンフーロン、バスタは、畑作や果樹園などの田畑、農耕地で使用することができますが、グリホエースなど、グリホサート系除草剤でも農耕地で使用できないものもあるので、使用の際は必ず確認するようにしましょう。
具体的には、農薬取締法に基づき国に農薬登録をされている除草剤(農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています)しか、畑や田んぼ、菜園、植物を植えた庭などの所謂「農耕地」に散布することはできません。
下記に詳しく書いているので、興味ある方は読んでみてください。
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。また、展着剤を使って効果を上げる方法もあります。
除草剤の希釈方法について
液体の原液の除草剤や液肥、薬剤は、水で希釈して薄めて使用する必要があります。下記では、展着剤、乳剤、水和剤などの希釈方法や、面倒な希釈倍率、水量、液量の計算を楽にする方法を説明しています。
除草剤の種類あれこれ
発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」か
除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽、生育を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。
また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。
しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。「茎葉処理剤」は、散布された薬液に接触、吸着した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。
非選択性か選択性か
次に、除草剤は接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。
また、除草のための農機具、農具、草刈機(刈払機)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。
雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。
除草剤の安全性について
除草剤については、様々なイメージ、情報が飛び交っています。下記では、そもそも除草剤は安全なのか、また除草剤を使用するときに気を付けたいポイント、また個別の除草剤の安全性について徹底解説しています。