球根の水栽培の代表的な植物といえばヒヤシンスです。栽培が簡単で失敗も少ないので、初心者の人にもおすすめです。ここではヒヤシンスの水耕栽培(水栽培)での始め方、ハイドロカルチャーへの植え替え、水耕栽培での育て方についてわかりやすく説明します。
ヒヤシンスの水栽培の手順
芽の出ていない球根を使った水栽培の手順を紹介します。芽の出ている球根から始める場合は、花芽がでてから、根を傷つけないようポットから出し、苗から土を落とし水洗したものを使います。花芽が出る前は、ポットから引き抜く時に傷がつきやすく花が咲かない場合があります。ヒヤシンスは丈夫なので多少、根が切れても大丈夫です。
水栽培を始める時期
ヒヤシンスの球根は、8月頃から出回りますが、水栽培を始める適期は、土より少し遅めの11月から~12月頃がよいでしょう。早めに買った球根は、日の当たらない風通しの良い戸外で管理しておくとよいでしょう。
またすでに芽がでている球根(芽出し球根)から、水栽培に移行することも可能です。その場合は1月頃から芽出し球根が出回るので、手に入れたらすぐに水栽培が始められます。
必要なもの
- ヒヤシンスの球根(大ぶりで重みのある球根がおすすめ)
- 水耕栽培用の器(根が見えるようにガラスなどがおすすめ。球根が支えられる形のもの。花瓶などでも代用が可能です)
- 水
- 段ボールの箱(器を包んで暗くするものなら、黒い筒や袋などでもOK)
手順
- ふっくらして大きな球根を使います、カビなどが生えていないか確認します。
- 器に水を入れる
- 球根を尖ったほうを上にして、2の器にセットする。水位は、球根の底がわずかに水にぬれる程度に調整する
- ガラスの器は、光を通すため土と同じ状況を作るために、根が十分に伸びるまで、(1か月~1か月半程度)段ボールを被せたり、黒い筒上のものを被せたりして暗くします。
- 球根は寒さに当てないと、花芽が伸びません。戸外や軒下など寒い場所で管理します。2~3か月程度たったら暖かい室内へ移動することで、美しい花が咲きます。
- 水は1週間に1度は替えましょう。水が濁っている場合はすぐに換えます。根が伸びたら水位を下げ、球根の根元が空気に触れるようにすることが重要です。
ヒヤシンスのハイドロカルチャーへの植えつけ方法
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります
ハイドロカルチャーでの植え付けの方法を説明します。芽の出てない球根の植えつけのほか、芽出し球根の植え替えもできます。
準備するもの
- ヒヤシンスの球根
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- この他、水やりをするじょうろ、水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- ヒヤシンスの球根をハイドロボールの上に置き、さらに球根が見えなくなるまでハイドロボールを上からいれます。
- 球根と容器の間に隙間がないように、割り箸等でハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりをします。
- 水位は、球根の底が水につく程度。発根したら、水位を下げます。
ヒヤシンスの水栽培での育て方
ヒヤシンスの基礎知識
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
球根には、生育時期の違いにより「秋植え(春咲き)」、「春植え(夏咲き)」「夏植え(秋咲き)」の3つに分けられます。ヒヤシンスは「秋植え(春咲き)」です。
存在感のあるボリュームのある花は、甘くさわやかな芳香を持ちます。ギリシャ神話にも登場し、古くから世界で愛されています。オランダで主に品質改良がおこなわれ、ダッチヒヤシンスとも呼ばれます。花色は、紫以外にも白、赤、ピンクなど豊富で、花型も一重咲きの他八重咲きもあります。
地植え、鉢植え、水栽培での栽培が可能です。耐寒性が強く、雪の降る場所でも地植えも可能です。球根の内部にたっぷりと養分を蓄えているので、肥料がなくとも花が咲き、球根の中でも特に水耕栽培に向いている植物です。
学名 | Hyacinthus orientalis |
属名 | キジカクシ科(クサスギカズラ科) ヒアシンス属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
樹高 | 20㎝~30㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 強い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「スポーツ」「ゲーム」「遊び」「悲しみを超えた愛」 |
置き場所、日当たり
ヒヤシンスの球根は、発芽するまでは寒い場所で、光を当てずに育てます。発芽をしたら日によく当てて育てるのがヒヤシンスの基本ですが、水栽培の場合、直射日光は容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けた方がよいでしょう。
理想的なのは植え付け後3カ月程度は、屋外と同じ温度で管理すると花茎が良く伸びます。明るい日陰の屋外や北向きの部屋などで管理しましょう。花芽が伸びたら、日当たりの良い暖かい場所に移動させまることで、美しい花を咲かせます。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。
理想的な水栽培の水位は、発根するまでは、球根の底に水が触れる程度、発根したら根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水の交換は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いため、水のやりすぎに注意します。
水位は、水だけで育てている時と基本は同じです。根するまでは、球根の底に水が触れる程度、発根したら根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
肥料
ヒヤシンスの球根の水栽培の場合、肥料は基本的には必要がありません。肥料がなくても球根に蓄えた栄養を使って美しい花を咲かせることができます。肥料を使いたい場合には、水栽培用の肥料を使うか、活力剤もおすすめです。球根には「ハイポネックス キュート cute」が使えます。うすめずそのまま鉢の中の水にひと押しするだけなので簡単です。ヒヤシンスには、芽が出た後に水の交換と一緒にあげるとよいでしょう。
ヒヤシンスの花が咲いた後について(球根の養生)
水栽培の球根は、球根の中にある養分を使いきってしまうので、1年で使い切りというのが一般的です。しかし土に植え替えることで翌年も花を咲かせる可能性があります。
- 花がしおれてきたら、花茎をカットする
- 植木鉢に培養土を半分ほどいれ、球根を根を広げておきます。その上から球根が見えなくなるまで、土を入れて固定します。
- 鉢から水がでるまで水やりをし、日当たりの良い屋外で管理します。
- 肥料は固形肥料を1か月に1度与えるか、液体肥料(液肥)を10日に1度与えます。(水栽培と土の肥料は異なります。土用の肥料を使いましょう)
- 5月~6月に、葉が黄色くなったら休眠状態に入る合図です。水やりをやめて、日陰の雨のあたらない場所で休眠させます。
- 秋になったら、再び水やりをしましょう。半日陰から日向に移動させて育てます。
ヒヤシンスが発根しない、花茎が伸びないときは
1カ月以上たっても、発根しないのは根元が腐ってしまった可能性があります。根元の部分がぶよぶよとしていたら、残念ながら腐ってしまっているのであきらめるしかありません。
花芽が伸びずに、開花したり、開花が途中で止まってしまった場合は寒さに当っていないことによる生育障害です。低温に十分当てることが、球根の生育に重要です。なるべく花茎が伸びるまでは、外と同じくらいの温度で管理するようにしましょう。
ひょろひょろと、茎が伸びてしまっている場合は日照不足による徒長です。なるべく明るい場所で育てましょう。
ヒヤシンスをおしゃれに飾るポイント
器にこだわる
水栽培は、穴が開いていない器ならどんなものでも使えます。わざわざ買わなくても、お気に入りの花瓶やコップなどを使うことができます。
複数の瓶を並べたり、吊るして飾ったりすることもできます。インターネットでもいろいろな画像があるので、イメージに近いものを探して真似してみるのもおすすめです。専用のバルブレースは、おしゃれで簡単に水を換えることもできます。
資材にこだわる
上記で紹介したハイドロボールの他にも水栽培に使える資材はあります。たとえばカラーゼオライト、セラミスグラニュー、水苔、プラントビーズなどの他、ビー玉や砂利などをつかっても。育て方に不安であれば、器を2重にして水栽培で育て周りに、ビーズなどを入れて使うという手もあります。
ビー玉やおはじきなどを使う場合も、根腐れ防止剤(ゼオライト)は使いましょう。100均でも買えます。
まとめ
球根植物は、「バルバスプランツ」とも呼ばれ、最近ではバルブベースを使った水栽培が、根まで楽しめると人気がでてきています。ヒヤシンスの他、ムスカリやクロッカスなどは水栽培に向いている球根です。ムスカリなどでコツをつかんだら、チューリップや水仙などにも挑戦してみましょう。品種別の育て方はこちらから探せます。
水栽培は、毎日水替えをしなくてもいいですし、虫などもわきにくくキッチンなどにも置けるので、手軽にガーデニングが始められます。サボテンや多肉植物なども水栽培やハイドロカルチャーで育てることもできます。『農家web』にはこのほかにも水耕栽培のコンテンツが豊富にあります。下記から育てやすい品種や育て方を探すことができます。