ダイソー・セリア・キャンドゥなどの100均でみかける多肉植物。サボテンも多肉植物の一種です。いろんな種類もあってかわいいですよね。
でもいざ苗を買って育てようとすると、どうやって育てるのか。まず何をしたらいいのか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、100均で買った多肉植物を、100均買えるグッズだけを使った、いろいろな栽培方法について、わかりやすく説明します。
多肉植物の苗
良い苗の選び方
まず、しっかりと苗の状態を確認して選びましょう。残念ながら100均は室内で冷暖房の利いた環境に置かれているので、あまり状態がよくないものもあります。苗以外に、サンスベリアは下記のように土に植えられていない葉だけで売られていることもよくあります。
- 葉につやがあり、張がある。
- 茎が細くひょろひょろと伸びていない
- 触ってもぐらぐらしない、しっかり根を張って株元がぐらつかないこと
種類の名前がついているものを
意外と大切なのが、植物の名前。ネームプレートが付いているものを買いましょう。サボテンなどはサボテンは品種の名前ではありません。できれば品種名が書いてあるものを選んでください。
多肉植物は種類が多く、生育パターンも違えば育て方も異なります。名前がわかれば、生育パターンや育て方を調べることができます。
生育期に買うのがBEST
多肉植物は、下記の3タイプに分けられ、それぞれ生育期と休眠期が異なります。それぞれの生育期に購入することで、苗が元気な状態か見分けやすくまた、購入した後に植え替えや、環境が少し悪くてもすぐに枯れてしまう心配がすくないため。またどの生育タイプでも真夏や梅雨は多肉植物が苦手な時期。できれば購入はさけましょう。
でももう購入してしまった・・・という場合でも管理方法を間違えなければ大丈夫です。
春秋型
春と秋に盛んに生育するタイプです。多くは生育適温が10〜25°Cの範囲にあり、夏は暑さのせいが生育が悪く、根腐れや蒸れを避けるために、休眠させる必要があり、冬は寒さのために自然に休眠します。茎や葉が柔らかく、色鮮やかで草花のような雰囲気を持つ多肉タイプです。
夏型
夏に盛んに生育するタイプです。多くは生育適温が20〜30°Cの範囲にあり、春と秋はゆっくり生育し、冬は休眠します。このため、春と秋は、水やり、肥料を少な目にする必要があります。
シャープなフォルムの多肉植物はこの多肉タイプです。
冬型
冬に盛んに生育するタイプです。多くは生育適温が5〜20°Cの範囲にあり、気温が一定以下になると生育を始めます。高温多湿が苦手で、冬であっても高温多湿な室内などでは生育を止めてしまうことがあります。春と秋はゆっくりと生育するため、水と肥料を少量施します。個性的な多肉植物はこのタイプが多いです。
土での栽培に必要なもの
まずは、初心者の方におすすめの、土での栽培方法に必要なものを紹介していきます。
用土
サボテン・多肉植物用の培養土
一番手軽なのが、専用の培養土。セリア・キャンドゥには、多肉植物用の専用の培養土が置いてあります。市販の多肉植物用の培養土はメーカーによって配合は異なりますが、排水性・通気性がよく、保水性があるように配合されています。またキャンドゥの培養土には、元肥と呼ばれる肥料がすでに含まれているので、肥料を入れる必要もありません。
キャンドゥには「プレミアム・多肉植物用を育てる土」(2L)もあります。こちらは土を加熱処理がしてあります。加熱すると何が良いのでしょうか。土を加熱すると、害虫の卵や病原菌を殺す効果がありますので、病害虫を防ぐ効果があるので加熱処理してあるものはおすすめです!
観葉植物用の土
近くにダイソーしかないという方には、ダイソーの観葉植物用の土でも多肉植物は育てられます。一般的に観葉植物の土は室内用に、水はけがよく、排出性がよく配合されているので、多肉植物とも相性がいい土です。
では違いはなんでしょうか。セリアのサボテン・多肉植物用の土と、ダイソーの観葉植物用の土の主原料を見てみましょう。
- セリア 多肉植物用の土の主原料:ココナッツファイバー・パーライト・炭・堆肥・赤土・軽石細粒
- ダイソー 観葉植物の土の主原料:ココピート・パーライト・たい肥・赤土・くん灰
配合率はどれほどかわかりませんが、入っているのは似ていることがわかります。ココナッツファイバーとココピートは、ヤシの実からつくられた有機培土。軽くて最近はピートモスの代わりにも使われます。軽石は通気性もあり保水性を高めるものなので、観葉植物用の方が保水性が少し足りない可能性もありますが、市販の培養土も各社配合は違いますので、実際に育ててから水やりを調整しましょう。
配合土
自分で配合して作る場合に使われる用土を紹介します。土の配合は、どれが正解というものがありません。市販のサボテンの培養土の配合もそれぞれメーカーによって異なります。では100均で買える土の説明と配合割合を紹介します。
赤玉土
火山灰土の赤土をふるい分けたもので、有機物を含まない弱酸性の土です。通気性・保水性・保肥性があります。高温で焼き固め、硬度を高くした土のことを「硬質赤玉土」といいます。焼き固めることで、崩れにくいことが特徴です。小粒の赤玉土は混ぜて、中粒の赤玉土は、鉢底石としても使用できます。
鹿沼土
軽石の一種です。強い酸性で、通気性と保水性があります。乾燥すると白くなるので水やりの目安にも役立ちます。大粒は大型のサボテンに。小粒タイプは化粧石としても使えます。
腐葉土
秋から冬に枯れて落ちた葉が堆積して分解されて、堆肥化して土のようになったもの。微生物を活性化してくれる改良用土です。
基本の配合
・赤玉土4、鹿沼土3、腐葉土3 の割合で配合します。
植木鉢
100均多肉植物の苗は、黒いビニールポットに入って売られているものもあります。プラスチックポットと2重になっているものも。
どちらにせよ、植え替えが必要です。プラスチック容器をそのまま使ってもよいです。ビニールポットしかない場合には、自分の好みに合った鉢を買いましょう。初心者の方におすすめなのは素焼き鉢です、できれば底穴が開いているものを選びましょう。
しかしどんな鉢にでも植え付けできるのが多肉植物の良いところです。家にあるマグカップや、ワイングラス、不要になった瓶などでも植え替えられます。底穴がない場合は、根腐れ防止剤としてゼオライトや、鉢底石で根腐れ防止策をしましょう。どちらも100均で購入できます。
鉢に悩んだら、多肉植物の鉢の記事がありますので興味のある方は読んでみてください。
その他 土の栽培あったら便利なもの
鉢底ネット
底の開いた鉢を使う場合に、穴から用土が出ないように引くもの。ダイソーには植木鉢にそのままいれる丸形のものと、切って使える大きなものが置いてあります。
ゼオライト
根腐れ防止剤として、用土をいれるまえにゼオライトを鉢底が見えなくなるぐらいに敷いてから、用土を入れて植え込みます。植え込んだ後に、鉢の上部に置いても同じ効果を発揮します。
鉢底石
鉢が大きい場合や、鉢底がないガラス容器などを使う場合には根腐れがしやすくなります。鉢底に鉢底石をいれます。鉢底石として販売されているものもありますが、ゼオライトや軽石を鉢底石のかわりにいれても代用できます。
肥料
多肉植物は、肥料はそれほど多く必要ありませんが植え替え時に元肥をし、生育時期に追肥して、肥料を与えると丈夫に元気に育ちます。100均には化学肥料や油かすなどの有機肥料などが置いてあります。有機肥料は、臭いもあり、コバエなども発生しやすいので室内に置く多肉植物には化学肥料のほうがおすすめです。
元肥とは、苗を植え付ける前に土壌に施しておくもので緩効性肥料を入れるとよいでしょう。ダイソーの化学肥料は、元肥にも使えると記載がありますが速効性肥料なので、追肥として使用したほうがよいでしょう。セリアには緩効性肥料が置いてありますので、そちらがおすすめです。緩効性肥料を他の観葉植物の2/3程度を用土に混ぜて使います。すでに専用の培養土に元肥がはいっているものには、不要です。
元肥をしっかり施しておけば、しばらくは追肥はいらないかもしれません。肥料の容器もしくは袋に記載されている、通常の草花の使用目安量の1/2~2/3程度を施しましょう。追肥は先述したタイプによって生育期が異なりますので、注意してください。追肥は速効性・緩効性どちらでも使うことができます。
肥料については詳しい記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください
棚
多肉植物は日に当てることで強く元気に育ちます。しかし鉢をベランダや庭の地面に置いておくと、水やりのときに、泥はねをして病気になったり過湿になったりします。また夏はコンクリートに置くと高温になります。できれば、棚など一段高いところに置くのがおすすめ。
100均には上記の棚の他、折りたたんでおける棚もありました。スノコなどを使って自分でDIYする方もいます。室内でも土で汚れるのを防ぐので、こちらもあると便利です。
その他
このほか、土入れ・じょうろ・霧吹き・ハサミ・手袋などがあると便利です。またサボテンなどは棘があるので、ピンセットなどを使って植えつけるとよいでしょう。すべて100均でそろえることができます。
ハイドロカルチャー(水耕栽培)で必要なもの
多肉植物は、土より難易度は上がりますが、水栽培(水耕栽培)でも育てることができます。室内で、土の代わりにを使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したりする栽培方法をハイドロカルチャーと呼んでいます。
ハイドロカルチャーは、土と違って、ハイドロコーン、ハイドロボールなどの人工石を使用することから、コバエ等の虫が沸く心配が少なく、臭いがないので室内でも育てられることから人気があります。
人工用土
100均には、ハイドロカルチャーに使える人工用土がいくつかあります。おすすめはハイドロボール。ジェリーボールやガラスカラーサンドは多肉には不向きです。カラーゼオライトは根腐れ防止剤としてハイドロボールと組み合わせて使うよよいでしょう。
カラーサンドや、カラーゼオライトは見た目が美しく、カラーサンドアートも人気がありますが、多肉植物を育てるのは根腐れしやすく、管理が難しくなります。カラーサンドを楽しみたいのなら、鉢を2重にして、内側の鉢にやハイドロボールや土などを使い、その外側にカラーサンドアートをすると枯れにくいのでおすすめです。
鉢
ハイドロボールは、容器の中に水を溜めてそだてるため、底穴がない器を使います。ガラスなど透明なものなら、外側から水が入っている量が見えるので、透明なものがおすすめ。
その他 ハイドロカルチャーに必要なもの
肥料
ハイドロカルチャーで育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、ハイドロカルチャーに最適な肥料は液体肥料です。
しかし、100均にはハイドロカルチャーに使える液体肥料は見つけることができませんでした。しかし100均は品ぞろえがかわることも、液体肥料と書かれているものでしたら、ハイドロカルチャーに使えます。
水耕栽培の肥料については詳しい記事がありますので、興味があればお読みください。
ゼオライト
根腐れ防止剤として、ゼオライトを鉢底に入れましょう。ハイドロカルチャーの方が土で栽培するより根腐れしやすいので、ゼオライトは忘れずにいれましょう。
量は少ないですが、色づけしたカラーゼオライトも置いてあります。カラーサンドはガラスなど原料がちがうものもありますので、パッケージをよく読んで原材料がゼオライトのものを購入しましょう。
植え替えと鉢替え
100均で買ってきたサボテン、黒いビニールポットのまま、もしくは黒いビニールポットの2重になっている状態で売られていることもよく見かけます。まず初めに植え替えもしくは、鉢替えをしましょう。
時期
多肉植物は春秋型、夏型、冬型の3タイプに別れ、それぞれ生育期と休眠期が異なります。それぞれの植え替えの適期は下記です。
- 春秋型 3月~6月
- 夏型 3月~4月・9月~10月
- 冬型 10月~12月
では、生育期でないときに購入した場合はどうしたらよいのでしょうか。植え替えではなく鉢増しをして、適期を待ちましょう。
植え替え手順
- 植え替え・寄せ植え用の多肉植物はは、土が乾いた状態のときに、鉢から外します。
- 根っこをほぐすように土を落とします。
- 根を半分から3分の2ほど切ります。腐った根は根元から切ります。
- 新しい鉢を用意して、底に鉢底ネットをいれます。
- 鉢の底に鉢底石を入れ、その上に緩効性粒上肥料を加えます。(なくても可。鉢底石を入れることで根腐れ防止になります)
- 苗を押さえながら、培養土いれて植え込みます。最後に割り箸などでつついて、根の周りに土が入るようにします。最後に鉢をトントンと叩いて隙間を入れて完成です。
- 水やりは植え付け後、7日~10日後に行います。。その間は明るい日陰に置いておきましょう。
鉢増し手順
鉢増しとは、根を崩さず用土を足して新しい鉢に入れ替えることです。鉢増しをして時期がきたら、植え替えをしましょう。植え替えの2と3行わず根をいじらないことです。
- 多肉植物はは、土が乾いた状態のときに、鉢から外します。
- 新しい鉢を用意して、底に鉢底ネットをいれます。
- 鉢の底に鉢底石を入れ、その上に緩効性粒上肥料を加えます。(なくても可。鉢底石を入れることで根腐れ防止になります)
- 半分ほど培養土をいれます。苗を押さえながら、培養土いれて植え込みます。最後に割り箸などでつついて、根の周りに土が入るようにします。最後に鉢をトントンと叩いて隙間を入れて完成です。
- 水やりは植え付け後、7日~10日後に行います。その間は明るい日陰に置いておきましょう。
ハイドロカルチャーへの植え替え
ハイドロカルチャーで育てる場合は、土で育てる根から、水で育てる根に代える必要があります。ハイドロカルチャーでの植え替えについては、詳しい記事がありますので、興味のあるかたはお読みください。
【補足】100均のサンスベリアの裸苗について
100均には、サンスベリアは土に植えられているものも見かけますが、土に植えられていない裸苗も売られています。このまま培養土に植え付けしても育ちます。
サンスベリアは、夏型の多肉植物で比較的丈夫ですので3月から10月ならそのまま植え付けしても大丈夫です。ただし寒い冬が苦手。もし冬に手に入れた場合は、新聞紙に包んで室内の暖房の風のあたらない押し入れなどに、保管しておき、春になったら植えつけましょう。
また根が生えていないので、水耕栽培に挑戦したい場合には、容器に水を入れて根ギリギリに水をいれて根を生やしてから、ハイドロカルチャーもしくは水栽培に移行すると、成功率があがります。
その他 多肉植物の栽培で気をつけたいポイント
栽培環境
多肉植物は、日光が大好きです。1年を通して日当たりがよく風通しの良い場所で管理しましょう。夏の直射日光は、葉焼けの可能性もあるので危険です。半日陰にするか、遮光ネットなどで遮光してあげましょう。日に当てないとひょろひょろともやしのように徒長してしまう恐れがあります。
多肉植物は耐寒性はあまり強くないものが多いので、基本的には鉢植えで育てて、霜が降りる前には室内に取り込みましょう。多肉植物には気温が下がると紅葉する種類もありますので、その場合は日に当たる軒下などで、水やりを控えめにしてあげるとよいでしょう。気温が5℃以下になったら室内で管理します。
室内で育てる場合も、置き場所が大切。窓辺など日当たりの良い場所に置いてあげましょう。できれば冬でも昼間はベランダや屋外に出して日に当てると元気に育ちます。
水やり
多肉植物は、雨が少ない場所や岩場などに生育するものが多い植物で、乾燥した過酷な環境を生き抜くために、根や茎、葉などを肉厚にして水分を蓄えるようになっています。だからといって、水やりが必要ではないわけではありません。
多肉植物の水やりのポイントは、生育期と休眠期で水やりの方法を変えることです。
生育期
鉢土が乾いてから、ジョウロで底から水が流れ出るまで与えます。受け皿は必ず捨てて、水がたまらないように気をつけましょう。生育期から休眠期に移る時期は、徐々に水やりの量を少なくします。
休眠期
休眠期は水やりをやめて乾燥させる必要があります。休眠期から生育期に移る時期は、徐々に水やりの量を増やしていきます。
生育期、休眠期の判別は、多肉植物の場合、先述したとおり春秋型、夏型、冬型の3タイプに分けられます。肥料をやる時期・頻度も、水と同じく生育期と休眠期で分ける必要があります。
サボテンの水のやり方についての記事もありますので、水やりに興味のある方は読んでみてください。
まとめ
100均多肉植物には、苗だけでなく植物を育てるグッズがたくさんあります。また水やりも他の観葉植物より頻度も低く、手間がかからないのがかからず葉挿しなどで簡単に増やすこともできます。
多肉植物は、小さな花を咲かせるクラッスラ、ロゼット状のヘラクレスやマッコス、塊根植物(コーデックス)属など種類もたくさんあり、垂れ下がるもの、横に広がるものと種類もたくさんあります。インテリアに合わせて、寄せ植えアレンジしたり楽しみが広がります。最近テレワークなどで、家に観葉植物などを置いて楽しむ人も増えてきました。多肉植物を楽しむ人をタニラーと呼ぶとか。
多肉植物のサボテンの花言葉は、枯れにくいところから「枯れない愛」や「燃える心」などがあります。プレゼントとしても素敵ですね。ぜひ、お気に入りの多肉植物を見つけて、緑のある生活をたのしんでみてはいかがでしょうか。