おがくずは養豚場などの家畜の糞尿に脱臭効果が高く、よく利用されていますが、肥料としても使用している農家の方もいらっしゃいます。
しかし、おがくずは単純に土壌に混ぜればいい、というわけにはいかず、肥料に使うには注意が必要な原料です。この記事では、おがくず肥料の特長、また使用にあたっての注意点をご紹介します。
おがくず(大鋸屑)とは
おがくずはノコギリやチェーンソーなどで木材を加工するときに発生する細かい木くず(木屑)のことを言います。製材所、木材加工所などでは大量に発生します。消臭効果があるため、養豚場や牧場などで見かけた方も多いのでは。カブトムシの飼育にもよく使われます。
おがくずを肥料に使うときの注意点
このように林業が盛んな地域では、おがくずはたくさん発生するため手に入りやすいので、出来れば肥料として再利用したいニーズは当然あるでしょう。ただし、おがくずはもともと木材が細かくなっただけのものなので、肥料として利用するには以下の注意点に気をつける必要があります。
木材の成分リグニンは有害物質になる
おがくずを肥料として利用するときに最大のネックになるのが、成分リグニンの存在です。木の皮の部分であるバークと違って、おがくずはリグニンを含みます。
リグニンは「木質素」とも呼ばれ、非常に分解されにくい難分解物質でもあります。リグニンが分解されていない土壌に作物を作付けすると作物に窒素飢餓を起こしやすくなってしまいます。
見た目で土壌が完熟したように見えても、リグニンは分解されていないことが多く、できるだけ期間をかけ,リグニンの分解と塩分の抜けるのを待って使うのが重要になります。野外に堆積し,ゆっくりと日数をかけることが必要なのです。しっかり微生物たちによって腐植、発酵したオガクズは土壌改良材として効果を発揮します。しっかり発酵したオガクズ堆肥はミミズが多く発生する、このことを判断の完熟の目安にしている方もいます。
また、そもそもリグニンが多い針葉樹を避ける、ラワンのような広葉樹を使うなどしてこの問題を減らす工夫をされている方もいらっしゃいます。
基本的な使い方
おがくずは、主に牛などの家畜の糞尿で混合して水分調整をはかって自然発酵させた堆肥として使用します。牛糞とおが屑を混ぜた完熟堆肥を有機物肥料として販売されていたりもします。発酵してるかどうかが気になる方は販売されている堆肥を購入して施肥するのが安心ですね。
効用
しっかり完熟した牛糞とおが屑の堆肥は下記のような効果が見られる、として積極的に使用されている農家の方もいらっしゃいます。
- 根群が発達することで作物の増収が見込める
- 畑の土壌処理にかけるコストが減り、センチュウによる根こぶ病も減少する
- 土壌の塩基バランスが安定する
- 連作によるデメリットが減少する
まとめ
おがくず(オガクズ)は発酵しにくく、またしっかり発酵させないとデメリットがありますが、牛糞と共に完熟に発酵した堆肥は多くのメリットをもたらします。長期戦にはなりますが、もし簡単に手に入る場合など、土作りの1アイテムとしてチャレンジしてみるのもいかがでしょうか。