柿(カキ)は、カキノキ科カキノキ属の永年性果樹で、原産地は東アジア温帯から東南アジア熱帯とされています。原産地は温暖な地域であるにも関わらず、耐寒性に優れ、潅水もほとんど必要ないという丈夫な性質なので、家庭の庭木として植え付けられていることも多いです。
柿の肥料として油かすは使えるか、という話題をよく聞きます。この記事では、柿の肥料に油かすが使えるか、その理由とともに紹介します。
柿に油かす肥料は最適
結論としては、「柿の肥料として油かす肥料は使える」といえます。特に油かす肥料などの有機肥料(有機質肥料)は、元肥として施すとゆっくり長く肥料の効果を効かせることができます。
柿の特性として、肥効、特に窒素は長期間にわたって持続することが望ましいです。
カキの窒素吸収は、3月の根の活動・萌芽期から始まり、10月までの間ほぼ一定の割合で行なわれることが明らかとなっています。窒素の施肥は、3月から9月までの間、均等に吸収されることを念頭に施肥する必要があるでしょう。
このことから、堆肥や油かすなど有機質の肥料は、12月〜3月頃の元肥(寒肥)に施肥すると良いでしょう。
また、油かすなど有機肥料を使用することでアミノ酸やミネラル分の補給ができるため、5月〜6月頃の追肥(夏肥)として使用する方もいるようです(必要に応じて化成肥料での補給も必要と考えます)。
果樹には、骨粉入りの油かす肥料も人気です。
\油かす肥料について/
速効性をもたせたい場合はぼかし肥料にする
油かすのもう一つの使い方としては、EMや発酵促進剤など微生物の力を使って予め発酵させた「ぼかし肥料」として散布することです。
ぼかし肥料にすることで、肥料の速効性が増し、肥料の効きが早くなります。
ぼかし肥料は、主原料として米ぬかや油かすを用いることが多いです。米ぬかと油かす、発酵促進剤などを混ぜ合わせてぼかし肥料を作ります。
\ぼかし肥料に関する詳細/
柿に使えるその他の肥料
鶏糞
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれています。特に、植物の実や花に栄養を与えたい時に使われるリン酸が豊富です。同じ堆肥として牛ふんが比較されることがありますが、成分が異なるとともに、牛ふんは土壌改良の目的でも利用される点が異なります。
有機肥料は緩効性なので、徐々に分解され吸収されます。柿の栽培においては、元肥として冬の寒い時期に施用します。
米ぬか
米ぬかは、精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用するものです。リン酸が多く含まれている、緩効性のリン酸肥料です。糖分やタンパク質も含まれているため、有用な土壌微生物の働きを活性化させる効果もあります。
有機肥料は緩効性なので、徐々に分解され吸収されます。柿の栽培においては、元肥として冬の寒い時期に施用します。
その他有機肥料(有機質肥料)
柿は、元肥に多くの有機肥料(有機質肥料)を活用します。油かす肥料の他にも以下の有機肥料がよく使われます。
- 魚滓(魚かす)
- 骨粉
- 牛ふんなどの堆肥
化成肥料
主要な三大栄養素とされる窒素・リン酸・カリウム(加里)のうち2つ以上を含むものを「複合肥料」と呼びます。「化成肥料」は、その「複合肥料」に含まれるものを言います。つまり、窒素・リン酸・カリウム(加里)のうち2つ以上を含む化学肥料を一般的に化成肥料と呼びます。化成肥料は粒状や固形(ペレット、ブリケット)になっているものが多いです。
柿の栽培においては、窒素:リン酸:カリウム=8:8:8もしくは10:10:10の化成肥料が使われることが多いです。追肥と元肥の両方として使うことができます(元肥としては、有機肥料が分解される十分な時間がとれない春先のタイミングで使用されます)。
産地や各地方の土壌の特性に合わせたカキ配合肥料がある場合は、それらを使用すると良いでしょう。
また、有機質肥料に似て緩効性であるIB肥料、CDU複合肥料も、保肥力の悪い土壌では効果的でしょう。
柿の肥料の購入場所
柿の肥料は、ホームセンター、100均、インターネットなどで購入可能です。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。
各購入場所・購入方法のメリット・デメリットをまとめました。購入方法選びの参考にしてください。
購入方法 | ホームセンター | 100均 | インターネット |
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メリット |
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デメリット |
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補足:油かすとは
油粕(油かす)は、ナタネ(菜種)やダイズ(大豆)から油を搾る工程の残りかすを指し、それを主な原料として使用する有機(有機物)肥料を油かす肥料と呼びます。
\油かす肥料について/
油かす肥料は、その油かすの種類によっても成分が異なります。
ナタネ(菜種)油かすは、窒素が主成分で、リン酸やカリウムも多少含んでいることが特徴です。また、土壌で分解されるのが遅いため、効き目が長い、遅効の肥料ということになります。
ダイズ(大豆)油かすも、窒素が主成分ですが、リン酸やカリウムをあまり含んでいないのが特徴です。また、土壌で分解されるのが早いため、ナタネ(菜種)油かすと比較すると、効果が表れるのが早い、即効の肥料ということになります。
単位:% | ナタネ(菜種)油かす | ダイズ(大豆)油かす |
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窒素(N) | 5 | 7 |
リン酸(P) | 2 | 1 |
カリ(K) | 1 | 2 |
その他の有機肥料については、下の記事をご覧ください。