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有機肥料(有機質肥料)肥料肥料の種類

茶殻を肥料として再利用する方法

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茶殻の写真 有機肥料(有機質肥料)

緑茶、ほうじ茶、紅茶を入れると必ず発生する茶葉(茶殻)。お茶を淹れた後の茶葉(茶殻)は、さまざまに有効活用できることが広く知られています。乾燥させて靴箱などの消臭剤として使ったり、お風呂に入れたり、ふりかけにしたりとさまざまな方法が楽しめます。そして、堆肥肥料として活用することもできます。

この記事では、茶殻を堆肥・肥料として活用する方法について、概要と作り方、使い方について幅広く解説します。

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そもそも茶殻は肥料として活用できるのか?

結論から話すと、茶殻は茶殻肥料として活用できます。茶殻を含む野菜くずなど有機質のものは、土作りのための堆肥や肥料として使うことができます。

但し、土にそのまま施用しても効果が現れるまでに時間がかかります。それは、有機物に含まれる栄養素を植物が吸収できるようになるまでの過程として、微生物による「分解」が必要だからです。

有機物は、土壌の微生物による分解を経て無機化されることによって植物に吸収されます。そのため、そのまま施用する場合は、かなりゆっくりと肥効が現れるようになります(遅効性)。

堆肥は、有機物を発酵させたものですが、微生物によって分解がある程度進んでいるため、比較的早く肥効が現れます。ぼかし肥料というものもありますが、これは発酵・熟成をさらに進めることによって速効性の肥料としての役割を果たします。

これらの前提知識を持った上で、茶殻を肥料として活用する方法を考えていきましょう。

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茶殻にはどのような栄養素が含まれているのか?

茶殻の写真

茶殻を含む野菜くずにはどのような栄養素が含まれているのでしょうか?下記に一部の食材の栄養素を挙げてみました。

品名含水率
(%)
C
炭素
(%)
N
窒素
(%)
P
リン酸
(%)
K
カリウム
(%)
Ca
カルシウム
(%)
Mg
マグネシウム
(%)
Na
ナトリウム
(%)
みかんの皮72.644.50.760.0470.580.400.0640.065
にんじん90.140.71.360.242.70.270.0950.23
キャベツ92.736.83.830.372.70.590.190.068
バナナの皮90.941.81.320.226.60.200.280.17
リンゴ84.943.30.210.0660.730.0200.0200.00
グレープフルーツの皮76.542.51.250.0961.61.10.0800.12
鶏肉の骨55.737.97.125.10.245.70.100.22
卵殻(卵の殻97.30.750.0870.13360.330.26
米飯6042.91.170.0850.0730.00750.0180.0025
茶殻84.252.44.420.310.420.540.140.11
標準生ゴミの組成78.039.33.731.161.054.440.110.38
生ゴミの成分組成計算例 – 各種バイオマス成分のデータベース整備, 中村, 柚山, 農工研技法203 57〜80, 2005.

この表を見ると、茶殻にもしっかり肥料成分が含まれていることがわかります。

但し、野菜くずや生ゴミは水分含有率も高いということに注意してください。水分が多い場合、微生物の活動に適正な水分管理が難しく、堆肥やぼかし肥料を作るときに失敗するリスクが高まります。そのため、堆肥化や肥料として使用する場合には可能な限り、水分を切ることが大事であると言えます。

電子レンジや天日干しでしっかりと茶殻を乾燥させることが大事です。(新聞紙上等に放置してしっかり乾燥させましょう。)

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茶殻を使った肥料の作り方・使い方

茶殻を肥料として使うときには、主に下記の3つの方法があります。

  • そのまま土壌に混ぜ込んで使う
  • 堆肥にして使う
  • ぼかし肥料にして使う

各作り方・使い方の手間と難易度

方法によって、手間と難易度は大きく異なります。各作り方・使い方の手間と難易度について、私なりにまとめましたので、取り組むときの参考にしてください。最も手間のかからないやり方は、そのまま土壌に混ぜ込んで使うことです。

作り方・使い方そのまま土壌に混ぜ込んで使う堆肥にして使うぼかし肥料にして使う
コスト
(何も必要ない)

(コンポスターなどが必要な場合がある)

(密閉容器などが必要となる)
難易度
(発酵・堆肥化のために微生物の活動環境を整える必要がある)

(発酵・熟成のために微生物の活動環境を整える必要がある)
メリット手元に何もなくても始められる堆肥化することで良質な土壌改良資材になる熟成させ、ぼかし肥料にすることで速効性を兼ね備えた有機肥料ができる
デメリット分解されるまでに時間がかかるので、土作りはかなり早めに行う必要がある。作り方によっては、コンポスターなどのコンポスト容器が必要だったり、切り返しの作業が必要だったりする。密閉容器が必要だったり、微生物の活動環境の整備が難しかったりする。

ここでは一例として堆肥にして使う方法を記載します。それぞれの方法について詳しく知りたい方は是非下記を参考にして、チャレンジしてみてください。

堆肥にして使う方法

茶殻を微生物の力を使って、発酵、分解することで堆肥化することができます。

気温や生ゴミの量、方法などによりますが堆肥として使用できるまでには、夏場で約1ヶ月、冬場で約3ヶ月ほどかかります。但し、生ゴミ堆肥を作る場合は、日々生ゴミを投入していくため、分解途中の可能性が高いです。

そのため、完熟堆肥にするためには、熟成という工程が必要となります。熟成は、出来上がった生ゴミ堆肥と土を3:7の割合で混ぜ合わせ、袋の中に入れたりビニールシートで覆ったりして保管しながら行います。このとき、未分解の生ゴミについては取り除いて、引き続き堆肥化の処理を行ってください。

全体的な流れとかかる期間を記載しますので、目安としてください。

  • 夏場:生ゴミを投入、堆肥化(1〜2週間)→熟成(約1ヶ月)→堆肥として使用
  • 冬場:生ゴミを投入、堆肥化(3〜4週間)→熟成(約2〜3ヶ月)→堆肥として使用

堆肥にするときには、コンポスター(コンポスト容器)を使用する方法から身近なダンボール、牛乳パック、プランターを使用する方法まで様々な方法があります。コストや作りやすさ、使用できるスペースなどに合わせて、適した方法を選択しましょう。

一例としてダンボール箱を使った生ゴミ堆肥の作り方を掲載します。

ダンボール箱を使って生ゴミ堆肥を作る手順
  • 手順1
    ダンボール箱を用意する。

    宅配便用のダンボール箱など、比較的しっかりとした作りのダンボール箱のほうが安心です。大きさは120サイズ(四方約40cm程度)のものがおすすめです。

    ふたをするために、もう一つ同じ大きさのダンボール箱も用意しておいてください。

    また、通気性を良くするため、土台を作りダンボール箱の底を浮かせるようにしてください。例えば、園芸用の籠やコンテナなどを逆さまに置き、その上にダンボール箱を置くなど、工夫をしてください。

  • 手順2
    床をつくる。
    ダンボールを使った生ゴミコンポストの作り方を示したイラストです。まず最初に米ぬかと腐葉土をよく混ぜて発酵状態にします。

    まず、発酵させるための床を作ります(ぬか床と一緒です)。

    腐葉土を用意し、ダンボール箱の1/2の高さまで入れます。ここに米ぬかを腐葉土の1/4程度入れて、よく混ぜ合わせます。その後、発酵が始まるまで数日(早ければ1日)、放置します。

  • 手順3
    生ゴミを投入する。
    ダンボールを使った生ゴミコンポストの作り方を示したイラストです。生ゴミと米ぬかを混ぜ合わせて投入し、よく混ぜます。

    床の温度が40℃〜50℃になったら、生ゴミの投入を開始します。生ゴミを投入するときには、生ゴミに米ぬかを混ぜ合わせて投入してください。投入量は300g〜500g程度/回が良いでしょう。

    生ゴミを投入したら、移植ゴテやシャベルなどで床とよく混ぜ合わせましょう。

    米ぬかは煎ったものではなく、生のものを使います。

  • 手順4
    手入れをする

    腐らせないように発酵させることが重要です。ポイントを下記にまとめましたので、参考にしてください。

    また、生ゴミを投入しない日も極力混ぜるようにしてください。

    ダンボールコンポスト手入れのポイント
    • 温度が上がらない場合は、発酵が進んでいないと捉えることができます。発酵が進まない原因は、米ぬかの不足(微生物の餌の不足)、水分量の過多・不足が考えられます。
    • 床が乾いてきたら、水分が不足しています。水、もしくは米の研ぎ汁などを少量加えてください。
    • 水分が多いときには、腐葉土を追加してください。新聞紙やキッチンペーパーを中に入れて、水分を吸収することも有効です。
    発酵中の水分量の目安

    目安は混ぜ合わせた材料を強く握るとだんご状になり、軽い力で崩れるくらいが良いです。握ったときに水が滴り落ちてくる場合は、水分量が多すぎますので乾燥物で調整してください。

  • 手順5
    堆肥化完了の確認をする。

    生ゴミの最初の投入から1〜3ヶ月程度経ち、発酵速度、温度が落ちてきたら完了に近いです。

    堆肥化完了の判断目安

    堆肥化完了の判断としては、以下の観点があります。

    • 発酵温度の低下
    • 色が周りの土に比べて黒くなっている

    堆肥化が完了したものは、切り返し(全体的にかき混ぜる)をして全体的に発酵させます。

  • 手順6
    完熟させる。

    完成した生ゴミ堆肥を熟成させます。未分解の生ゴミを取り除いた生ゴミ堆肥を肥料袋などに移して密閉します。約1ヶ月〜3ヶ月、熟成させます。たまに、ビニールシートなどに広げて、切り返しや加水を行うことで熟成の速度が安定します。

    完熟の判断目安

    完熟したかどうかの判断としては、以下の観点があります。

    • コップに水を入れて、大さじ1杯程度の堆肥を投入したときに、コップの底に堆肥が沈む
    • アンモニア臭や悪臭がしない(する場合には、再度切り返し、水分調整をしながら熟成を継続する必要がある)
    • ミミズを投入すると居着いてくれる

茶殻などの野菜くずを含む生ゴミの活用方法の記事一覧

実際には、茶殻だけではなく野菜くずや他の生ゴミと一緒に堆肥、ぼかし肥料を作ることが多いと思います。下記に野菜くずや生ゴミを活用するためのノウハウをまとめていますので参考にしてください。

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また、茶と同じく飲み物のかすとして出るコーヒー殻も肥料として利用することができます。下記を参考にしてみてください。

まとめ

緑茶や煎茶を急須で入れるたびに捨てていた出し殻を炒る、また乾燥させて肥料の一部としてリサイクルできるのは非常に魅力的ですね。もちろんニオイを取る消臭効果もありますし、茶葉自体良い香りがするものです。ぜひ色々活用してみてください。

執筆者・監修者情報
執筆者・監修者

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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