アレチウリはつる性のウリ科の雑草で、繁殖力が非常に強い外来種として有名です。
道ばた、畑地、畦畔、河川敷、荒れ地と至る所に発生します。ここでは、アレチウリを、どうやって駆除し、防除していくのか、おすすめのアレチウリを枯らす除草剤を中心に説明していきます。
アレチウリの特性
科 | ウリ科 |
種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Sicyos angulatus L. |
別名 | Burcucumber、Starcucumber(英名) |
アレチウリは原産地が北アメリカで、米国、カナダからの輸入大豆に紛れて種子が日本に運ばれ、日本全土に広がったと言われている外来種です。ウリ科のつる性の一年生雑草で、つるの長さは長くて10mを超え、まきひげであらゆるものに絡まります。
葉はキュウリの葉に似ていて、緑色で葉面に軟毛が密生しています。雌雄別の花序(雄花、雌花)を出し、雄花は長い柄の先に円錐の花序となって黄白色の花を開花させ、冬前に枯死します。
種子生産量が1個体当たり数万となるほどの数で、発芽、繁殖力が非常に高いのが特徴です。畑地、果樹園をはじめとして、空き地や耕作放棄地、道端、荒地、畦畔、あらゆる場所で生長、繁茂します。特にトウモロコシ、ダイズ(大豆)といった飼料栽培の畑で繁茂すると収穫不能になるほどの影響を与えてしまい、農家の方にとっては頭を悩ませる雑草です。
アレチウリの駆除方法
アレチウリは数ある雑草の中でも非常に防除が難しい雑草の一つです。出芽深度が深く、出芽期間も長いため土壌処理剤がほぼ効かず、茎葉処理剤だけでも大量生育、繁茂してしまうと限界があります。
また、他の雑草の防除に有効な中耕・培土でも、株間の個体を防除することは難しいのが現状です。草取り等も含めた総合的な防除が求められます。
草刈り、草取りでの駆除
アレチウリの侵入を防除するためには、まず手取りによって侵入初期に出来るだけ抜き取りや刈り取りをし、少なくして種子生産量、結実、芽生えを減らすことが重要です。
除草道具については下記を参考にしてみてください。
除草剤での駆除
アレチウリは出芽深度が深く,出芽期間も長いことから,土壌処理除草剤での効果的な防除は難しい雑草です。圃場で使用する場合は効果がある下記の茎葉処理剤を、適期(梅雨明け〜)に利用してください。
またほ場ではなく、定植、作付けしている作物を気にする必要がない場合は、下記のようなグリホサート系とザクサやバスタに代表されるグルホシネート系の葉茎除草剤も有効です。
しかしこれらの薬剤は非選択制(なんでも枯らしてしまうタイプ)なので、圃場、果樹園の周りや畦畔、畦道で、定植した作物に影響与えない場所に限られます。枯らしたくない植物にかからないように注意しましょう。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | エイトアップ | ネコソギロングシャワーV8 | グリホエースプロ | はやわざ | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | ||||||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | (有)チャレンジサービス | レインボー薬品(株) | (株)ハート | (株)ハート | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCP A |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ほぼ✖️ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
グルホシネート系の代表的な除草剤
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
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概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
また、除草剤の効果を高めるのに、薬液に展着剤を混ぜるのは非常に有効です。展着剤については下記を参考にしてください。
その他の駆除方法
熱湯をかける
その他植物全般を枯らすのに効果がある方法として、枯らしたい植物に熱いお湯、つまり熱湯をかける方法があります。
確かに、熱湯を浴びた植物はその箇所が焼けて、枯れますが、地下茎や根までは浸透しないため、地上部にしか効果が出ません。また、土壌に熱湯をかけることで、土壌内部の細菌などに悪影響が出てしまいますし、熱湯を雑草にかけることは大量に行うことは難しく、費用対効果も合わないかと思います。このため、ギシギシを駆除するために熱湯をかけることはお勧めできません。
塩を撒く
最近、塩を撒くことで、除草することを勧めている記事、また除草塩という商品などが見受けられます。確かに塩分濃度が高くなると雑草は枯れるので、除草の効果はありますし、塩は非常に土壌に残留、蓄積するので、雑草が新しく生えてくることも防ぎます。
しかしながら、塩は土の中で分解されないため、半永久的に効果が持続します。このため、未来にわたって植木や花などはもちろん、野菜や穀物などの作物が一切育たたくなってしまうのです。また、土壌はつながっています。雨などで塩が流れ出て、隣の土壌にも多大な被害を及ぼします。
このため、除草に塩を使うことはくれぐれも避けてください。
(農耕地以外での)アレチウリの防除方法
防草シートでの防除
アレチウリをしっかりと駆除した後、その場所に防草シートを貼ることが可能であれば、防草シートを貼ることは、非常にに有効な防除になります。防草シート(除草シート)は、光をほぼ遮光することで、植物に光合成を行えないように抑制するもので大変有効です。
防草シートについては、下記のコンテンツに詳しく説明していますので、防草シートを貼ることが可能な方は、是非参考にしてください。
まとめ
果実を実らす果樹園、畦畔、畑などで大量発生し、至るものに絡みつく、つる性の一年生草本アレチウリ。北アメリカ原産のアレチウリはとにかく初期防除が大事で、ほ場に入ってくる量を減らすことを心がけましょう。
その他の庭や畑に生える雑草にお困りの方は、難雑草(イタドリ、スギナ、竹、苔、イヌビエ、イボクサ、イヌタデ、ヤブガラシ、チドメグサなど)水稲での水田雑草(クログワイ、チガヤ、オモダカなど)の駆除、除草についてまとめた下記コンテンツをどうぞご参考にしてみてください。
また、除草、草刈りのための農機具、農具、草刈機(刈払機)、ブレード(チップソーなど)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。
雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。