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米ぬか肥料

米ぬかを肥料としてそのまま使えるか

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米ぬかの画像です。 米ぬか肥料

米ぬかは、精米するときに玄米の表面が削られて粉状になったものを指します。精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用できます。

米ぬかは、畑の肥料として使えることが知られていますが、そのまま散布して良いものなのでしょうか?

この記事では、米ぬかをそのまま肥料として使うときの基本と注意点をご紹介します。

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米ぬかとは

米ぬかの画像です。
米ぬかの画像

米ぬかは、精米するときに玄米の表面が削られて粉状になったものを指します。精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用できます。リン酸が多く含まれ、糖分やタンパク質も含まれているため、有用な土壌微生物の働きを活性化させる効果もあります。

米ぬかは脂質を多く含み、有機物に含まれる炭素(C)含有率(%)と窒素(N)含有率(%)の比を表すC/N比(炭素率)が高いため、土壌中での分解が相対的に遅いので、そのまま使用するよりもぼかし肥料の原材料として使用するのが一般的かと思います。

米ぬかはコイン精米機やJAのライスセンターでもらえることもありますし、資材として販売されていることもあります。

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米ぬかはそのまま使える。しかし、注意が必要。

一番手軽に利用する方法として、そのまま散布する方法があります。畑に散布し土壌と混ぜ物理性、生物性を改善したり、水田に流し込み散布するなど用途も様々です。

しかし、畑や果樹園などで使用するときには注意が必要です。発酵していない米ぬかは、土にそのまま散布したところですぐには肥料の効果が現れません。それだけではなく、逆に土や植物の状態を悪化させてしまう原因となってしまうこともあります。

下記注意点に留意しながら、その特性を理解した上で使用するべきでしょう。使用するとしても土作り時の元肥として土壌に混ぜ込み、1ヶ月以上経ってから、植物の苗の植え付けや播種をする必要があるでしょう(但し除草や病害虫防除の用途で使用する場合など、考え方が異なる場合があります)。

注意点1:微生物急増による窒素飢餓が発生しやすくなる

微生物は、土壌中の炭素を分解するために窒素を吸収します。微生物が急激に増えると、土壌中の窒素が急激に吸収されてしまい、窒素が不足する状態となってしまいます。これがいわゆる「窒素飢餓」と呼ばれます。

窒素飢餓が起こると、作物の生育不良に直結します。そのため、生の米ぬかや未熟な堆肥などC/N比(炭素率)が高い有機物を施用するときには注意が必要です。

注意点2:炭酸ガスが発生しやすくなる

微生物が活動する(有機物の分解が進む)と、炭素は二酸化炭素(炭酸ガス)となって放出され、窒素は微生物に取り込まれます。そのため、生のまま土壌へ施用した場合は、土壌中で短時間に分解され、炭酸ガスの急激な発生によってガスが充満する現象がおきます。

その結果、土壌中が酸欠状態となり、種子の発芽や作物の根の生長に大きな影響を与えてしまうことがあります。

編集さん
編集さん

種子が発芽するためには、一般的に多量の酸素が必要です。

また逆に、C/N比(炭素率)が低い未熟の堆肥やぼかし肥料などを使う場合も注意が必要です。

微生物が炭素を分解するに従い、余分な窒素をアンモニアガスとして放出します。このアンモニアガスの発生によって、作物に障害が出ることがあります。

注意点3:発酵熱によって根が傷み、植物が弱る

微生物が活動し、有機物の分解が進むと、熱が発生します(発酵熱)。通常であれば、問題となることはありませんが、急激に分解、発酵が進むと、熱によって根が痛む場合もあります。

注意点4:害虫などの虫が寄ってくる

生の米ぬかには、糖質やたんぱく質が含まれています。タネバエ、コバエやゴキブリなどの害虫を引き寄せる場合も多く、これらがたくさん集まると、他の害虫、害獣類も集まりやすくなってしまいます。

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そのまま散布するときの米ぬかの種類と特徴

米ぬかにも種類があり、大きく2つに分けることができます。

  1. 生米ぬか
  2. 脱脂米ぬか(脱脂ぬか、米ぬか油かすと呼ばれることもあります)

生米ぬかは、いわゆる一般的な米ぬかのことを指します。生の米ぬかは、脂質を多く含み,炭素に対する窒素の含有率比、C/N比(炭素率)が高いため、土壌中での分解が遅いです。また、油分が多いため、保存性が悪いです。

脱脂米ぬかは、生米ぬかを蒸熱して搾油することで、それらを取り除いたものとなります。主に飼料として使われますが、肥料として使われることもあります。油脂が取り除かれた分、生米ぬかよりは分解が速く進みます。

これらのことから、米ぬかをそのまま散布するときには脱脂米ぬかのほうが扱いやすいかもしれません。もちろん、生米ぬかも使用することができますが、施肥のタイミングや方法をよく検討する事が必要でしょう。

病害虫防除、除草目的で米ぬかをそのまま散布する

米ぬかは、肥料としてだけではなく、病害虫防除、除草目的でも使用することができます。使用される主な場面には以下の3つがあります。

  1. 水田の水生雑草を抑制。
  2. ジャガイモそうか病の抑制。
  3. 施設栽培(ハウス栽培)にて、米ぬか表面施用をすることで、灰色かび病を抑制。

特にジャガイモのそうか病抑制効果は注目されています。

いくつかの有機物資材について、ジャガイモのそうか病の病害軽減・防除の可能性を検討したところ、種いもの作付け直前に生米ぬかを全層施用(200〜300kg/10a)することで、そうか病軽減の効果が得られることがわかったそうです(出典:Rice Bran Amendment Suppresses Potato Common Scab by Increasing Antagonistic Bacterial Community Levels in the Rhizosphere – Tsuyoshi Tomihamaら)。

また、脱脂米ぬか(脱脂ぬか)も生米ぬか同様、そうか病を軽減する効果があると明らかになってきています。

そうか病予防を狙った施用の場合は、可能な限り種イモの播種直前に米ぬかを施用すると良いとされています。北海道地域など雪が降る地域は、降雪前の秋に散布、もしくは雪中散布することが多いですが、そうか病の効果をより高めるためには散布の時期を気にかける必要があります。

なぜ米ぬかの散布がそうか病に効くのか

難しい説明は省きますが、主に以下の3点の作用によって、そうか病が抑制できているのではないかと考えられています。その中でも1番目の作用が最も大きい要因ではないかとされています。

  1. 米ぬかによって土壌の有用微生物が増殖し、そうか病菌の増殖を抑制している可能性
  2. 米ぬかの成分が直接そうか病菌の増殖を抑制している可能性
  3. 米ぬかの成分がジャガイモの抵抗性を強化している可能性
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