カリウム(K、加里)は、肥料の三要素の一つで植物体内でカリウムイオンとして存在しています。カリウムイオンは葉で作られた炭水化物を根に送り、根の発育を促したり、植物を丈夫にして病気などに対する抵抗力を高める働きがあります。そのため、カリウム肥料は「根肥(ねごえ)」と呼ばれます。
この記事では、カリウムが多く含まれている肥料にはどのようなものがあるのか、解説します。
カリウムが多く含まれている肥料の見分け方
カリウムが多く含まれている肥料の見分け方を解説します。
一番簡単で手軽に見分けることができる方法は、商品パッケージの裏側などにある「保証票」を確認することです。
普通肥料の場合は、保証成分量(主要な成分の含有量)や正味重量などを記載した保証票の添付が必要となりますので、必ず記載されています。
保証成分量に記載されている成分のうち、「水溶性加里」、「く溶性加里」などと記載されているものの割合(%)が他のものと比べて高ければ、カリウムの多い肥料と言えるでしょう。
また、特殊肥料のうち「堆肥」や「動物の排せつ物」については、同様に品質表示がされているはずです(出典:肥料の表示について 特殊肥料の品質表示 – FAMIC)。
窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)のうち、カリウムの含有量が多い肥料タイプを谷型、上がり型と呼んだりします。(出典:肥料を使い分ける – KOMERI.COM)
カリウムが多く含まれている代表的な肥料
一般的な化成肥料
果菜類や葉菜類など野菜の栽培用の化成肥料は、カリウムを多く含んでいます。カリウムだけではなく、窒素、リン酸もバランスよく含まれたものが多いです。
家庭菜園で使用するような肥料にもカリウムが多く含まれています。さらに、肥効が長続きするようにコーティング(被覆)された肥料などもあります。
単肥・加里質肥料
カリウムの供給をメインとする肥料があります。
単肥とは、窒素、リン酸、カリウムのうち1成分のみ含む肥料を指します。単肥の加里質肥料は、カリウムのみを供給する化学肥料となります。具体的には、下記のものがあります。
肥料 | N(窒素) | P(リン酸) | K(カリウム) | 肥効のタイプ | 特性 |
---|---|---|---|---|---|
硫酸カリウム (硫酸加里) | – | – | 50% | 速効性 | 水溶性加里。副成分に、硫酸イオン(硫酸根)を含む。 |
塩化カリウム (塩化加里) | – | – | 60% | 速効性 | 水溶性加里。副成分に、塩素イオンを含む。 |
ケイ酸カリウム(けい酸加里) | – | – | 20% | 緩行性 | く溶性加里。可溶性のケイ酸を多く含む。 |
その他複合肥料
そのほかにも、下記のような複合肥料も多くのカリウムを含んでいます。
NK化成、NP化成
NK化成
窒素とカリウム(加里)を含んだものであり、水稲や野菜の追肥用として広く使われています。硫安系、尿素入り、塩安系、硝安入りの4種類がありますが、塩安系が主体となっています。
PK化成
主にリン酸(P)とカリウム(K)を含んだ肥料です。基盤整備後の水田や造成後の草地、牧野によく使われています。
カリウムが多く含まれている有機肥料
有機質肥料(有機肥料)の中でも各種類でそれぞれ特徴があり、草木灰や米ぬか、鶏糞は他のものと比べてカリウムが多く含まれている肥料となっています。
肥料 | N (窒素) | P (リン酸) | K (カリウム) | 肥効のタイプ |
---|---|---|---|---|
油かす(油粕) | 多 | 少 | 少 | 緩効性 |
魚かす(魚粕) | 多 | 中 | 少 | 緩効性・遅効性 (但し窒素分は速効性が高い) |
発酵鶏糞 | 中 | 多 | 中 | 速効性 |
骨粉 | 中 | 多 | – | 緩効性 |
米ぬか(米糠) | 少 | 多 | 中 | 遅効性 |
バットグアノ | 少 | 多 | 少 | 緩効性 |
草木灰 | – | 少 | 多 | 速効性 |
カリウムの含有量の考え方
「有機肥料のほうがカリウムが少なくて、化成肥料のほうがカリウムが多いんでしょ?」と勘違いする人がいます。結論から話すと、有機肥料であること、化成肥料であることが窒素の量を左右することはありません。「その肥料にどれだけのカリウム成分が含まれているか」が重要なのです。
購入、使用する肥料のラベルを確認してみてください。N-P-Kの数字が記載されていませんか?その「K」の成分保証率(%)を確認してください。例えば、正味量10kgの肥料でKが8%と記載されていれば、
10(kg)×0.08(8%)=800(g)
のカリウム成分が含まれていることになります。もう一つの例として、正味量10kgの肥料でKが16%と記載されていれば、
10(kg)×0.16(16%)=1600(g)
のカリウム成分が含まれていることになります。このことからわかるように、成分保証率によって、肥料の中にどれだけのカリウム成分が含まれているかが大きく変わります。肥料を購入・使用するときには必ずラベルを確認して、カリウム肥料がどれだけ含まれているのかなどを自分で確認することが大事です。