殺菌剤オラクルは、日産化学工業(株)によって開発された、根こぶ病、ベト病、エキ病対応の薬剤です。従来の根こぶ病に対する薬剤であるランマンフロアブル、フロンサイド粉剤などと異なる新規成分の農薬であることが特長です。
ここでは、殺菌剤オラクルとはどんな農薬なのか、特長や、効果と注意点を説明していきます。
オラクルとは、どんな殺菌剤?
殺菌剤オラクルは、有効成分アミスルブロムを有する、日産化学工業(株)によって開発された殺菌剤です。
有効成分のアミスルブロムとは、根こぶ病菌の休眠胞子から形成される遊走子を殺菌する効果があり、土壌中に生息する休眠胞子の密度を減らす効果があります。
粉剤タイプと顆粒水和剤タイプ、2種類があります。
オラクルの有効成分、性状
- アミスルブロム・・・50.0%(顆粒水和剤)、0.50%(粉剤)
有効成分のアミスルブロムは、根こぶ病菌の休眠胞子から形成される遊走子を殺菌する効果があり、土壌中に生息する休眠胞子の密度を減らす効果があります。
アブラナ科野菜を連作すると、根こぶ病菌の休眠胞子が土壌中に増加して、被害を大きくしますが、オラクル粉剤は、土壌中の休眠胞子からの遊走子を殺菌する効果が高いことから、おとり作物(根こぶ病抵抗性ダイコンCR―1等)植物と併用することで土壌中の休眠胞子をいっそう減少させ、病害防除に効果を発揮します。
性状は、粉剤が類白色粉末、顆粒水和剤が淡褐色水和性細粒になります。顆粒水和剤は水で希釈して散布します。農薬の希釈については下記をご参考ください。
オラクルの特長
農薬オラクルの最大の特長は、従来の農薬が根こぶ病の休眠胞子を眠らせたままにするところを、しっかり直接殺菌するところです。このため、土壌中の病原菌自体の数を低減し、予防効果を高めます。
また天敵や有用昆虫、環境生物に対する悪影響が少なく、様々な場面で使いやすいことも特長といえるでしょう。
使用するときに注意したい点
粉剤を使用する際は、砕土をよく行い、その後、所定量の薬剤を均一に散布し、土壌と十分に混和するようにしましょう。
石灰硫黄合剤やボルドー液等アルカリ性農薬との混用は避けてください。
また、水産動植物(魚類、甲殻類)に影響を及ぼす恐れがあるので、河川、養殖池等に飛散、流入しないよう注意して使用するようにしましょう。
効果・薬害・毒性
オラクルは以下のように、幅広い「適用作物」と「適用病害虫名」に対応しています。
オラクル粉剤
作物名 | 適用病害虫名 |
---|---|
かぶ 非結球あぶらな科葉菜類 茎ブロッコリー キャベツ ブロッコリー カリフラワー | 根こぶ病 |
はくさい | 根こぶ病 ピシウム腐敗病 |
稲(箱育苗) | 苗立枯病 (ピシウム菌) ムレ苗防止 |
ばれいしょ | 粉状そうか病 |
オラクル顆粒水和剤
作物名 | 適用病害虫名 |
---|---|
ぶどう | べと病 |
てんさい | 黒根病 |
キャベツ 茎ブロッコリー はくさい ブロッコリー カリフラワー 非結球あぶらな科葉菜類 かぶ | 根こぶ病 |
みょうが(花穂) みょうが(茎葉) しょうが 葉しょうが | 根茎腐敗病 |
いちご 花き類・観葉植物 (ポット、プランター 等の容器栽培) たばこ | 疫病 |
ばれいしょ | 粉状そうか病 |
こんにゃく | 根腐病 |
稲(箱育苗) | 苗立枯病 (ピシウム菌) ムレ苗防止 |
下記の有効成分を含む農薬の総使用回数(年限)は以下の通りなので、使用回数には注意してください。
- アミスルブロム 〜8回
アミスルブロムを含む農薬の使用可能回数(年限)は、適用作物によって〜8回と変わってきます。適用作物と使用回数をよく確認するようにしましょう。また、使用時期(収穫何日前、育苗期後半~定植当日、土壌混和は2回以内、灌注は1回以内、散布は3回以内など)もしっかりチェックしてください。
アミスルブロムの効果を高めるために
薬液を広範囲にまく際には、効果的に散布できる散布機(噴霧機)やスプレイヤーの使用をおすすめします。
まとめ
殺菌剤オラクルは、日本農薬(株)が開発した有効成分アミスルブロムによって、根こぶ病菌の休眠胞子から形成される遊走子を殺菌する効果があり、土壌中に生息する休眠胞子の密度を減らす効果があります。
このため、予防効果がより強いので、しっかりと効果を出すためには使用時期が大事です。作物によっては、は種前、定植前の使用を心掛け、より良い畑地にしていきましょう。