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果菜類栽培野菜の栽培

読めば流れがわかる!トウモロコシ(とうもろこし)の基礎知識と栽培方法の基本

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収穫されたトウモロコシ 果菜類

トウモロコシ(とうもろこし)は、野菜の中でもでんぷん質、糖質が多く含まれており、甘くて美味しいことから家庭菜園での栽培も人気の作物です。特に、夏場の栽培作物としてとても育てやすく、一番美味しいもぎたてを食べたい方がよく育てられている印象です。また、食物繊維が多く、胚芽にはビタミンB1、B2、ビタミンE、リノール酸が含まれており、栄養面でも優れた野菜です。

トウモロコシは、英名でCorn(コーン)と呼ばれます。日本名では別名としてトウキビ(トーキビ)なんて言われたりもしますよね。品種もさまざまあり、家畜の飼料用の品種系統、人の食用の品種系統などがあります。人の食用としては、スイートコーンやポップコーン(爆裂種の品種)があります。

この記事では、トウモロコシの基礎知識や栽培の方法の基本、重要事項、注意点などについて解説します。記事が長いため、目次を見て必要な部分から読み進めてください。

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トウモロコシの基礎知識

作物名科目原産地育てやすさ種の価格
(円/1粒)
苗の価格
(円/1苗)
収穫までの日数
(目安)
栽培できる地域作型栽培方法土壌酸度
(pH)
連作障害発芽適温(地温)生育適温日当たり光飽和点
トウモロコシイネ科メキシコからアメリカ北部★★★★★0.6円〜20円程度200円〜400円程度播種後、約90日前後全国夏どり
(気候によって収穫時期は前後)
露地栽培5.5〜7.0なし25〜30℃20〜30℃日なた100klx程度

トウモロコシは、イネ科トウモロコシ属の1年生植物です。原産地はメキシコからアメリカ北部地方とされており、世界三大穀物の一つとして挙げられています。日本では16世紀終わり頃から全国へ伝わったとされています。

トウモロコシ栽培のポイント

  • 高温、多日照の環境を好みます。光飽和点も十分に高いため、日照に当たれば当たるほど生長が良くなります。
  • 正常に受精させるための適温は、12℃〜35℃程度です。あまりにも涼しい地域や季節の栽培は向いていないです。
  • 吸肥力(肥料を吸う力)が野菜の中ではかなり強いほうで、肥沃な土壌のほうがよく育ちます。特に味が良い品種は草勢がそこまで強くないため、生育前半から追肥が必要となってきます。
  • 受粉、受精がよくできるように、同じ品種をまとめて栽培しましょう。異なる品種を近くに植えて栽培したりすると、交雑してしまい本来の品種特性(味が良いとか、色が白いとか)が出ないことになります。
  • どうしても複数品種を栽培したい場合には、栽培場所を離すか、栽培時期をずらす必要があります。
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トウモロコシ栽培のスケジュール

発芽適温生育適温
25〜30℃20〜30℃
トウモロコシの発芽適温と生育適温

各地域ごとに合わせて考えたトウモロコシ栽培スケジュールです。前提として、外気温が発芽適温、生育適温に近い気温になる栽培スケジュールを選択して、栽培をしてください。育苗をセルトレイで実施する場合は、上記の直まきのスケジュールよりも早く苗を作ることができるため、収穫時期を前倒しすることができます。

関東の直まきの場合は、5月頃に播種をして、7月下旬〜8月頃に収穫するイメージです。セルトレイを使用して苗を育苗する場合は、ビニールトンネルを使うことで加温・保温ができるため、1ヶ月程度早めに播種・育苗をして、収穫時期も前倒しすることができます。

その他の地域(北海道、九州など)では、上記の発芽適温、生育適温に適合している期間を選んで、播種、栽培をすれば問題はありません。また、品種(早生なのか、中早生なのか)によっても、栽培適期が異なりますので、品種選びの際には注意してください。

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トウモロコシ栽培の流れ・栽培方法

トウモロコシ栽培の流れは、下記のようになります(関東の直まき露地栽培の目安)。下記は、播種をして収穫まで栽培する流れとなっています。先述したように、地域によって気候などが変わりますので、そのときに合った栽培スケジュールを立てて、同じような流れで栽培してください。

トウモロコシ栽培の流れ

トウモロコシ栽培の土作り・畝立て

美味しいトウモロコシを収穫するためには土作りが重要です。土作りは、4週間くらい前、遅くとも植え付けの2週間前には行いましょう。トウモロコシは、比較的土壌を選ばない植物ですが、吸肥力が非常に強いため、堆肥化成肥料を使って土壌を肥沃にする必要があります。また、土壌酸度があまりにも酸性側に傾いてしまうと、適正土壌酸度から外れてしまうため、石灰質肥料(苦土石灰など)による土壌酸度のアルカリ性側への矯正も必要となってきます。

トウモロコシ栽培の土作り
  • 植え付けの3〜4週間前
    石灰質肥料の散布、耕うん

    植え付け(定植)予定の3〜4週間前に苦土石灰や炭酸カルシウム(炭酸石灰)などをまいて、耕しましょう。

  • 植え付けの1〜2週間前
    堆肥、元肥の散布、耕うん

    植え付け予定の1週間前には完熟堆肥(牛ふん堆肥、豚糞堆肥、鶏糞堆肥など)と元肥(緩効性肥料有機質肥料など)をまいて再度よく耕します。

植え付けの3〜4週間前には石灰質肥料を散布する!

植え付けの3〜4週間前には石灰質肥料を全面散布しましょう。トウモロコシ栽培の土作りは、主に下記の石灰質肥料を使用します。

  • 苦土石灰
  • 炭酸カルシウム(炭酸石灰)

一般的に、カルシウム(石灰)とマグネシウム(苦土)を補給し、酸性土壌を矯正するために苦土石灰を施用することが多いです。炭酸カルシウムは、マグネシウム(苦土)が含まれていませんので、硫酸苦土などのマグネシウムが含まれている資材と合わせると効果的です。

どちらの資材も土壌を酸性からアルカリ性寄りに矯正してしまうので、使用する際には土壌酸度(pH)にも気を使ってください。トウモロコシの適正土壌酸度は、「トウモロコシの基礎知識」を参考にしてください。

下記に石灰質肥料の施用目安量を記載しますので参考にしてください。

肥料施用目安量(1平方メートル当たり)
苦土石灰70g

播種(種まき)の1〜2週間前には堆肥・元肥を散布する!

種まきの1〜2週間前には堆肥と元肥を全面散布しましょう。トウモロコシ栽培の土作りは、主に下記の肥料を使用します。

下記にそれぞれの施用目安量の例を記載しますので参考にしてください。また、散布したあとは軽くすき込んで馴染ませましょう。

肥料(全種類施用)施用目安量(1平方メートル当たり)
堆肥3kg程度
緩効性化成肥料150g程度

グラムの目安は、下記を参考にしてください。

種類大さじ1杯小さじ1杯一握り
堆肥約100g
化成肥料約15g約5g約30g
苦土石灰約20g約8g約40g
油かす約20g約8g約40g
草木灰約30g

土作りが終わったら畝立て

土作りが終わったら畝立てをしましょう。1畝2条(2列)の場合の畝の大きさ、形状は下記を参考にしてください。トウモロコシ栽培においては、受粉、受精がしやすいように、1畝2条(2列)や1畝3条(3列)にします。近くに複数の株があると、雄穂(トウモロコシの先端、雄花)の花粉が雌穂(雌花)に付きやすくなるので可能な限り多くの本数を同時に栽培することをおすすめします。

畝幅(2条)畝間畝高条間(列間)株間
90cm60cm5〜10cm程度50〜70cm程度30cm程度

また、畝立てが終わったら黒色のポリフィルムでマルチ張り(マルチング)をしましょう。トウモロコシ栽培の場合、マルチ張りをすると土壌水分、地温が保ち、約半月ほど生育が早まります。

マルチ張り(マルチング)

トウモロコシの播種(種まき)

トウモロコシは、本圃(実際に栽培する圃場)にそのまま播く直まきの方法と、セルトレーなどで育苗して本圃に植え付ける方法があります。

直まきの場合

直まきの場合、マルチングした畝に穴をあけて直接、種をまきます。穴の間隔は、上記で示した株間・条間の数値を参考にあけてください。穴をあけた場所を2〜3cmほど掘り、そこに3粒ほど種をまきます。種をまいたら、その上に土を戻しましょう。必要以上に土を盛る必要はありません。種まきをしたら、優しく水をかけてあげましょう。

セルトレーなどで育苗して植え付ける場合

苗を植え付けする場合は、まずセルトレーに種まきをして苗を育てる必要があります。

セルトレーなどへの播種(種まき)は、植え付けの20日前くらいを目安にやりましょう。セルトレーは一般的なもので構いません。栽培規模にもよりますが、家庭菜園の畑や小規模な畑では72穴程度のものがよいと思います。根巻き防止のものもありますので、参考にしてください。培土は、種まき用の培養土で問題ありません。

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セルトレーにまくときは、1穴に1粒です。深さは1cm程度で良いでしょう。気温が低い時期はビニールトンネルを用意して、保温してあげると発芽しやすい環境となります。ポットの場合は、1ポットに3粒程度で良いでしょう。

種まきをしたら、優しく水をかけてやりましょう。その後も土壌の表面が乾いていれば水やりをしてください。

育苗した苗は、本葉3〜4枚程度になったら植え付けしましょう。植え付けのタイミングを遅くすると徒長気味になってしまいます。植え付けるときは、直まきと同様、穴を掘り植え付けます。穴は、上記で示した株間・条間の数値を参考にあけてください。

トウモロコシの間引き

草丈が10〜15cm程度まで伸びてきたら、間引きしてやります。1穴に1本になるように間引きしましょう。間引きするときは、根から引っこ抜いてしまって構いません。ただし、残す株にダメージが及ばないように抜いてあげましょう。抜くのが難しい場合は剪定バサミなどで切ってあげても良いでしょう。

育苗した苗を植え付けした場合は、もともと1本しかありませんので間引きの必要はありません。

トウモロコシ栽培の管理作業(手入れ作業)

トウモロコシ栽培の管理作業(手入れ作業)には、主に4つの作業があります。

  1. 追肥(施肥)・土寄せ・水やり
  2. 雌穂の整理
  3. 除草・病害虫管理

追肥(施肥)・土寄せ・水やり

追肥は、栽培期間中に3回程度やると良いでしょう。下記のタイミングで実施してください。水やりについては、主に開花から収穫するまでの間に水分を多く必要としますので、乾いていれば適宜潅水をしてあげてください。

追肥1回目:草丈が50cm程度になったとき

草丈が50cm程度に伸びた頃に、マルチをめくって株元に肥料を施します。施肥量は、下記を目安にしてください。肥料を施したら、まいた肥料が隠れる程度に通路側の土を寄せます(土寄せ)。

肥料(全種類施用)施用目安量(畝の長さ1m当たり)
化成肥料30g程度
油かす60g程度

このとき、フィルムによるマルチを剥いでしまってもかまいません。また、敷わらなどの有機マルチ資材を株元に敷いてあげることも有効です。その圃場、気候で、どのやり方が合っているか、いろいろ試してみてください。

追肥2回目:雌穂が出始めたとき

雌穂が出始めたら、1回目と同様のやり方で追肥します。施肥量は、下記を目安にしてください。土寄せも忘れずに行いましょう。

肥料(全種類施用)施用目安量(畝の長さ1m当たり)
化成肥料30g程度

追肥3回目:雌穂の受粉の終わり頃

雌穂の受粉が終わりかけの頃に、2回目と同様のやり方で3回目の追肥を行います。施肥量は、2回目と同じで問題ありません。土寄せも忘れずに行いましょう。

雌穂の整理

トウモロコシは、複数の雌穂を付けて生長していきますが、栄養分を集中させるために1つの雌穂だけを残して他のものは摘除(摘果)してあげましょう。雌穂の整理のタイミングは、1番上の雌穂の絹糸(ヒゲ、毛)が出始めた頃に実施します。

大きな雌穂だけを残して、下のほうの小さな雌穂は取り除きます。基本的には1番上にある雌穂が1番状態が良いものになりますので、それ以外は取り除くイメージで大丈夫です。このとき、株元の脇芽はそのままにしましょう。株元の脇芽は、光合成をしてくれる重要なエネルギー源となります。

摘除した雌穂は、小さいものはヤングコーンとして食しても良いでしょう。ただし、以下の場合は控えてください。トウモロコシとヤングコーンは全く別の作物なのです。

  • トウモロコシ適用の農薬などを散布した場合
  • 食用として販売する場合
家庭菜園など株数が少ない場合は人工受粉がおすすめ

家庭菜園など小さな畑で2本程度しか育てない場合は、人工受粉することをおすすめします。株数が少なければ少ないほど、自然受粉は難しいです。人工受粉は、雄穂(トウモロコシの先端の雄花)を切り取って、雌穂の絹糸(ヒゲ、毛)にこすり付けることでできます。

除草・病害虫管理

放っておくと畝の周りに雑草が生い茂ってきます。雑草は、害虫生息の温床にもなるので、こまめに抜き取ることをおすすめします。小さい面積の場合は手や鎌で、広い面積の場合は背負式の草刈り機などで行うと良いでしょう。また、畝の通路に防草シートを敷くことや農耕地用除草剤を使用することも有効です。

農薬、農耕地用の除草剤を使用する場合には、必ず適用作物を確認しましょう。ラベルに記載がない場合には使用不可です。また、使用するときには濃度、使用量を必ず守りましょう。

トウモロコシの場合は、追肥・土寄せのタイミングで畝間を耕して雑草も除去すると良いでしょう。また、鳥害(鳥が実を食べる被害)も起きやすいので防鳥ネットか、防虫ネットを設置すると良いでしょう。倒伏(トウモロコシが倒れて折れる)ことも防いでくれます。

病害虫と聞くと少し怖いですよね。しかし、病害虫に対して適切に防除することでまん延を防ぐこともできます。

特に、害虫であるアワノメイガの幼虫が雄穂(雄花)から雌穂に移動し、雌穂の実を食べてしまう食害が多いです。一番の防除は、雄穂を切り取ってしまうことです。それが難しければ、殺虫剤(農薬)を使用しましょう。幼虫は見つけ次第、処分しましょう。コンパニオンプランツを近くに植えることも有効です。

症状などと照らし合わせながら、適切な対処を行いましょう。「トウモロコシ栽培の生理障害・病害虫管理」に生理障害、病害虫の対処方法をまとめました。

トウモロコシの収穫

トウモロコシは、播種後90日前後、開花後20日前後で収穫適期を迎えます。絹糸(ヒゲ、毛)が茶色に地縮れてきた頃が収穫のタイミングです。雌穂を掴んでみると、中に実がしっかりと詰まっていれば手応えがあると思います。手で掴んでそのまま元からもぎ取りましょう。下に倒してからねじると取れやすいと思います。

収穫期を過ぎたものは固くなり美味しくなくなりますので、適期は逃さないようにしてください。収穫したものは時間が経つにつれて甘みがなくなってきますので、早いうちに召し上がることをおすすめします。もし、すぐに食べることができない場合は茹でておきましょう。

また、茎付きで収穫することも鮮度を保つ一つの方法です。茎付きで収穫する場合は、雌穂が付いている部分から切り倒してしまいましょう。茎や葉などの残渣はすき込んでおくか、処分しましょう。

甘みや旨味がウリの野菜の収穫は基本的に「早朝」に行うのが良いです。なぜなら、野菜などの植物は夜に糖分をため込むためです。そして、追熟が必要な作物以外は、その日のうちに食べるのがベストです!

トウモロコシ栽培の生理障害・病害虫管理

トウモロコシを栽培していると、いろいろなトラブルが発生します。しかし、適切な対処方法を知っていれば慌てる必要はありません。代表的な生理障害と病害虫への対処方法を説明していますので、参考にしてください(準備中)。

執筆者・監修者情報
執筆者・監修者

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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