ツユクサは種子で繁殖する夏生一年草です。特に畑、菜園、果樹園、田んぼの畔畦によく見られ、群生します。青色の小さな花弁が特徴的で、日本では代表的な雑草と言えるでしょう。
しかし畑に一度発生すると、その繁殖力から非常に厄介な雑草とも言えます。ここでは、ツユクサを、どうやって駆除し、防除していくのか、おすすめの除草剤を中心に説明していきます。
ツユクサの特性
科 | ツユクサ科 |
種類 | 一年草 |
分布 | 日本全土 |
学名 | Commelina communis L. |
別名 | アオバナ、ボウシグサ、ホタルグサ、ツキクサ、ムラサキグサ |
ツユクサは日本全国で見られる夏生一年草です。茎は柔らかく、高さは15〜50cmほど、花の花弁は3枚で、上方の2枚が青色で卵円形、この青の花と光沢のある葉を見かけた方は多いのではないでしょうか。ツユクサの名の由来は、朝咲いた花が昼にしぼむことが朝露(あさつゆ)を連想させるため、と言われています。
種子は茶褐色、灰色で、春先に出芽します。土中深くからでも出芽することが特徴で、その深度は10cmにも及ぶときがあります。陰になっても成長は強く、繁殖力は恐ろしいほどで、圃場の作物に被害をもたらす雑草です。
また類似種にマルバツユクサがあります。こちらは日本の西側で見られます。
ツユクサの駆除方法
ツユクサは、特徴として出芽深度が深いため、土壌処理剤の効果は他の雑草と比べて低いです。非選択性の除草剤の使用が可能な場合は、非選択性除草剤を散布するのが有効です。畑や水田、田んぼの畦畔の場合は、広葉雑草に有効な選択性の除草剤を散布することになります。ツユクサは種子の寿命が長いので、圃場に種子を落とさないようにすることがポイントです。
耕起、中耕
ツユクサは何よりも、発芽、生育初期に対処することが重要です。出芽時期が早いため、作付け前に出芽した場合は耕起が有効です。また、作物の生育中に発生した場合は、中耕・培土を行なうことが有効です。
ツユクサは種子の寿命が長いため、圃場に種子を入れないようにすることも重要になってきます。
除草道具については下記を参考にしてみてください。
中耕した場合は、後に茎葉の一部が地上に露出していると再生してしまうので、土壌中に完全に埋め込むようにしましょう。
除草剤での駆除
スベリヒユは出芽深度が深いため、他の雑草と比べて、土壌処理剤の効果が弱い可能性があります。このため、広葉雑草に有効な葉茎処理剤を使うのがおすすめです。
プリグロックスL
速効性を持つ、パラコート系の除草剤です。有効成分が光により変化して草を速効的に枯らします。葉や茎をすぐに枯らすので、1年草にぴったりです。光があれば温度の影響をほとんど受けず、展着剤添加で効果がアップします。
バサグラン液剤
ベンタゾンナトリウム塩を成分としています。ベンタゾンは、茎葉部から吸収され、植物の光合成を阻害し、葉部白化させ枯死に至らせる効能を持ち、セレクト乳剤の逆で、ツユクサ、スベリヒユを含む広葉雑草に効果を発揮します。逆にイネ科雑草や大豆には効かないため、よく大豆畑で使用されます。
作物の心配がなければバスタ、ザクサのような非選択制のグルホシネート系除草剤、またグリホサート系の除草剤がおすすめです。
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
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概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | エイトアップ | ネコソギロングシャワーV9 | グリホエースプロ | はやわざ | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 | はや効き! |
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概要 | |||||||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | (有)チャレンジサービス | レインボー薬品(株) | (株)ハート | (株)ハート | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) | シンセイ(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCP A | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCP |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ✖️ | ほぼ✖️ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ✖️ |
その他、シンバー(ターバシル水和剤)
その他の駆除方法
熱湯をかける
その他植物全般を枯らすのに効果がある方法として、枯らしたい植物に熱いお湯、つまり熱湯をかける方法があります。
確かに、熱湯を浴びた植物はその箇所が焼けて、枯れますが、地下茎や根までは浸透しないため、地上部にしか効果が出ません。また、土壌に熱湯をかけることで、土壌内部の細菌などに悪影響が出てしまいますし、熱湯を雑草にかけることは大量に行うことは難しく、費用対効果も合わないかと思います。このため、ツユクサを駆除するために熱湯をかけることはお勧めできません。
塩を撒く
最近、塩を撒くことで、除草することを勧めている記事、また除草塩という商品などが見受けられます。確かに塩分濃度が高くなると雑草は枯れるので、除草の効果はありますし、塩は非常に土壌に残留、蓄積するので、雑草が新しく生えてくることも防ぎます。
しかしながら、塩は土の中で分解されないため、半永久的に効果が持続します。このため、未来にわたって植木や花などはもちろん、野菜や穀物などの作物が一切育たたくなってしまうのです。また、土壌はつながっています。雨などで塩が流れ出て、隣の土壌にも多大な被害を及ぼします。
このため、除草に塩を使うことはくれぐれも避けてください。
(農耕地以外での)ツユクサの防除方法
防草シートでの防除
ツユクサをしっかりと駆除した後、その場所に防草シートを貼ることが可能であれば、防草シートを貼ることは、非常にに有効な防除になります。防草シート(除草シート)は、光をほぼ遮光することで、植物に光合成を行えないように抑制するもので、大変有効です。
防草シートについては、下記のコンテンツに詳しく説明していますので、防草シートを貼ることが可能な方は、是非参考にしてください。
まとめ
ツユクサは非常に強い繁殖力を持つ一年生の雑草で、どんどん繁茂します。生い茂る前に予防、早期防除をするようにしましょう。
私は、営む果樹、樹園地、その周辺によく繁茂するので、バスタ等の薬剤を有効活用しています。
その他の庭や畑に生える雑草にお困りの方は、多年生を含め難雑草(イタドリ、スギナ、竹、苔、イヌビエなど)の駆除、除草についてまとめた下記コンテンツをどうぞご参考にしてみてください。
また、除草のための農機具、農具、草刈機(刈払機)、ブレード(チップソーなど)、資材については、こちらをご参考ください。
除草剤を使用するとき、草刈りするとき、どんな服装をする必要があるのか、まとめたのは下記になります。
雑草の様々な防除、駆除方法は下の記事がおすすめです。
また、特に防草シート(除草シート)での防除に興味ある方は下の記事をご参考ください。