ぶどうの肥料

ぶどうの肥料 与え方の基本と栽培のまとめ ぶどうの肥料

最近ではホームセンターなどでぶどうの苗木が手軽に手に入れられられるようになり、家庭菜園でも人気のぶどう。この記事では、ご家庭でおいしいぶどう(葡萄)を収穫するための、おすすめの肥料や与え方、また栽培のポイントをまとめています。

ぶどうの基本情報

学名 Vitis
属名 ブドウ科ブドウ属
原産地西アジア・北アフリカ
樹高・草丈2~3m つる性
耐寒性等耐寒性:普通 耐暑性:強い
収穫期8月~10月

ぶどうの肥料時期

庭植え(地植え)

庭植え(地植え)の場合は、10月~11月に施す栽培の基礎となる元肥と、ブドウの収穫後に与えるお礼肥が基本です。土壌が良い状態を保てていれば、元肥だけとする方法もあります。

鉢植え

鉢植えの場合は、2月に基礎となる元肥と、生育期の6月と8月に追肥します。2月に元肥を与えない方法もあります。与える場合は2月の肥料は控えめに、固形の有機肥料などがおすすめです。

ぶどうの肥料時期の年間スケジュールは、詳しく書いている記事がありますのでそちらを参照ください。

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ぶどうの肥料のやり方

庭植え(地植え)

秋の元肥は、土づくりと同時に行います。ぶどうに限らず野菜やくだものを育てるには土が大切です。

土壌改良に堆肥を使い足りない肥料分を有機肥料で補うのがおすすめです。ゆっくりと効果がでて、肥料分も化成肥料ほどおおくないため肥料が効きすぎて、樹勢が伸びすぎるのも防げます。堆肥とは、鳥や豚・牛などの家畜のふんや、わらや落ち葉などの有機物を堆積して発酵させたもので、腐葉土も堆肥です。株の周りに堆肥をまいて軽く土とまぜておきましょう。堆肥は完熟のものをつかいましょう。

果実の収穫後に与える追肥は、速効性のある化成肥料を株の周辺に規定量まいて、表面の土と混ぜましょう。基本的にはこの2回で大丈夫ですが、樹勢があまりにも弱い場合などには、速効性の化成肥料を追肥します。

鉢植え

鉢植えの場合は、2月に有機肥料や、有機入りの化成肥料などを使い、生育期の6月~9月に生育を見ながら追肥します。生育期には新梢(新しく伸びたつる)の伸びが悪かったり、葉の色が薄いなどがあれば速効性の化成肥料を与えましょう。

粒状であれば株元にばらまきます。固形であれば規定量を置き肥しましょう。

肥料の与えすぎに注意

肥料は、多ければ多いほどよいというわけではありません。土中肥料の濃度が高くなりすぎると、根が吸水できなくなり、植物に障害が発生したり枯れてしまったりすることがあります。これが「肥料焼け」です。成長が楽しみで、ついつい肥料を多くあげたくなってしまうかもしれませんが、一般に肥料をあげすぎると、かえって植物が弱ることがあり、樹や枝葉に障害が生じることもあります。肥料は過多にならないよう注意しなくてはいけません。

またぶどうは肥料を与えすぎると、枝・葉・根などの果実は関係のない樹勢が良くなります。植物にとって果実をつくることは、タネを作って子孫を残すことです。木が弱ると子孫を残そうと植物はタネを作ることに力を注ぎます。よってぶどうは樹勢を抑えることでおいしい果実を実らせることができます。

ぶどうにおすすめの肥料

ぶどうには、有機肥料や有機入りの肥料・速効性の肥料等を使います。ぶどうや果樹専用の肥料は、初めての方にもおすすめです。

ぶどうのおすすめの肥料の詳細については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。

使用目安量、使用頻度、適期は、大まかな指標となります。また、改良などにより販売されている商品の成分比が変わったり散布量が変わったりしますので、使用する際には必ず商品のラベルに記載されている情報を確認しましょう。

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【補足】肥料の呼び名について 元肥と追肥

用土に肥料を与えるタイミングによって、肥料の呼び名が変わります。具体的には、「元肥」と「追肥」があります。

植物の苗や苗木を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。

異なる呼び方として「基肥(きひ)」「原肥(げんぴ)」などと呼ばれる場合もあります。

苗の植え付け後(定植後)、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。花や結実の後に与える追肥をお礼肥といったり、冬に与える追肥を寒肥(かんごえ)といったりもします。また肥料を与えることを施肥といいます。

ぶどう栽培のポイント

おいしいぶどうを育てるには、肥料のほかにも大切な栽培のポイントがあります。小粒品種より大粒品種の方が手間がかかります。初心者の人はまず小粒からはじめてみるのもよいでしょう。

栽培環境・水やり

ぶどうは、日当たりのよい風通しの良い場所で栽培しましょう。ぶどうは暑さにも強く、寒さも品種によりますが、マイナス10℃ぐらいまでは耐えます。しかし多湿は苦手で病気が発生しやすくなるので注意が必要です。

鉢植えの水やりは、鉢の表面が乾いたら鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。庭植えは、乾燥には強いのであまり気にしなくてよいでしょう。夏に日照りがつづときに与えれば十分です。

ただし結実後に果粒が大きくなるときには、梅雨時期なので水は不足しにくいですが、カラ梅雨などの時期は水は不足しないようにし、粒に色がつく時・果粒軟化期(ベレーゾン)は、やや乾燥気味に育てるとよいでしょう。

用土について

やせ地でも育つぶどうは、用土は特に選びませんが水はけと通気性のよい土がおすすめです。鉢植えの場合は野菜や果樹用の培養土がよいでしょう。自分で配合する場合は腐葉土7・赤玉土3などがよいでしょう。

庭植えの場合は、植え付け時に庭土に腐葉土などをよく混ぜて植えつけるとよいでしょう。

品種について

ぶどうは、大きくわけて「欧州種」「米国種」「欧米雑種」の3つに分けられます。耐寒性は普通で耐暑性も強いのですが、乾燥した地域に育つ欧州種は特に多湿が苦手で日本で育てるのは難しいといわれています。米国種は病気につよいのですが、果実の味は欧州種に劣るといわれ、その両方の長所をもつ「欧米雑種」が日本がではよく栽培されています。

日本でおなじみの巨峰やピオーネ、シャインマスカット、デラウエアはすべて「欧米雑種」です。日本では近年栽培農家では、ぶどうの大粒化や収量の多い品種の栽培がすすんでいます。しかし家庭で育てる場合には、粒の大きさにこだわらず、自分の地域に合った育てやすい品種を選びましょう。

種あり?種なし?

ブドウは家でも「ジベレリン処理」をすれば種なしのぶどうをつくることはできます。でも実は種があるまま育てた方が果実は、甘く香りもよいとされています。食べやすさでは種なしに軍配があがりますが、両方そだてて食べ比べてみるのもよいかもしれません。

ジベレリン処理

品種によって満開前に1回、満開後に2回目を処理する品種と、満開後に1度処理する品種があります。花房整形が終わった後行います。コップやペットボトルを切ったものにジベレリン液(※)にいれ、花房を浸してすぐに引き上げます。ジベレリン液は、ジベレリン粉末や錠剤を水に溶かしたものです。液剤はぶどうには使えませんので注意しましょう。

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*ジベレリン液剤と間違った記載をしておりました。記事を修正しております。

剪定・整枝

毎年12月~3月には、よい果実と樹勢の調整・病気の予防のために剪定・整枝をしましょう。また剪定は、枝の途中で切って枝を切る切り戻し剪定で行います。切る枝の長さにより、「短梢剪定」と「長梢剪定」に分かれます

短梢剪定

鉢植えなど、枝を大きくさせたくないときにおすすめ。前年に実をつけた枝(結果枝)を、基部から1~2節残してすべて枝をきります。乾燥や寒さで枝が傷みやすいので0℃以下の日に行うのはやめましょう。

長梢剪定

前年に実をつけた枝(結果枝)を間引きして、残した枝を長めに残して切る剪定方法です。大半の枝は、基部から枝を切り取ります。残した枝を基部から7節~8節残してきります。4~6節ぐらい残す方法を中梢剪定といいます。残す節が長いほど、基部から切り取る枝を多くきります。

芽かき

4月になると新しい芽がでてきます。一節から2つ以上の芽がでてきたら一つを残して、あとはすべて落とす芽かきをしましょう。葉が6枚以上になる前に行うと、枝の消費を抑えることができます。

風通しをよくし、光があたるようにすることで大きな実がつき、病害虫の予防にもなります。

摘房・花房整形

大型種の場合 赤い部分は切り取る

大きくて糖度の高い果実をとるためには、必ず摘房をしましょう。花が咲く前の5月に行います。一つの枝につける実は、鉢植えの場合は1つ。庭植えの場合は、大粒品種は1つ。中型~小型の品種は2つまででに切り詰めます。

枝のつけ根の花房が大きいものを残して、あとはすべての花房を切り落とします。また残した花房も、花房が2つついている場合は、大きい一つを残して切り取ります。また花房の下の肩の部分も大型種は4段、小型種は2段ほど切り取ります。

摘粒

小粒品種には不要ですが、大粒品種は満開後、粒が大豆ほどになってきたら摘粒(てきりゅう)をしましょう。品種によりますが出来上がりが30粒程度になるように、果実の成長に合わせて2回程度行います。

最初の摘粒の手順

  1. 果粒のついていない部分を切り落とす
  2. 外側の、小さな果粒や傷んだ粒を取り除く
  3. 2で空いた隙間に、ハサミをいれて内側の小さな果粒を切り取りとる

2回目の摘粒の手順

  1. 外側の、小さな果粒や傷んだ粒を摘みとる
  2. 1で空いた隙間から、果粒がふれあわない程度に切り取り、隙間をつくる。

収穫

ぶどうは、追熟しません。追熟とは収穫後に一定期間置いておくと、甘くなったり果実がやわらかくなったりすることです。ですので、収穫した時が一番おいしい状態で収穫しなければいけません。

農家などでは糖度計を使って調べますが、家庭では味見をしてみましょう。ぶどうは上部の方が下部より甘くなるのが早いので、下部の部分を一粒食べて甘いようでしたら、全体が甘くなっているでしょう。また収穫は朝の涼しいうちに行うと日持ちします。

病害虫

ぶどうの病気としては、うどんこ病べと病灰色かび病、晩腐病、黒とう病、褐斑病などがあります。雨で伝染する病気が多いので、予防としては果房に袋がけをしたり、落ち葉や枯れた枝などを取り除いてあげることも重要です。薬剤も効果的です。病害が発生したら、すぐに取り除きましょう。

害虫は、コウモリガ、ブドウトラカミキリ、ブドウスカシバ、フィロキセラ、コガネムシなどが発生します。野外であればある程、発生し易いといえます。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。ぶどうの肥料を中心においしいぶどうを作るための栽培のポイントなどを紹介しました。難しそうだなという印象でしょうか。

ぶどうは初心者でも簡単に作れますとはいえませんが、手間をかけてあげるほど甘くておいしい果実を得られる可能性が高まります。手をかけて育てたぶどうを自分で食べる喜びは、家庭で栽培する最大の楽しみです。毎年工夫しながら育てるのも楽しみの一つです。

またつる性落葉低木なので日よけや垣根としてもすぐれています。ぜひ庭やベランダでおいしいぶどうを育ててみてください。

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