さやごと食べるスナップエンドウは、シャキシャキとした食感で、肉厚で甘みが強い栄養価の高い野菜です。スナップエンドウは畑だけでなく、プランター栽培も可能です。
では、スナップエンドウを育てるのに肥料はどのように与えたらよいのでしょうか。この記事では、スナップエンドウの栽培におすすめの肥料を紹介するとともに、与え方のポイントなどをわかりやすく説明します。
スナップエンドウにおすすめの肥料
エンドウのようなマメ科植物は、根粒菌という土壌の微生物と共生することにより、空気中にある窒素を栄養素として取り入れることができます。このため、他の野菜と同じように施肥を行うと、窒素過多になってしまいます。
スナップエンドウの肥料には、窒素分が多くなくリン酸が多いものがおすすめ。
畑などの地植えでは、スナップエンドウは元肥には、ゆっくりと効果のでて土壌改良効果もある有機肥料がおすすめです。プランターなどでは臭いや虫が気になるという人は、元肥では元肥入りの野菜の培養土か、有機配合の緩効性の化成肥料がよいでしょう。
追肥には速効性の液体肥料が化成肥料がおすすめです。またマメ専用肥料は窒素分が少なく配合されており、元肥にも追肥にも使えるので、スナップエンドウにおすすめです。
それでは各肥料の種類やおすすめの商品について説明します。
有機肥料
畑の元肥には、有機肥料がおすすめです。有機質を好むので、できれば堆肥は牛糞など土壌効果の高いものを使いましょう。有機肥料は、鶏ふんや油かす、米ぬかなどが使えます。油かすは窒素分が多いので、リン酸とカリ分が足りないので、リン酸は過りん酸石灰や骨粉、カリは草木灰、硫酸カリなどを併用するとよいでしょう。
有機肥料は完熟のものを使い、米ぬかなどは生のものは使わず、ぼかし肥料の原料として使うのがおすすめです。ぼかし肥料や有機100%肥料などは、初心者の人でも使いやすい肥料です。
化成肥料
化成肥料とは「数種類の肥料に何らかの化学的工程を加えて製造された肥料」が化成肥料です。化成肥料は粒状や固形(ペレット、ブリケット)になっているものが多いです。
化成肥料は速効性の肥料が多く追肥におすすめです。有機配合肥料などは元肥・追肥両方に使える肥料が多くあります。液体肥料は追肥で使います。
固形化成肥料
化成肥料はいろいろな野菜に使える三大要素(窒素・リン酸・カリウム)が均等に入った、化成肥料8-8-8などが一般的です。スナップエンドウにも使えますが、窒素を基準として肥料を与えすぎないように注意しましょう。
花の肥料などは、リン酸やカリウムを強めているので、そちらをつかってもよいでしょう。
豆専用肥料
豆用の肥料であれば、スナップエンドウに適した肥料成分が配合されているので誰でも使いやすい肥料です。スナップエンドウ用に新しく肥料を買うのであれば、こちらがおすすめです。
液体肥料
プランターの追肥には液体肥料がおすすめです。
液体肥料は、マイガーデンの「ベジフル液肥」や、ハイポネックスの「野菜の液肥」、葉面散布専用の液肥「ハーモザイム」などが使えます。化成肥料を使う時は、窒素分が多くない肥料を使うとよいでしょう。
スナップエンドウの肥料の与え方
スナップエンドウは、春まき栽培の場合、できるだけ早くまいて、暑くなるまでに収穫することが大事です。なぜなら、暑くなると、つるの生育が悪くなってしまい、また病害虫の発生も多くなってしまいます。
地植えでは、植えつけ時の元肥のみで育てます。プランターの場合は肥料が流れやすいので、本葉が3枚~4枚のころに液肥を1度追肥します。
地植えの場合
元肥
畑などの地植えの場合は、土づくりが大切です。またスナップエンドウは、酸性土に弱いのでその対応も必要です。pH6.5〜7.0を目標に、苦土石灰を施用しましょう。
堆肥と石灰を一緒にまくと堆肥に含まれている窒素がアンモニアとして逃げてしまうので、1週間ほどあけましょう。また石灰をまいてからphの数値に変化がでるまで1週間から10日ほどかかるので、種まきはそれから行うとよいでしょう。
さらに、スナップエンドウのような豆類は、一般の野菜に比べて、肥料分、特に窒素(チッソ)成分を抑えるのが重要です。
- 牛糞などの堆肥を、1㎡あたり1kg程度をまいてよく施します。
- 堆肥を撒いてから1週間ほどたってから、苦土石灰を1㎡あたり150gと元肥として緩効性肥料を施肥し、土とよく混ぜて耕してから畝を立てます。
- 2から10日ほどたってから、種をまきます。
追肥
追肥は、開花後に着莢が大きくなるときに1度、化成肥料を1株あたり15gをばらまきます。中耕、除草、土寄せも一緒に行いましょう。
鉢植え・プランター
鉢植えや、プランターなどで育てる場合は、市販の元肥入りの野菜の培養土などが便利です。自分で配合する場合は、赤玉土6.5腐葉土2.5、バーミキュライト1の配合します。そこに苦土石灰を用土1ℓ当たり3gほど混ぜます。自分で配合した場合や、元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を施します。
追肥は、プランターの場合は水で流れやすいため定期的に施します。寒さが緩む2月下旬になると株が成長し始めます。このころの追肥を始めましょう。月に1度化成肥料を、10g程度土にばら撒いて、土寄せします。収穫が始まったら、2週間に1度同量に施肥します。
スナップエンドウの肥料の過不足について
肥料は、与えれば与えるほどよく育つというわけではありません。特にスナップエンドウのような豆類は、根粒菌という土壌の微生物と共生することにより、空気中にある窒素を栄養素として取り入れることができます。
このため、他の野菜と同様に窒素を施肥すると、「つるボケ」と呼ばれる、花が咲かないで、葉が多く茂ってしまう現象の原因になってしまいます。また、アブラムシ類を代表とした害虫が多く発生する原因にもなるので、生長具合を確認しながら、窒素量のコントロールを行うことが重要です。
また、葉の変形やチップバーンといった症状は、肥料過多、不足によって起こることも多いですが、病害虫によっても起こります。病害虫にかかっていないか確認してから、追肥をするとよいでしょう。スナップエンドウでよく発生する病害虫は、うどんこ病、灰色かび病、軟腐病、アブラムシ類、ハダニ類、ナモグリバエなどです。