玉ねぎ栽培では、リン酸の多い肥料を使って育てるのがポイントです。
この記事は、玉ねぎ栽培での肥料について、肥料の与える時期や、元肥に使える一発肥料や追肥におすすめの化成肥料などの説明と与え方についてわかりやすく説明します。
玉ねぎの肥料時期
玉ねぎ栽培は、北海道や寒冷地では「春まき栽培」、一般地や暖地では「秋まき栽培」が一般的です。
秋まき栽培の場合の肥料の時期は、植えつけ時に元肥を、追肥を植え付け25日後(12月中下旬)に1回目の追肥を、暖かくなってきた3月上旬に、2回目の追肥をします。
春まき栽培の場合は、元肥のみを基本とすることが多いです。もし追肥が必要であれば、草丈20cmごろ1回目を2回目は1回目の追肥から20日後に行います。
作型 | 秋まき栽培 | 春まき栽培 |
---|---|---|
追肥1回目 | 定植後25日後(12月中下旬) | 草丈20cm程度 |
追肥2回目 | 3月上旬 | 1回目の追肥の20日後 |
玉ねぎの肥料の種類
玉ねぎ栽培に使える肥料の種類は、有機肥料や化成肥料、一発肥料と呼ばれる追肥のいらない肥料などがあります。
有機肥料はゆっくり効果がでる遅効性、緩効性肥料が多いので、元肥に使われることが多く、追肥には速効性のある化成肥料がよく使われます。
玉ねぎの一発肥料について
一般的に玉ねぎは、栽培期間が長いため元肥を施したあと、不足した肥料分を補いために追肥を2回行います。
しかし一発肥料とは、「元肥として土に混ぜるだけで追肥がいらない」のが特徴です。タイミングが難しく、手間のかかる追肥が不要なので、初心者の人にも使いやすい肥料です。マルチ栽培などでは、追肥の時にマルチを剥がす手間もなく、省力化にもなります。
一発肥料のおすすめや使い方については、こちらで詳しく説明しています。畑だけでなくプランター栽培でも使えます。
玉ねぎの肥料のやり方
苗の植えつけ(定植)
玉ねぎはタネから育てることもできますが、育苗に2か月ほどかかります。11月頃にはホームセンターなどで苗(種苗)が出回るため、それを使うのが手軽です。好みの品種を育てたい場合にはタネまきから育苗して、定植させます。
地植え
畑など地植の場合は、植え付けの時に元肥を、植え付けから25日後と、3月の上旬に追肥を施肥します。元肥を施す前に、土づくりをしておきましょう。
玉ねぎは酸性土壌を嫌いますので、土の土壌phが高い場合は、苦土石灰で調整しておきます。定植の1週間前には、堆肥と有機肥料や化成肥料をよく土と混ぜ、20㎝ほどよく耕して畝を立てましょう。追肥は2回、植え付け後25日後と3月の上旬に、株間に有機肥料や化成肥料をまいて、土寄せしておきます。
鉢植え・プランター
タマネギは、畑などの地植え以外でも鉢植えやプランターで育てることができます。プランターなどで育てる場合は、野菜の培養土を使うと便利です。元肥入りのものでしたら、元肥は不要です。自分で配合する場合や、元肥が入っていない培養土には、元肥として化成肥料を施し、土とよく混ぜて使いましょう。
追肥は、地植えと同様に植え付けから25日後と2月下旬から3月上旬の2回追肥します。速効性の化成肥料をバラバラと土にまいて、土を少し足して土寄せしておきます。
タネまき(育苗)
手間はかかりますが、好みの品種を育てたい場合はタネから育てましょう。秋まきの場合は9月にタネをまいて育てましょう。時期は品種によって異なるため、タネ袋の記載に合わせます。苗床で育苗をして、ある程度まで育てたら畑に植え付けします。
育苗畑
畑など地植えで育苗する場合は、土づくりを先に行います。土壌が酸性にかたむいているようなら苦土石灰で酸度調整をタネまきの2週間前までに行っておきます。タネまき1週間前になったら、元肥として堆肥と化成肥料・有機肥料をよく土と混ぜて表面を耕しておきます。
列間8㎝ほどのまき溝を作ったら、その溝に合わせて5mm間隔で条播き(すじまき)します。発芽は通常4日~6日で発芽します。間引きは1回目は、草丈7㎝ほどに生長したら株間1㎝程度に、2回目は草丈10㎝のころに株間1.5㎝ほどに間引きます。追肥は2回目の間引きが終わったら、条間を移植ごてなどで溝をつけて、苗に土が寄るようにし、その溝に1㎡あたり30g程度、化成肥料を施肥します。
鉢植え・プランター
家庭菜園などではプランターでの育苗もおすすめ。間引きしてある程度まで大きくしてから畑に植え付けします。またプランターでそのまま栽培することもできます。
用土は元肥入りの野菜の培養土を使うのがおすすめです。追肥は1か月ほどしたら、化成肥料を施します。液体肥料をつかってもよいでしょう。2週間に1度2回~3回苗の様子をみて追肥しましょう。
肥料の細かいやり方についてはこちらの記事も参考にしてください。
玉ねぎにおすすめの肥料
玉ねぎの肥料に与える肥料は、リン酸の比率が多いものがおすすめです。玉ねぎなどのネギ類はリン酸を施すと、根の張りがよくなり収量も増えるためです。また玉ねぎ専用の肥料や一発肥料と呼ばれる、元肥だけで追肥が不要な便利な肥料もあります。
肥料の種類や、おすすめの商品などについては詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
有機肥料(有機質肥料)
庭植えや畑の元肥に有機肥料はよく使われます。使い方としては、土づくりには土壌改良効果の高い有機質の堆肥(牛ふん・馬ふん・バーク堆肥など)をいれてよく耕します。さらに肥料分の多い鶏ふんや米ぬかなどを使い、肥料分を補います。
最近では、家庭で有機栽培する人には、油かすや米ぬかなど複数の有機質資材を配合させたものに籾殻や土を加えて発酵させた「ぼかし肥料」なども使われます。元肥だけでなく、ぼかし肥料や鶏糞などは速効性もあるため追肥としても使うことができます。
化成肥料
花の肥料や野菜の肥料でリン酸が少し多めのものを使うとよいでしょう。家庭菜園でよく使われる、化成肥料8・8・8など肥料分が等量にはいっているものを使う場合は、過リン酸や熔りん(ようりん)などのリン酸肥料を一緒に元肥として施します。追肥にもリン酸が入っているものを与えるとよいでしょう。リン酸がはいっていれば追加でリン酸肥料を与える必要はありません。
また化成肥料には、各肥料メーカーから玉ねぎ専用肥料も、販売されています。玉ねぎに必要な成分が配合されており、施肥量なども迷わずに使うことができます。
肥料の過不足について
玉ねぎは、低温期に肥料が不足すると、花芽が伸びるトウ立ちがおきやすくなります。とう立ちした玉ねぎは、中心に芯が入って硬くなり味が落ちたり、球(りん茎)が大きくなりません。収量にも影響します。
また、春になって草丈が伸びるころに、肥料が不足すると球が大きくなりません。収穫の2か月が球肥大のピークですのでこの頃に肥効が高まるように、早めに施すのがポイントです。追肥のタイミングが遅れると、チッソ分が残って球がぶよぶよとなり、味が落ちたり、腐りやすくなります。
肥料は、施肥量を守り、適期に与えることが大切です。肥料の量は目安はありますが、土壌の状況や気象状況によっても異なります。追肥は苗の様子をみて与えることが大切です。肥料は与えないと大きく育ちませんが、与えすぎても枯れてしまうこともあるので気をつけましょう。
その他 たまねぎ栽培のポイント
玉ねぎ栽培の時期と品種
玉ねぎが大きく育つためには、日長と温度によります。日本での栽培は、大きく2つ。北海道では春まき栽培、それ以外は秋まき栽培が基本です。
玉ねぎは、品種が多くありますがタネまきから収穫までの期間を基準にして、極早生・早生・中早生・中生・中晩生・晩生と分けられています。極早生~早生は生がおいしくみずみずしいですが、日持ちはしません。中晩生から晩生の品種は、辛みが強く、加熱甘みがまし日持ちするのが特徴です。
秋まき栽培では、極早生から中晩生を、春まき栽培では、晩生の品種を栽培します。
土壌について
玉ねぎは、酸性土に弱いため土壌が酸性に傾いていると、生育が遅れ肥料分を吸収することができなくなります。畑などでは、植えつけ前に、石灰資材で酸度を調整しておきましょう。よく使われるのは苦土石灰です。野菜の栽培に必要な苦土(マグネシウム)も補充することができます。
土壌検査
土壌酸度(ph)は、土壌 pH6.0〜7.0を目安にしましょう。土壌酸度計や土壌酸度測定液などを使うと、土の酸度が簡単に図ることができます。定期的に検査することで、土壌の状態を知ることができます。
雑草・病害虫防除
害虫は、タマネギバエ、ネギアザウマ、ヒメフタンテンヨコバイなどが発生しやすくなります。予防には、寒冷紗や防虫シートをかぶせたり、薬剤をつかったりしましょう。またタマネギバエは、有機物の腐敗臭を好むため、発生しやすい場所では使用を避ける、完熟しているものを使うとよいでしょう。発生したら病気の苗を取り除いたり、殺虫剤などをつかって早く駆除をしましょう。
病気は、苗床の時には苗立枯れ病、本畑ではべと病、腐敗病にかかりやすくなります。苗床の病気や雑草の予防には、太陽熱消毒が有効です。べと病は玉ねぎの栽培で最も多い病気です。排水の悪い多湿な畑などで起きやすいため、排水が良くない場所では、高畝にし排水をよくします。薬剤の散布も効果的です。
収穫
収穫適期の目安は、葉が根元とから倒れる、倒伏が8割ほどになったら。晴れて土が乾いている日に引き抜いて収穫します。収穫が遅くなると、裂皮や病害増える可能性もあります。抜いたら畑にしばらく置いておくとカビの発生を防ぐことができます。極早生や早生の品種は倒伏しないものもありますので、それらは球の肥大を見て収穫しましょう。
玉ねぎの栽培方法は、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。