カルシウム肥料・石灰肥料ケイ酸肥料化学肥料・化成肥料

ケイ酸カルシウム(ケイカル)肥料の基本と特徴、使い方

ケイ酸カルシウムは、「ケイカル」という略称で広く普及しており、砂状タイプと粉状タイプ、粒状タイプがあります。ケイ酸だけでなく石灰も含まれており、土壌pHをアルカリ性寄りに矯正可能です。マグネシウムやマンガン、鉄、ホウ素などの微量要素も含んでいます。

この記事では、ケイ酸カルシウム肥料の基本と特徴、使い方について解説します。

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ケイ酸カルシウム(ケイカル)とは

ケイ酸カルシウム(ケイカル)とは、一般的に鉱さいけい酸質肥料に分類されます。「ケイカル」という略称で広く普及しており、水田の土壌改良に欠かせない資材となっています。ケイ酸苦土石灰と呼ばれることもあります。

ケイカルの原料は、鉄をはじめ各種の金属を精錬するときにできる「鉱さい」です。

鉱さいけい酸質肥料の公定規格は、可溶性けい酸10%、アルカリ分35%以上と定められています。その他に、く溶性苦土(マグネシウム)、く溶性マンガン、く溶性ほう素を保証するものは、可溶性けい酸10%、アルカリ分20%、く溶性苦土(マグネシウム)1%、く溶性マンガン1%、く溶性ほう素0.05%以上を保証する必要があります。

ケイ酸だけでなく石灰も含まれており、土壌pHをアルカリ性寄りに矯正可能です。マグネシウムやマンガン・鉄・ホウ素といった微量要素を含んでいるものもあります。

ケイカルを施用する目的は、主に以下の4つがあります。

  1. ケイ酸分を補給する(→ケイ酸の重要性
  2. カルシウム分を補給する(→カルシウムの重要性
  3. 酸性の土壌酸度(pH)を中和して、窒素リン酸の吸収を促進させる(特に畑)
  4. 鉄、亜鉛、マンガン、ホウ素、マグネシウムなどの微量要素を補給する(特に畑)

土壌酸度の中和は、消石灰や生石灰、苦土石灰などの石灰質肥料でも可能です。ケイカルは、アルカリ性の矯正力及び効き目のスピードが遅いため、急な土壌酸度の矯正には不向きです。

ケイカル肥料は、粒の大きさや形によっても、以下のように呼び方が異なります。

名称概要
砂上ケイカル2mmのふるいを通過したケイカル
粉状ケイカル砂上ケイカルを粉々にしたもの
粒状ケイカル粉状ケイカルを固形に加工したもの
ケイ酸カルシウム(ケイカル)の剤形

粒状ケイカルは、ブロードキャスターなど肥料散布機でも散布しやすい剤形となっており、プロ農家には重宝されます。

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ケイ酸カルシウム(ケイカル)の特徴

ケイ酸カルシウム(ケイカル)には、以下のような特徴があります。

  • 受光態勢がよくなり、光合成能力を高めることで、作物の生長や果実の品質向上に繋がります。
  • 水分の蒸散作用を抑制するので、干ばつに耐える力を強めます。
  • 茎葉を丈夫にし、病害虫や倒伏、冷害に対する抵抗力を強めます。
  • 永田農法でも採用されている資材です。
  • 主に水田での特徴
    • 肥料中のケイ酸は、砂や岩石中のケイ酸とは異なり、可給態ケイ酸(作物が吸収しやすいケイ酸)であるため、イネに吸収されやすい
    • 茎葉中のケイ化細胞を発達させ、組織を丈夫にします。このことで、受光態勢がよくなり、光合成能力を高め、倒伏しにくくなります。また、登熟歩合を高めます。
    • 表皮を珪質化させるので、いもち病をはじめとした病害虫への抵抗性を高めます。
    • 土壌中の可給態ケイ酸が増すことで、アルミニウムの害を防ぎ、二価鉄の過剰吸収を抑えるため、リン酸の転流効率が上がります。
    • 根の酸化力を高め、根腐れを防ぎ、秋落ちを防止します。特に老朽化水田での効果が大きいです。
    • 登熟を良くし、米粒中のたんぱく質含有率を低下させ、美味しい米をつくります。
  • 主に畑・果樹園での特徴
    • 肥料中の石灰、マグネシウムによって、土壌酸度(pH)の中和、改良に効果があります。
    • 火山灰土壌に対して、アルミニウムなどに固定されているリン酸(不可給態リン酸)を有効化させて、リン酸の吸収効率を上げます。
    • 苦土(マグネシウム)やマンガン、鉄などの微量要素が含まれているため、微量要素欠乏などの状態を改良することができます。
編集さん
編集さん

ケイカルを使うことで、キュウリトマトイチゴうどんこ病を予防する取り組みもあります。ケイカルの浸み出し液(浸出液)をケイカルから作り、灌注する方法などがあるようです。

ケイ酸カルシウム(ケイカル)の使い方

ケイカルは、水稲、畑作物どちらにも施用できます。

水稲の場合は、基肥で施すと良いでしょう。秋起こしや、わらすき込みなどのときに一緒に施用し、耕起、混和させることが望ましいですが、農閑期にあたる冬、あるいは早春に施用することまります。遅くとも田植えの2週間前までに散布することが望ましいでしょう。

畑の場合は、炭カルなどと同様に元肥で施用します。土壌酸度(pH)の矯正については、消石灰や生石灰のように急激な土壌酸度の矯正などが起こらず、緩効性(緩やかに長く効く)の肥効となります。ケイ酸やカルシウムだけではなく、微量要素も補給できるためおすすめです。特に栽培期間の長い作物には有効でしょう。

ケイ酸カルシウム肥料の注意点

ケイ酸カルシウム肥料の主な注意点を以下にまとめました。

  • 土壌酸度(pH)の調整材と使用する場合には、緩効性のある肥料であることを理解したうえで使用してください。緊急を要する場合には、消石灰など速効性のある土壌酸度(pH)調整材の利用を検討してください。
  • アンモニアを含む肥料と配合し、長く放置するとアンモニアが揮散するので、直ちに施用してください。

ケイ酸の重要性

ケイ酸とは、1個または数個のケイ素(Si)を中心とした化合物のことを指します。ケイ素は窒素(チッソ)やカリウム、カルシウムなどのように植物の必須元素ではありません。正直な話、ケイ素が不足、欠乏している状態であっても植物としては生育が可能であると考えられています。それではなぜケイ素が植物の生育に対して良い効果があると考えられているのでしょうか?

ケイ素を含む化合物であるケイ酸を栽培作物に投与することで以下のような効果があることがわかってきています。その効果から主にイネ科の植物に対して研究が進んできましたが、最近では果菜類などの他の作物、野生植物にも効果があるとされています。

植物の生育促進に関する利点

植物の生育促進に関する利点は以下のように考えられています。

  1. 茎や葉、根などの組織を硬く丈夫にすることで樹勢が向上する。
  2. 葉肉を厚くする。 
  3. イネ科の場合、倒伏を防ぐ。
  4. イネ科の場合、米粒を低タンパク質化し食味が向上する(いわゆる高品質米)。
  5. 葉の垂れ下がりを抑制して間接的に光合成の能力を高める(受光体勢の向上)。光合成の効率が上がるため、生育を促進や品質の向上に繋がる。
  6. 植物体内の有害な重金属イオンの無毒化を助ける。
  7. 金属元素(鉄、マンガン、アルミニウムなど)の過剰障害や塩害を軽減する。
  8. 植物体内に吸収したリン酸の転流(栄養の分配)が促進される。

病害虫対策に関する利点

ケイ素は生育促進だけではなく、病害虫への抵抗性に対しても効果があると考えられています。

  1. 葉や茎の表皮のケイ酸層によって、病原菌の侵入を物理的に防いでいる。
  2. イネ科のいもち病に対して効果がある。葉に含まれるケイ酸がいもち病の病原菌の侵入を物理的に防いでいる。
  3. イネ科の紋枯病、小粒菌核病に対して効果がある。ケイ酸が施用されることによって、植物体内の窒素含有率が低下することによるものとされている。
  4. イネ科の葉鞘褐変病に対して効果がある。理由は未解明の部分があるが、成熟期の茎葉に含まれるケイ酸含有率が10%以上で被害の軽減に繋がる。
  5. イチゴ、トマトなどの果菜類のうどんこ病に対して効果がある。イチゴでは、ケイ酸濃度250mg/kgの液体ケイ酸カリ肥料を株あたり100mlで2回灌注することにより、殺菌剤と同等の発病抑制効果があったことが示されている。
  6. その他にキュウリ、メロン、カボチャ、ブドウ、バラ、コムギ(小麦)のうどんこ病に対しても効果がある。
  7. 害虫に対しては、ケイ酸施用、非施用による比較試験が少ないため、あまり防除例が存在しない。しかし、ニカメイチュウの幼虫に対しては生育阻害効果があるという実験結果がある。

現時点では、ケイ酸過剰による影響が報告された事例が少ないですが、ジャガイモそうか病に対しては、ケイ酸によるアルミニウムの溶出抑制により、ケイ酸含有率の高い河川水の地域のほうが発症しやすいということがわかっています。

ケイ酸はまだまだ解明されていない部分もありますが、植物に与える影響は大きいようです。

カルシウムの重要性

先述したとおり、カルシウムは植物にとって重要な中量要素(二次要素)の一つです。

カルシウム成分は栽培において、以下の働きがあります。

  • ペクチンという多糖類と結合し、細胞膜を丈夫にして病害虫に対する抵抗力をつける働き
  • 根の生育を促進する働き
  • 植物体内でできる過剰な老廃物(有機酸)を中和する働き
  • 土壌酸度(pH)の調整剤としての働き

カルシウムが不足(欠乏)すると、生長の盛んな新芽や根の生育が悪くなります。カルシウムは植物体内での移動がほとんどありませんので、新芽に症状があらわれやすいのが特徴です。

また、カルシウム欠乏症は単に土壌中のカルシウム成分が不足している場合だけでなく、土壌の酸性化、乾燥、窒素過多など養分バランス(塩基バランス)の崩れが原因の場合も多くあります。カルシウム成分を与えているにも関わらず、カルシウム欠乏が発生する場合には、土壌の水不足や養分バランス(塩基バランス)にも気を使ってみてください。

代表的なカルシウム欠乏症(石灰欠乏症)には、トマトのしり腐れ果、ハクサイの心腐れ・縁腐れ、レタス、イチゴのチップバーン、ネギ、ユリの葉先枯れ、サトイモの芽つぶれなどがあります。肥料のラベルなどには元素記号で「Ca」と表される事が多いです。

カルシウム過剰は、通常の栽培では起きにくいことですが、極端に過剰な状態が続くと土壌がアルカリ性となり、生育不良を引き起こします。特に、土壌酸度(pH)が高くなるとマンガン、亜鉛、鉄、ホウ素などの微量要素の吸収が阻害され、欠乏症状を引き起こします。

土壌を適正な環境に整え、適量を必要なときに与え続けることが重要となります。

ケイ酸カルシウム肥料の購入場所

家庭菜園等で使用する肥料は、ホームセンター、インターネットなどで購入可能です(但し、購入するハードルはかなり高いです)。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。プロ農家の方は、JAや資材店等に相談すると良いでしょう。

肥料を購入できる場所
  • JAなどの農業資材店
  • ホームセンター
    • コメリ
    • カインズ
    • コーナン
    • etc
  • インターネット
    • Amazon
    • 楽天市場
    • ヤフーショッピング
    • etc
執筆者・監修者情報
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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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