水稲の紋枯病は近年の高温多湿により、発生する地域が広がっています。ここでは、紋枯病の原因や症状、予防、治療するための農薬やそのほかの防除方法について説明します。
紋枯病(もんがれびょう)とは
紋枯病の原因・特徴
紋枯病は、病気は糸状菌に属するカビの一種が原因でおこる病気です。
第一の感染源は、前年に発生した病原菌が菌核となって土壌に残って越冬し、翌年の代かき時に水面に浮上してイネの株元に付着して感染します。その後は接触や水にのって病原菌が他の株に移り、感染を広げます。
発病・発生適温は22~34℃で多湿を好むため、夏の高温多湿時期に発生します。前年に多発発生した田んぼでは翌年の発生が多いので事前の予防が重要です。
紋枯病の症状
紋枯病は葉鞘、葉身、穂に発生します。
発生初期は、水際に近い葉鞘に暗緑色で水浸状の楕円形の病斑みられます。病斑はやが縁は褐色で内部が灰色に変色します。周辺の病斑がくっついて大きくなります。
放置すると、病斑は上部へ広がり、葉や葉鞘が柔らかくなり倒れやすくなります。被害が広がると収穫量や品質にも大きな影響を及ぼします。

写真提供:HP埼玉の農作物病害虫写真集

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紋枯病の防除のポイント
農薬をつかった防除は1回で効果を上げるためには、適期に散布することが重要です。発病してからの農薬散布は、農薬は株元にかかるように散布しましょう。前年に多発した場合には、育苗箱施用剤も有効です。
効果的な農薬散布のために、地域によって要防除水準が定められており、紋枯病の防除は見取り調査を実施し、一定の発病率になったら防除をする基準を設けているところもありますので、地域の防除暦などで確認してください。
化学的防除だけでなく、過密栽培をさけるなどの耕種的防除や、湖畔のごみを取り除くなどの物理的防除と組み合わせなるべく農薬の散布を減らせるようにしましょう。
紋枯病に効果がある農薬
紋枯病対策に使える「箱剤」
「箱剤」すなわち水稲育苗箱処理剤とは、稲の育苗箱に処理するために作られた農薬で、殺虫剤と殺菌剤の混合剤です。田植え(移植)後の本田での農薬散布を減らせることや、育苗箱時に農薬を使用することで散布ムラをなくし、薬剤効果を安定させます。このため、水稲育苗箱処理剤は次第に普及しています。
前年に紋枯病が多発した田んぼでは、「箱剤」が有効です。箱剤は様々な効果を持つ農薬が混用されていますので、いもち病や害虫などと同時防除が可能です。(どのような病害虫に適用があるかはリンク先で確認してください)
本田で予防治療効果に優れる殺菌剤
紋枯病の初発を認めたら、下記の農薬を散布しましょう。
| 農薬名 | FRACコード | 特徴 |
|---|---|---|
| バリダシン粉剤DL | U18 | 紋枯病防除剤。 病斑の上位葉しょうへの進展初期の頃の散布が効果的です |
| ノンブラストレバリダ粉剤DL | 16.1,U18,U14 IRAC:3A | 水稲の殺虫・殺菌混合粉剤 いもち病、紋枯病の予防治療の他、ウンカやカメムシなどの 害虫にも適用があります。 |
| アプロードロムダンモンカットF粉剤DL | 7 IRAC:18,16 | 殺虫剤のアプロードとロムダン、殺菌剤のモンカットの混合剤で 中期主要害虫と紋枯病の防除を同時に行えます |
化学的防除以外の防除方法
チッソ(窒素)を減らす
施肥がチッソ過多になると、過繁茂を招き、株間の湿度が高いと発病が多くなるので、紋枯病の発生を招きやすくなってしまいます。このため、チッソ過多にならないように適切な施肥量を保つことが重要です。
またケイ酸肥料を使うことで、紋枯病の予防効果があるといわれます。ケイ酸が施用されることによって、植物体内の窒素含有率が低下することによるものとされています。
代かき時の浮遊物の除去
前年に紋枯病が発生している場合には、代かき時に浮遊しているごみに菌核が付着していることがあります。ゴミが伝染源になるため、すくいとって除去しましょう。
畦畔の除草
畔畔の雑草に紋枯病の菌核が付着して、冬越をするため、冬季には畔畔の雑草を除草しましょう。
品種の選定
早生品種に多く発生します。多発地域では、可能な範囲で早生品種や早植栽培を避けるようにしましょう。
まとめ
紋枯病は品種や農薬などの進化により、減少していましたが近年の温暖化の影響で今まで発生していなかった地域での広がりが懸念されています。
高温で降雨量・降雨日数が多いと多発します。地域の発生状況などの防除情報をしっかりチェックして早期発見、対応に努めましょう。
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