メロンの栽培は難しいといわれますが、網目のないプリンスメロンやマクワウリなら家庭菜園でも栽培できます。メロンは肥料を与えすぎるとつるボケになり着果不良が起こるため、注意が必要です。
しかし肥料の種類は多く、何をどのように与えればいいのか悩む人も多いのではないでしょうか。ここでメロンにおすすめの肥料や、肥料のやり方についてわかりやすく説明します。
メロン栽培と肥料時期
メロンは畑などで育てる場合は、地面につるを這わせる「地這い栽培」で育てますが、支柱を立てて立体栽培にすれば小スペースでプランター栽培で育てることもできます。
ウリ科キュウリ科のメロンは、つる性のため生育初期に肥料が効きすぎると、ツルや葉がのびすぎて花や実がつきにくくなる「つるボケ」がおきやすくなります。元肥は控えめにして実がついてからの追肥で実を大きく育てます。またメロンは浅根性で酸素を多く必要とします。そのため畑では、有機質の堆肥や肥料を使い、通気性と水はけを良くすることも大切です。
メロンに肥料を与える時期は、植えつけ時に元肥を施し、着果して実が親指大ほどになったら追肥を行います。地植えでは元肥と追肥1回が基本ですが、生育をみてさらに追肥をすることもあります。
メロン栽培の肥料の与え方
地植えの場合
本格的なネットメロンはハウスなどが必要です。露地栽培でも、メロンは高温性のためトンネル栽培やホットキャップを使って栽培するのが一般的です。マクワウリなら直まきも可能です、苗から始める場合は、できれば接ぎ木の苗を使いましょう。
元肥
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
元肥は、土づくりと一緒に行いましょう。日本の土壌は雨や肥料などにより酸性に傾いていることが多いので、メロンが育ちやすい土壌ph6.0~6.5で、酸性に傾いている土壌は石灰などを使い酸度調整をする必要があります。
- 栽培するスペース(畝)を決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰1㎡あたり100gをまいておきます。
- 1から一週間後に完熟堆肥(牛糞など)1㎡あたり2kg~4kgを畝全体にまきます。
- クワで堆肥を土にすきこむようによく混ぜます
- さらに緩効性肥料80g、ようりん50gを畝全体に撒いて、クワでよく混ぜます。
- 畝幅150~200cm、高さ10㎝の畝を作ります。
- 肥料を施してから7日~10日ほどたってから苗を植えつけます。
追肥
開花の時期に肥料がききすぎると、つるボケをおこしやすいため追肥は、着果してから行います。つるの先端部分に、化成肥料を1㎡あたり30g程度を施します。
プランター栽培の場合
プランター栽培の場合、肥料は元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、緩効性肥料を土に混ぜて使います。
人工受粉後、実が親指大ほどになったら1回目の追肥を行います。化成肥料を株元は避け、プランターの縁に沿ってばらまきましょう。10日~15日ほどしたらさらに追肥をします。液体肥料を使うこともできます。実が親指大ぐらいになったら、7日~10日に1度、500倍に薄めた液肥を水やりがわりに与えます。収穫1週間前までには肥料が切れている状況にしましょう。
土壌と肥料について
おいしいメロンをつくるには、土づくりは大切です。メロンは、有機質が多く通気性がよい土が適しています。連作するとつる割れ病になりやすいので、4年~5年の輪作にしましょう。
牛ふんなどの堆肥は、植え付け1か月前までには行いましょう。土壌酸度(pH)は、6.0〜6.5です。土の酸度が高いようなら、苦土石灰で調整します。土壌酸度は、市販の土壌酸度計や土壌酸度測定液をつかって図ります。家庭菜園をする人は一つもっているとよいでしょう。
堆肥には、動物の糞をつかった牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。土壌の改良には牛糞、馬糞、パーク堆肥、腐葉土などがよいでしょう。鶏糞は肥料分が多くふくまれていますが、土壌改良効果は少ないです。鶏糞は肥料としてつかうのがおすすめです。
未発酵のものはガスなどがでて作物に影響を及ぼすことがあるので、完熟堆肥を使うのが安心です。未発酵のものをつかうときは植え付けの1か月前ほどに施しておくとよいでしょう。
メロンにおすすめの肥料
有機肥料
有機肥料(有機質肥料)とは、動植物由来(油粕や米ぬかなど植物性の有機物、鶏糞や魚粉、骨粉などの動物性の有機物)の原料を使って作られている肥料を指します。表示された成分以外にも生育に必要な成分(動植物由来のアミノ酸など)が含まれていることもあります。
有機肥料は、有機物を土壌微生物が分解することで、植物が吸収できる養分に変化します。そのため、肥料の効き始めがやや遅く、肥効が長く続きやすい肥料が多いです(緩効性肥料、遅効性肥料)。メロンは元肥が多肥になると葉に栄養が行き過ぎて、よい実がつきません。有機肥料はゆっくり効果が出る緩効性肥料で、肥料やけなどのリスクも軽減します。また果実の食味が良くなったり糖度が上がるともいわれています。地植えでは元肥には有機肥料がおすすめです。
それぞれ含む肥料分も異なるので、単体で使うこともありますが組み合わせて使われることもあります。代表的な肥料について説明します。
油かす(油粕)
有機肥料として、油かす(油粕)は臭いもすくなく、手に入れやすいのでよく使われます。油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。
油かすは、単体で使うとリン酸が少ないので、化成肥料やリン酸を多く含む骨粉やバッドグアノなどと一緒に使うとよいでしょう。油かすに配合されている肥料もあります。
米ぬか
米ぬかは、精米するときに玄米の表面が削られて粉状になったものを指します。精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用できます。リン酸が多く含まれ、窒素やカリも含みます。糖分やタンパク質も含まれているため、有用な土壌微生物の働きを活性化させる効果もあります。
肥料として使いやすいのは、脱脂米ぬかです。分解がゆっくりなため作付けの2週間前に施して使います。生米ぬかは、脂肪分を含んでいるため分解が遅く、土にそのまま散布したところですぐには肥料の効果が現れません。それだけではなく、逆に土や植物の状態を悪化させてしまう原因となってしまうこともあります。
生の米ぬかを使う場合はぼかし肥料の発酵促進剤として使うのがおすすめです。米ぬかぼかし肥料は比較的簡単に作れますが、市販の米ぬかを使たぼかし肥料をつかうのもよいでしょう。
鶏ふん
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれており、普通化成肥料に匹敵する肥料成分を含むため施しすぎないように注意しましょう。家庭菜園では鶏ふんは発酵したものを使いましょう。乾燥鶏ふんは、発酵させてから使うものでそのまま土にばら撒くと、悪臭やガスが出ることもあります。
鶏ふんは堆肥として使うこともあります。堆肥として鶏ふんを使った場合は、牛糞を使った場合の同量の化成肥料を元肥として施肥すると肥料の上げすぎになるので注意しましょう。
有機100%配合肥料
有機肥料は使うのが難しそうだと感じる方には、有機物を100%使った配合肥料もおすすめです。肥料バランスがよくなるように、有機物を配合させて作っています。そのまま混ぜたものや発酵済のものなどいろいろな種類がありますが、発酵済のものであれば臭いの心配もなく、追肥にも使いやすいのでおすすめです。
有機配合肥料
土壌に緩効性の有機成分と、速効性のある化学肥料を組み合わせている有機配合肥料は、使いやすいため人気があります。元肥にも追肥にも使えるのもが多く、少量のものもあるのでプランター栽培などにもおすすめです。
野菜の肥料
有機入りの肥料は多くありますが、メロンには野菜用の肥料を使うとよいでしょう。元肥にも追肥にも使えるものが便利です。マイガーデンベジフルやハイポネックスの「今日から野菜 野菜肥料」などは、園芸店などでも手軽に買えます。
メロンの専用肥料
有機配合肥料には、メロン専用の肥料もあります。メロン栽培に作られた肥料なので、成分も気にすることなく施肥量などもわかりやすい肥料です。アミノール化学の「すいか・メロンの専用肥料」は甘みやうまみが増すアミノ酸配合、なたね油かすなどの有機を68%含んでいるサンガーデン 「スイカ・メロンの肥料」などがあります。
化成肥料
熔成リン肥料(ようりん)
メロンはリン酸(P)の要求量が多い野菜です。そのため元肥にはようりんがよく使われます。
ようりん(熔リン、熔成燐肥)は、リン酸と石灰を含むリン鉱石、珪酸(けい酸)と苦土(マグネシウム)を含む、けい酸苦土含有の鉱さいです。さらにホウ素・マンガンの入ったBMようりんがあります。
土壌改良によく使われるリン酸肥料ですが、リン酸の含有量が高いので、メロンのようなリン酸の要求量が多い作物の元肥として使用するのが適しています。ようりんに含まれるリンの成分は「く溶性リン酸」で水に溶けにくく、植物の根や微生物が分泌する根酸(有機酸)、炭酸水などによってゆっくりと溶け出して植物に吸収されます。メロンにはBMようりんがおすすめです。
固形肥料
元肥には有機肥料がおすすめですが、プランターなどでベランダで育てる人には臭いや虫が気になる人もいるでしょう。その場合は化成肥料を使いましょう。また実がついた後の追肥にはすぐ効く化成肥料がおすすめです。
化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、元肥にはN-P-K=8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよいでしょう。追肥にも使えます。追肥には、NK化成肥料など窒素とカリのみを含む肥料もおすすめです。
液体肥料
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
メロンの肥料について気を付けること
施肥量について
メロンの施肥量は、品種や土壌によっても変わります。施肥量は目安です。それぞれの圃場に合わせて施肥を行いましょう。園芸本などに記載されているのは化成肥料を基準になっています。有機肥料などは化成肥料に比べて肥料分は少ないので、窒素を基準にして施肥量を決めるとよいでしょう。メロンは前作に残った養分を積極的に吸収してしまうので、肥沃な土地では肥料は少なめにしましょう。
追肥は、草勢いが強ければ元肥だけでも育つこともあります。肥料は、上げれば上げるだけよいというものではありません。上げすぎると肥料やけして枯れてしまうこともありますので、生育を見ながら与えましょう。
メロンの肥料不足の症状について
メロンは肥料過多になると、つるぼけして実がつかないといいましたが肥料不足にはどんな症状があるのでしょうか。
まずは葉色です。肥料が多いと葉色は緑色が濃くなります。反対に不足すれば葉の色が薄くなります。また肥料不足になると、子づるの先端が持ち上がらなくなります。肥料不足の症状がみられた場合は、速効性の化成肥料か液体肥料を使いましょう。
まとめ
メロンの栽培はネットメロンは温室で管理されるので温室メロンとも呼ばれ、それに対し、網目のないノーネットメロンは露地メロンと呼ばれます。ネットメロンは栽培が特に難しいので、まずはプリンスメロンやマクワウリから始めてみましょう。ネットメロンを育ててみたい人には「ころたん」がおすすめ。手のひらサイズのメロンなので、ベランダなどのプランター栽培にもむいています。
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