レモンは、ミカン科ミカン属の柑橘(かんきつ)類です。黄色い果実、さわやかな香り、酸味のある果汁のイメージは誰もが知るところですが、フルーツとして収穫できるだけでなく、常緑の観葉植物としても楽しめるのをご存じですか。ガーデニング、園芸、場合によってはベランダでも栽培できる魅力的な植物なのです。
肥料として米ぬかを利用するのはよく耳にします。ここでは、レモンの肥料として、米ぬかは有効なのか、解説していきます。
レモンに米ぬかは肥料として使えるか?
結論から言いますと、米ぬかはレモンの肥料としては使えます。が、使い方に注意が必要です。ここでは簡単に米ぬかの特性と使用の際に注意すべき点をお伝えします。
米ぬかとは?
米ぬかは、精米するときに玄米の表面が削られて粉状になったものを指します。精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用できます。リン酸が多く含まれ、糖分やタンパク質も含まれているため、有用な土壌微生物の働きを活性化させる効果もあります。
米ぬかは脂質を多く含み、有機物に含まれる炭素(C)含有率(%)と窒素(N)含有率(%)の比を表すC/N比(炭素率)が高いため、土壌中での分解が相対的に遅いので、そのまま使用するよりもぼかし肥料の原材料として使用するのが一般的かと思います。
米ぬかはコイン精米機やJAのライスセンターでもらえることもありますし、資材として販売されていることもあります。
米ぬかを使うときの注意点
米ぬかを肥料として使用するときには、2つのやり方があります。
- 生の米ぬかをそのまま散布する
- 米ぬかをEMや発酵促進剤などの微生物によって発酵させて散布する(米ぬかぼかし肥料)
しかし、先ほどの説明通り、米ぬかは比較的分解が遅く、5、6月以前の寒い低湿度の時期ではなかなか分解されず、最悪、窒素飢餓(逆に肥料が不足する状況)や発酵熱による被害、カビなど腐敗の温床となることもあります。
このため、肥料の効きもわかりやすく安心して使用できる「ぼかし肥料」にして利用するのがおすすめです。
米ぬかぼかし肥料とは、米ぬかを主原料としたぼかし肥料です。植物を育てるために必要な三大要素である窒素、リン酸、カリウム(加里)をバランス良く含ませるために、米ぬかの他に油かす、魚粉やカキ殻石灰などを配合し発酵させます。カキ殻石灰などを使用することでカルシウムやミネラル分やアミノ酸などを多く含み、野菜などの栽培においては食味や品質の向上にもつながります。
米ぬかは、リン酸が豊富に含まれている有機物資材で入手もしやすいため、ぼかし肥料の原材料としては人気のものとなります。
米ぬかぼかし肥料の成分比は原材料の配合によって異なりますが、米ぬかを主成分とした場合は窒素成分が少し抑えられたものが多いです(N-P-K=3-5-2など)。
米ぬかぼかし肥料を作る際の発酵のさせ方は、「好気性発酵」「嫌気性発酵」の2種類があります。
\ぼかし肥料に関する詳細/
\EMぼかし肥料に関する詳細/
レモンに使えるその他の肥料
レモンには、たくさんのおすすめ肥料があります。
錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用
ハイポネックスジャパンが製造販売するかんきつ・果樹用の固形肥料です。追肥に利用する錠剤タイプで、置くだけでOKという簡便な肥料です。ハイポネックスは他にも様々な肥料、培養土、腐葉土を展開しています。
\ハイポネックスのレモン肥料に関する詳細/
このほか、マイガーデンベジフルや打ち込み型肥料のグリーンパイルなどもおすすめです。
有機肥料、有機配合肥料
油かす(油粕)
油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。
鶏糞
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれています。同じ堆肥として牛ふんが比較されることがありますが、成分が異なるとともに、牛ふんは土壌改良の目的でも利用される点が異なります。効果が比較的速く出るため、特に苗、苗木など肥料のやり過ぎには注意してください。
主に、窒素は葉や茎、リン酸は花や果実(実)、カリウムは根の生長をサポートします。
補足:ぼかし肥料の材料による成分比の違い
ぼかし肥料は、その原材料となる有機物資材によって成分比が変わってきます。
ぼかし肥料の原料に向いている主な有機物資材の成分をまとめてみましたので、参考にしてください(製品によって、成分比が異なる場合がありますので注意してください)。
肥料名 | 商品例 | N(窒素) | P(リン酸) | K(カリウム) |
---|---|---|---|---|
菜種油かす | 5 | 2 | 1 | |
大豆油かす | ー | 7 | 1 | 1 |
魚かす | 5〜7 | 5〜7 | – | |
米ぬか | 2 | 5 | 1 | |
乾燥鶏糞 | 2 | 5 | 3 | |
骨粉 | 4 | 16 | – | |
貝化石(カキ殻石灰) | – | – | – |
(補足)レモンに適した肥料時期
レモンは柑橘類の中でも「肥料食い」といわれるほど、多くの肥料を必要とします。その理由として、白い花をつけ開花させるタイミングが四季を通じてあること、枝葉を旺盛に茂らせることが挙げられます。剪定は樹高を抑えつつ、樹冠が広がるように切り詰めることで整枝しましょう。
レモンには、肥料切れを起こさないよう、年4回は施肥をするようにしましょう。3月頃までに元肥(寒肥)として有機(有機物)肥料もしくは緩行性化成肥料を施すようにし、6月、9月、11月頃を目安に速効性または緩効性の化成肥料を追肥するとよいでしょう。
時期 | 時期 | 適している肥効タイプ | 肥料の例 | 概要 |
---|---|---|---|---|
元肥 | 3月頃 | 緩効性肥料・遅効性肥料 | 固形肥料 堆肥 油かす などの有機質肥料 緩効性化成肥料 | 植え付け、植え替え時、また毎春に施します。魚粉や骨粉なども有機質肥料ですが、窒素、リン酸、カリウムがバランス良く含まれた油かす肥料を使うと良いでしょう。緩効性化成肥料も有効です。 レモンの生育適正pH(土壌酸度)は5.5〜6.5程度で弱酸性土壌を好みます。そのため、植え付け時や酸度が上がってきたときには有機石灰や苦土石灰を散布して中和します。どのくらいの量を散布するかは酸性度合いによります。市販の酸度計などを使用して測定すると良いでしょう。一般的にpH(土壌酸度)を1上げるためには、300g/1㎡程度の苦土石灰が必要です。 |
追肥 | 6月、9月、11月頃 | 緩効性肥料・速効性肥料 | 液体肥料・固形肥料 化成肥料 など | 元肥だけでは栄養が不足してくるので肥料を追加で施します。緩効性化成肥料などを中心に施しましょう。 樹勢が明らかに弱っているときは速効性の液体肥料を使ってみるのも効果的です。 |
レモンの病気としては、潰瘍病(かいよう病)が発生する場合があります。潰瘍病は、枝、葉、果、果実などに黄色い斑点が生じ、ひどい時には落葉に至る病気です。ほか、黒点病も発生します。
害虫としては、チャノホコリダニ、アブラムシ、アオムシ(アゲハもしくはアゲハチョウの幼虫)、ミカンハモグリガ(エカキムシ)、カミキリムシが発生した場合があります。農薬や殺虫剤を散布するなどして防除および駆除に努めましょう。