この記事では、コーヒーかすを肥料として再利用する方法とその効果、使い方と注意点について解説します。
コーヒーかすの再利用・肥料を作る簡単な方法
コーヒーかすは肥料として利用できるものの、そのまま土に撒いてはいけません。コーヒーがら(出がらし)に手を加えることで、コーヒーかす肥料として利用できるようになります。
コーヒーかすには窒素成分が含まれていますが、この窒素成分はそのままでは微生物に分解されにくいという難点があります。そのまま土に撒くと、窒素飢餓という肥料不足の状態に陥ります。
また、カフェインが発芽阻害物質として働くことも示唆されており、使い道を誤ると作物や植物の生育に悪影響をもたらしかねません(雑草が生えることを防ぐ目的で活用することもできます)。
したがって、発酵により堆肥化させたり、ぼかし肥料にしたりすることで、コーヒーかす肥料とします。
コーヒーかすは炭のように多孔質であるため、特に牛糞や鶏糞といった動物性堆肥に由来する悪臭物質(アンモニア臭)を吸着する効果が期待されます。動物性堆肥を補強する使い方もおすすめです。飲み物としてのコーヒーはpH5程度の酸性ですが、コーヒーかすは中性のため資材としても利用しやすいです。
コーヒーかす肥料は、清涼飲料製造工場やコーヒーチェーンから廃棄されるコーヒーがら(出がらし)を利用することで、工業的には大量生産されます。一方で、家庭でコーヒーかす肥料をつくる方法はコンポストを利用するほか、たとえば以下のようなものがあります。
- 使用済みのコーヒーがら(出がらし)は水分を含んでいるので、天日干し、電子レンジ、フライパンによる加熱などの方法により乾燥させる
- 箱状に組み立てた段ボールを容器とし、その底に新聞紙を敷く
- 新聞紙の上に、腐葉土と米ぬかを入れ、乾燥させ終えたコーヒーがら(出がらし)と必要に応じてアロマオイルを加える
- 段ボールの蓋を閉じ、タオルもしくは布で覆う
- 雨のあたらない風通しのよい場所に置く(風通しを保つため地面から離して設置する)
- できるだけ毎日段ボールを振り、中身をかき混ぜることで空気を取り込む(コーヒーがらを追加で足すことも可能)
- 発酵が進むと熱が発生し温度が上昇するので、段ボールから温かみが感じられるようになる
- 目安として3か月程度経過すると、コーヒーかす肥料が完成
より詳しい情報を知りたい方は、下記をご覧ください。
コーヒーかす肥料の分類とその効果
コーヒーかすは、米ぬかや堆肥などとともに「特殊肥料」に指定されています。特殊肥料とは、肥料成分の含有量以外の価値をもつ、農家にとっては昔ながらの肥料のことです。
肥料成分の含有量以外の価値としては、土壌の物理性を向上させることなどが知られており、通気性、排水性、透水性、保水性などを向上させることができます。それにともない、土壌中のミミズなどの小動物、センチュウなどの微生物の多様性も高まり、病害虫(病気と害虫)の発生も抑制されることが期待できます。
土壌中の生物多様性を保つことは、作物の連作障害を防ぐ面からも重要な意味をもちます。このように、特殊肥料は土質や地力を増進できるため、土壌改良資材としての働きがあることも広く知られています。
なお、コーヒーかすを有効活用しようとする取り組みは、数多く報告されています。その中には、雑草防除や防虫効果といった魅力的な報告もあります。ただし、コーヒーかすを肥料として利用したい場合には、そのまま土に撒いてはいけませんので、とりわけ家庭菜園やガーデニングでは注意が必要です。
コーヒーかす肥料の使い方
発酵したコーヒーかす肥料の使い方としては、発酵、熟成させたコーヒーかすを土壌に撒いたり、土壌に混ぜ込んだりします。堆肥にかき混ぜて有機肥料として利用することもおすすめです。下記では肥料としての使い方の他に、コーヒーかすの有効な使い方を紹介しています。
市販されているコーヒーかす肥料
コーヒーがらからコーヒーかす肥料をつくるのは、手間に感じる人もいるでしょう。そうした人には、まずは市販されているコーヒーかす肥料を使ってみることをおすすめします。完成したコーヒーかす肥料を見ることで自らつくる場合のイメージも湧きやすくなるとともに、作物や植物に施用した場合の効果を試すこともできます。
土のリサイクル材コーヒーの恵み
プロトリーフが販売する堆肥です。コーヒーかす、もみがらが材料で、さらに菌根菌も配合しています。土の物理性、微生物相を改善し、病害虫にも強い環境をつくります。動物性堆肥と異なり、臭いも気になりません。使い方は簡単で、用土に対して1~2割程度混ぜ込めばOKです。材料はすべて有機物なので、安心して使用できます。
コーヒー豆からできたかるーいたい肥
ホームセンターのナフコブランドで販売されている堆肥です。コーヒーかす、もみがらといった食品由来の材料を使用しています。植物性堆肥なので悪臭を回避でき、プランター、花壇、庭、畑など場所を選ばず使えます。腐葉土と同じように混ぜ込み、土づくりに利用します。全体を混ぜ合わせると、軽い用土が出来上がります。
珈琲ハイバイオ
タカショーが販売する土壌改良資材です。成分含有量は、N(窒素)-P(リン酸)-K(加里)=3.70-0.29-0.61となっています。その他、腐植酸、炭素、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛なども含まれていますが、肥料ではなく土壌改良資材として捉えるようにしましょう。用土に対し、草花では2%、野菜では5%程度の割合で混ぜ、別途20%程度の堆肥を加える使用法が推奨されています。珈琲ハイバイオが有用微生物の定着を促すことで、連作障害の防止、開花や収穫量の向上が期待されます。
コーヒーかす肥料を購入
ホームセンターなど店舗で購入する
上記で紹介した肥料は、ホームセンターでも販売されています。また、ダイソーなどの100円均一でも販売されていることがありますが、取り扱いのない店舗も多いようなので注意が必要です。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。
コーヒーの木が育てたくなったら・・
コーヒーの木自体を育てたくなったら、下記をご参考ください。育て方から、ベストな肥料の種類ややり方まで詳細に説明しています。
コーヒーの木とは?コーヒー豆は収穫できる?
飲み物としてのコーヒー(coffee)は多くの人にとって身近な存在です。その原料となるのは、コーヒーの木(coffee tree)から収穫されるコーヒー豆(coffee beans)です。
正確には、収穫されるのは果実であり、果実から果肉を取り除いた後の種こそがコーヒー豆です。コーヒー豆は、コーヒーとして飲むに至るまでに、焙煎、粉砕という過程をたどります。それらを経て、香り高く、特有の風味のあるコーヒーとして飲めるようになります。
コーヒーの木は熱帯圏で栽培される果樹で、原産地はアフリカとされています。したがって、日本では沖縄地域などを除くと、屋外や露地では基本的には栽培することはできません。しかし、もっぱら屋内や植木鉢を利用することで、観葉植物としては広く認知されています。濃い緑色の葉は、観葉植物の中にあっても見ごたえがあります。
一般に、コーヒー農園では、苗を定植してから3年前後でコーヒー豆の収穫ができるようになります。同じように、観葉植物としてコーヒーの木を育てた場合でも条件がそろえば、3年前後でコーヒー豆の収穫ができることがあるようです。多量に収穫することは期待できませんが、白い花とコーヒー豆を含む赤い果実を実らす可能性があるという面で楽しみのある観葉植物といえそうです。