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病害虫

ダイコンハムシを駆除、防除する農薬、農薬以外の防除方法について

ダイコンの葉を食べるダイコンハムシ 病害虫

ダイコンハムシ(ダイコンサルハムシ)はカブ,ダイコン,ハクサイなどアブラナ科の菜類を好んで食害する紺色の虫です。

ここではダイコンハムシ(ダイコンサルハムシ)とはどういう虫なのか、その特性と、ダイコンハムシを駆除、防除するための農薬を解説します。

また、農薬を使わない、自然農薬、生物農薬を使った効果的な防除方法についても解説します。

そもそも、ダイコンハムシはどういう害虫?

ダイコンハムシとは?

ダイコンハムシの成虫
出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集

ダイコンハムシとはコガネムシやテントウムシの仲間で、ウリハムシキスジノミハムシらと同じく、葉を食べる「ハムシ(葉虫)」の一種です。中国や東南アジアで見られ、日本では本州以南で発生します。

ダイコンハムシは特にダイコン、ハクサイ、コマツナ、カブといったアブラナ科の植物が大好物でこれらの葉を葉裏から食べ尽くします。その他、ネギやニンジン、シュンギクなどにも発生します。

4月頃から越冬した成虫が活動し始め、年2~3回発生します。他の害虫と異なり寒さに強いのが特長で、冬でも暖かいと出現して食害します。

成虫は体長4mm程度で、光沢のある濃紺~黒藍色をしています。夏場はあまり活動せず、落ち葉や土塊の下などで越冬します。飛翔せず、歩行移動のみです。

ダイコンハムシの幼虫
出典:HP埼玉の農作物病害虫写真集
ダイコンハムシの幼虫

どうしてはダイコンハムシは害虫なのか?

ダイコンハムシは特にダイコン、ハクサイ、コマツナ、カブといったアブラナ科の植物が大好物でこれらの葉を葉裏から食べ尽くし、葉脈だけにしてしまうほどです。苗を食べられるとそれだけで苗がダメになってしまいます。また、冬でも暖かいと活動するのも厄介な点です。

科学的防除を行なっている圃場では、甲虫(コウチュウ)類に効く農薬を散布している場合が多く、あまり発生は目立ちませんが、近年増加している有機農法の圃場では、大量発生するケースが多発しています。

ダイコンハムシに効く農薬

ダイコンハムシはメジャーな農業害虫のため、多くの適用農薬があります。

ダイコンハムシに効く代表的な農薬

有機リン系 

有機リン系殺虫剤は殺虫剤の中でも、昆虫の神経系を阻害するタイプで、殺虫剤の代表的なタイプです。代表的な有機リン系農薬は、エルサンオルトランスミチオンマラソンがあります。

ネオニコチノイド系 モスピラン、ダントツなど

ネオニコチノイド系とは、90年代に登場した比較的新しい殺虫成分で、ニコチンの仲間です。ニコチン性アセチルコリン受容体と結合し、信号の伝達を阻止し、結果、昆虫は麻痺し、死に至ります。

浸透性、速効性、持続性が優れていることや幅広い殺虫スペクトラムを持つため、現在非常によく使用されている殺虫剤です。代表的な製剤ダントツやネオニコチノイド系農薬については下記で詳しく説明しています。ご参考ください。

家庭園芸でよく使われる住友化学の「ベニカベジフルVスプレー」や「ベニカXファインスプレー」「ベニカXネクストスプレー」「ベニカベジフルスプレー」は、ネオニコチノイド系のクロチアニジンを成分にしています。

ダイコンハムシに効く農薬一覧表

RACコード別に分類した、ダイコンハムシに効く代表的な農薬は以下のようになります。

IRACコードグループ名農薬名
3Aピレスロイド系アディオン
4Aネオニコチノイド系モスピラン
13ピロールコテツフロアブル
21AMETI剤ハチハチ
22Bセミカルバゾンアクセル
28ジアミド系ベネビア

※農薬を使用する際にはラベルをよく読み、適用作物、用法・用量を守ってお使いください。

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RACコードとは??

RACコードとは、農薬を作用機構(農薬の効き方)ごとに分類して番号と記号を振ったコードになります。

例えば殺虫剤なら有機リン系は[1B]、ネオニコチノイド系は[4A]など、すべての農薬にRACコードが設定されています。

同じRACコードの農薬を繰り返し使うと害虫や病原菌に抵抗性がついてしまうのを、RACコードが違うコードの農薬を交互に使うことで防ぐことができます。「系統」とも呼ばれますが、RACコードの方が、より厳密に分類されています。 

殺虫剤は、IRAC(アイラック)コード、殺菌剤にはFRAC(エフラック)コード、除草剤にはHRAC(エイチラック)コードになっています。

殺虫剤はダイコンハムシだけでなく、カメムシ類、カイガラムシ類やハダニ類、アブラムシ類、アザミウマ類、コナジラミヨトウムシ、キスジノミハムシ、ネキリムシ、ヨコバイ、ハモグリバエ、ハマキムシ、イラガ、ウンカ、メイガ、ハムシ、ケムシ、コガネムシ、ナメクジシンクイムシ、コオロギ、タマネギバエ、ダンゴムシ、ウリハムシ、アオムシ、ゾウムシ、ハバチ、グンバイムシ、モモハモグリガ、ハモグリガ、テントウムシダマシなど幅広い殺虫スペクトラムを持つものも多いので、うまく活用しましょう。

上記の農薬は水で溶かして薄めて使用する液剤や水溶性の粉剤、粒剤(粒状や顆粒)です。希釈方法等については下記をご参考ください。

防除する際のポイント

防除する際の注意点、タイミング

ダイコンハムシは、手で触れたり葉を動かしたりと少し刺激するだけで転落してしまうので、捕殺が難しい害虫です。このため、農薬による科学的防除と、発生を減らす耕種的防除で対応していきます。

効果的な防除の時期は、活動が盛んになって散見される晩夏から初秋の時期になります。この時期の早期の薬剤散布が大事です。

IPM防除体系

近年では、特定の農薬に抵抗性を持った害虫も多く発生し、農薬の効率的な使用のため、農薬のRACコードを確認して、タイプの異なる殺虫剤のローテーション散布を心がけること、また、農薬の使用量を減少させ、薬害を少なくするために、生物的、物理的、耕種的防除法を取り入れたIPM防除体系を組んで、統合的に実践することが重要になってきています。

IPM(総合的害虫管理)とは?

農地を取り巻く環境や病害虫の対象種の個体群動態を考慮しつつ、「生物的防除」「化学的防除」「耕種的防除」「物理的防除」を組み合わせることで、病害虫の発生を経済被害を生じるレベル以下に抑えることをいいます。

  • 「生物的防除」 病害虫の天敵を導入し、病害虫密度を下げる防除法
  • 「化学的防除」 化学薬剤を使用して行う防除法
  • 「耕種的防除」 栽培法,品種、圃場の環境条件等を整え、病害虫の発生を減らす防除法
  • 「物理的防除」 防虫ネット、粘着トラップ、光熱等を利用して病害虫を制御する防除法

(IPM・・・Integrated Pest Management)

生物農薬(生物的防除)

生物農薬とは、「農薬の目的に使われる生物を使い、病害を防除する農薬」のことを言います。

その生物とは主に、昆虫、線虫、微生物で、害虫(例えばアブラムシやアザミウマ、コナジラミ、ハダニなど)を捕食する、天敵に当たる昆虫や、昆虫に寄生するもの、センチュウ、また病原菌にあたる生物になります。

天敵導入による防除は、名前でこそ「生物農薬」と呼ばれますが、化学農薬ではなく、有機JASでも勿論使用可能です。

ダイコンハムシの天敵はカエルやヤモリ、鳥類、蜘蛛などになってくるため、市販されている生物農薬はありませんが、他の害虫に適用する生物農薬は多くあります。

カマキリに捕食されるテントウムシダマシ

生物農薬については下記に詳しく、具体的な製品も紹介していますので、ご興味ある方はご参考ください。

物理的防除

防虫ネット

ダイコンハムシの被害は直接的な食害なので、網目のある防虫ネットなどで農作物を物理的に守るのも効果的です。家庭菜園だと、寒冷紗(かんれいしゃ)でも)でも防除出来ます。

耕種的防除

周りをしっかり除草する

圃場の周りに雑草があるとダイコンハムシの住処になり、発生を促進してしまいます。圃場の周りの雑草はできるだけ除草しておくことが、被害を少なくするのに極めて重要です。

特にアブラナ科の雑草は大好物で、発生源になるので、しっかり除草するようにしましょう。

除草については、以下のコンテンツが参考になります。

春菊(シュンギク)を植える

8月下旬にカブを挟むようにシュンギクをスジ撒きしたところ、カブにダイコンハムシが付かなかったという報告もあります。シュンギクがダイコンハムシの忌避剤になる可能性があるので、余裕がある方は植えてみるといいかもしれません。

まとめ

カブ,ダイコン,ハクサイなどアブラナ科の菜類を好んで食害する紺色の虫、ダイコンハムシ。アブラナ科の農作物だけでなく、ガーデニング、観葉植物、花木の葉、草花にも食害を発生させ、生育を損ねてしまいます。

本記事が、適切に退治、防除を行い、畑の野菜を守る一助となれば幸いです。

ここで紹介した農薬は、JA販売店やホームセンターのガーデニング・資材、庭木コーナーにあるものもあります。ほ場で早期発見し、適切な薬剤や防除方法でしっかり発生を予防、ガードできると、農薬散布と言った農作業の回数を減らすことができます。

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除草剤、殺虫剤を代表する農薬の液剤は、かなりの割合が原液で、水で希釈して散布するのが一般的です。希釈倍率に合わせて水と混ぜるのですが、希釈倍率が500倍、1000倍と大きく、g(グラム)やL(リットル)などが入り混じっていて、計算が難解だと感じる方も多いのではないでしょうか。

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