グリホサート系除草剤の代表的な商品名や特性を紹介し、使用時の注意点や効果を高める方法、さらにグリホサートの安全性に関する議論について解説しています。
グリホサート系除草剤の代表的な商品名
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | エイトアップ | ネコソギロングシャワーV8 | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | ||||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | (有)チャレンジサービス | レインボー薬品(株) | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCPA |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ほぼ✖️ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
ラウンドアップマックスロード(日産化学(株))
最もメジャーなグリホサート系の除草剤(液剤)です。成分は「グリホサートカリウム塩」で、グリホサートイソプロピルアミン塩の除草剤ラウンドアップやサンフーロンなどよりも、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい特性があります。
除草剤ラウンドアップは、原液を希釈して薄めて使うタイプから、そのまま使えるシャワータイプのALシリーズなど、ノズル付き等様々なシリーズがあり、用途に合わせて経済的に使用できます。
サンフーロン(大成農材(株))
サンフーロンは、除草剤ラウンドアップのジェネリック品で、成分は、グリホサートイソプロピルアミン塩です。ジェネリック製品なので安価に手に入れることができ、効果は、グリホサートイソプロピルアミン塩の他の製品と変わりません。このため、経済的にご利用可能です。エイトアップも内容は同様です。
ネコソギロングシャワーV8 (レインボー薬品(株))
成分は、グリホサートイソプロピルアミン塩で、効果は、グリホサートイソプロピルアミン塩の他の製品(ラウンドアップ 、アースカマライズなど)と同様です。希釈せずにそのままシャワーヘッド(ジョウロヘッド)等が付属し、噴霧器などを使わずとも、すぐに使用できる液剤があります。
アースカマイラズ (アース製薬(株))
成分は、グリホサートイソプロピルアミン塩で、効果は、グリホサートイソプロピルアミン塩の他の製品(ラウンドアップ 、ネコソギロングシャワーV8など)と同様です。希釈せずにそのまま使用できます。
カダン 除草剤 ザッソージエース (フマキラー(株))
成分は、グリホサートカリウム塩で、グリホサートイソプロピルアミン塩のラウンドアップ やサンフーロンなどよりも、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい特性があります。希釈せずにそのままシャワーヘッド(ジョウロヘッド)等が付属し、噴霧器などを使わずとも、すぐに使用できる液剤があります。
タッチダウンiQ (シンジェンタジャパン(株))
成分は、グリホサートカリウム塩で、グリホサートイソプロピルアミン塩のラウンドアップ やサンフーロンなどよりも、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい特性があります。本製品は、原液を希釈して薄めて使用します。
サンダーボルト 007(日本農薬(株))
移行性のあるグリホサートに、接触型のピラフルフェンエチルを混合した、速効力と持続力を合わせもつ非選択性茎葉処理型除草剤です。ツユクサ類やヒルガオ類への効果が補強されています。
アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 (アイリスオーヤマ)
グリホサート イソプロピルアミン塩の遅行性をカバーするために、MCPAを配合して速効性を持たせた除草剤(液剤)で、希釈せずそのまま使用できます。
こちらの商品は、非農耕地用除草剤なので、通路や空き地など、人が植えた植物がない場所に使用が限られ、農作物等の栽培・管理に使用することはできないので、くれぐれも使用場所に注意してください。
早く効いて根まで枯らす除草剤(MCPA入り)(トムソンコーポレーション(株))
こちらもアイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤とおなじく、グリホサート イソプロピルアミン塩の遅行性をカバーするために、MCP Aを配合して速効性を持たせた除草剤(液剤)で、本製品は、原液を希釈して薄めて使用します。
こちらの商品も非農耕地用除草剤なので、通路や空き地など、人が植えた植物がない場所に使用が限られ、農作物等の栽培・管理に使用することはできないので、くれぐれも使用場所に注意してください。
その他、グリホサート系除草剤は、グリホ41、グリホV、グリホエキス、クサトローゼ、エイトアップ、クサクリア、キャピタルグリホサート、グリホキング、コンパカレールなど、多くありますが、内容は同じです。プラスワイズ業者用専門店シンセイやアグリズなどでもお買い求めできます。
農耕地で使用できるものとできないものがあるので、注意してください
ラウンドアップやサンフーロンは、畑作や果樹園などの田畑、農耕地で使用することができますが、グリホエースなど、グリホサート系除草剤でも農耕地で使用できないものもあるので、使用の際は必ず確認するようにしましょう。
具体的には、農薬取締法に基づき国に農薬登録をされている除草剤(農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています)しか、畑や田んぼ、菜園、植物を植えた庭などの所謂「農耕地」に散布することはできません。
また、農薬登録されているものでも、「作物名」が「 樹木 等」になっている除草剤は注意が必要です。なぜなら、「作物名」が「樹木等」に限られている除草剤は、適用場所が「公園、庭園、堤とう、駐車場、道路、運動場、宅地など」に限られ、畑や菜園、圃場、水田は勿論、田んぼの畦畔にも使用することはできないのです。このため、「樹木等」に限定されている除草剤も、非農耕地用になります。
下記に詳しく書いているので、興味ある方は読んでみてください。
グリホサート系除草剤は、雨が降っても大丈夫?
グリホサートのような「茎葉処理剤」は、散布された薬剤に接触した部分の植物組織だけを枯らします。このため、散布後すぐに雨が降ると、雑草に付着した薬液を流すため、効果がなくなることがあります。散布後すぐに雨が降りそうな天気予報のときは、散布を避けましょう。
目安としては、「散布後、6時間過ぎた後」 であれば雨の影響を受けなくなり、効果は持続します。
また、朝露が多い、雨上がりなど、葉についた薬液がこぼれ落ちるような場合も効果が薄れることがあります。早朝や雨上がりも避けた方がいいでしょう。
しかしながら、最近のグリホサート系除草剤は、雨に強くなった商品も多く出ています。グリホサートカリウム塩は、従前のグリホサートイソプロピルアミン塩よりも雨に強く、また、界面活性剤の改良や活性成分の吸収力、移行、即効力が大幅に改善して、「散布後、1時間経てば雨が降っても大丈夫」と進化している除草剤もあります。
グリホサートカリウム塩で、散布後1時間経てば雨が降っても大丈夫な除草剤の商品名は
- ラウンドアップマックスロード (AL,ALii,ALiii)
- タッチダウンiQ
- カダン 除草王 ザッソージエース
があります。
グリホサートの安全性について
グリホサートが危険であるという具体的な主張の内容
近年、グリホサートの安全性について、様々なシーンで議論がなされています。主には、グリホサートが恐らく発がん性物質であり、ヒトの健康を害するものであるという主張、また内分泌かく乱物質であるという主張、またヒトの母乳や尿中に蓄積して、腎臓などに障害を及ぼすと言う主張、更にはグリホサートを主成分とする除草剤に含まれる界面活性剤に予期しない毒性があるという主張です。
グリホサートが発がん性物質という主張について
2015 年、IARC (国際がん研究機関)はグリホサートを検証する委員会を開催し、既発表の論文を部分的に検証したIARC(国際がん研究機関)は、グリホサートを「クラス 2A」すなわち「ヒトに対して恐らく発がん性がある」に分類しました。(IARC, 2015)
これに加え、学校の校庭整備の業務で使用したラウンドアップが要因で、悪性リンパ腫を発症した、と主張した末期がん患者との裁判で、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市の陪審は2018年8月10日、ラウンドアップ 販売会社のモンサントに、損害賠償金2億8,900万ドル(約320億円)の支払いを命じました。
しかしながら、本件は、モンサントを買収したバイエルが、ラウンドアップ の責任、不正行為は認めることはないまま、和解を成立させています。
現在では、アメリカ合衆国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、欧州連合(EU)では、それぞれ「ヒトの発がんリスクの可能性は低い」「ヒトにおけるグリホサートばく露及び発がんとの関連に確証的なエビデンスはない」「グリホサートはヒトに発がんリスクをもたらさない」と結論づけていますし、米環境保護庁(EPA)は、除草剤に用いられているグリホサートに「発がんのおそれがある」と表示することを禁止するガイダンスを発布しています。
また、日本でラウンドアップ を販売している日産化学工業も、グリホサートに発がん性は無いと判断している声明を発表し、内閣府食品安全委員会も、発がん性・遺伝毒性は認められなかったと結論を出しています。
他のリスクの主張について
他のリスクの主張についても、米環境保護庁(EPA)は、グリホサートは内分泌かく乱物質ではない、また、検知可能な量のグリホサートが残留していても健康上の懸念とならないこと、母乳には蓄積しないこと、ヒトの腎臓などに障害を及ぼさないことを述べています。
また、グリホサート系除草剤に含まれている界面活性剤については、グリホサートを含む除草剤及びこれに含まれる界面活性剤について、生態毒性のリスク評価を実施し、水生生息地以外の野生生物に重大なリスクとならないとの結論を出しています。(モンサント 2016年7月)
さらに、メーカーのHPで、地面に落ちたラウンドアップの成分は、処理後1時間以内のごく短時間で、土中の土の粒子に吸着し、その後微生物により自然物に分解され、約3~21日で半減、やがて消失すると記載されています。