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化学肥料・化成肥料硫酸系肥料(硫酸根肥料)窒素肥料

硫安(硫酸アンモニウム)肥料の基本と特徴

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硫安は、硫酸アンモニウムの略称です。肥料名称としては、硫安、硫酸アンモニアと呼ばれます(以下、肥料名称として硫酸アンモニアと記載します)。

硫酸アンモニア((NH4)2SO4)は、そのほとんどが鉄鋼工業や化学工業の副産物を原料とする肥料です。そのため、国内生産量が多く、値段が安い肥料です。

この記事では、硫安、硫酸アンモニアの基本と特徴について解説します。

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硫安(硫酸アンモニア)とは

硫酸アンモニア(硫安、(NH4)2SO4)は、そのほとんどが「鉄鋼工業や化学工業における肥料以外の製品を製造する際の副産物」を原料とする肥料です。硫酸アンモニアの公定規格は、主成分としてアンモニア性窒素が20.5%以上と定められています。実際に販売されている硫安は、アンモニア性窒素を21%含んでいるものが多いです。また、可溶性硫黄1%以上を保証成分としている硫安もあります。

硫安は溶解性が高いため、すぐに水に溶ける性質を持ちます。そのため、速効性の窒素肥料と言えます。

硫安に含まれている窒素は、アンモニア態窒素です。アンモニア態窒素は、土壌によく吸着され、流亡することが少ないため、元肥追肥として畑や水田に使われます。

編集さん
編集さん

速効性と聞くと、土壌から流れ出たりすることで、効果がすぐなくなるイメージがあると思います。硝酸態窒素は、水によって流亡しやすいため、気にする必要がありますが、「アンモニア態窒素は土壌に吸着されやすい」ため、そのような心配はしなくて済みます。

副成分には、硫酸イオン(硫酸根)が含まれています。硫安は、作物が窒素を吸収したあと硫酸イオン(硫酸根)だけが土壌に残るため、生理的酸性の肥料として分類されます。

硫酸根とは

硫酸根とは、硫安などの副成分です。硫酸根は、作物に吸収されづらい成分です。そのため、硫酸根が含まれた肥料を多量に施肥すると土壌に蓄積されてしまいます。その結果、土壌酸度(pH)の低下をまねき、植物が健全に生育できない土壌になってしまいます。炭酸カルシウムなどによる酸度矯正も必要となってきます。

また、酸素の少ない還元状態であり、かつ汚泥などが溜まり有機酸が多く含まれる土壌(老朽化水田など)では、有機酸の水素イオンと結合し、有害なガス(硫化水素)を発生させることがあります。硫酸根が蓄積した土壌では、深耕や天地返しなどをして土壌の入れ替えを行ったりしなければならなくなります。

硫安の有害物質

硫安は、他工業での製品製造する際の副産物を原料とするため、遊離酸や硫青酸化物、スルファミン酸、ヒ素などの有害物質を含むことがあります。但し、肥料の公定規格で定められている「含有を許される有害物質の最大量」を超えなければ作物に害を与えることはありません。

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硫安(硫酸アンモニア)の特徴

硫安には、以下の特徴があります。

  • 水溶性で溶解性が高く、土壌施用後によく溶け出し作物に吸収されます。速効性の窒素質肥料です。速効性ではありますが、アンモニア態窒素が土壌によく吸着されるため、流亡は少ないです。
  • 副成分として、硫酸イオンを含んでいるので施用の時期や作物、施用量には十分注意が必要です。
  • 硫酸イオンは流亡しにくく、土壌に蓄積しやすいため、長期的に大量施用するときには、土壌pHを下げる(酸性化させる)恐れがあります。
  • 硫安は、アルカリ性肥料と混ぜると、化学反応が起き、アンモニア性窒素を放出してガス化します(アンモニアガス)。施用後、硫安が完全に溶解したあとはアルカリ性肥料を施用しても問題ありません。
  • その他の窒素質肥料に比べて、価格が抑えられているものが多いです。
編集さん
編集さん

窒素質肥料は、それぞれ一長一短あります。土壌や作物、肥料の特性に合わせて選択することが重要です。

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硫安(硫酸アンモニア)の使い方

硫安は、畑でも水田でも使用することができます。また、その性質上、元肥としても追肥としても使用することができる万能肥料です。

水田での利用

水田では、元肥(基肥)、追肥として利用されます。

水稲は、好アンモニア態窒素の作物で、アンモニア態窒素をよく吸収します。硫安施用後、アンモニア態窒素が土壌に吸着し、イネがアンモニア態窒素を吸収していきます。おおよそ施用後2日程度で効果が見られます。

また、硫安は水に溶けやすいという性質を利用して、追肥時に「流し込み施肥」として硫安を使用することもあります。予め水位を少し下げておき、そのあとバルブを開けて水を入れつつ、硫安を水口に流し込みます。こうすることで、施肥の労力を削減しつつ、窒素成分を補うことができます(流し込み施肥法 – 全農)。

ただし、硫安は硫黄イオンも含まれているので使用には注意が必要です。硫酸アンモニウムは、窒素成分が吸収された後、硫黄イオンが土壌に残留します。残留した硫黄イオンは湛水などで嫌気環境(酸素のない条件)となっているときに、有害な硫化水素に還元されます。

川などから水を引いてきて水が入った状態の水田がその状態といえるでしょう。硫化水素が発生すると、イネの根の発育と吸収機能を阻害する恐れがあります。

最近では、老朽化水田の土壌改良などが進み、硫酸イオンが含まれている肥料を施用したことによる「秋落ち」現象は少なくなってきています。

編集さん
編集さん

ケイ酸マグネシウム、鉄などの塩基成分の積極的な補給や土壌の改善(CEC向上)などによって、老朽化水田は改善されてきており、秋落ちのリスクが下がりつつあります。

水田の「秋落ち」とは

秋落ち (あきおち) とは、稲作において登熟期以降に急激に生育が衰える現象を指します。症状としては、下葉の枯れ上がりやごま葉枯病の斑点があり、結果的に収量を落としてしまいます。

畑での利用

畑では、幅広い作物に利用可能です。元肥、追肥、どちらのシーンでも利用することができます。

畑作物の場合、硫安から溶け出したアンモニア態窒素は、硝酸態窒素に酸化されてから吸収されます。そのため、硫安施用後、3日〜1週間程度で効果が見られます。

中量要素である硫黄も含まれるため、ネギ玉ねぎ、ニラ、ニンニクなど硫黄を好む作物への施用も効果的です。

硫安(硫酸アンモニア)の主な注意点

硫安の主な注意点を以下にまとめました。

  • 窒素成分が吸収された後、硫黄イオンが土壌に残留し、嫌気環境では有害な硫化水素に還元されるため、老朽化水田など硫化水素の発生が懸念される水田への施用は避けたほうが良いでしょう。
  • 長期的に多量施用すると土壌が酸性化するため、施肥量には注意が必要です。土壌のpH(酸性度)を定期的に計測し、酸性化していれば消石灰や苦土石灰などのアルカリ性資材で、その作物に合ったpHに調整が必要です。
  • アルカリ性土壌の水田における表層施用は、アンモニアの揮発損失のリスクが高まるため避けたほうが良いでしょう。

硫安(硫酸アンモニア)肥料の購入場所

家庭菜園等で使用する肥料は、ホームセンター、インターネットなどで購入可能です。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。プロ農家の方は、JAや資材店等に相談すると良いでしょう。

肥料を購入できる場所
  • JAなどの農業資材店
  • ホームセンター
    • コメリ
    • カインズ
    • コーナン
    • etc
  • インターネット
    • Amazon
    • 楽天市場
    • ヤフーショッピング
    • etc
執筆者・監修者情報
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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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