ホームセンターの除草剤コーナーに行くと、目につく場所に置かれている、ラウンドアップマックスロードやバスタ(バスター、basta)といった液体除草剤(液剤)。これらは全てを枯らす除草剤です。
シバゲンDFは、芝生を枯らさず、芝生に生える雑草を抑えてくれる優れもの。ここでは、シバゲンDFの特長、使い方、また除草剤の基本的な知識を説明していきます。
シバゲンDFとは何か? その特長は?
シバゲンDFは、石原バイオサイエンス株式会社が開発した、淡褐色水和性細粒の芝生用除草剤です。
成分は、石原産業が開発したフラザスルフロンで、芝生以外の雑草を枯らし、抑える選択生除草剤です。雑草を枯らす仕組みは、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすパターンの、葉茎処理剤、土壌処理剤の両方の特性を持つハイブリッドな除草剤です。
主な特長は、
幅広い殺草スペクトラム
有効成分フラザスルフロンは茎葉および根部から吸収され、植物特有の分岐アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)の生成を司るアセトラクテート合成酵素(ALS)を阻害する事によって殺草作用はが生じます。
芝生に生える一年生雑草全般、多年生広葉雑草、多年生イネ科のスズメノヒエおよび多年生カヤツリグサ科のハマスゲ、ヒメクグに対して高い効果を発揮します。
処理適期が広い
雑草の発生揃い期から生育初期で高い茎葉処理効果を示すだけでなく、処理後の雑草の発生を抑えることができます。
従って、雑草発生前~生育初期の幅広い時期に使用することができます。土壌処理効果として、標準薬量0.02g/㎡で春夏期で40日程度、秋冬期では120日程度雑草の発生を抑制します。
日本芝には非常に影響が少なく、休眠期、生育期を問わず使用可能
雑草体内への取込みが早いので、薬剤処理後4~5日で刈込みをすることができます。シバゲンDFが使える芝は、「日本芝」「バミューダグラス(バーミューダグラス)」「センチピードグラス」になります。逆に寒地型西洋芝(ゴルフのグリーンなど)では、薬害が出るため使用できません。

シバゲンDFの使い方
主な使い方
シバゲンは、水和生の顕粒なので、水に溶かして使用します。使用薬量と希釈水量は、袋に細かい使用薬量と希釈水量が書かれていますので、ぜひご参考にしてください。
基本的な希釈比率は、10gに100Lの希釈水量を目安にします。
希釈倍率500倍で30Lの希釈液を作りたいときには、60ml(g)の原液(原料)が必要ということになります。原液の量や水量を簡単に計算できるサイトもあります。
ただし、しかし、ハマスゲなどの強雑草に対しては、希釈率を2倍の濃度を上げた方が効果がでますし、製品の希釈倍率も通常と異なった濃度を勧めています。どの雑草に対して使用するかで、うすめる濃度を変えていきましょう。広範囲に渡る場合は加圧式散布機、噴霧器の使用がおすすめです。
シバゲンDFは、雨が降っても大丈夫?
シバゲンは「茎葉処理剤」の性質を持っています。このため、散布後すぐに雨が降ると、雑草に付着した薬液を流すため、効果がなくなることがあります。散布後すぐに雨が降りそうな天気予報のときは、散布を避けましょう。
目安としては、「散布後、6時間過ぎた後」 であれば雨の影響を受けなくなり、効果は持続します。
また、朝露が多い、雨上がりなど、葉についた薬液がこぼれ落ちるような場合も効果が薄れることがあります。早朝や雨上がりも避けた方がいいでしょう。
シバゲンはどこで買えるの?
シバゲンは上記以外でも、アグリズやバロネスダイレクト(バロネス、baroness)、またアークランドサカモト(arcland)などのホームセンターでも展開されています。
シバゲンと合わせて使いたい除草剤
シバゲンは芝生以外の雑草に効果がありますが、全てを徹底的に防除できるわけではありません。広葉雑草のうちイヌホオズキ、オオイヌノフグリ、セイヨウタンポポ、ツユクサには効果が劣ります。
このため、下記におすすめする選択生除草剤と合わせて使えると、より完璧です。
グリーンアージラン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
成分 アシュラム
アージランは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、芝の生育にとって有害なメヒシバやスズメノカタビラ(生育中)を防除することができ、生育中の広葉雑草にも高い効果:特にキク科雑草(ヒメジョオン、アレチノギクなど)に有効です。
ザイトロンアミン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
成分 トリクロピル(PRTR・1種)
ザイトロンは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、広葉雑草に高い効果を発揮する選択性の葉茎処理剤です。多年生の難防除の広葉雑草にも強い除草効果が期待でき、10〜15日でしっかり効果が出ます。逆にイネ科雑草には効果がないため、イネ科雑草の駆除には別の除草剤が必要になります。
MCPP液剤 (丸和バイオケミカル株式会社)
成分
メコプロップ(MCPP)
説明
成分は、メコプロップ(MCPP)で、メコプロップ(MCPP)は、オーキシン型の植物ホルモン作用を有し、植物ホルモン作用を攪乱することによる細胞分裂異常により除草活性を有するフェノキシ酸系除草剤になります。
広葉雑草、特にクローバーなどの一年生の広葉雑草、またスギナに代表されるトクサ科の雑草に強い効果を発揮し、逆にイネ科雑草には効果がないため、芝生で安心して使用できます。
雑草の発生揃い期から生育初期で高い茎葉処理効果を示すだけでなく、浸透移行性があるため、幅広い処理適期を有し、非常に使い勝手が良い液剤です。
高麗芝や野芝などの「日本芝」や「バミューダグラス(バーミューダグラス)」、またケンタッキーブルーグラスと、幅広い芝で使用することができます。
その他 シバゲン以外の芝生用除草剤
上記でご紹介した芝生用除草剤のほかに、下記のような商品もあります。
シバキープAL (レインボー薬品(株)) (液剤)
成分 MCPP(フェノキシ酸系)
日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)とケンタッキーブルーグラスに使用できます。シロザ、コニシキソウ、タデ類、イヌビユ、ブタクサ等の一年生広葉雑草に効果を発揮し、スギナもしっかりと枯らします。
シバキープⅢ粒剤 (レインボー薬品(株))
成分 メコプロップPカリウム塩、DBN(ニトリル系)
パラパラまくだけで日本芝(コウライシバ)の中に生えた雑草に効く顆粒の除草剤です。芝生は枯らさず、生えてくる雑草をしっかり抑えることができます。効果も約4ヶ月も持続します。
シバキーププラスα(肥料入り) (レインボー薬品(株)) (粒剤)
成分 トリアジフラム(トリアジン系)、DBN(ニトリル系)
この商品は、除草効果に加え、チッソ(窒素)、リンサン(リン酸)、カリウムの三大要素のほか、二次要素であるマグネシウムまでも含有し、除草しながら施肥できる商品になります。
芝生のおすすめ肥料、手入れに関する記事は下記を参考にしてください。










まとめ
見事に緑化された芝生は美しく、雑草がないと虫、害虫の発生が減り、殺虫剤の使用も控えることができます。シバゲンを使って美しい芝生の維持にチャレンジしてみてください。ただし、使用する際は、長袖長ズボン、マスクやゴーグルの着用をお忘れなく。
(補足)除草剤あれこれ
農耕地で使用できるものとできないものがあります
ラウンドアップやサンフーロン、バスタは、畑作や果樹園などの田畑、農耕地で使用することができますが、グリホエースなど、グリホサート系除草剤でも農耕地で使用できないものもあるので、使用の際は必ず確認するようにしましょう。





具体的には、農薬取締法に基づき国に農薬登録をされている除草剤(農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています)しか、畑や田んぼ、菜園、植物を植えた庭などの所謂「農耕地」に散布することはできません。
下記に詳しく書いているので、興味ある方は読んでみてください。
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。また、展着剤を使って効果を上げる方法もあります。
除草剤の種類あれこれ
発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」か
除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽、生育を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。
また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。
しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。「茎葉処理剤」は、散布された薬液に接触、吸着した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。
非選択性か選択性か
次に、除草剤は接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。





また、除草のための農機具、農具、草刈機(刈払機)、資材については、こちらをご参考ください。




除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。





雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。
除草剤の安全性について
除草剤については、様々なイメージ、情報が飛び交っています。下記では、そもそも除草剤は安全なのか、また除草剤を使用するときに気を付けたいポイント、また個別の除草剤の安全性について徹底解説しています。