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肥料肥料の成分

マグネシウムは光合成に必要な要素!硝酸マグネシウムの肥料の特徴と使い方

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硝酸マグネシウムについて知りたい方向けのバナー 肥料

作物栽培において、わき芽かきや摘芯、摘果などの手入れとともに重要となってくるのは施肥(元肥追肥)です。特に三大栄養素の窒素(チッソ)、リン酸リンサン・燐酸)、カリウム(カリ・加里)は植物の成長に欠かせないものとなります。その他にもカルシウムマグネシウムなどの多量要素、微量要素を与えることによって、作物が健全に育ちます。肥料を適切に施すことは栽培をする上で最も重要であると言っても過言ではありません。

この記事では、カルシウムと並んで重要な多量要素であるマグネシウム系の肥料であり、硫酸根を持たない硝酸マグネシウム肥料について、その特徴と基本的な使い方、購入方法について解説します。

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植物に必要な三大栄養素(三要素)、多量要素、微量要素とは?

植物が育つために必要な三大栄養素(三要素)は窒素(チッソ)、リン酸(リンサン・燐酸)、カリウム(カリ・加里)です。まずはこの三要素と多量要素(カルシウムやマグネシウムなど)、微量要素(ホウ素、鉄など)について、おさらいしましょう。

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そもそもマグネシウムとは?

マグネシウム(Mg)とは、動物や植物の生命活動を支えるミネラル(必須元素)のひとつであり、とりわけ植物の光合成に必要な葉緑素(クロロフィル)で効性元素の中心として不可欠なものです。

栽培作物などの植物においてマグネシウムが不足すると、葉緑素(クロロフィル)の減少をもたらし、一般に葉脈間の緑色が薄くなり白くなったり、黄色くなったりします(その状態を白化やクロロシスなどと呼びます)。イチゴやバラでは、葉脈間に不規則な黒い斑点ができます。

このとき、光合成の能力が低下し、炭水化物(タンパク質など)の生産も低下するとともに、油脂の合成など植物の健全な生育に必要な作用が阻害されるため、生育不良となります。マグネシウム欠乏が発生すると、果実の品質面で下記の事象が現れやすいです。

  • トマト:果実の赤みが薄くなったり、赤くなりづらくなる。
  • ブドウ:着色不良になるとともに、糖度が低下する。
  • ダイスなどの豆類:実の油脂が減少する。
  • ホウレンソウなどの葉菜類:一つあたりの重量、収量が減少する。日持ちが悪くなる。

マグネシウム欠乏や過剰、マグネシウム肥料の基本とその効果については、下記の記事に詳しく記載しておりますのでぜひ参考にしてください。

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植物が吸収しやすいマグネシウムとは?

マグネシウムは欠乏しないように施肥することが重要と説明してきました。しかし、ただ単にマグネシウムが含まれている資材を施せばよいというわけではありません。マグネシウム肥料は、どのように溶解するかによって3種類に分けることができ、それぞれ特性を理解した上で使用することが重要です。

  1. 水溶性マグネシウム
  2. く溶性マグネシウム
  3. 可溶性マグネシウム

水溶性マグネシウム

水溶性マグネシウムは、その名の通り水に溶けやすいマグネシウムのことを指します。土壌溶液によく溶けるため、そのままでも植物に吸収されやすいマグネシウムです。

水溶性マグネシウムを含む肥料としては、硫酸マグネシウム(硫酸苦土)や硝酸マグネシウムがあります。

水溶性マグネシウムの主な特徴は、以下のとおりです。

  1. 水によく溶けて、早く効く。
  2. 水によく溶けるため、溶脱しやすい。

く溶性マグネシウム

く溶性マグネシウムは、水には溶けませんが2%のクエン酸液に溶けるマグネシウムのことを指します。土壌中のく溶性マグネシウムは、植物の根から分泌される有機酸によって溶解されます。有機酸によって徐々に溶解、溶出されるため、全量が吸収されるまで長期間かかります。肥効がゆっくり長く続くことが特徴です。

く溶性マグネシウムを含む肥料としては、水酸化マグネシウム(水酸化苦土)や苦土入りカキ殻肥料があります。

く溶性マグネシウムの主な特徴は、以下のとおりです。

  1. 有機酸に溶けてから効果を発揮するため、水溶性マグネシウムのような速効性がなく、緩効性の肥効を示す。
  2. 肥料持ちが良く、長く効かせることができる。
  3. 比較的に肥料成分が高い。

可溶性マグネシウム

可溶性マグネシウムとは、水には溶けませんが0.5mol/Lの塩酸に溶けるマグネシウムのことを指します。土壌中の可溶性マグネシウムは、植物の根から分泌される有機酸によって溶解されます。一般に可溶性成分を溶解するためには強い酸性が必要ですが、一部の有機酸が強い酸性性質を持っているため、それらによってゆっくり溶かされます。肥効がゆっくり長く続くことが特徴です。

可溶性マグネシウムを含む肥料としては、炭酸苦土石灰(苦土石灰)があります。

肥料の分類や単肥について、気になる方は下の記事ものぞいてみてください。

マグネシウム入りの肥料のみ与えれば作物がうまく育つということではありません。畑作物には硝酸態窒素やリン酸(燐酸)、カリウム(加里)、カルシウムなどの栄養素も必要です。定植する前には、堆肥などの資材で土壌環境をよくすることも重要です。土壌分析でC/N比(炭素率)やCEC(塩基飽和度)などを分析し、堆肥や元肥、土壌改良材で良い土作りをすることが重要です。

硝酸マグネシウム肥料の基本と特徴、使い方

マグネシウム肥料には、含まれている成分や配合によってさまざまな種類があります。この記事では、硝酸マグネシウム肥料の基本と特徴、使い方について解説します。

硝酸マグネシウム肥料の基本

硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2)は、硝酸(HNO3)と酸化マグネシウム(MgO)が中和反応して合成されます。水溶性のマグネシウムを含んでおり、すぐに植物に吸収されるため速効性があります。速効性のため、施肥をするときには施用量を的確に管理しなければなりません。また、持続性がないため、土壌中や植物体内のマグネシウムが不足している間は施肥を続ける必要があります。硝酸マグネシウムは、ほかの原料と混合しても沈殿物が発生しづらく硝酸態窒素も含有されているため、硫酸マグネシウムに代わって葉面散布や養液栽培の液肥として使われるようになってきました。

肥料名称含有されるマグネシウムの性質肥効のタイプ土壌酸度(pH)の矯正効果
硝酸マグネシウム水溶性マグネシウム速効性酸性にする

硝酸マグネシウム肥料の特徴

硝酸マグネシウムは性質上、以下の特徴を持っています。

  • 硝酸マグネシウムは、マグネシウムの硝酸塩である。見た目は無色の結晶である。
  • 市販されている硝酸マグネシウム肥料は、全て6水和物である。
  • 6水和物の硝酸マグネシウム(硝酸マグネシウム6水塩)は硫酸イオンが含まれていない。
  • 硝酸マグネシウムに含有されるマグネシウムは、水溶性マグネシウムであり速効性がある。
  • 水に溶けやすいため、地下土壌に溶脱しやすい。
  • 土壌酸度(pH)を酸性にする。
  • 野菜や花卉など幅広い作物に適用している。
  • 硫酸根を持たないため、カルシウムを不溶性に変化させることがない。
  • 硫酸根を持たないため、他の原料と結合しにくい。
  • 潮解性があり、保管期間が長くなると、空気中の水分を吸着して湿っぽくなることがある。長期間の保管は注意が必要である。
硫酸根とは

硫酸根とは、硫安などの副成分です。硫酸根は、作物に吸収されづらい成分です。そのため、硫酸根が含まれた肥料を多量に施肥すると土壌に蓄積されてしまいます。その結果、土壌酸度(pH)の低下をまねき、植物が健全に生育できない土壌になってしまいます。炭酸カルシウムなどによる酸度矯正も必要となってきます。

また、酸素の少ない還元状態であり、かつ汚泥などが溜まり有機酸が多く含まれる土壌(老朽化水田など)では、有機酸の水素イオンと結合し、有害なガス(硫化水素)を発生させることがあります。硫酸根が蓄積した土壌では、深耕や天地返しなどをして土壌の入れ替えを行ったりしなければならなくなります。

潮解性とは

潮解性とは、空気中に放置された結晶が、空気中の水分を吸収して溶解する性質のことを指します。空気に触れるだけで溶解が進むので、潮解性のある肥料は密閉し保管することを前提とし、なるべく早めに使い切るようにしましょう。

硝酸マグネシウムの特長(優れている点)は、以下のとおりです。

  • 光合成に必要な葉緑素の重要な構成元素であるマグネシウムを多く含んでいる。
  • 炭酸同化作用(光合成による酸素の供給、窒素化合物の合成など)を良くする。
  • 果菜類では、糖度、光沢、肉質などの品質向上が望める。
  • 三要素(窒素、リン酸、加里)の肥効を更に高め、特に火山灰土ではリン酸の吸収を助ける働きがある。
  • 土壌酸度(pH)を低下させる効果があり、連作障害の抑制したり、土壌環境をよくすることができる。
  • 苦土石灰とともに施用すると土壌酸度(pH)にあまり影響を与えずにマグネシウムを供給できる。
  • 硝酸態窒素がマグネシウムの吸収を高める作用があるため、硫酸マグネシウムよりも効果があるとされている。
  • 光合成の能力が高まり、硝酸態窒素成分も吸収されるため、トマトなどの果菜類では収穫期間の延長や収量の増加が期待できる。
  • 果樹であるリンゴでは、硝酸マグネシウムの葉面散布により、葉の亜鉛(Zn)含有量が増加した例がある。
  • 土壌酸度を高めないため、ジャガイモなどアルカリ性土壌において病害が発生しやすい作物にもマグネシウムを補給できる。
  • 硝酸塩は硝酸イオン(NO3)を持つ塩であり、その特性から根からだけではなく葉面からもよく吸収される。
  • 果樹であるブドウでは、硝酸マグネシウムの葉面散布により、ブドウの茎などに発生するネクロシスにも効果が有り、収量、糖分含有量の増加にも寄与した例がある。
  • 小麦では、硝酸マグネシウムを葉面散布することによってタンパク質や収量を増加させた例がある。
リン酸とマグネシウムの関係

マグネシウムの存在がリン酸の吸収と移動にプラスの効果をもたらすことも知られています。マグネシウムとリン酸は吸収時に互いに相助的に働きます。また、作物体内を移動するときにも同じように働くと言われています。

マグネシウムは、植物の根が分泌する根酸(有機酸)を増やす作用もあるとされています。その影響もあり、く溶性リン酸が吸収されやすくなるのではと考えられています。

マグネシウムとリン酸は、植物体内で同程度含有されることが多いです。

硝酸マグネシウム肥料の使い方

硝酸マグネシウムは、元肥としても追肥としても使用できます。ただし水溶性であり、持続性がないため、元肥として施用する場合には苦土石灰と合わせて施用すると良いでしょう。育苗期に使うことはなく、定植前の土作りか、生育中のマグネシウム欠乏への対処として使用されることが一般的です。

硝酸マグネシウムの一番適している施用方法は追肥と考えます。特に早急に土壌溶液中のマグネシウム濃度を上げたい場合に用いると良いでしょう。水溶性のため、土壌溶液中によく溶け、植物体内への吸収が早いため効果が現れやすいです。マグネシウム欠乏症の対処に最適です。

施用量は保証成分率(含有量)や施用方法、時期によって異なりますので肥料のラベルをよく読みましょう。

また、野菜や花卉などでマグネシウム欠乏症が発生したときには、硝酸マグネシウムの葉面散布も効果的です。硝酸マグネシウムを水に溶かして希釈し、0.5%〜2%程度の硝酸マグネシウム水溶液を作り、噴霧器などで週一回程度、持続的に葉面散布するとマグネシウム欠乏症が改善したという例もあります。まずは0.5%など薄めから始めてみると障害も起きづらいと思います。葉面散布の効果が現れるまでには、2〜4週間程度かかるため持続的に複数回散布をすると良いでしょう。

葉面散布を効果的に行うには
  1. 葉面散布に最も良い時間帯は早朝です。湿度が高く、葉の細胞が水で満たされた完全な膨圧状態にあるときが最適です。涼しくなった夕方でも良いでしょう。
  2. 日中の暑い時間帯は散布を避けましょう。温度が高い時の吸収率は非常に低く、ストレスにさらされ薬害の原因となります。
  3. よく晴れた日の日中帯も避けましょう。散布した溶液が高濃度となり、葉焼けなどの原因となります。
  4. 土壌水分が十分であるときに葉面散布をすることが効果的です。可能であれば、散布する前日に水を撒くこともおすすめです。
  5. 雨や水撒きの直前、風が強い日に葉面散布をするのは避けましょう。
  6. 養分吸収は、葉の表面よりも裏面のほうが盛んに行われますので、裏面を重点的に散布してください。
  7. 二重散布や農薬との混合などは基本的にやめましょう。農薬との混合は専門的な知識が必要です。

硝酸マグネシウムは水溶性のため、養液栽培や養液土耕栽培の液肥としてもよく使われます。水に硝酸マグネシウムを溶解し、希釈して使用します。

養液栽培も養液土耕栽培においても、潅水同時施肥という潅水時に水と養液を混ぜ合わせて施肥をする方法で供給されます。潅水と施肥が同時にでき省力化できるだけではなく、水溶性の肥料であるため植物が吸収しやすく効果が現れやすいです。プロ農家だけではなく、家庭菜園や園芸でもジョウロなどに溶かすことで潅水同時施肥が可能です。

特に養液栽培では追肥の方法によってはマグネシウムなどの多量要素、微量要素の欠乏症が発生しやすいため、それを補うために持続的にマグネシウムを液肥として供給することが重要です。硫酸マグネシウムと違い硫酸イオンを含まないため、カルシウムや他の要素と結合しづらいこともおすすめできる理由です。

硝酸マグネシウム肥料のおすすめ商品

硝酸マグネシウムはプロ農家だけではなく園芸・家庭菜園の方にもおすすめできる肥料です。マグネシウム欠乏症のような症状が出た場合には試してみると良いでしょう。特に果菜類はマグネシウム欠乏症になることが多いので、土壌環境や植物をよく観察して葉脈の間が黄色くなったり、白くなったりしてきたら少しずつマグネシウムを与えると生育が改善されるかもしれません。

硝酸マグネシウムの肥料は、肥料の形状や保証成分率(含有量)こそ異なることもありますが、基本的な性質は同じなので必要な量、扱いやすい保証成分率のものを選ぶと良いでしょう。

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硝酸マグネシウム肥料の購入方法、価格

硝酸マグネシウム肥料はさまざまなメーカーが独自で開発・販売しています。店頭に並ぶものもあればインターネットでしか購入ができない商品もあります。ホームセンターなどでも取り扱いされている場合がありますが、店舗に陳列されておらず取り寄せ、もしくは別店舗に探しに行かなければならない場合もあります。

インターネット通販で購入されることもおすすめです。「少し高いかな?」と思われるかもしれませんが、インターネットで購入した場合も、そこまで大きな価格の差はありません。インターネット通販を使用することで店舗に出向く時間が削減されたり、肥料を運ぶ時間も減るので私は積極的に利用しています。また、いろいろな商品をみることができ、ゆっくりと比較できるなど、店舗での購入にはない楽しみも増えます。

執筆者・監修者情報
執筆者・監修者

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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