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窒素肥料

窒素の多い肥料とは

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窒素肥料

窒素(N)は、肥料の三要素の一つで植物の生育に最も大きく影響する要素です。光合成に必要な葉緑素、植物の体を形作るタンパク質など、植物が生長する上で重要な働きをする物質となります。窒素肥料は「葉肥(はごえ)」とも呼ばれ、生育の初期に効果的であり、茎と葉の生長に大きく影響します。

この記事では、窒素が多く含まれている肥料にはどのようなものがあるのか、解説します。

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窒素が多く含まれている肥料の見分け方

窒素が多く含まれている肥料の見分け方を解説します。

一番簡単で手軽に見分けることができる方法は、商品パッケージの裏側などにある「保証票」を確認することです。

普通肥料の場合は、保証成分量(主要な成分の含有量)や正味重量などを記載した保証票の添付が必要となりますので、必ず記載されています。

肥料の保証票の例

保証成分量に記載されている成分のうち、「窒素全量(T−N)」、「アンモニア性窒素(A−N)」、「硝酸性窒素(N−N)」など、窒素と記載されているものの割合(%)が他のものと比べて高ければ、窒素の多い肥料と言えるでしょう。

編集さん
編集さん

窒素の中でも、アンモニア性窒素と硝酸性窒素ではその効能の現れ方などが異なります。

また、特殊肥料のうち「堆肥」や「動物の排せつ物」については、同様に品質表示がされているはずです(出典:肥料の表示について 特殊肥料の品質表示 – FAMIC)。

編集さん
編集さん

窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)のうち、窒素の含有量が多い肥料タイプを谷型、下がり型と呼んだりします。(出典:肥料を使い分ける – KOMERI.COM

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窒素が多く含まれている代表的な肥料

一般的な化成肥料

果菜類や葉菜類など野菜の栽培用の化成肥料は、窒素を多く含んでいます。窒素だけではなく、リン酸、カリウムもバランスよく含まれたものが多いです。

化成肥料の画像です。
化成肥料の画像

家庭菜園で使用するような肥料にも窒素が多く含まれています。さらに、肥効が長続きするようにコーティング(被覆)された肥料などもあります。

化成肥料の中には、油かすや魚かすなどの有機質を混ぜ込んだ有機配合肥料もあります。化学肥料の速効性のある窒素と有機肥料の徐々に分解されて吸収されるようになる窒素を混ぜ合わせることで、長く窒素の肥効が続くようになっています。

単肥・窒素質肥料

窒素の供給をメインとする肥料があります。

単肥とは、窒素、リン酸、カリウムのうち1成分のみ含む肥料を指します。単肥の窒素質肥料は、窒素のみを供給する化学肥料となります。窒素系の単肥肥料には、下記のものがあります。

肥料NPK肥効のタイプ特性
尿素46%速効性アンモニアガスが発生しやすい。液体肥料として葉面散布もできる。
硫安
(硫酸アンモニウム)
21%速効性全量アンモニア態窒素
塩安
(塩化アンモニウム)
25%速効性全量アンモニア態窒素。
硝安
(硝酸アンモニウム)
32%速効性アンモニア態窒素16%、硝酸態窒素16%。
石灰窒素20%〜21%緩効性アルカリ分を含んでいる。農薬成分シアナミドが含まれている。粒状・粉状がある。
IB窒素31%緩効性加水分解。
CDU窒素31%緩効性微生物分解。
主な窒素質肥料(単肥)の成分量の目安、特性一覧

尿素

尿素(CO(NH2)2)は、窒素を約46%含む窒素肥料です。尿素の公定規格は、主成分として窒素全量43%以上と定められています。実際に販売されているものは、その生産工程の違いなどから45%〜46%程度の窒素を含有しています。窒素成分が高く速効性があるため、主に追肥として活用されます。

硫安(硫酸アンモニウム)

硫安(硫酸アンモニウム)は、速効性のある生物的酸性の窒素質肥料です。水田や畑作など、利用形態を選ばず、汎用的に利用されます。

副成分として硫酸根があり、畑に残ることによって土壌を酸性化させるなどの問題が発生します。炭酸カルシウムなどで酸性を矯正するなど、十分留意して使用する必要があります。

硫酸根とは

硫酸根とは、硫安などの副成分です。硫酸根は、作物に吸収されづらい成分です。そのため、硫酸根が含まれた肥料を多量に施肥すると土壌に蓄積されてしまいます。その結果、土壌酸度(pH)の低下をまねき、植物が健全に生育できない土壌になってしまいます。炭酸カルシウムなどによる酸度矯正も必要となってきます。

また、酸素の少ない還元状態であり、かつ汚泥などが溜まり有機酸が多く含まれる土壌(老朽化水田など)では、有機酸の水素イオンと結合し、有害なガス(硫化水素)を発生させることがあります。硫酸根が蓄積した土壌では、深耕や天地返しなどをして土壌の入れ替えを行ったりしなければならなくなります。

硝安(硝酸アンモニウム)

硝安(硝酸アンモニウム)は、アンモニアと硝酸でできた純粋な窒素質肥料です。両者とも窒素成分として作物に吸収されるため、副成分が残ることがなく、生物的中性です。

日本で使われている窒素肥料の多くは硫安と尿素あるいはこれらを含む化成肥料で、硝安(硝酸アンモニウム)の使用量は非常に少ないです。これは、硝酸は土壌に保持されず、降雨量の多い日本では硝酸は直ぐに流亡して無駄になるので、土壌に保持されやすいアンモニウム系の肥料が重宝されているためです。

しかし、ハウスでの施設栽培では、流亡もしづらいため適していると言えます。特に副成分を含まないので、硫酸根なども土壌に残りづらいこともメリットです。

塩安(塩化アンモニウム)

塩安(塩化アンモニウム)は、速効性のある生物的酸性の窒素質肥料です。元肥、追肥のいずれにも適しており、汎用的に利用されます。

副成分として塩素イオンを含んでおり、他の窒素質肥料よりも土壌溶液のEC(電気電解度)や浸透圧が上昇しやすくなります。多量に施肥すると、発芽や濃度障害が起きやすくなるので注意が必要です。

石灰窒素

石灰窒素も単肥としてよく使われる肥料の一つです。石灰窒素は石灰石を原料とするカーバイドに高温で窒素を吸収化合させたものです。窒素成分の他に、カルシウムや炭素成分が含まれています。

また、農薬成分であるカルシウムシアナミドが含まれていて、農薬効果(殺虫、除草、殺菌)を発揮したあと、土壌中で肥料成分として分解されるため消毒と施肥を賄うことができます。

NK化成、NP化成

NK化成

窒素とカリウム(加里)を含んだものであり、水稲や野菜の追肥用として広く使われています。硫安系、尿素入り、塩安系、硝安入りの4種類がありますが、塩安系が主体となっています。

NP化成

主に窒素(N)とリン酸(P)を含んだ肥料です。実質的に原料の大部分がリン酸アンモニウム(燐安)であり、単独で使われることはほどんどありません。

窒素が多く含まれている有機肥料

有機質肥料(有機肥料)の中でも各種類でそれぞれ特徴があり、油かすや魚かすは他のものと比べて窒素が多く含まれている肥料となっています。

肥料N
(窒素)
P
(リン酸)
K
(カリウム)
肥効のタイプ
油かす(油粕)緩効性
魚かす(魚粕)緩効性・遅効性
(但し窒素分は速効性が高い)
発酵鶏糞速効性
骨粉緩効性
米ぬか(米糠)遅効性
バットグアノ緩効性
草木灰速効性
主な有機肥料(有機質肥料)の種類と窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の含有量のイメージ、肥効のタイプ
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窒素の含有量の考え方

「有機肥料のほうが窒素が少なくて、化成肥料のほうが窒素が多いんでしょ?」と勘違いする人がいます。結論から話すと、有機肥料であること、化成肥料であることが窒素の量を左右することはありません。「その肥料にどれだけの窒素成分が含まれているか」が重要なのです。

編集さん
編集さん

と言っても有機肥料の窒素は有機態窒素であり、その全量が無機態窒素に変わるということはないので、有機肥料のほうが正味の窒素含有量は少ないのですが。

購入、使用する肥料のラベルを確認してみてください。N-P-Kの数字が記載されていませんか?その「N」の成分保証率(%)を確認してください。例えば、正味量10kgの肥料でNが8%と記載されていれば、

10(kg)×0.08(8%)=800(g)

の窒素成分が含まれていることになります。もう一つの例として、正味量10kgの肥料でNが16%と記載されていれば、

10(kg)×0.16(16%)=1600(g)

の窒素成分が含まれていることになります。このことからわかるように、成分保証率によって、肥料の中にどれだけの窒素成分が含まれているかが大きく変わります。肥料を購入・使用するときには必ずラベルを確認して、窒素肥料がどれだけ含まれているのかなどを自分で確認することが大事です。

家庭菜園用の化成肥料には、N-P-K=8-8-8のものが多いです。これは使用量を多少間違っても大きく失敗せずバランスよく養分を与えることができるためです。プロ農家は高度化成肥料(保証成分の合計量が30%以上のもの)を使ったりします。

執筆者・監修者情報
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