マーガレットは、キク科 モクシュンギク属(アルギランセマム属)の多年草で、和名をモクシュンギク(木春菊)といいます。原産地は、スペインのカナリア諸島で草丈は品種により30㎝から1mほどになる常緑低木です。一株にたくさんの花を咲かせ、秋から春まで長く咲くことからガーデニングに大変人気があります。
園芸初心者でも育てやすく、花期も長いことから人気のマーガレットですが、いざ栽培をしようと思うとどのように育てていいか、どのような肥料をやればいいのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、そもそも肥料は植物、草花にどんな影響を及ぼすのか、基本的な知識をもとに、マーガレットきれいな花を咲かすためにはどんな栄養素が必要なのか、またどんな時にどんな肥料が有効なのか、初心者の方でもわかりやすく説明します。
そもそも植物に必要な養分って?植物が必要な養分に関するおさらい
植物が育つためにはチッソ(窒素)、リンサン(リン酸)、カリウム(加里)の三要素のほか、マグネシウムやカルシウム(石灰肥料が有名)などの「二次要素(中量要素)」、さらに鉄、マンガン、ホウ素をはじめとした「微量要素」が必要です。
チッソ(窒素)は、葉や茎などの成長に欠かせず、植物の体を大きくするため、「葉肥(はごえ)」と言われます。
リンサン(リン酸)は、開花・結実を促し、花色、葉色、蕾や実に関係するため、実肥(みごえ)と言われます。
カリウム(加里)は、葉で作られた炭水化物を根に送り、根の発育を促すほか、植物体を丈夫にし、抵抗力を高めるため、根肥(ねごえ)と呼ばれています。不足すると根・植物が弱ります。
肥料の箱や袋などに記載されているN-P-Kの表示は窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)を指しています。その他、肥料についてより詳しいことは、下の記事を参考にしてみてください。
マーガレットの肥料は、植物を栽培するという点で、野菜や果樹などの栽培に使うものと基本的には同じで問題ありません。花だから特別な肥料を使うということはありません。プランターや植木鉢などの鉢植え栽培で使用できるものであれば問題なく使用することができます。
色々あって複雑ですが、最初は葉や茎活力を与えたいときは窒素(チッソ)多めの肥料を、花を咲かしたい、実の成長を促したいというときはリン酸多めの肥料を施すというイメージでやってみましょう。
花用の肥料は、綺麗な花を咲かせるためにリン酸が多いことが多いです。
マーガレットに使える肥料は、どんな種類があるの?
作物・植物の栽培における肥料の種類は、大きく以下のとおりに分けることができます。
肥料はその物質の有機、無機によって、「有機肥料(有機質肥料)」「化学肥料(≒無機質肥料、化成肥料は化学肥料に属します)」の2つに分けることができ、形状によって、「固形肥料」と「液体肥料(液肥)」があります。
「化学肥料」とは、化学的に合成しあるいは天然産の原料を化学的に加工して作った肥料です。「有機肥料(有機質肥料)」とは、「油粕や米ぬか、腐葉土など植物性の有機物」「鶏糞(鶏ふん)、牛糞(牛ふん)、馬糞や魚粉、骨粉などの動物性の有機物」を原料にして作られたものです。堆肥も、家畜の糞や落ち葉などの有機物を微生物によって分解・発酵したもので、有機肥料となります。有機肥料は、用土(培土)を養分を補うだけではなく、物理性の改善(ふかふかにする)にも役立ちます。
肥料を与えるタイミング 元肥と追肥
用土に肥料を与えるタイミングによって、肥料の呼び名が変わります。具体的には、「元肥」と「追肥」があります。
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
苗の植え付け後(定植後)、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。追肥を施す時期が遅れたりすると、植物の生育期に葉の色が薄くなったり、花が小さくなったりして最悪の場合、枯れてしまいます。特に窒素、カリウムは消費されるのが早いので適切な時期に追肥が必要です。
大きな植木鉢で用土を使う場合は、植え付け時や植え替え時に緩効性の化学肥料や臭いの少ない有機肥料を元肥として十分に施し、その後生育を見ながら液体もしくは固形の化成肥料を追肥として施していくと良いでしょう。
マーガレットに対する肥料のやる時期と頻度
それではマーガレットの肥料はいつ、どれぐらいあげればいいのでしょうか。下記にマーガレットの一般的な肥料をやる時期と頻度について、基本的な考え方を説明します。
- 春
生育期です。緩効性肥料を置き肥するか、液体肥料を7日から10日に一度追肥します。春は植え付けの時期でもあります。植えつけをする際には、用土には元肥として緩効性肥料を施します。
- 夏
夏はマーガレットは生育が弱まるため、肥料は与えません。夏の直射日光は苦手です。日陰に置くか、遮光ネットなどを使い日が直接あたらないようにします。
また高温多湿が苦手なため、梅雨に雨ざらしにしないようにします。
- 秋
生育期です。春と同様に緩効性肥料を置き肥するか、液体肥料を7日から10日に一度追肥します。植え替え、植え付けの時期でもあります。用土には元肥として緩効性肥料を施します。
- 冬
開花時期です。11月~4月頃までの気温が低い時期の肥料は、液体肥料を2~3週間に1回程度追肥します。
霜に当たると枯れてしまいます。屋内に取り込むか、藁やウッドチップなどを使いマルチングをして冬越しをします。
元肥・追肥に使えるおすすめの固形肥料 4選!
固形肥料は、液体肥料(液肥)と比べ、緩効性・遅効性の肥料が多くなります。植え付け時、植え替え時の元肥として使用できます。また、観葉植物の生育が始まる春先から、用土の上に置けば2ヶ月以上効果が持続する追肥として使用できる肥料もあります。効果的な使い方ができるマーガレットにおすすめの固形肥料をご紹介します。
ハイポネックス マグァンプK
ハイポネックスジャパンが販売する元肥用の定番の粒状肥料です。「チッソ・リンサン・カリ」植物の生育に必要な三要素は勿論、マグネシウムやアンモニウムなどの二次要素・微量要素もしっかりと配合されていて、元肥に申し分ありません。土にしっかり混ぜて、大粒で約2年、中粒で約1年、生長効果が持続します。マグァンプK 小粒は追肥に有効です。
肥料焼けも起こしにくく、元肥としてとても扱いやすい肥料です。N-P-K-Mg=6-40-6-15でリン酸成分が多いので花を咲かせる前の秋の緩効性の追肥としても土面に撒いて使用できます。観葉植物の元肥して使用する場合は、中粒がおすすめです。
また、追肥としては肥効が約2ヶ月続く、マグァンプ(マグアンプ)K 小粒がおすすめです。
マイガーデン植物全般用
マイガーデンは、住友化学園芸の登録商標で、様々な草花・庭木・果樹の元肥や追肥に使うことができます。
栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得しており、植物が肥料を吸収しやすくする働きや、土壌の保水性、通気性を高めるなど、土に活力を与える作用がある腐植酸をブレンドしています。
また、肥料成分は樹脂コーディングし、土壌の温度変化や植物の生育にあわせて溶けだす量が調節され、効き目が持続するリリースコントロールテクノロジーを採用しており、樹脂コーディングのため、肥料が直接根に触れても肥料やけしないのが特長です。元肥、追肥両方に使用可能です。こちらは粒状の製品ですが、液体タイプ(液肥)のマイガーデンもあります。
マイガーデンの肥料は他にも種類がありますよ!
花ごころ まくだけ!花と野菜の肥料
非常にメジャーな、どんな草花・野菜にも使える緩効性の肥料です。 天然腐植に吸着された肥料成分が、少しずつ溶け出すため、根を傷めません。チッソ・リンサン・カリの三大要素を均一にバランスよく配合しています。腐植が土壌の団粒化を促すので、土壌改良にも役立ちます。
花ごころ グリーンそだちEX IBのチカラ
花ごころの「IBのチカラ グリーンそだちEX」は、花にも野菜にも使用できる肥料です。N-P-K=10-10-10であり、バランス良く配合されています。花ごころは、バラや花に効く肥料を中心に様々な商品を販売しています。
IBとは、イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)を配合した肥料のことで、とてもゆっくり溶け、流れ出るため植物の根に優しく、肥料成分が無駄なく吸収される特性があります。
本製品は無臭で、花付きをよくするリンサン成分など、3つの成分をバランスよく配合した肥料です。マーガレットは勿論ながら、ほとんどの植物にお使いいただけます。
マーガレットにおすすめの液体肥料(液肥) 3選!
液体肥料とは?
液体肥料とは、液肥(えきひ)とも呼ばれ、液状になった液体の肥料のことを言います。液体肥料は、用土に混ぜ込んで元肥として使用することはほとんどなく、追肥として使用することを主としています。液体肥料には
- そのまま希釈せずに使用するタイプ(ストレートタイプ)
- 定められた希釈率で液肥を薄めるタイプ
の2タイプがありますので、その製品の使い方をよく読みましょう。希釈した液体肥料は土壌に散布します。
また、液体肥料は速効性(効き目がすぐに出やすい)タイプのものが多いため、前述したとおり追肥としての使用がおすすめです。
液体肥料の商品は多くありますが、追肥に適している液体肥料のおすすめを紹介します。
ハイポネックス原液
液体肥料(液肥)国内トップシェアを誇るハイポネックスの定番液体肥料です。ハイポネックス原液は、「三大要素(窒素、リン酸、 カリ)」の他、マグネシウムやカルシウムなどの「二次要素(多量要素)」、さらに鉄をはじめとした「微量要素」を含む15種類の栄養素を最適のバランスで配合された液体肥料(液肥)で、水で薄めて使います。
他のハイポネックス商品もガーデニング初心者にとって扱いやすいので、興味ある方は下記も是非一読ください(アブラムシやヨトウムシなどの病害虫の予防・駆除という農薬的要素も入っている肥料や、芝生など作物に特化した肥料、希釈しないでそのままの濃度で使える肥料もあります)。
マイガーデン 液体肥料
当製品は、先ほど紹介したマイガーデン植物全般用の効果に加えて、モイスト成分と呼ばれる土の潤い・活力が増す作用があり、保水力と保肥力が高まります。このため、用土に取り入れることで肥料が効果的に染み渡るとともに、暑い夏の水管理に効果を発揮します。液体肥料(液肥)なので速効性が期待でき、追肥用としておすすめの商品です。
バイオゴールドオリジナル
こちらは有機肥料でありながら、即効性があり追肥に向いている珍しいタイプの肥料です。生育に必要な三要素(チッソ・リンサン・カリ)はもちろんカルシウム・マグネシウムをはじめ豊富な天然のミネラル類がたっぷりと、バランス良く含まれています。
有機肥料は臭いが伴うものが多いですが、こちらの商品は施肥後の臭いも気にならず、粒状ですが、ばらまいて使用する他に、水に溶かして液肥として使うこともできますし、肥料焼けも起こりにくいという利点もあります。初めて有機肥料を使用してみたいと思われる方には、試していただきたい商品です。
防ぎたい!肥料にまつわるトラブルあれこれ
肥料のやりすぎ
一般的には、花に家庭菜園のようなペースで肥料をやると、やりすぎになってしまい、窒素過多になるとつるぼけし、また肥料焼けを起こします。肥料やけを起こすと、植物が弱々しくなり、最悪枯れてしまいます。肥料のやり過ぎにはくれぐれも注意してください。
同じく、水をやりすぎて根が腐って草花を枯らしてしまったり、根詰まり、またカビが生えたりしてしまうことがあります。水はけが悪い用土や、水が常に鉢などの容器に満たされた状態で風通しの悪い所に放置すると起こりやすいため、下記のことを心がけて育ててください。
- 水切れして、土の表面が乾いてから水を与えるようにする
- 風通し、日当たりの良い場所に植物を置くようにする
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
その他 マーガレットの栽培で気をつけたいポイント
害虫や病気に気をつけましょう
マーガレットに限ったことではないですが、植物はハダニやアブラムシ、カイガラムシ、ナメクジ、ハマキムシの幼虫、ネコブセンチュウが発生して寄生しやすいです。野外であればある程、発生し易いといえます。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
また、株が密集して蒸れると立枯病などに係る場合があります。予防には、湿気の少ない風とおしの良い場所に置いてあげましょう。
特にマーガレットは、若い葉にアブラムシが冬の室内でもつきやすいので、気をつけて観察してください。液体肥料と同時にアブラムシの駆除もできる、「ハイポネックス原液殺虫剤入り」もおすすめです。
多く発生している場合は、殺虫殺菌スプレーの「ベニカ」シリーズで害虫退治するのがおすすめです。(ホームセンターのガーデニング・園芸、ガーデニンググッズコーナーによく置かれています)
夏越し・冬越し
マーガレットは通常は生育期の春~秋は、屋外の日当たりの良い場所で管理します。しかし暑さ寒さに強くないため、それぞれ対策が必要です。
夏越しは、太陽が好きなマーガレットですが、夏は直射日光に当てず、日陰の涼しい場所で管理しましょう。西日にも当たらないように注意が必要です。また過湿も苦手なため、夏の水やりは控えめに、花びらには水をかけずに株元に与えます。
冬越しは鉢植えの場合は、11月~4月までは室内の日当たりの良い場所で管理しましょう。霜の降らない暖地であれば庭植えでも冬越しは可能です。耐寒性はそれほど弱くはないですが、霜に当たると枯れてしまいます。寒風のあたらない場所を選び、マルチングをしたり、不織布シートなどで霜対策をしましょう。
植え替え
マーガレットは根が張って、根詰まりをおこしやすいので鉢植えの場合は、1年に一度植え替えをします。時期は生育期の春か秋に行います。鉢から株を取り出し、土をほぐして落とします。根を3分の1ほど切り詰めて、一回り大きな鉢に新しい用土に植え付けます。
用土は一般の草木用の培養土が元肥もはいっているので便利です。マーガレットは水はけのよい土を好み、酸性を嫌うので、土壌酸度(pH)が未調整の場合は、苦土石灰を混ぜて酸度を中和しましょう。
剪定・切り戻し
花つきが悪い場合や、枝が生長して伸びすぎた場合は切り戻しを行いましょう。適期は春か秋。茎を半分程度に切ります。茎が木質化している部分を切り取ると弱るので、茎の部分を切りましょう。春に切り戻せば梅雨から夏の蒸れ防止にもなります。また切りとった茎は、挿し木として増やすこともできます。
また次々と花が咲くマーガレットは開花が終わったら、花茎から切り取りとりましょう。
まとめ
日本では昔から、庭の花壇やプランターの寄せ植えとしても人気があるマーガレット。
花色は白色のイメージが強いですが、品種によりピンク・赤・オレンジ・黄色とカラフルで、咲き方も一重咲き、八重咲き、ポンポン咲きなどさまざまあります。秋になると花芽のついた苗も出回ります。秋に花つきで売られている苗は、温室で育てられたものが多いので寒さに弱いので、徐々に寒さにならせると長く花がついて丈夫に育ちます。
ぜひホームセンターや園芸店でも手軽に手にいれられるマーガレット。ぜひお気に入りの品種を見つけて、かわいらしい花を咲かせてみてください。
本記事で紹介した肥料は、サンアンドホープやトヨチューなどのネットショプ、ホームプラザナフコやコーナンなどお近くのホームセンターの園芸・ガーデニングコーナーで購入することもできます。
植物別のおすすめ肥料
農家webには、植物別におすすめの肥料をまとめている記事がたくさんあります。
ガーデニング植物におすすめの肥料
観葉植物におすすめの肥料
多肉植物におすすめの肥料
サボテンにおすすめの肥料
バラにおすすめの肥料
バラ向けの肥料は数多くあります。しっかり根や茎を丈夫にしたい、花を美しく咲かせたい、等用途によって上手く使い分けたいですね。バラの肥料については、下記をご参考ください。
紫陽花(アジサイ)におすすめの肥料
紫陽花(アジサイ)は、樹高1~2mの落葉低木です。基本的には上記でおすすめした肥料であれば間違いはありません。しっかりと元肥を土中に施肥し、花が咲く開花期の6~7月に肥料を切らさないように、追肥を行ってください。
洋ランにおすすめの肥料
胡蝶蘭におすすめの肥料
胡蝶蘭は、特に肥料の与える時期は要注意で、「生育期」といわれる春から秋ごろ(気温でいうと15°C以上が目安)に与えるようにしてください。
沈丁花(ジンチョウゲ)におすすめの肥料
沈丁花(ジンチョウゲ)は3月前後に花を咲かす、日本古来から愛されている花で庭によく植えられます。特に肥料を与えなくても毎年花は咲かせることはできますが、花を咲かした後、また株が生長する9月、また冬の時期に、元肥に使う緩効性肥料を少量与えることで、花を毎年しっかりと咲かせることができます。
睡蓮(スイレン)におすすめの肥料
その他
その他にも植物ごとにおすすめの肥料を掲載した記事がありますので、検索欄に植物名を入れて検索してみてください。
検索欄は、「右のサイドバー」もしくは「サイドバーメニュー」にありますよ!
球根系から播種系、アサガオやシクラメン、クレマチス、朝顔、ひまわり、チューリップ、ハーブ、多肉植物など様々な植物のおすすめ記事があります。