スギナは、雑草のなかでも多年生で地下茎からも繁殖するため、草刈りや草むしりなどでは除草がむずかしい雑草です。
この記事では、スギナの除草の方法について、除草剤を中心に、用途別のおすすめの除草剤、散布方法、希釈率、効果を高める方法や防除の方法などをまとめています。
スギナの特徴
スギナはトクサ科の多年草でシダ植物に属します。シダ植物は、タネではなく胞子で増えます。春になるとツクシが顔をだし、ツクシが枯れた後に芽を出します。
スギナの胞子はツクシの頭の部分に含まれています。また胞子以外にも地下茎でも繁殖します。この地下茎がやっかいで、引き抜いても地下茎の一部が残ってしまい、そこから繁殖してしまうのです。また多年草なため、寒くなると地上部は枯れますが、根っこは生きていためまた春になると、芽をだします。
草刈りなどで衝撃を与えると、辺り一面に胞子を撒き散らして繁殖を促すことにもなりますし、草取りなどで手で引き抜いても、根が途中で切れてしまうため残った根からまた繁殖してしまう恐れがあります。そのためスギナには除草剤を使って駆除するのがおすすめです。
スギナに効く除草剤
除草剤は多くの種類がありますが、スギナに効く除草剤はどんな除草剤がよいのでしょうか。スギナは、根が厄介な植物のため、ある程度大きくなったスギナの葉や茎に薬液を散布することで、葉や茎だけでなく根まで枯らすことのできる「グリホサート系の除草剤」がおすすめです。
除草剤は簡単には、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。茎葉処理剤はさらに葉や茎に薬液をかけると、薬液が植物の根まで移行して(吸収移行性)根まで枯らすタイプと、薬液がかかった部分のみ枯らすタイプがあります。
バクサやザクサなどのグリホシネート系の除草剤は速効性がありますが、地上部の葉や茎が枯れるだけで根は残ってしまいます。
スギナの除草剤おすすめ商品
グリホサート系の除草剤といわれてもどんな商品があるかわからないという方のために、おすすめの商品をいくつか紹介しましょう。グリホサート系の除草剤は、ホームセンターなどにかなり多くの種類が販売されています。
最もメジャーなグリホサート系の除草剤、ラウンドアップマックスロードや、初代ラウンドアップのジェネリック製品のサンフーロン液剤は経済的にお得です。カダンのザッソジーエースは希釈済みですので、ジョウロなども準備しなくてもよいですが希釈率が約50倍ですので、ラウンドアップは25倍希釈をスギナには推奨しているので、たっぷり散布しましょう。
グリホサート系の除草剤は他にも多くあります。もっと商品を知りたい、商品ごとの詳しい説明が知りたい方は、下記の記事にあります。
畑などで使えるスギナの除草剤
除草剤にはたくさん種類がありますが、畑や山林などでは農薬登録されている除草剤しか使えません。これはもちろん家庭菜園でも同様です。家庭用・非農耕地用・農薬ではありませんと記載されているものは成分が同じでも、農耕地で使うと農薬取締法違反となり罰せられますので注意しましょう。
農耕地で使える除草剤については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
スギナにだけ効く除草剤
上記で説明したグリホサート系の除草剤は、非選択性で薬剤が葉や茎にかかると、スギナだけでなく他の植物も枯れてしまします。スギナだけに効く除草剤は残念ながらありません。しかし薬液が掛からなければ、植物は枯れません。スギナだけ枯らしたい場合には、枯らしたくない植物にかからないように注意して散布すればスギナだけ枯らすこともできます。
また芝生で散布できる選択制の除草剤もあります。芝を枯らさずにスギナを駆除したい場合には、ラベルの適用雑草名にスギナや広葉雑草があれば、芝を枯らさずにスギナを枯らす効果が期待できます。
スギナには、水田作物(水田湖畔)・さとうきび・日本芝・センチピードクラスなどの作物に使える、「2,4-D「石原」アミン塩」が選択制除草剤としてあります。
スギナ除草剤の使い方
散布時期
グリホサート系の除草剤は、葉や茎がある程度成長していないと、薬液が根までとどきません。おすすめは関東西以では、最適な時期は4月~6月、草丈20㎝~30㎝になりスギナの背丈がそろっているときに散布するのがおすすめ。
散布方法
グリホサート系の除草剤は、原液のタイプは水で薄めて使います。希釈率は、商品によって異なりますのでラベルをよく読んで希釈してください。ラウンドアップマックスロードでは25倍希釈を推奨しています。
噴霧器やジョウロをつかって、葉や茎にたっぷり液がしたたるほど丁寧に散布しましょう。また製品によっては散布後雨が降ると効果が落ちる製品もあります。製品によって異なりますが、散布後6時間は雨が降らない日を選んで、朝露や雨が乾いてから、午前中に散布するのがおすすめです。(降雨後1時間で効果がかわらない雨に強い商品もでています)
その他の除草方法
安全な除草剤
除草剤は安全性が心配という方もいるかと思います。除草剤には農薬登録されているものと農薬登録されていない商品があります。特に農薬登録されている商品は、膨大な科学データや実験により安全性が確保されるように、国が厳しく審査して登録されています。
ラベルに書かれている使用法や使用料などをきちんと守って使えば安全性に問題はありませんが、小さなお子様や、ペットなどを買われている人には植物成分由来のペラルゴン酸やお酢などをつかった除草剤もあります。
散布された部分にのみ効果がでるため、完全に駆除するのは難しいですが芽がでるたびに散布し、その後は防草シートなどをつかって光を遮断して制御するなどの方法もあります。
石灰窒素
石灰窒素も単肥としてよく使われる肥料の一つで、窒素肥料の一つです。石灰窒素は農薬成分であるカルシウムシアナミドが含まれていて、土壌中で水分と反応して有効成分のシアナミドを分離し、このシアナミドが病害虫と接触して効果をあげる殺虫、殺菌効果を持ちます。さらにシアナミドは除草、防草効果もあります。植物の根と葉から吸収されることで、植物の生育を阻害する作用を有します。
石灰窒素は、防除として使います。生育初期に茎葉がでてきたころ、石灰窒素を散布します。スギナが生長してきたら、また散布するを繰り返すことでスギナを弱めていきます。
土壌処理剤の併用
グリホサート系の除草剤を散布して、スギナが枯れたと思っても翌年にまたスギナが生長してくることもあります。薬液がかからなかったり、根を枯らすほどの薬液が足りなかったりすることも一因です。
できれば生育初期に効果のある、土壌処理剤の除草剤を散布しましょう。駆除した後の春先などにしっかり撒けば、スギナが新しく生えてくることを長期間防ぐことができます。土壌処理剤は、「クサノンEX粒剤」や「カダン除草王」などがスギナに効果があります。
クサノンEX粒剤 (住友化学園芸(株))
ターバシル・フルミオキサジン、2種類の有効成分で、スギナ、ドクダミ、ススキ、ヤブガラシ、シロツメクサなど各種雑草の葉や茎だけでなく根までスッキリ枯らすことができる微粒の土壌処理剤です。低温時にも使え、植栽地を除く樹木等の周辺地に撒くことを想定した薬剤です。
カダン除草王(フマキラー(株))
カダン除草王の成分カルブチレートは、非ホルモン型吸収移行性の尿素系の微粒(粒状)除草剤であり、雑草・草の光合成阻害により除草します。
カダン除草王は、細粒の非選択制除草剤で、メヒシバ、オヒシバ、スズメノカタビラ、ブタクサ、ツユクサ、カヤツリグサ、コニシキソウ、ハコベ、エノコログサなど一年生雑草といわれる一般的な雑草から、セイタカアワダチソウ、ヨモギ、スギナ、カタバミといった多年生広葉雑草、ススキ、チガヤといった多年生イネ科雑草、ササ類など枯れにくい雑草まで、根っこまで枯らすことができます。効果は最大約6ヵ月間と長期間持続することも特徴です。
非選択性で全ての植物、庭木に影響を与えるため、植物、庭木を植えている、植える予定の花壇やまた畑、水田といった農地ではなく、道路や空き地等で撒けることを想定した商品です。
除草剤を散布しても枯れないこともある?
スギナに除草剤を使ったが、全部枯れなかった、また生えてきてしまったという方もいるかと思います。スギナがすでに何年も生えている場合には、地下にはスギナの根が張り巡らされているかもしれません。そのような場合には、1度除草剤をまいただけでは、なかなか全部を駆除することは難しいため、時間をかけてしっかり駆除しましょう。駆除のポイントは下記の4つです。
- スギナに合った除草剤を、散布すること
- 展着剤で除草剤の効果を高める。
- 除草剤の茎葉処理剤は、複数回散布する
- 土壌処理剤などで生育初期に防除する。
徹底駆除の方法は、下記に詳しく説明しています。