無農薬と無化学肥料による栽培、農業にとって本当に良いの?

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栽培方法知りたい肥料
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無農薬で無化学肥料の野菜を求める消費者も増加する中、「慣行農法(従来の最もポビュラーな栽培方法)」や「有機農法(有機栽培)」、そして最近よく耳にすることがある「自然農法」の違いについて、正確に理解されている消費者は少ないかと思います。

この記事では、農家の視点で「慣行農法」、「有機農法」、「自然農法」の違い、そして無農薬、無化学肥料はどの農法にどう適合しているのか説明します。

慣行農法とは?

農薬、化成肥料を栽培に応じて相当数投入や散布を行う一般的な農法で殆どの農家の農法はこの農法です。日本では、栽培される作物の約99%が慣行農法で栽培、収穫されています。

最近は慣行農法の中でも、その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数を50%以下、化学肥料の窒素成分量を50%以下で行う栽培を「特別栽培」と呼んでいます(農林水産省の基準による)。

有機農法とは?

有機農法とは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農法です。

「有機農業」「有機栽培」「オーガニック栽培」とも呼ばれています。こちらは、自然農法と慣行農法の中間的なもので、有機質肥料を使って土づくりをして、可能な限り土壌の微生物等を有効活用して栽培をするものです。昨今、有機農法を取り入れる農家の方は増加しています。

有機農法で栽培された有機食品のJASに適合した生産が行われていることを登録認証機関が検査し、その結果、認証された事業者は、その生産物(お米や野菜、果物)に「有機JASマーク」を貼ることができます。

「有機JASマーク」は、「有機」「減農薬」等の表示が氾濫し、消費者の適正な 商品選択に支障が生じていたことから、農林水産省が主導して消費者を守るために作られた規格です。当然ながら、有機JASの適合認証を受けていない事業者は、有機JASマークを生産物に貼ることはできません。

編集さん
編集さん

有機農法、無農薬、減農薬、有機野菜、オーガニック野菜などと宣伝している農家さんもいますが、有機JASの認定を受けていなければ本当は謳ってはいけないんですよ…

自然農法とは?

自然農法の定義

自然農法とは、日本で初めて自然栽培を提唱し実践した岡田茂吉の定義である、「農薬や人糞肥料・化学肥料を⼀切使⽤せずに、枯れ草や藁などで堆肥を作って⽥畑に還元し、⾃然界の⼟壌と同じ⽣命⼒溢れる⼟を作り出し、⾃然の仕組みを上⼿に再現した農産物⽣産⽅法」を起点とした栽培方法です。木村さんの農園で栽培された奇跡のリンゴなどがこの農法に該当します。

この定義を起点として、田畑、水田、周りの環境(虫など)を出来るだけ自然のままに残し、「 不耕起(耕さない)」「不除草除草しない)」「不施肥(肥料を与えない)」「無農薬(農薬を使用しない)」を特徴とする農法と理解している方もいます。

現在の自然農法

自然農法は、「農薬や人糞肥料・化学肥料を⼀切使⽤せずに、枯れ草や藁などで堆肥を作って⽥畑に還元し、⾃然界の⼟壌と同じ⽣命⼒溢れる⼟を作り出し、⾃然の仕組みを上⼿に再現した農産物⽣産⽅法」を主軸とする農法ですが、自然農法自体は、様々な種類があります。

日々様々な改良・派生が行われていて、植え付け・育苗・生育時期は周りの表土の草を抜くなど、適度に除草を行うことや、他の農法と同じく、畝を作る自然農法もありますし、肥料についても、落ち葉や生えている雑草を土中にかきこむのは勿論、畑から取れた野菜の野菜くずや米ぬか、ナタネ油の搾かす(油かす)などの有機物を土中に戻す自然農法も存在しています。

現在、種苗法改正が話題になりましたが、種子に関しては、自然農法は、野菜をその土地に合ったものにしていくために、自家採種(自分で種採りすること)が望ましいとされていますが、採種についても様々な考え方が存在しています。

無農薬と無化学肥料と各農法の関係

無農薬なのはどれ?

上記の定義から考えられると、「慣行農法」は農薬を使うことを前提にしていることや「有機農法」は全ての農薬を禁じているわけではなく、化学的に合成された農薬のみを禁じていることから、無農薬に該当するのは、「自然農法」のみということになります。

無化学肥料なのはどれ?

上記の定義から考えられると、「慣行農法」は化学肥料を使うことを前提にしているため、該当しません。「有機農法」は化学肥料を使わないことと定義されています。また、自然農法も同様のことから、無化学肥料に該当するのは、「有機農法」と「自然農法」ということになります。

まとめにかえて 無肥料の農法はあるのか

上記をまとめると、無農薬・無化学肥料は、「自然農法」飲みということになり、無化学肥料は、「有機農法」と「自然農法」になります。

ここで、最近よく話題に上がる無肥料栽培を考えると、自然農法はそれに該当するのでしょうか?自然農法を「不施肥(肥料を与えない)」と定義すると、そもそも肥料に値するもの自体元肥追肥することは出来ず、無肥料栽培と言えます。

しかしながら、「枯れ草や藁などで堆肥を作って⽥畑に還元し」という定義から考えて、落ち葉や雑草は勿論、畑から取れた野菜の野菜くずや米ぬか、ナタネ油の搾かす(油かす)を土壌に戻すことは認められると、定義を広くしている自然農法もあります。この場合は、「無農薬・無化学肥料」と言えますが、「無肥料」とは言えないため、自然農法の中でも、無肥料と言えるものと言えないものが混在している、ということになるでしょう。

有機なので安心なものである、また自然栽培なので安全な農産物であるという考え方もありますが、実際は有機や自然栽培であっても、過去のその場所の使用歴等から、土壌の成分によっては安全・安心と言いきれないものもあり、また有機物が全て安全かというと、そうでもありません。

慣行栽培も有機栽培も自然栽培も、安全・安心の点で考えると、どちらが安全・安心であるとは実は言いきれないのです。

大事にしたいのは、その農産物がどこでどのように栽培されたか、栽培記録やトレーサビリティがしっかりしているかどうか、です。是非スーパーなどで手にするとき、宅配サービスを利用するとき、またネットで購入しようと思ったとき、そのコシヒカリやリンゴやトマト、家畜が、どんな情報を持っているか、品種だけでなく産地や栽培歴をしっかり確認してみてください。その農産物の情報が見えるものは、安全・安心の前提をクリアしていると言えます。そうしたら、次に、しっかりその農産物の情報を見て、徐々に買う目を育てていきましょう。

しっかりとした知識をつければ、安全・安心な食卓に、確実に近づいていけます。お気に入りの農場や農園・ファームや農家さん、農産を見つけ、増やしていけるとより興味が湧いてくると思います。

この記事を書いた人
農家web編集部

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。
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