被覆肥料はその名の通り、膜に覆われた肥料で、肥料の効きをゆっくり長く効かせるために開発された肥料です。初心者からプロ農家まで幅広く使われています。
この記事では、「被覆肥料」の概要と特徴、他の肥料との違いや使い方、おすすめ商品を紹介します。
被覆肥料とは
「被覆肥料」とは、肥料の表面を被覆材で覆い、肥料の成分の効きをゆっくりにする(肥効の緩効化)肥料です。コーティング肥料とも呼ばれ、様々な国で実用化されています。
最初に開発されたのはアメリカと言われ、樹脂系、硫黄系の被膜で覆われたものでした。日本でも研究、開発され、多くの地域で使われています。肥料の効きを遅効化することで、施肥の労働力の軽減や土壌への環境負荷を軽減すること、また機能面でも色々と改良がなされていることから被覆肥料の生産は全世界で増加しています。水稲栽培や施設栽培などそれぞれの作物、作型に適する被覆肥料の開発により、今後もますます普及していくことが期待されています。
被覆肥料の種類
被覆肥料は主に被覆材の種類、原料の肥料の種類、溶出タイプによって分けられます。
活用のポイント
被覆肥料の特徴
被覆肥料の主な特徴は、
- 肥効が持続するため、追肥の回数を減らすことができる
- 溶出コントロールができ、持続期間が30〜360日と様々なパターンに合わせることができるため、作物に合わせた施肥コントロールを自動で行うことができる
- 肥効が緩やかなので、土壌中の肥料濃度を高めずに栽培することができる
になります。
肥料の溶出速度をコントロールする肥料に「IB肥料」があります。「IB肥料」については下記を参考にしてみてください。
活用の注意点
被覆肥料は様々な種類があり、肥料の溶出の仕方もそれぞれ異なります。このため、作物の生育ステージに合った被覆肥料を選ぶことが重要です。場合によってはどうしても追肥が必要になるケースもあります。事前に作物の成長に合うか確認するようにしましょう。
また、土中に肥料がある場合と、土中ではなく肥料の一部が外に出ている表面施肥の場合では、肥料の溶け出す量が異なってきます。外に出ている状態になると予定通りの溶出が起こらず、肥料の欠乏を招いてしまう危険性があります。マルチや培土、耕転することで肥料を出来るだけ露出しないようにしましょう。
被覆肥料のおすすめ商品
被覆肥料は、対象の作物や育て方によって様々な商品が開発、販売されています。ここではおすすめできる被覆肥料の商品を紹介します。
有機一発肥料 根菜用
じゃがいも、さつまいも、大根、ラディッシュといった根菜から、ニンジン、スイカ、メロン、スイートコーン、枝豆、さやいんげん、さやえんどうなどに使える元肥(基肥)に使える被覆肥料です。収穫まで追肥いらずで施肥作業を省力化することができます。
SUNBELLEX ネギ・たまねぎ・にんにくの肥料
有機肥料をコーティングした被覆肥料で、ネギ、玉ねぎ、にんにくにおすすめの肥料です。
被覆肥料の購入場所
店舗で購入する
上記で紹介した肥料は、一般的な大規模ホームセンターの農業資材コーナーでも販売されています。一部の商品はコメリなど、農業・園芸に特化したホームセンターにしかない場合があります。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。
まとめ
被覆肥料(コーティング肥料)は以上のように、施肥回数を減らしたり、土壌の施肥の濃度を一定に保ち、土壌を健全に保つなど、優れた効果を発揮します。
また、肥料成分が遅効によって作物にしっかり吸収されやすいため、河川や地下水への流亡を減らすことで環境負荷を軽減する効果もあります。
しかしながら近年、水田で使用されたプラスチック系の被膜が水面に浮上し、水田から河川や海洋等に流出して汚染になる問題を生じています。この場合は代かきをして丁寧に取り除く、また水田には分解される素材のものを選んでプラスチックタイプの被覆肥料を使わないなど、用途に適切な被覆肥料を選択して、環境に配慮した使用も心がけたいところですね。