シャキシャキとした歯触りと独特の風味を持つ芹(せり)は、春の七草のひとつ。数少ない日本原産の野菜でスーパーなどで売られているセリも水耕栽培されているものが多くあります。
この記事では、スーパーなどで買ってきたセリの捨てる部分を使った、水耕栽培(水栽培)について、わかりやすく説明します。
芹(せり)の水耕栽培について
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法の一つです。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
葉物の野菜は水耕栽培向きで、特にハーブ類は少量ずつ収穫して、いつでもフレッシュな香りを楽しめるため人気があります。三つ葉やセリもセリ科の日本のハーブの1つ。スーパーなどでも売られているものも、根元にスポンジが付いているものは、水耕栽培で育てられています。
セリを家庭で栽培するには苗や株分けから始めます。種は発芽率も悪く、ほとんど販売されていません。苗は春ごろになるとホームセンターなどでも手にはいりますが、簡単なのは、スーパーで買ってきた根つきの苗を、株分けして始めます。
セリは根まで食べることができます。特に東北地方のセリは根も立派で、セリ鍋で根もおいしく食べることができます。スーパーなどでスポンジのついたセリも売られています。水耕栽培で育てられたセリで、こちらの根は食べれないのでこちらを活用するのもよいでしょう。
水耕栽培を始める時期
水耕栽培を始めるには、その植物の生育期に始めるのが最適です。土壌栽培の場合、セリは3月~6月、9月~10月に植え付けをし、2か月ほどで収穫します。
水耕栽培も同時期に始めるのが最適です。室内で育てることができる水耕栽培は、セリの生育温度が生育温度は、15~25℃が保てれば、いつでも栽培することができます。真夏と真冬をさければ栽培は可能です。
スーパーで買ったセリから始める水耕栽培(リボベジ)
せりの準備
芹(せり)は、根が白いものを選びましょう。特にスポンジのついているものは、根が茶色くなっているものは、根が古くなっていたり悪くなっているものが多いのでうまく育たない可能性があります。セリは、根から7㎝~8㎝程度の部分の茎を包丁やハサミなどでカットします。
水耕栽培の手順
一番簡単な方法は、水に浸けるだけ。これだけでもせりは新芽がでて収穫を楽しむことができます。
準備するもの
- 茎をカットした、せりの苗(根の付いている部分)
- コップなど、水位がわかりやすい透明な入れ物
- 水耕栽培用肥料(なくてもある程度育ちます)
手順
- せりをコップに入れます
- 肥料を溶かした水を、コップに入れます。水位は根やスポンジが半分浸かる程度です。
- 3日1度ほど培養液(肥料を溶かした水)を交換して、明るい日陰で管理します。
ハイドロカルチャーへ植え替え
大きく育てて、何度も収穫を楽しみたいならセラミスを使った、ハイドロカルチャーで育てるのがおすすめ。セラミスは保水性が高く、水を好むセリにおすすめの資材です。
準備するもの
- 茎をカットしたセリ or 水耕栽培で1週間ほど育てた苗
- プランター、植木鉢など穴の開いた容器
- 鉢底ネット
- セラミス
手順
- プランターや植木鉢に鉢底ネットをいれます。
- セラミス入れます。
- セラミスに穴を空けて、苗をわけて1本ずつ植えつけます。スポンジが付いている場合は、スポンジを無理にとる必要はありませんが、苗は分けて植えつけます。
- 水を、鉢穴から水がでるぐらい与えます。
- 直射日光の当たらない明るい場所で管理します。
セラミスについて
セラミス(セラミスグラニュー)は、ハイドロカルチャー用の用土で、粘土を焼成して作られたドイツ生まれの顆粒状粘土です。ハイドロボールも粘土を高温で焼いて発泡させたものですが、大きな違いは保水力です。
またハイドロボールは、穴の開いていない容器を使って育てますが、セラミスは穴の開いた容器でも、穴の開いていない容器でも使えます。より土に近い使い方ができるので、水やりが簡単です。
鉢穴が開いていない容器を使いたい場合には、1度たっぷりと水をいれた後に、容器を傾けて水を流してあげるとよいでしょう。(容器の中に水を溜めないようにします)透明な容器であれば、セラミス乾くと色がかわるので、セラミスが乾いたらまた水やりを与えます。
セリは、水辺で育ちます。土で育てる場合も保水性の用土をつかうため、セリにはハイドロボールより保水性のあるセラミスがおすすめです。
セリの水耕栽培の育て方
置き場所、日当たり
芹(せり)は、日当たりの良い場所を好みます。また乾燥が苦手です。水耕栽培では、直射日光が当たるとは容器内の水の温度が上がりすぎたり、藻が生えやすくなります。湿度のある、明るい日陰で管理するとよいでしょう。
生育温度は、15~25℃。耐寒性はありますが、暑さと乾燥に弱く、冷涼な環境を好みます。夏は温度が上がりすぎないように気をつけましょう。耐寒性は強い方ですが10℃以下になると、成長が鈍ります。室内であれば、冬越しも可能です。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、使う資材によって水やりの方法は変わります。ハイドロボールは、容器の底に水を溜めて育てますが、セラミスは、保水性があるので用土全体で保水し、水は容器にはためないで育てます。
穴の開いた容器を使う場合は、植木鉢に水を上げる時と同様に、鉢穴から水がでるまで水やりをします。用土がかわいたら、同様に水やりをしましょう。
穴の開いていない容器を使う場合は、容器に水をたっぷりいれて用土に水を吸わせます。その後、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。
肥料
セリは自生して育つほど強く、土壌栽培では肥料もほとんど必要ありません。しかし水耕栽培は、土から栄養がとれないため水耕栽培専用の肥料を使って育てます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。セラミスには専用の肥料もあります。
まとめ
和え物やお吸い物などに日本料理に欠かせない三つ葉。料理に入れるだけでワンランク上の味わいになります。水に浸けておくだけで、緑色の新芽が成長して、再収穫ができるほど簡単です。
水耕栽培は、ハーブの他リーフレタスなどの葉物野菜や観葉植物の栽培もできます。土を使わないので虫もつきにくく、室内で育てられるので忙しい人にも始めやすい栽培方法です。
スーパーで買ってきた、野菜やハーブをつかった再生栽培(リボベジ)は、このほかにも大根、人参、豆苗、三つ葉、小松菜、クレソン、バジルなどでも可能です。観葉植物としては、パイナップルやサツマイモもリボベジできます。
スーパーで買ってきた、野菜やハーブをつかった再生栽培(リボベジ)は、このほかにも人参、豆苗、三つ葉、小松菜、クレソン、バジルなどでも可能です。観葉植物としては、パイナップルやサツマイモもリボベジできます。興味のある方は、詳しい記事もありますので読んでみた下さい。