ホームセンターの除草剤コーナーに行くと、目につく場所に置かれている、ラウンドアップマックスロードやバスタ(バスター、basta)といった液体除草剤(液剤)。これらは全てを枯らす除草剤です。
芝生用除草剤 MCPP液剤は、芝生を枯らさず、芝生に生える雑草を抑えてくれる優れもの。ここでは、MCPP液剤の特長、使い方、また除草剤の基本的な知識を説明していきます。
芝生用除草剤 MCPP液剤とは何か? その特長は?
芝生用除草剤 MCPP液剤は、丸和バイオケミカル、理研グリーンが販売している、褐色澄明水溶性液体の芝生用除草剤です。
成分は、メコプロップ(MCPP)で、メコプロップ(MCPP)は、オーキシン型の植物ホルモン作用を有し、植物ホルモン作用を攪乱することによる細胞分裂異常により除草活性を有するフェノキシ酸系除草剤になります。
主な特長は、
芝生で安心して使える
イネ科の植物にはほとんど効果がないため、芝生に対して安心して使用することができます。
広葉雑草、スギナに優れた効き目
広葉雑草、特にクローバーなどの一年生の広葉雑草、またスギナに代表されるトクサ科の雑草に強い効果を発揮します。
処理適期が広い
雑草の発生揃い期から生育初期で高い茎葉処理効果を示すだけでなく、浸透移行性があるため、幅広い処理適期を有し、非常に使い勝手が良い液剤です。
日本芝、西洋芝(ブルーグラス)に使用可能
高麗芝や野芝などの「日本芝」や「バミューダグラス(バーミューダグラス)」、またケンタッキーブルーグラスと、幅広い芝で使用することができます。
ただし、西洋芝は日本芝のように、除草剤を散布して早期に結果が出るのに対し、適用の除草剤を使用しながら、時間をかけ、次第に雑草を少なくしていく、というステップを踏みます。

芝生用除草剤 MCPP液剤の使い方
主な使い方
MCPP液剤は褐色澄明水溶性液体なので、水で希釈して薄めて使用します。使用薬量と希釈水量は、袋に細かい使用薬量と希釈水量が書かれていますので、ぜひご参考にしてください。
基本的な希釈比率は、1mLに100mLの希釈水量を目安にします。
希釈倍率500倍で30Lの希釈液を作りたいときには、60ml(g)の原液(原料)が必要ということになります。原液の量や水量を簡単に計算できるサイトもあります。
広範囲に渡る場合は加圧式散布機、噴霧器の使用がおすすめです。
MCPP液剤は、雨が降っても大丈夫?
MCPP液剤は「茎葉処理剤」の性質を持っています。このため、散布後すぐに雨が降ると、雑草に付着した薬液を流すため、効果がなくなることがあります。散布後すぐに雨が降りそうな天気予報のときは、散布を避けましょう。
目安としては、「散布後、6時間過ぎた後」 であれば雨の影響を受けなくなり、効果は持続します。
また、朝露が多い、雨上がりなど、葉についた薬液がこぼれ落ちるような場合も効果が薄れることがあります。早朝や雨上がりも避けた方がいいでしょう。
MCPP液剤はどこで買えるの?
MCPP液剤は上記のバロネスダイレクト(バロネス、baroness)以外でも、アグリズや様々な店、ホームセンターでも展開されています。
MCPP液剤と合わせて使いたい除草剤
MCPP液剤は芝生以外の雑草に効果がありますが、全てを徹底的に防除できるわけではありません。特にキク科雑草には効果が劣ります。
このため、下記におすすめする選択生除草剤と合わせて使えると、より完璧です。
グリーンアージラン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
成分 アシュラム
アージランは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、芝の生育にとって有害なメヒシバやスズメノカタビラ(生育中)を防除することができ、生育中の広葉雑草にも高い効果:特にキク科雑草(ヒメジョオン、アレチノギクなど)に有効です。
2,4-D「石原」アミン塩(24d)
2,4-D「石原」アミン塩は、石原バイオサイエンス(株)が販売している、茶褐色液体色)の選択制除草剤です。成分は2,4PAジメチルアミン塩49.5%で、人畜毒性、環境影響が少なく、ホルモン・吸収移行型の茎葉処理剤です。オーキシン様の作用をもち,雑草の茎葉や根から吸収され,体内の植物ホルモンバランスを攪乱させることで生理的な障害を与え,茎葉を捻転(よじれ)させるなどののちに枯死させます。
広葉雑草によく効き、イネ科雑草には効果が弱いこと、日本芝だけでなく、センチピードグラスに対しても安全性が高く、養生中の雑草管理にも使えるのが特徴です。
その他 MCPP液剤以外の芝生用除草剤
上記でご紹介した芝生用除草剤のほかに、下記のような商品もあります。
シバキープAL (レインボー薬品(株)) (液剤)
成分 MCPP(フェノキシ酸系)
日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)とケンタッキーブルーグラスに使用できます。シロザ、コニシキソウ、タデ類、イヌビユ、ブタクサ等の一年生広葉雑草に効果を発揮し、スギナもしっかりと枯らします。
シバキープⅢ粒剤 (レインボー薬品(株))
成分 メコプロップPカリウム塩、DBN
パラパラまくだけで日本芝(コウライシバ)の中に生えた雑草に効く顆粒の除草剤です。芝生 にはやさしく、雑草は根までしっかり 除草でき、約4ヶ月効果が持続します。
シバキーププラスα(肥料入り) (レインボー薬品(株)) (粒剤)
成分 トリアジフラム(トリアジン系)、DBN(ニトリル系)
この商品は、除草効果に加え、チッソ(窒素)、リンサン(リン酸)、カリウムの三大要素のほか、二次要素であるマグネシウムまでも含有し、除草しながら施肥できる商品になります。
ザイトロンアミン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
成分 トリクロピル(PRTR・1種)
ザイトロンは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、広葉雑草に高い効果を発揮する選択性の葉茎処理剤です。多年生の難防除の広葉雑草にも強い除草効果が期待でき、10〜15日でしっかり効果が出ます。逆にイネ科雑草には効果がないため、イネ科雑草の駆除には別の除草剤が必要になります。
シバゲンDF (石原バイオサイエンス(株)) (粒剤)
成分
フラザスルフロン水和剤
説明
ゴルフ場の芝生の除草を目的として開発された製品です。葉茎処理効果と土壌処理効果を併せ持つため、時期に関係なく使用できます。
また、除草対象の雑草は最も幅広く、イネ科、カヤツリグサ科、広葉タイプの一年生雑草から、多年生雑草まで効果を発揮します。芝生に生える厄介な雑草の代表種、スズメノカタビラやメヒシバ、また地下茎を作るハマスゲ、ヒメクグ、チドメグサ、カタバミもしっかり枯死させます。
更に、シバゲンはゴルフ場用に開発されているだけあって、日本芝(野芝(ノシバ)や高麗芝(コウライシバ))のみならず、ティフトンで有名なバミューダグラスなどの西洋芝(ベントグラスは除く)、また近年繁殖させ易さで普及しているセンチピードグラスでも使用できる、おすすめの除草剤です。
芝生のおすすめ肥料、手入れに関する記事は下記を参考にしてください。










まとめ
見事に緑化された芝生は美しく、雑草がないと虫、害虫の発生が減り、殺虫剤の使用も控えることができます。MCPP液剤を使って美しい芝生の維持にチャレンジしてみてください。ただし、使用する際は、長袖長ズボン、マスクやゴーグルの着用をお忘れなく。
(補足)除草剤あれこれ
農耕地で使用できるものとできないものがあります
ラウンドアップやサンフーロン、バスタは、畑作や果樹園などの田畑、農耕地で使用することができますが、グリホエースなど、グリホサート系除草剤でも農耕地で使用できないものもあるので、使用の際は必ず確認するようにしましょう。





具体的には、農薬取締法に基づき国に農薬登録をされている除草剤(農薬として登録された除草剤のパッケージには[農林水産省登録第○○号]と表記されています)しか、畑や田んぼ、菜園、植物を植えた庭などの所謂「農耕地」に散布することはできません。
下記に詳しく書いているので、興味ある方は読んでみてください。
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。また、展着剤を使って効果を上げる方法もあります。
除草剤の種類あれこれ
発芽抑制する「土壌処理剤」か、茎葉処理する「茎葉処理剤」か
除草剤の大きなタイプ分けとして、土表面に散布して雑草の発芽、生育を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。
また、この両方の効果を持つタイプもあって、「茎葉兼土壌処理剤」と呼ばれるものもあります。
「土壌処理剤」は、土壌に成分が残り、雑草の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があるなど、茎葉処理のものより多くの植物を除去することができます。
しかしながら、草丈20〜30cm以上草が生長している場合は、効き目が弱く、効果を出すためには、草刈りした後での散布が必要になってきます。「茎葉処理剤」は、散布された薬液に接触、吸着した部分の植物組織だけを枯らします。このタイプの薬剤は種類を限定して効果を発揮することができる選択的除草剤が多くあります。
非選択性か選択性か
次に、除草剤は接触した全ての植物を枯らす「非選択性除草剤」か、対象とする植物種を枯らす「選択性除草剤」かに分けられます。除草剤の研究により、枯らす対象となる植物を絞り込む「選択性除草剤」が多く開発されています。枯らす仕組みは主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。





また、除草のための農機具、農具、草刈機(刈払機)、資材については、こちらをご参考ください。




除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。





雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。
除草剤の安全性について
除草剤については、様々なイメージ、情報が飛び交っています。下記では、そもそも除草剤は安全なのか、また除草剤を使用するときに気を付けたいポイント、また個別の除草剤の安全性について徹底解説しています。