多肉植物のアカベは、鋭い棘が付いた多肉質な葉がロゼット状や放射線状に広がる個性的な見た目で、男性にも人気のあり、テキーラの原料やアガベシロップなど食用としても有名です。
この記事では、アカベを初めて手に入れた方にもわかりやすく、水やりや植え替えの方法、育て方のコツをわかりやすく、説明します。
多肉植物 アガベについて
基礎知識
園芸分類 | 多肉植物・観葉植物 |
学名 | Agave |
属名 | キジカクシ科(クサスギカズラ科) / リュウゼツラン属 |
原産地 | アメリカ大陸 |
草丈・樹高 | 10㎝~300㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 普通 耐暑性 強い |
生育タイプ
多肉植物は、春秋型、夏型、冬型の3つのタイプに分かれます。それぞれの型により生育期と休眠期が異なります。生育パターンを知ることで、それに合わせて管理することで無理なく育てることができます。
アガベは、「夏型」です。夏に盛んに生育するタイプです。多くは生育適温が20〜30°Cの範囲にあり、春と秋はゆっくり生育し、冬は休眠します。このため、春と秋は、水やり、肥料を少な目にする必要があります。シャープなフォルムの多肉植物はこの多肉タイプです。
人気の種類
チタノタ
直径30㎝~90㎝ほどの人気種。葉の縁の棘が特徴的。
暑さに強く強い光を好みます。冬は5℃以下にならないように管理します。
ホリダ
直径30㎝~60㎝ほどの中型の人気の品種。細く薄い葉と、葉の縁の鋸歯の色が特徴。
幼木では赤く成長するとアッシュグレーになります。暑さに強く、耐寒性は普通です。
ササノユキ(笹の雪)
別名ビクトリア・レジーナ(victoriae-reginae)直径30㎝~50㎝ほどで、笹に雪が積もったように見える葉が特徴。葉に黄色の覆輪が入っている笹の雪・黄覆輪など交配種も多数あります。
葉が密集しているので蒸れに注意が必要。耐寒性は普通なので、冬は室内管理がおすすめです。
アオノリュウゼツラン (青の竜舌蘭)
アメリカーナ(americana)の基本種で、直径2m以上にもなる大型種。耐暑性・耐寒性に優れて露地栽培も可能。
斑入りのアメリカーナはリュウゼツラン(竜舌蘭)と呼ばれていてます。
パラサナ
直径30㎝~80㎝。葉が重なりキャベツのように見えることから、別名「キャベツヘッドアガベ」とも呼ばれ、ブルーグレーの葉が魅力。耐暑性・耐寒性ともに強く、霜に当てなければ外での管理も可能。
ライジン(雷神)
直径1mほどに生長する中型種。葉は青みを帯びてロゼット状に成長します。
暖地であれば露地植えも可能な品種です。
パリー
メキシコ原産の直径30㎝から60㎝ほどに生長する品種。
青白い美しい葉がロゼット状に広がり、棘は黒色。和名は吉祥天。暑さ寒さに強い丈夫な品種で地植えに向いた品種です。
アガベの管理方法と水やり
置き場所
多肉植物は、もともとメキシコなど乾燥した地域に自生しているので、日当たりの良い風通しのよいところが大好きです。基本は冬以外はベランダや庭などの屋外で管理します。室内で育てる場合もなるべく窓辺など日の当たる場所で管理しましょう。日照不足になると、ひょろひょろと葉や茎が伸びる徒長をおこしやすくなります。
しかし真夏の直射日光に当てると葉焼けをおこすことがありますので、半日陰または遮光シートなどで遮光をしてあげます。また外に置くときは、夏は特にコンクリートの上に直接置くと熱が鉢に伝わって高温になるので、棚など一段高いところにおくのがおすすめです。
休眠期から生育期に屋外の日当たりに出す場合は、徐々にならしてください。窓辺で日に当ててから日中の日向に置くなどをしないと、葉焼けの原因ともなります。
冬はアガベは品種にもよりますが、耐寒性はそれほど弱くない品種が多いですが、気温が5℃以下になったら室内で管理します。暖地で、寒さに強い品種を外で管理する場合も、霜には当てないようにしましょう。
水やり
多肉植物は、生育期には、水をたっぷりジョウロで与え、休眠期には断水気味に育てるため葉水で与えます。多肉植物の水やりはメリハリが大切です。水をたっぷり与えた後は乾燥するまで与えないこと。水の与えすぎは多肉植物は根腐れの原因になるので気をつけましょう。
アガベの生育期の水やりは表面の土が乾いてからさらに4~5日たってから与えます。ジョウロで株の上から鉢底から水がでるまでたっぷり与えます。葉が密集している品種は、蒸れの心配があるので水差しなどで根元から与えます。
休眠期の冬は、寒さに弱い品種は断水がアガベは基本です。温度が5℃以下になったら室内に取り込んで管理している場合は、断水します。寒さに強い品種で屋外の最低温度が0℃程度で管理する場合には月に1~2度葉水を与えます。水の量は鉢の3分の1程度が湿る程度です。
水を与えないと、葉にしわがよることもありますが生育期には元に戻るので心配はいりません。
管理方法と水やりの季節ごとのスケジュール
- 春
冬の休眠期から覚めた3月頃から外にだし、日当たりの良い場所で管理しましょう。夜温度が5℃以下になるようなら室内に取り込んであげましょう。4月~6月は生育が旺盛の時、屋外の日向で管理します。
水やりは、屋外に出すようになったら葉水で土が3分の1程度湿る程度から水やりを開始します。4月からは生育期に入りますので鉢の土が完全に乾いたら、鉢底から水がでるまで与えます。
春は植え替えの適期です。小さな株は1年に1度は植え替えをしましょう。
- 夏
7月から9月は、真夏の直射日光は苦手ですので、葉焼けしないよう半日陰で管理しましょう。遮光ネットを使う場合は、遮光率20%程度のものを使います。日本の夏は多湿ですので、風通しの良い場所で株を蒸らさないように注意します。
水やりは春と同様に鉢の土が完全に乾いたら鉢底から水が出るまで与えます。時間は日中に水やりをすると株が蒸れる恐れがあるので、夕方に株を少し冷やしてあげます。
- 秋
気温が下がる9月下旬~10月までは、春と同様に屋外の日向で管理します。水やりも春・夏と同様に、鉢底から水がでるまで与えます。
春に植え替えを行わなかった場合は、植え替えの適期ですので早めに行いましょう。
- 冬冬越し
休眠期です。最低気温が5℃を下回るようになったら室内の、日当たりの良い場所で管理します。暖房の風が当たらない場所に置きます。暖かな昼間は、屋外で日に当ててあげるとより元気に育ちます。
水やりは室内で管理する場合は、断水します。寒さに強い品種で外で管理する場合は「葉水」を月に1度~2回ぐらいの頻度で行います。気温が上がる暖かい午前中に行いましょう。
その他 アガベの栽培で気をつけたいポイント
植え替え
購入した鉢がビニールポットであったり、自分の好みの鉢に代えたいときには、植え替えをします。また生育に合わせて、1~2年に一度は植え替えが必要です。アガベは成長が早いので小株なら1年に1度は植え替えをしましょう。
時期は、生育期初期の3月~5月。9月でも行えます。植え替えた後に生育する期間が長いと株が土に根付きやすいので失敗がすくなくなります。購入した時期が生育期以外で、植え替えを行いたい場合は、根を崩さず用土だけ追加して新しい鉢に植え替える鉢増し(手順2~3を行わない)をしましょう。植え替える用土は必ず新しい乾いた土を使いましょう。
- 植え替え用の多肉植物はは、土が乾いた状態のときに、鉢から外します。
- 下葉を整理します。枯れた葉や、色が変わっている下葉はピンセットなどで取り除き株元をすっきりさせることで、夏の蒸れもふせぐことができます。
- 根っこをほぐすように土を落とします。
- 根を半分から3分の2ほど切ります。腐った根は根元から切ります。
- 新しい鉢を用意して、底に鉢底ネットをいれます。
- 鉢の底に鉢底石を入れ、その上に緩効性粒上肥料を加えます。(なくても可。鉢底石を入れることで根腐れ防止になります)
- 苗を押さえながら、培養土いれて植え込みます。最後に割り箸などでつついて、根の周りに土が入るようにします。最後に鉢をトントンと叩いて隙間を入れて完成です。
- 水やりは植え付け後、7日~10日後に行います。その間は明るい日陰に置いておきましょう。
用土
一般の観葉植物では、鉢植えの場合は、赤玉土と鹿沼土を基本用土として、ピートモス、バーミキュライト、パーライトやココヤシチップといった改良用の土を基本用土にプラスして使います。
しかし、多肉植物は休眠を伴うものが多く、休眠中の多肉植物は、根もほとんど給水しないので、根腐れを防ぐために鉢土を完全に乾燥させる必要があります。アガベは乾燥した地域が原産地ですので一番重要なことは、通気性(水はけ)がよいこと、それとある程度の保水性があるものがよいでしょう。アガベは多肉植物の中での根も太いため、排出性のよい土がおすすめです。赤玉土4・軽石4・腐葉土1・くん炭1などの配合で、一般の草花より排出性を高めた配合にします。
市販の多肉用の培養土も便利です。アガベはより排出性が良いものがおすすめなので大粒のものがおすすめです。多肉植物の配合はどれが正解ということはありません、鉢の環境などに合わせて調整しましょう。多肉植物の土についての記事もありますので、興味のある方はお読みください。
多肉植物はは耕栽培や、土を用いず、ハイドロボールやゼオライトなどの保水性、吸水性のある培地を使ったハイドロカルチャーでも育てることができます。ハイドロカルチャーで育てる場合は、土からの植え替えとは多少異なり、土の根を終わらせて水で育てる根を発根してから植え替える必要があります。
多肉植物のハイドロカルチャーでの育て方に興味がある人は、こちらをお読みください。
肥料
多肉植物には、元肥は植え付け、植え替え時に行います。 植木鉢などで栽培する場合は、植え替え時に元肥をしっかりと施し、適期に追肥を行っていきます。追肥は3月〜5月・9月~10月の生育期は肥料が必要です。
- 液体肥料(液肥)の場合は、ラベルなどに記載されている希釈率から更に2倍程度に薄めて、月1〜3回のペースで施肥します。
- 固形肥料の場合は、ラベルなどに記載されている使用目安量の半分程度の量を、1ヶ月〜2ヶ月に1回程度施肥します(頻度は使う肥料のラベルの説明に合わせると良いでしょう)。
多肉植物の肥料についての記事もありますので、肥料について興味のある方は読んでみてください。
ふやし方
多肉植物は株分け、さし芽、葉ざし、根ざし、挿し木、胴切り、種まき(実生)でふやします。アガベは、株分けがおすすめです。少し上級者向けですが子株がなかなか育たない品種などは、株の中心から分ける縦割りをして子吹かせます。適期はいずれも3月から6月、または9月から10月です。
株分け
アガベは親株の周りに子株が付いて大きくなります。子株が小さいと成功率が下がるので、鉢が狭くなってきた植え替え時に、ある程度の大きさになった株を分けて増やすのがおすすめです。
- 株を鉢から抜いて、傷んだ下はを取り除き、弱った根や土を落とします。
- 手やナイフなどで株を切り分けて、1週間ほど明るい日陰で切り口を乾燥させたます。
- 鉢に、乾いた新しい用土に植え付けます。水やりは1週間ほどたってから与えましょう。
縦割り
子株が出来にくい品種は、株を縦に割って、その間から子株をこぶかせます。縦割りする株は健康な株であることが前提です。
- 鉢に植えた状態のまま、株の真ん中から消毒済みのカッターやナイフで真上から、株の中心に切り込みをいれます。株の付け根までいれましょう。
- 切り込んだ部分は、そのままにしておくと自然治癒してくっついてしまうので、間に石や、プラスチックの板などを挟んでおきます。
- 石を挟んだまま、半日陰で管理しましょう。石を挟んだところから新芽が1か月ほどででてきます。通常の管理にもどしてそのまま育てます。
- 新芽の横に子株がでてきます。子株が大きくなったら植え替えましょう。
その他の作業
下葉切り
アガベは下葉が枯れてくることがあります。枯れた下葉は取り除きましょう。手で取れないときには、消毒したカッターなどで、切り取りましょう。
病害虫
夏の高温多湿の時期に、 軟腐病・灰色カビ病等にかかりやすくなります。害虫(アブラムシ、カイガラムシ)の排せつ物につく菌によって引き起こされるすす病などにかかることもあります。予防としては、風通しの良い場所で育てる、また梅雨まえに、枯れたり色が変わっている下葉を取り除いておくのも効果があります。
カイガラムシ・ハダニ・アブラムシ・アザミウマ、ネジラミなどの害虫が発生する恐れがあります。それぞれの害虫によって対応は異なりますが、見つけたら早めに歯ブラシなどでこそげとるか、水流で取り除いてあげましょう。殺虫剤なども有効です。
害虫に対しての対策は、下記に詳しい記事がありますので発生して困っているときなどは参考にしてください。
まとめ
鋭い棘やそのワイルドでスタイリッシュな姿が人気のアガベですが品種も豊富で、フィラメントと呼ばエル葉の縁に繊維質の白い毛がくるくると巻いているものや、ペンキと呼ばれる葉の縁の白い筋が幾何学模様を生むもの、また様々な斑が入る品種などがあります。また花の開花は数十年に1度で、花が咲くと株が枯れてしまう品種がほとんどで、「センチュリープランツ」とも呼ばれています。
同じ多肉植物のアロエと見た目が似ていますが、異なる品種です。違いはいくつかありますが、アロエの葉は内部がゼラチン状になっており、アガベは繊維質な葉で平たいのが特徴的です。
アガベは多肉植物の中でも暑さ寒さに強い品種が多いので、置き場所と水やりを間違えなければ枯れにくく、品種も豊富でで植物を育てるのが初めての人にもおすすめです。
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