春の味覚の代表格のタケノコは、炊き込みご飯やてんぷら、煮物などの日本料理の他にも、チンジャオロースやメンマなどにも使われる私たちの食卓に欠かせません。
タケノコは春になるとニョキニョキとどんどん生えてくるイメージがありますが、品質のよいタケノコを収穫するには肥料がとても大切です。ここでは筍(たけのこ)栽培における肥料の与え方の基本と、おすすめの肥料についてわかりやすく説明します。
タケノコ栽培の肥料時期
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タケノコとして食用とされているのは、モウソウチク(孟宗竹)が一番多く、マダケ(真竹)なども使われます。タケノコは親竹の地下茎から芽を出して成長するため親竹に栄養を与えて育てる必要があります。親竹となる竹は、地下茎が2年~5年ほどの若い竹で、それ以上の竹はタケノコの発生が極端に減るため親株を更新して栽培をします。
竹は一年中生長しているので、施肥の方法もいろいろありますが、基本的には3回に分けて与えます。タケノコが発生する前の準備として冬肥を、タケノコの収穫が終わった後のお礼肥、その後3か月程度たったら芽子形成促進のために追肥(夏肥)します。
タケノコ栽培に必要な肥料成分
タケノコにはどのような肥料成分がどれぐらい必要なのでしょうか。下記は愛媛県のタケノコの施肥基準です。10aあたりリン酸、カリウムがそれぞれ20kg、窒素が30kgです。葉や茎を大きく育てる窒素を多く施す必要があります。(施肥基準は県によっても異なり、土壌によっても変わるので目安としてください。)また竹はケイ酸含有率が高い植物のため、ケイ酸カルシウム(ケイカル)肥料も施肥する必要があります。
施肥量(kg/10a) | 春肥 | 夏肥 | 冬肥 | 成分合計 |
---|---|---|---|---|
窒素(N) | 12 | 12 | 6 | 30 |
リン酸(P) | 20 | 0 | 0 | 20 |
カリウム(K) | 10 | 5 | 5 | 20 |
出典:愛媛県施肥基準(PDF)
タケノコ栽培の肥料の与え方
- 1月~2月
- 3月ケイ酸肥
冬肥の1ヵ月後に、ケイ酸肥を与えます。(化成肥料と同時には行わないこと)
- 5月下旬~6月
- 8月~9月夏肥
翌年のタケノコの芽が夏から秋にかけてできるので、親竹にしっかりと肥料を与えましょう。除草も兼ねて中耕をし、有機肥料や化成肥料をばらまいて土と混ぜておきましょう。
- 10月ケイ酸肥
夏肥の1ヵ月後に、ケイ酸肥を与えます。(化成肥料と同時には行わないこと)
- 10月~12月土入れ
栽培を続けると、地下茎が地上に出てくることもあります。その場合はワラをしいて、土をいれます。堆肥も使うと土壌改良も兼ねることができます。
タケノコ栽培におすすめの肥料
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化成肥料
化成配合肥料
タケノコには、三大栄養素とされる窒素・りん酸・カリウム(加里)が含まれている肥料を使います。タケノコの生産地では、タケノコ専用の肥料も販売されているのでJAなどで手に入る場合は、そちらを使うとよいでしょう。
タケノコ専用肥料の多くは、窒素分が多めに配合されています。手に入らない場合には、3要素が均等に含まれているものを使い、単肥て窒素分を補充するとよいでしょう。家庭菜園などで使われる化成肥料8-8-8でもよいですが、竹林などは、肥料を多く使うので、少量の散布ですむ高度化成肥料と呼ばれる肥料分の多い化成肥料14-14-14などをつかってもよいでしょう。
窒素単肥肥料
タケノコは窒素分を多く必要とするため、3要素が均等に含まれている肥料を使う場合は、窒素分を補うために単肥と呼ばれる、窒素だけを含んだ肥料を使うとよいでしょう。窒素だけを含む単肥はいろいろありますが、硫安や尿素などは速効性の効果のある肥料なので冬肥などに使うとよいでしょう。お礼肥や夏肥には緩効性の有機肥料と組み合わせて使うと効果的です。
ケイ酸肥料
イネ科の竹には、ケイ酸肥料を施すと茎や葉や根などの組織を固くし丈夫にし、樹勢が向上したり病害虫の予防にもなるといわれます。化成肥料と同時に与えると化学変化をおこし、効果が半減するため化成肥料をまいた1か月後ぐらいに散布するのが効果的です。
ケイ酸肥料にはいろいろな肥料がありますが、土壌酸度(pH)が中性またはアルカリ性の場合は「ケイ酸カリウム(ケイ酸加里)」や「シリカゲル肥料」を土壌酸度(pH)が酸性の場合は、ケイ酸カルシウム(ケイカル)などが使われます。ケイ酸が含まれている有機肥料もあります。もみがらくん炭が有名です。
有機肥料
油かす
有機物(有機肥料)は化成肥料の施肥効果を促したり、土壌の肥沃度を改善するなどの良い効果があります。化成肥料と比べてゆっくりと効果がでるため、化成肥料と併用するとよいでしょう。有機肥料には、油かすや鶏糞、米ぬかなどがありどれも使えます。油かすは、窒素分が多いため化成肥料と組み合わせて使いやすい肥料です。基本的に土と混ぜて使う必要があるので、穴施肥や中耕をして土と混ぜて使いましょう。未発酵のものは根に悪い影響を及ぼす可能性あるため、発酵済のものが安全です。
有機配合肥料
最近の肥料には、化成肥料の他にも有機物が配合された肥料があります。有機物を100%をつかったものもなどもあります。野菜の栽培などに使われる肥料ですがタケノコにも使えます。3要素が均等に含まれている肥料か、窒素分が多い肥料を使いましょう。万力有機の園芸有機配合肥料は、ケイ酸も含まれています。
堆肥
土づくりには堆肥をつかいます。堆肥には、牛糞などの動物由来の原料を使ったものから、落ち葉など植物由来の原料を使ったものまで様々あります。堆肥には鶏糞などの肥料成分の多いものから、土壌改良効果の高い腐葉土、両方の効果をバランスよくもった牛ふんや馬糞などがあります。
タケノコには土壌効果の高い腐葉土が使われることが多いです。竹林の落ち葉も捨てずに埋穴にいれて活用しましょう。
まとめ
竹は成長力が高く、近年では放置竹林の問題が大きくなってきています。やはり国内産のタケノコを食べたいというユーザーが増え、タケノコは収益性が高いとして、タケノコ栽培農家を増やそうと、自治体でも力をいれているところもあります。
タケノコは肥料がなくとも、育ちますが多収穫や、品質のよいタケノコを収穫するには肥料が大切です。ぜひご家庭で栽培している場合でも、肥料を与えておいしいタケノコを収穫してみてください。
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