玉ねぎ栽培では適期に、きちんと肥料を与えることで、大きな玉ねぎを収穫することができます。この記事では、玉ねぎの栽培において肥料切れがおきると、どのような症状がでるのか。またその原因と対処法について、わかりやすく説明します。
玉ねぎの肥料切れの症状
では最初に、肥料切れ(肥料不足)になるとどのような症状になるか説明していきます。
葉の色が薄い
冬に植えつけた葉が1枚程度枯れるのは通常のことなので問題ありません。暖かくなった3月上旬ごろから、根が成長し葉が増え、草丈も伸びてきます。この頃に肥料が不足すると、葉の色が薄く、黄緑色なります。その後葉の数が少なくなり、大きな球になりません。3月上旬の追肥が大切です。
とう立ちする
玉ねぎの栽培のコツはとう立ちを防ぐことです。とう立ちとは、春に花茎が伸びてネギ坊主がついてしまうこと。抽だいともいいます。玉ねぎはとう立ちしてしまうと、中に芯ができてしまい味が落ちたり、球(りん茎)が大きくなりません。
玉ねぎのとう立ちは、苗の植え付け時期が早かったり、苗が太くなりすぎていた場合などにも起こりますが、低温期に肥料が不足(特にチッソ)するとおきやすくなります。秋に植えつけした苗には、植え付けから25日ごろに追肥をしましょう。
球が大きくならない・腰高球になる
球が肥大する時期に、水と肥料が不足すると球が大きくならなかったり、腰が高くなりレモンのような形になる腰高球になったりします。
球が大きくならない理由は、他にも植え付け時期や、苗の状況、雑草や病害虫などがありますが、収穫2か月前に肥料切れをおこさないよう、追肥は忘れずに行いましょう。
肥料不足の対処法
タマネギに肥料切れの症状がみられる場合は、追肥で対応します。葉色が薄い・枯れている場合は病害虫の可能性もあります。まずは、病害虫の被害がないか確認します。
追肥は、速効性の液体肥料(液肥)がおすすめ。速効性の化成肥料でもよいでしょう。畑など地植えの場合は、株間に化成肥料をまいて、土寄せします。液肥は水やりがわりに、規定量で希釈して散布します。一度に多く与えすぎると、肥料焼けをおこして枯れてしまうこともありますので注意しましょう。
追肥におすすめの化成肥料
液体肥料
プランター栽培の追肥や、肥料不足の症状がでたときには速効性の液体肥料もおすすめです。追肥で使う場合は、春の追肥は3月初旬に与えた場合は、1週間ごとに2回~3回与えましょう。液体肥料は、「ハイポネックスの野菜の液肥」や「マイガーデン液肥」などがよいでしょう。
速効性の化成肥料
肥料不足の追肥には、化成肥料もおすすめです。化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、N-P-K=8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよいでしょう。
その他 玉ねぎのトラブル
病害虫
病気
玉ねぎは、苗床の時には苗立枯れ病、本畑ではべと病、腐敗病にかかりやすくなります。葉色が黄色くなる病気としては、萎黄病や萎縮病があります。葉に斑点があったり、黄色く萎びてしまう場合には病気の可能性を疑いましょう。
害虫
玉ねぎの葉や実が食害を受けたり、色が変色している場合は害虫の可能性もあります。玉ねぎは、タマネギバエ、ネギアザウマ、ヒメフタンテンヨコバイなどの害虫が発生しやすくなります。
予防には、寒冷紗や防虫シートをかぶせたり、薬剤をつかったりしましょう。またタマネギバエは、有機物の腐敗臭を好むため、発生しやすい場所では使用を避ける、完熟しているものを使うとよいでしょう。発生したら病気の苗を取り除いたり、殺虫剤などをつかって早く駆除をしましょう。
酸性土壌
玉ねぎは、酸性土に弱いため土壌が酸性に傾いていると、生育が遅れ肥料分を吸収することができなくなります。植えつけ前に、石灰資材で酸度を調整しておきましょう。よく使われるのは苦土石灰です。野菜の栽培に必要な苦土(マグネシウム)も補充することができます。
土壌検査
土壌酸度(ph)は、土壌 pH6.0〜7.0を目安にしましょう。土壌酸度計や土壌酸度測定液などを使うと、土の酸度が簡単に図ることができます。定期的に検査することで、土壌の状態を知ることができます。
【補足】玉ねぎの肥料の与え方
玉ねぎの肥料は基本的に3回。植えつけ時に元肥を、追肥を植え付け25日後に1回目の追肥を、暖かくなってきた3月上旬に、2回目の追肥をします。
元肥
植物の苗や苗木を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
異なる呼び方として「基肥(きひ)」「原肥(げんぴ)などと呼ばれる場合もあります。
畑や庭植えなどでは、堆肥を1㎡あたり2kg入れ、さらに有機肥料や化成肥料を施します。鉢植えやコンテナでは、野菜用の培養土を使い、緩効性肥料を施します。玉ねぎなどのネギ類はリン酸を施すと、根の張りがよくなり収穫量も増えるので、リン酸を多めに施肥します。
追肥1回目
1回目の追肥は、植え付け後25日後に行います。休眠時期に入る前に肥料を与えるのは、春に花茎が伸びてネギ坊主がついてしまう「とう立ち」を防ぐためです。株間に有機肥料や化成肥料をまいて、土寄せしておきます。
追肥2回目
2回目の追肥は、暖かくなり生育が旺盛となる3月上旬に行います。有機肥料を使う場合は効き目が遅いので2月下旬頃に与えるとよいでしょう。1回目の追肥と同様に株間に有機肥料や化成肥料をまいて、土寄せしておきます。4月以降は肥料は与えません。この時期に肥料を与えると病害虫や、球がぶよぶよとして育ち、腐敗を増加させる恐れがあります。