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カルシウム肥料・石灰肥料化学肥料・化成肥料

硫酸カルシウム肥料の基本と特徴、使い方

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硫酸カルシウム肥料とは、石灰質肥料の一つで、りん酸液を生産する際に副産される石膏(りん酸石膏)を肥料にしたものです。水に溶けやすい硫酸カルシウムを主な成分とした肥料で、土壌酸度(pH)に対する影響も少ないです。

この記事では、硫酸カルシウム肥料の基本と特徴、使い方について解説します。

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硫酸カルシウム肥料とは

硫酸カルシウム肥料とは、石灰質肥料の一つで、りん酸液を生産する際に副産される石膏(りん酸石膏)を肥料にしたものです。水に溶けやすい硫酸カルシウムを主な成分とした肥料で、土壌酸度(pH)に対する影響も少ないです。

硫酸カルシウムの公定規格は、可溶性石灰、く溶性石灰又は水溶性石灰のいずれかについて1%以上と定められ、可溶性硫黄1%以上を保証するものもあります。

硫酸カルシウムを施用する目的は、以下の2つがあります。

  1. カルシウム分を補給する(→カルシウムの重要性)。
  2. 硫黄も同時に補給する。

このとき、硫酸カルシウムの最大のメリットは、硫酸カルシウム自体が弱酸性で土壌酸度(pH)に大きな影響を与えないということです。炭酸カルシウム(炭カル)や苦土石灰、生石灰、消石灰などの石灰質肥料は、生理的アルカリ性であるため、土壌酸度(pH)を高めてしまいます。

もちろん、酸性によった土壌酸度(pH)をアルカリ性側に矯正するときには、それらの石灰質肥料で矯正することが望まれますが、そうではないときには使いづらいです。

そのようなときに、「土壌酸度(pH)には極力影響を与えず、カルシウムを補給できる」硫酸カルシウム肥料は適していると言えるでしょう。また、微量要素である硫黄分も補給できます。

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硫酸根は残らないのか?

「硫酸系の肥料は、硫酸根が心配」と考える方もいるでしょう。事実、硫酸アンモニア(硫安)や硫酸カリウムは肥料として散布すると、窒素やカリウム分が吸収された後、硫酸根が残存します。

石灰質資材による塩害土壌の除塩効果 – 全農 営農・技術センター 肥料研究室 山下」によると、石膏(硫酸カルシウム)施用による硫酸根の土壌への残存は、施用した硫酸根の1%以下ということです。残存はわずかと言えるでしょう。

硫酸根の残存は、強い還元状態となったときに硫化水素が発生して、秋落ちにつながるとされています。そのリスクは限りなく低いということが言えるでしょう。

硫酸根とは

硫酸根とは、硫安などの副成分です。硫酸根は、作物に吸収されづらい成分です。そのため、硫酸根が含まれた肥料を多量に施肥すると土壌に蓄積されてしまいます。その結果、土壌酸度(pH)の低下をまねき、植物が健全に生育できない土壌になってしまいます。炭酸カルシウムなどによる酸度矯正も必要となってきます。

また、酸素の少ない還元状態であり、かつ汚泥などが溜まり有機酸が多く含まれる土壌(老朽化水田など)では、有機酸の水素イオンと結合し、有害なガス(硫化水素)を発生させることがあります。硫酸根が蓄積した土壌では、深耕や天地返しなどをして土壌の入れ替えを行ったりしなければならなくなります。

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硫酸カルシウムには除塩効果がある

硫酸カルシウムには、除塩効果があることが知られています。(石灰質資材による塩害土壌の除塩効果 – 全農 営農・技術センター 肥料研究室 山下

上記レポートでは、硫酸カルシウムや消石灰、炭酸カルシウム(炭カル)、ケイ酸カルシウム(ケイカル)などの石灰資材による除塩効果を比較した結果が掲載されており、硫酸カルシウムが最も除塩効果があったことが報告されています。

但し、石膏を施用して除塩すると、土壌中の交換性苦土(マグネシウム)が低下するので、土壌診断を行い、適切な施肥計画を立てることが重要です。

硫酸カルシウム肥料の特徴

硫酸カルシウム肥料には、以下のような特徴があります。

  • 炭酸カルシウム(炭カル)の100倍以上の溶解度があり、土壌溶液に溶けやすいです。そのため、下層土へのカルシウムの移行も促され、下層の根の伸長を促進します。
  • 炭酸カルシウム(炭カル)や苦土石灰、生石灰、消石灰などの石灰質肥料とは異なり、土壌酸度(pH)を上昇させずにカルシウム分を補給することができます。
  • 基本的に硫黄が含まれており、同時に補給することで作物の生長を助けます。
  • 粒状となっているものも多く、機械散布もしやすい資材です。
  • 土壌がストレス状態(乾燥や塩基バランスの崩れなど)の場合であっても、硫酸カルシウムは土壌溶液に溶けるため、作物が吸収しやすく、施用効果が高いことも優れた点です。

硫酸カルシウム肥料の使い方

硫酸カルシウムは、畑作物、水稲どちらにも施用されます。元肥(基肥)、追肥とちらの目的でも施用することができます。基本的には土作りのときに土壌混和する事が多いと思います。

また、消石灰や生石灰のように土壌をアルカリ性に傾けることがなく、アルカリ性土壌が苦手な作物やすでにアルカリ性土壌に傾いている土壌に対しても使いやすい肥料です。

水稲栽培でも硫酸カルシウムが使用される場面があります。特に硫黄欠乏がみられる水田にて硫酸カルシウムを施用することで、硫黄を供給することができます(水稲の硫黄欠乏について – 広島県)。

しかし、水稲栽培で重要なケイ酸を同時に補給できる「ケイ酸カルシウム」の施用も検討する必要があります。

硫酸カルシウムの主な製品

硫酸カルシウム系の製品には、主に以下のものがあります(肥料分類としては、化成肥料特殊肥料など硫酸カルシウム以外のものも含まれます)。

カルシウムの重要性

先述したとおり、カルシウムは植物にとって重要な中量要素(二次要素)の一つです。

カルシウム成分は栽培において、以下の働きがあります。

  • ペクチンという多糖類と結合し、細胞膜を丈夫にして病害虫に対する抵抗力をつける働き
  • 根の生育を促進する働き
  • 植物体内でできる過剰な老廃物(有機酸)を中和する働き
  • 土壌酸度(pH)の調整剤としての働き

カルシウムが不足(欠乏)すると、生長の盛んな新芽や根の生育が悪くなります。カルシウムは植物体内での移動がほとんどありませんので、新芽に症状があらわれやすいのが特徴です。

また、カルシウム欠乏症は単に土壌中のカルシウム成分が不足している場合だけでなく、土壌の酸性化、乾燥、窒素過多など養分バランス(塩基バランス)の崩れが原因の場合も多くあります。カルシウム成分を与えているにも関わらず、カルシウム欠乏が発生する場合には、土壌の水不足や養分バランス(塩基バランス)にも気を使ってみてください。

代表的なカルシウム欠乏症(石灰欠乏症)には、トマトのしり腐れ果、ハクサイの心腐れ・縁腐れ、レタス、イチゴのチップバーン、ネギ、ユリの葉先枯れ、サトイモの芽つぶれなどがあります。肥料のラベルなどには元素記号で「Ca」と表される事が多いです。

カルシウム過剰は、通常の栽培では起きにくいことですが、極端に過剰な状態が続くと土壌がアルカリ性となり、生育不良を引き起こします。特に、土壌酸度(pH)が高くなるとマンガン、亜鉛、鉄、ホウ素などの微量要素の吸収が阻害され、欠乏症状を引き起こします。

土壌を適正な環境に整え、適量を必要なときに与え続けることが重要となります。

硫黄の重要性

硫黄は、酸化・還元・生長の調整などの植物の生理作用や葉緑素(葉にある光合成を担う葉緑体に含まれる)の生成に関与する要素です。そこまで多くの量は必要ありませんが、必須の要素です。

植物にとって、硫黄は植物体を構成するいくつかのタンパク質の構成成分のひとつです。

硫酸カルシウム肥料の購入場所

家庭菜園等で使用する肥料は、ホームセンター、インターネットなどで購入可能です(但し、購入するハードルはかなり高いです)。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。プロ農家の方は、JAや資材店等に相談すると良いでしょう。

肥料を購入できる場所
  • JAなどの農業資材店
  • ホームセンター
    • コメリ
    • カインズ
    • コーナン
    • etc
  • インターネット
    • Amazon
    • 楽天市場
    • ヤフーショッピング
    • etc
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