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アザミウマ

いちごに発生するアザミウマを防除する農薬について

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きゅうりの葉にいるミナミキイロアザミウマ アザミウマ
ミナミキイロアザミウマ ©病害虫被害画像データベース クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

アザミウマは農作物に吸汁し、ウイルスを運ぶ農家にとって非常に厄介な害虫です。ここではアザミウマとはどういう虫なのか、その特性と、いちご(苺)に発生するアザミウマを駆除、防除するためのおすすめ農薬を紹介します。また、農薬を使わないで防虫する、防除方法もあわせて紹介します。

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いちご栽培で使える、アザミウマに効く農薬一覧

いちご栽培では、「ミナミキイロアザミウマ」「ミカンキイロアザミウマ」「 ヒラズハナアザミウマ」が発生します。特にイチゴの果実に影響がある、ミナミキイロアザミウマヒラズハナアザミウマに注意が必要です。

アザミウマ類を適用病害虫とする農薬は多いですが、アザミウマの種類によって農薬の効果は違いますので、それぞれに合った農薬を使うことが必要です。以下の代表的な農薬の種類と種類別の対応表を参考に、ローテーションに活用してみてください。(あくまで、参考的な情報です。地域や作物によりすでに抵抗性が発現している場合もあります)

IRACコードグループ名ミナミキイロ
アザミウマ
ミカンキイロ
アザミウマ
ヒラズハナ
アザミウマ
3Aピレスロイド系
ピレトリン
アーデントアーデント
4Aネオニコチノイドモスピランモスピラン
5スピノシン系
(マクロライド系)
ディアナSC
スピノエース
ディアナSC
ディアナSC
スピノエース
13ピロール
ジニトロフェノール
スルフルラミド
コテツフロアブルコテツフロアブル
30メタジアミド系グレーシアグレーシアグレーシア
(フロメトキン水和剤)ファインセーブフロアブルファインセーブフロアブル

※記載事項が変更、修正されている場合があります。使用する際にはラベルをよく読み、用法・用量を守ってお使いください。

また、より詳しく網羅的に使える農薬を検索したい方は、是非、この農薬検索をご利用ください。

RACコードとは??

RACコードとは、農薬を作用機構(農薬の効き方)ごとに分類して番号と記号を振ったコードになります。

例えば殺虫剤なら有機リン系は[1B]、ネオニコチノイド系は[4A]など、すべての農薬にRACコードが設定されています。

同じRACコードの農薬を繰り返し使うと害虫や病原菌に抵抗性がついてしまうのを、RACコードが違うコードの農薬を交互に使うことで防ぐことができます。「系統」とも呼ばれますが、RACコードの方が、より厳密に分類されています。 

殺虫剤は、IRAC(アイラック)コード、殺菌剤にはFRAC(エフラック)コード、除草剤にはHRAC(エイチラック)コードになっています。

殺虫剤はアザミウマ類だけでなく、カイガラムシ類やアブラムシ類、ハダニ類、ヨトウムシコナジラミコガネムシハスモンヨトウネキリムシ、ヨコバイ、ハモグリバエなど幅広い殺虫スペクトラムを持つものも多いので、うまく活用しましょう。

上記の農薬は水で溶かして薄めて使用する液剤や水溶性の粉剤、粒状タイプです。希釈方法等については下記をご参考ください。

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アザミウマに効く代表的な農薬

ネオニコチノイド系 モスピランなど

ネオニコチノイド系とは、90年代に登場した比較的新しい殺虫成分で、ニコチンの仲間です。ニコチン性アセチルコリン受容体と結合し、信号の伝達を阻止し、結果、昆虫は麻痺し、死に至ります。

浸透性、速効性、持続性が優れていることや幅広い殺虫スペクトラムを持つため、現在非常によく使用されている殺虫剤です。代表的な製剤ダントツやネオニコチノイド系農薬については下記で詳しく説明しています。ご参考ください。

家庭園芸でよく使われる住友化学の「ベニカベジフルVスプレー」や「ベニカXファインスプレー」「ベニカXネクストスプレー」「ベニカベジフルスプレー」は、ネオニコチノイド系のクロチアニジンを成分にしています。

ディアナSC

ディアナSCはマクロライド系の有効成分スピネトラムを含む新規殺虫剤で、アザミウマ類だけでなく、チョウ目害虫、ハモグリバエ類、チュウゴクナシキジラミに卓効を示します。

有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系など既存の殺虫剤に抵抗性を発達させた害虫に対しても効果が有るのが特徴です。また人畜に対する安全性は高く、薬害の事例が認められず、作物に対する安全性も高い薬剤で、茶を除いて登録されているすべての野菜・果樹において収穫前日まで使用することが可能です。

グレーシア乳剤

グレーシア乳剤は、日産化学(株)が発明した非常に新しい殺虫剤です。日産化学(株)が開発した新規化合物である、イソオキサゾリン系の有効成分「フルキサメタミド」が害虫の神経に作用して速攻的な殺虫作用を示します。

アザミウマだけでなく、コナガなどのチョウ目や、ハエ目、ダニ目等の幅広い作物害虫に高い効果を発揮します。 グレーシアは従来のネオニコチノイド系や有機リン系化合物などの殺虫剤では効きにくかった、つまり抵抗性を獲得している害虫に対しても高い殺虫効果を発揮します。 このため、既存の殺虫剤とのローテーション散布も可能です。

ファインセーブフロアブル

ファインセーブフロアブルの最大の特長は、ミトコンドリアの電子伝達系を阻害することにより殺虫作用を示すという、従来の系統ではない効果を持つことで、抵抗性を含むアザミウマに対して、特効的とも言えるほどの、非常に高い防除効果を示します。

アザミウマ類だけでなく、サビダニ類にも高い効果があり、タバココナジラミ類、小型のチョウ目害虫にも有効と、幅広い殺虫スペクトラムを有しています。ミツバチ、マルハナバチ、カブリダニ類等の天敵や有用昆虫に対して影響が小さいので生物農薬を使いたい人にも使いやすい農薬です。

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抵抗性アザミウマの対処法

抵抗性アザミウマとは、農薬の種類、活用が増えることで、たまたま耐性があって生き残った特定の農薬が効かない性質のアザミウマが、世代を重ねて集団化したものです。

アザミウマは繁殖力が高く、また発育スピードが速く、短期間で世代を繰り返すため、ほかの害虫より抵抗性の発達スピードが速い害虫です。

殺虫剤を散布しても、翌日集団でアザミウマが生息している場合は、抵抗性を疑ってよいでしょう。

このような場合は、お使いの農薬のRACコードを確認して、タイプの異なる殺虫剤のローテーション散布を心がけること、さらには生物的、物理的、耕種的防除法を取り入れたIPM防除体系を組んで、統合的に実践することが重要です。

IPM(総合的害虫管理)とは?

農地を取り巻く環境や病害虫の対象種の個体群動態を考慮しつつ、「生物的防除」「化学的防除」「耕種的防除」「物理的防除」を組み合わせることで、病害虫の発生を経済被害を生じるレベル以下に抑えることをいいます。

  • 「生物的防除」 病害虫の天敵を導入し、病害虫密度を下げる防除法
  • 「化学的防除」 化学薬剤を使用して行う防除法
  • 「耕種的防除」 栽培法,品種、圃場の環境条件等を整え、病害虫の発生を減らす防除法
  • 「物理的防除」 防虫ネット、粘着トラップ、光熱等を利用して病害虫を制御する防除法

(IPM・・・Integrated Pest Management)

生物農薬

生物農薬とは、「農薬の目的に使われる生物を使い、病害を防除する農薬」のことを言います。

その生物とは主に、昆虫、線虫、微生物で、害虫(例えばアブラムシやアザミウマ、コナジラミ、ハダニなど)を捕食する、天敵に当たる昆虫や、昆虫に寄生するもの、センチュウ、また病原菌にあたる生物になります。

天敵導入による防除は、名前でこそ「生物農薬」と呼ばれますが、化学農薬ではなく、有機JASでも勿論使用可能です。

アザミウマ対策に使えるおすすめの生物農薬は、以下のようなものがあります。

商品名ククメリスオリスターAスワルスキーボタニガードES
有効成分の種類ククメリスカブリダニタイリクヒメハナカメムシスワルスキーカブリダニボーベリア バシアーナ GHA株 分生子
作物名野菜類(施設栽培)
シクラメン(施設栽培)
野菜類(施設栽培)野菜類(露地栽培)
野菜類(施設栽培)
花き類・観葉植物(施設栽培)
野菜類
適用病害虫アザミウマ類
ケナガコナダニ
アザミウマ類アザミウマ類
チャノホコリダニ
コナジラミ類
ミカンハダニ
アブラムシ類
アザミウマ類
コナジラミ類
ハダニ類
コナガ
アオムシ など

生物農薬は、在来種以外の天敵昆虫を使用することが多く、本来の生態系に影響を与える恐れがある為、閉鎖系の圃場以外では使用、散布し難いものがあるなどの注意点もあります。

その他、生物農薬については下記に詳しく、具体的な製品も紹介していますので、ご参考ください。

無農薬でアザミウマを駆除する方法

アザミウマは、アブラムシと同様、キラキラ光るものが苦手だったり、逆に黄色いものが好きだったりといった習性があります。この習性を利用することで、アザミウマを忌避、誘引し、防除することができます。

また、最近では赤い防虫ネットでハウスを覆うことで、アザミウマの発生を防いだり、ハウス内の雑草をしっかり除草することで、発生を減らすことができます。

無農薬でアザミウマを駆除する、物理的防除、耕種的防除について詳しく知りたい方は、下記を参考にしてみてください。

そもそも、アザミウマはどういう害虫?

アザミウマとは?

アザミウマはアザミウマ目に属する昆虫です。現生種は約5000種、スリップス(英名Thrips)とも呼ばれています。大きさは一般に1mm以下で翅があり、細長く、色もまちまちです。うち、農作物をエサにするのは44種と言われています。

アザミウマは産卵管を葉に突き刺し、細胞内に1つずつ産卵し、多いもので死ぬまでに250個以上産卵します。そして、アザミウマの幼虫は、土中(土壌中)で1齢蛹から脱皮し、2齢蛹を経て成虫になります。

翅で飛来し、小さいためハウスへの侵入も容易です。また、購入した株や苗から持ち込まれるケースも多く見られます。

このように繁殖力が高く、また発育スピード、生育サイクルが速く、短期間で世代を繰り返すため、ほかの害虫より抵抗性の発達スピードが速いのが特徴です。暖かいところでは年中発生するため、ハウスなどの施設では一年中発生します。

どうしてアザミウマは害虫なのか?

キュウリの葉にいるミカンキイロアザミウマ
ミカンキイロアザミウマ © 病害虫被害画像データベース クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/

アザミウマは直接植物の汁を吸うことで、その傷が農作物、蕾が大きくなるにつれ、非常に見た目が悪くなることや、作物の萎縮、変形、変色の原因となり、出荷できない物が増える(花木だと開花しないものが増える)といった食害があります。

また、最も厄介なのは、アザミウマはウイルスを運ぶということです。アザミウマは、果菜類、葉菜類、根菜類、豆類を含むほとんどの野菜や果樹、花きとさまざまな作物の茎葉、花弁を吸い漁りながらウイルスを広げていきます。一度、保毒すると、ウイルスを一生まき散らしてしまうのです。

アザミウマが媒介するウイルスは主に以下のようになります。

ウイルス名主な発生植物媒介するアザミウマの種類
トマト黄化えそウイルス(TSWV)トマト、ピーマンナス、レタスや、トルコギキョウ、マリーゴールド、ガーベラなどの花きなどミカンキイロアザミウマ
ヒラズハナアザミウマ
ネギアザミウマ
ダイズウスイロアザミウマ
スイカ灰白色斑紋ウイルス(WSMoV)スイカ、トウガン、ニガウリ、キュウリミナミキイロアザミウマ
メロン黄化えそウイルス(MYSV)メロン、キュウリ、スイカミナミキイロアザミウマ
インパチェンスネクロティックスポットウイルス(INSV)トルコギキョウ、シクラメンミカンキイロアザミウマ
ヒラズハナアザミウマ
アイリスイエロースポットウイルス(IYSV)タマネギ、ネギ、ニラ、トルコギキョウネギアザミウマ
えそウイルスとは?

植物が、えそウイルスに感染すると、葉では退緑輪紋や褐色のえそ輪紋、えそ斑点を生じ、茎にはえそ条斑を生じるのが特徴です。えそウイルスに感染した植物は、えそ斑点による奇形果になったり、場合によっては、生長点が枯死したり、最悪、萎凋枯死するケースがあります。

アザミウマによって媒介される代表的なウイルスです。

ウイルスを媒介する代表的なアザミウマ

日本の畑地に出る、ウイルスを媒介するアザミウマは主に以下の5種類です。

種類名ネギアザミウマミナミキイロアザミウマミカンキイロアザミウマヒラズハナアザミウマチャノキイロアザミウマ
体長(成虫(雌))1.1〜1.6mm1.2〜1.4mm1.4〜1.7mm
1.3〜1.7mm0.8〜1.0mm
夏:淡黄色~黄褐色
冬:褐色
黄色夏:黄土色
冬:茶褐色
褐色系黄色
特徴周年発生
幅広い作物に出現
寒さに弱い
ナスやピーマン、トウガラシ類、キュウリ、スイカといった果菜類によく発生
ナス科、バラ科によく発生ピーマン、トウガラシ類、トマト、イチゴ、バラ科を中心に幅広い作物で発生茶やブドウ、かんきつを中心に幅広い作物で発生
ネギアザミウマの成虫
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集  ネギアザミウマの成虫
ミナミキイロアザミウマの成虫
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集 ミナミキイロアザミウマの成虫
ミカンキイロアザミウマの成虫
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集 ミカンキイロアザミウマの成虫
チャノキイロアザミウマの成虫
写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集 チャノキイロアザミウマの成虫

まとめ

アザミウマはウイルスを媒介し、小さくて発見しにくい、ハウスだと一年中発生する、また農薬に対する耐性もあったりで、大変厄介な害虫です。

ここで紹介した農薬は、JA販売店やホームセンターのガーデニング・資材、庭木コーナーにあるものもあります。ほ場で早期発見し、適切な薬剤や防除方法でしっかり発生を予防、ガードできると、農薬散布と言った農作業の回数を減らすことができます。

執筆者・監修者情報
執筆者・監修者

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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